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第一章 出会いと始まり
小さな疑惑と冒険者ギルド
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我が決行した作戦には、本来の目的のほかに……もう一つの隠された目的があった。
それこそが自身の天職を勢いで誤魔化す事だ。
しかし……
「さあ、答えなさい! 貴方の天職……!」
このシーラという女のせいで、我が目論見は水泡に帰してしまった。
しかも、彼女だけではない。
後ろで佇むフラムウィッチ――フウもまた、期待と疑惑の入り混じった視線をこちらに飛ばしているのだ。
万事休すか……
と思われたその瞬間、
「おいおい、あんまり詮索するのはやめてやれよ。誰だって、言いたくない事の一つや二つ、あるだろう?」
横から入った助け舟は、ハクからのものだった。
実にありがたい一言である……のだが、シーラは未だに納得のいかない表情だ。
「……ハクの言い分も十分分かるわ、でも……これから共に戦う仲間の素性が分からないってのはどうかと思う! それに、この場で天職を明かすのは冒険者としてのマナーでしょ?」
「だからってなあ……俺としては、そんなマナーよりも仲間同士、仲良くしてほしいんだが?」
「……とにかく! 天職を隠そうとするなんて、きっとやましい事を考えているに違いないわ……! アンタだって、突然後ろから切りかかられたくは無いでしょう!?」
「それは……そうだが……」
シーラの勢いに押され始め、ハクまでもが我に疑いの目を向けてくる。
これは非常にマズイ……
のだが、やはり我は天才かもしれない。
彼女の言葉の中で、この場を切り抜ける術を見つけ出してしまったのだから。
「……ふふ、ふふふふっ……! そこの娘、シーラと言ったな?」
「……そうだけど――――」
「貴様は、我が天職を隠すことによって、このパーティに不利益をもたらす事……また、我の裏切り行為を恐れている……そういうことを言いたいのだろう? つまり……我が身の潔白が証明されれば、納得してくれるかね?」
「……まあ、端的に言えば…………でも、そんな証明なんて――――」
「できるさ! 我がスキル……”神の血判状”を用いればなっ!」
宣言すると同時に、我は懐から一振りの短剣を取り出す。
すると当然、ハクとシーラは警戒した素振りを見せたが……
その刃の対象が我自身の親指であった事から、二人の力は抜けていた。
そして、ただ一人……フウだけが目を丸くし、我が滴る血液を見つめていた。
「……神の……血判状……あなた…………死ぬ気なの?」
「ふふふっ……フウとやら、貴様は中々物を知っているようだな」
「し、死ぬ……って、どういうことっ!?」
「はははっ! 落ち着き給え、シーラよ。勿論、そう簡単に死ぬつもりはない……我が潔白が証明されればな」
”死”という単語に明らかな動揺を見せたシーラと対照的に、フウは淡々と話始める。
「……神の血判状は、主に罪人の虚言を見抜くために使われるスキル……使用者と対象者の同意の下、対象者の生き血を触媒として発動される……効果は――――」
「単純だ、この流れる血で空中に文字を描き、その事象が真実ならば何も起こらず、虚偽のものだと神が認めれば…………傷口から全ての血が流れだし、対象者は死亡する……!」
「なっ……!?」
シーラとハクに、更なる衝撃が走ったように見えた。
まあ、この場合……対象者も我自身なのだが、スキルの拘束力は甚大なものだ。
描いた内容に嘘偽りがあると判明すれば、勿論……問答無用で我は死ぬだろう。
「ちょと待って、まだ話は――――」
「落ち着け、レギ! 早まるな――――」
二人が慌てて止めに入るが、我の勢いは止まらない。
「はははっ、行くぞ! とくと見るがよい! 我が覚悟を……!」
我の親指は瞬く間に文字を描き始める。
そして、ハクとシーラが我が身体を拘束する頃には……
『我がこのパーティを裏切る事も、不利益をもたらすことも無い』
という、美しい血文字が空中に浮かび上がっていた。
◇◆◇
「……納得いかない……私は絶対、認めないからっ!」
冒険者への依頼を受注するため、ギルドへ向かう最中……シーラはボヤくように呟いていた。
「はははっ、もう諦めろよシーラ! お前だって間近で見ただろう? レギが身の潔白を証明した瞬間を、さ」
「……あのスキルは間違い無く本物。あれで死ななかったのだから、レギは確実にシロ……」
「……二人の言い分はわかるけど…………でも、気持ちとして絶対認めたくないのっ!」
「ハハハハハッ! シーラよ、貴様のような愚民に認めてもらわなくとも結構! 所詮、貴様程度に我の素晴らしさは理解できないのだからなっ!」
「そう! こういうところよっ! こいつのこういう痛いところが、私は許せないのっ! こんのおおおおおおおお――――」
「まあまあ、落ち着けって」
それからもシーラのアホが喚き、ハクが宥めるという様相が続いたが……
目の前に巨人でも入れそうな大きな扉が入り込んできたことで、すっかり大人しくなっていた。
そう、この扉の先こそが……
”冒険者ギルド”なのである!
それこそが自身の天職を勢いで誤魔化す事だ。
しかし……
「さあ、答えなさい! 貴方の天職……!」
このシーラという女のせいで、我が目論見は水泡に帰してしまった。
しかも、彼女だけではない。
後ろで佇むフラムウィッチ――フウもまた、期待と疑惑の入り混じった視線をこちらに飛ばしているのだ。
万事休すか……
と思われたその瞬間、
「おいおい、あんまり詮索するのはやめてやれよ。誰だって、言いたくない事の一つや二つ、あるだろう?」
横から入った助け舟は、ハクからのものだった。
実にありがたい一言である……のだが、シーラは未だに納得のいかない表情だ。
「……ハクの言い分も十分分かるわ、でも……これから共に戦う仲間の素性が分からないってのはどうかと思う! それに、この場で天職を明かすのは冒険者としてのマナーでしょ?」
「だからってなあ……俺としては、そんなマナーよりも仲間同士、仲良くしてほしいんだが?」
「……とにかく! 天職を隠そうとするなんて、きっとやましい事を考えているに違いないわ……! アンタだって、突然後ろから切りかかられたくは無いでしょう!?」
「それは……そうだが……」
シーラの勢いに押され始め、ハクまでもが我に疑いの目を向けてくる。
これは非常にマズイ……
のだが、やはり我は天才かもしれない。
彼女の言葉の中で、この場を切り抜ける術を見つけ出してしまったのだから。
「……ふふ、ふふふふっ……! そこの娘、シーラと言ったな?」
「……そうだけど――――」
「貴様は、我が天職を隠すことによって、このパーティに不利益をもたらす事……また、我の裏切り行為を恐れている……そういうことを言いたいのだろう? つまり……我が身の潔白が証明されれば、納得してくれるかね?」
「……まあ、端的に言えば…………でも、そんな証明なんて――――」
「できるさ! 我がスキル……”神の血判状”を用いればなっ!」
宣言すると同時に、我は懐から一振りの短剣を取り出す。
すると当然、ハクとシーラは警戒した素振りを見せたが……
その刃の対象が我自身の親指であった事から、二人の力は抜けていた。
そして、ただ一人……フウだけが目を丸くし、我が滴る血液を見つめていた。
「……神の……血判状……あなた…………死ぬ気なの?」
「ふふふっ……フウとやら、貴様は中々物を知っているようだな」
「し、死ぬ……って、どういうことっ!?」
「はははっ! 落ち着き給え、シーラよ。勿論、そう簡単に死ぬつもりはない……我が潔白が証明されればな」
”死”という単語に明らかな動揺を見せたシーラと対照的に、フウは淡々と話始める。
「……神の血判状は、主に罪人の虚言を見抜くために使われるスキル……使用者と対象者の同意の下、対象者の生き血を触媒として発動される……効果は――――」
「単純だ、この流れる血で空中に文字を描き、その事象が真実ならば何も起こらず、虚偽のものだと神が認めれば…………傷口から全ての血が流れだし、対象者は死亡する……!」
「なっ……!?」
シーラとハクに、更なる衝撃が走ったように見えた。
まあ、この場合……対象者も我自身なのだが、スキルの拘束力は甚大なものだ。
描いた内容に嘘偽りがあると判明すれば、勿論……問答無用で我は死ぬだろう。
「ちょと待って、まだ話は――――」
「落ち着け、レギ! 早まるな――――」
二人が慌てて止めに入るが、我の勢いは止まらない。
「はははっ、行くぞ! とくと見るがよい! 我が覚悟を……!」
我の親指は瞬く間に文字を描き始める。
そして、ハクとシーラが我が身体を拘束する頃には……
『我がこのパーティを裏切る事も、不利益をもたらすことも無い』
という、美しい血文字が空中に浮かび上がっていた。
◇◆◇
「……納得いかない……私は絶対、認めないからっ!」
冒険者への依頼を受注するため、ギルドへ向かう最中……シーラはボヤくように呟いていた。
「はははっ、もう諦めろよシーラ! お前だって間近で見ただろう? レギが身の潔白を証明した瞬間を、さ」
「……あのスキルは間違い無く本物。あれで死ななかったのだから、レギは確実にシロ……」
「……二人の言い分はわかるけど…………でも、気持ちとして絶対認めたくないのっ!」
「ハハハハハッ! シーラよ、貴様のような愚民に認めてもらわなくとも結構! 所詮、貴様程度に我の素晴らしさは理解できないのだからなっ!」
「そう! こういうところよっ! こいつのこういう痛いところが、私は許せないのっ! こんのおおおおおおおお――――」
「まあまあ、落ち着けって」
それからもシーラのアホが喚き、ハクが宥めるという様相が続いたが……
目の前に巨人でも入れそうな大きな扉が入り込んできたことで、すっかり大人しくなっていた。
そう、この扉の先こそが……
”冒険者ギルド”なのである!
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