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第一章 出会いと始まり
大きな危機と小さな希望
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――無謀なる挑戦者とは、能力強化型の”皆技”――即ち、天職に左右されず、修行を積めばほぼ誰でも習得できるスキルの一つである。
皆技は職技に比べ、癖の強いものが多いのだが……この無謀なる挑戦者も例に漏れず、使いどころが限定されている。
「ぐはああああああっ……てめえ……拳一つで、俺の剣を折りやがるなんざ……ありえねえっ!」
そこら中に鼻血をまき散らしながら、不服を申し立てるガラの悪い男。
しかし……『拳一つで剣を折るなどありえない』か。
確かに、常識的に考えればその通りだろう。
だが、無謀なる挑戦者の影響下ならば話は違う。
このスキルは、発動時……自身が不利であれば不利であるほど、能力が強化されるというものなのだ。
相手は手練の駆け出し狩り4人……対する我らは3人が倒れ、駆け出しの治療術師が一人なのだから、強化の幅は計り知れない。
「くそっ、お前ら……分からせるぞっ、全員でかかるっ!」
「いや、、待て……恐らく奴が使ったのは身体強化スキル! 拳闘士か何かに違いない……なら、きっと魔術で攻めればなんとかなる! 俺に任せろ!」
後ろで控えていた一人が、何やら見当違いな事を言ってくる。
まあ、拳闘士が魔術への対抗力に乏しいというのは間違っていないのだが……
如何せん、我は拳闘士ではないのでな!
「ははっ、食らえっ! 炎熱雷光波!」
炎熱雷光波か……確か、天職・ウォーロックの職技ではかなり高位のものだったな。
だが……正面からの魔術など、今の状況では大した脅威ではないのだ!
「……気まぐれな受け流し!」
「なにっ……ぐ、ぐあああああああああっ」
ウォーロックの彼から放たれた魔術は、対象者である我の目の前で方向を転換し……真っすぐに術者の方向へと還っていった。
凄まじい爆発が巻き起こり、その場にぐったりと横たわるウォーロック。
もしも我がそのまま直撃を受けていたら……きっと、かすり傷では済まなかったであろうな。
そして、一連の流れを理解できずに立ち尽くすのが他の三人だ。
「……くっ、バカなっ!? 何故術が跳ね返されて……奴は拳闘士じゃなかったのか!?」
「リーダー、あんな真似ができるのは……恐らく、聖天師の魔術反射位だ……」
「じゃあ、あいつが聖天師だって言うの!? だったら、さっきの身体強化の説明がつかないじゃないっ!」
残された三人は、どうやら相当混乱しているようだ。
当たり前だが、我は聖天師などという大層な天職じゃないし、先程使った気まぐれな受け流しも魔術反射ほど便利なものではない。
気まぐれな受け流しの効果は、自身に向けられたあらゆる事象を運に任せ、別の対象へと移し替えるもの。
つまり、放たれた攻撃が味方に飛ぶこともあれば、普通に直撃してしまう事もあるのだ。
全てを運に任せたギャンブル……普通なら、こんな重要な場面で使うスキルではないだろう。
だが、無謀なる挑戦者が効いている今の状況ならば話は別。
そう、今の我は運の能力も相当底上げされているのだ!
「くそっ……なんだか判らねえが……こっちはまだ一人やられただけだ! 次は全員の全力を叩き込むぞっ! 勇撃剣!」
「了解した……土竜旋!」
「ふふっ、私たちを本気にさせたこと……あの世で後悔しなさい! 死界の息吹!」
一斉に最高位のスキルを放とうとする三人。
だが、彼らは気づいていないようだ……
自らが立つ場所が、どのような場所なのかという事に……!
「なっ……なんだこれ、地面が……光って…………」
「ふっ……ようやく気付いたようだな、間抜けな勇者よ! 貴様らは既に、我が術中に嵌まっているのだ! この……三力共鳴の力の前に消え失せろ!」
我が全てを言い終わる前に、地面の光は最高潮を迎え……
気づいた頃には、彼らの足元の足場と言える足場が完全に消え失せていた。
「こっ、これは……どうして穴が開いて…………うわああああああああっ!」
聞くに堪えない断末魔を上げ、地面に開いた大穴へ落ちていく三人。
ここまで綺麗に決めたのは初めてだが……やはり凄まじいものだな、このスキルは。
三力共鳴もまた、皆技の一つであるのだが……扱いは最高レベルで難しい。
条件としてはまず、力を発する不動物を3つ用意しなければならないのだが……この3つはそれぞれを直線で繋いだ時、正三角形を描く距離に置かれていなければならない。
まず一つは術者でいいのだが……スキルが成功するまで、不動を貫かねばならない。
そして問題は残り二つ、パーティメンバーを使う手もあるが、距離を正確に掴むには相当な鍛錬が必要だろう。
今回は倒れた我がパーティメンバー、相手の倒れたウォーロックを力の発生源として選んだ訳だが……ウォーロックがあの場所に飛んでくれたのは、今の運を以てしても奇跡に近いだろう。
更に……このスキルはここまでして尚、効果を発揮するための条件がる。
それは、対象者の位置……今回の場合は三人だが、その三人が全員……三角形の中心に存在しなければならないのである。
この条件をすべてクリアした上で、最高レベルの威力が発揮されるのだ。
「ふう……一先ずは、安心できるな……」
ほっと一息ついたところで、我はすかさず倒れた仲間たちをじっと見やる。
そして――――
「……貴様ら、いい加減に起きたらどうだ? 狸寝入りに付き合うのももう飽きたぞ?」
「…………もしかして、バレてた……?」
「当たり前だろう、貴様らの実力が高い事はもうとっくに分かっている。あの勇者が放った猛閃一掃も中々のものだったが、一撃で全員やられるなどありえんわっ!」
我の指摘に、三人は揃って気まずそうな顔を向けてきた。
全く……下らん芝居だ。
「大方、我の実力が不確かだから、この戦闘で見極めようとしていたのだろう?」
今度はあからさまに目を背けてくる三人。
この反応を見る限り、我の推理は当たっているのだろう。
今朝方から、仲間たちは何やら我に隠れてコソコソと話し合っていたのだ……そんな様子を見て、警戒しない訳がない。
無論、我の追放についての話し合いだと思ってビクビクしていた訳ではないぞ。
あくまで、仲間同士での隠し事などけしからんと思っていただけだ。
「あ、あのさ……レギ……俺たち――――」
「もうよい、皆まで言うな。お前たちも……その、悪気があった訳ではないみたいだからな」
我の言葉に安心したのか、三人はホッと胸を撫でおろしたように見えた。
「……でも、レギの力…………フウたちの想像以上……だった」
「ええ、認めたくないけど……中々やるじゃない」
「ホントにな! さっきのスキル……どれも初めて見たぜ!」
立ち上がって早々、次々に上がる我への称賛。
気分は良いが、若干むず痒いものである……
しかし、使いづらいだけでごく一般的な皆技を披露したにすぎないのだが……初めて見たとは、ハクの奴は少し勉強不足のようだな。
まあ、何はともあれ……今回は上手く事が運んで良かったと言えるだろう。
皆技は職技に比べ、癖の強いものが多いのだが……この無謀なる挑戦者も例に漏れず、使いどころが限定されている。
「ぐはああああああっ……てめえ……拳一つで、俺の剣を折りやがるなんざ……ありえねえっ!」
そこら中に鼻血をまき散らしながら、不服を申し立てるガラの悪い男。
しかし……『拳一つで剣を折るなどありえない』か。
確かに、常識的に考えればその通りだろう。
だが、無謀なる挑戦者の影響下ならば話は違う。
このスキルは、発動時……自身が不利であれば不利であるほど、能力が強化されるというものなのだ。
相手は手練の駆け出し狩り4人……対する我らは3人が倒れ、駆け出しの治療術師が一人なのだから、強化の幅は計り知れない。
「くそっ、お前ら……分からせるぞっ、全員でかかるっ!」
「いや、、待て……恐らく奴が使ったのは身体強化スキル! 拳闘士か何かに違いない……なら、きっと魔術で攻めればなんとかなる! 俺に任せろ!」
後ろで控えていた一人が、何やら見当違いな事を言ってくる。
まあ、拳闘士が魔術への対抗力に乏しいというのは間違っていないのだが……
如何せん、我は拳闘士ではないのでな!
「ははっ、食らえっ! 炎熱雷光波!」
炎熱雷光波か……確か、天職・ウォーロックの職技ではかなり高位のものだったな。
だが……正面からの魔術など、今の状況では大した脅威ではないのだ!
「……気まぐれな受け流し!」
「なにっ……ぐ、ぐあああああああああっ」
ウォーロックの彼から放たれた魔術は、対象者である我の目の前で方向を転換し……真っすぐに術者の方向へと還っていった。
凄まじい爆発が巻き起こり、その場にぐったりと横たわるウォーロック。
もしも我がそのまま直撃を受けていたら……きっと、かすり傷では済まなかったであろうな。
そして、一連の流れを理解できずに立ち尽くすのが他の三人だ。
「……くっ、バカなっ!? 何故術が跳ね返されて……奴は拳闘士じゃなかったのか!?」
「リーダー、あんな真似ができるのは……恐らく、聖天師の魔術反射位だ……」
「じゃあ、あいつが聖天師だって言うの!? だったら、さっきの身体強化の説明がつかないじゃないっ!」
残された三人は、どうやら相当混乱しているようだ。
当たり前だが、我は聖天師などという大層な天職じゃないし、先程使った気まぐれな受け流しも魔術反射ほど便利なものではない。
気まぐれな受け流しの効果は、自身に向けられたあらゆる事象を運に任せ、別の対象へと移し替えるもの。
つまり、放たれた攻撃が味方に飛ぶこともあれば、普通に直撃してしまう事もあるのだ。
全てを運に任せたギャンブル……普通なら、こんな重要な場面で使うスキルではないだろう。
だが、無謀なる挑戦者が効いている今の状況ならば話は別。
そう、今の我は運の能力も相当底上げされているのだ!
「くそっ……なんだか判らねえが……こっちはまだ一人やられただけだ! 次は全員の全力を叩き込むぞっ! 勇撃剣!」
「了解した……土竜旋!」
「ふふっ、私たちを本気にさせたこと……あの世で後悔しなさい! 死界の息吹!」
一斉に最高位のスキルを放とうとする三人。
だが、彼らは気づいていないようだ……
自らが立つ場所が、どのような場所なのかという事に……!
「なっ……なんだこれ、地面が……光って…………」
「ふっ……ようやく気付いたようだな、間抜けな勇者よ! 貴様らは既に、我が術中に嵌まっているのだ! この……三力共鳴の力の前に消え失せろ!」
我が全てを言い終わる前に、地面の光は最高潮を迎え……
気づいた頃には、彼らの足元の足場と言える足場が完全に消え失せていた。
「こっ、これは……どうして穴が開いて…………うわああああああああっ!」
聞くに堪えない断末魔を上げ、地面に開いた大穴へ落ちていく三人。
ここまで綺麗に決めたのは初めてだが……やはり凄まじいものだな、このスキルは。
三力共鳴もまた、皆技の一つであるのだが……扱いは最高レベルで難しい。
条件としてはまず、力を発する不動物を3つ用意しなければならないのだが……この3つはそれぞれを直線で繋いだ時、正三角形を描く距離に置かれていなければならない。
まず一つは術者でいいのだが……スキルが成功するまで、不動を貫かねばならない。
そして問題は残り二つ、パーティメンバーを使う手もあるが、距離を正確に掴むには相当な鍛錬が必要だろう。
今回は倒れた我がパーティメンバー、相手の倒れたウォーロックを力の発生源として選んだ訳だが……ウォーロックがあの場所に飛んでくれたのは、今の運を以てしても奇跡に近いだろう。
更に……このスキルはここまでして尚、効果を発揮するための条件がる。
それは、対象者の位置……今回の場合は三人だが、その三人が全員……三角形の中心に存在しなければならないのである。
この条件をすべてクリアした上で、最高レベルの威力が発揮されるのだ。
「ふう……一先ずは、安心できるな……」
ほっと一息ついたところで、我はすかさず倒れた仲間たちをじっと見やる。
そして――――
「……貴様ら、いい加減に起きたらどうだ? 狸寝入りに付き合うのももう飽きたぞ?」
「…………もしかして、バレてた……?」
「当たり前だろう、貴様らの実力が高い事はもうとっくに分かっている。あの勇者が放った猛閃一掃も中々のものだったが、一撃で全員やられるなどありえんわっ!」
我の指摘に、三人は揃って気まずそうな顔を向けてきた。
全く……下らん芝居だ。
「大方、我の実力が不確かだから、この戦闘で見極めようとしていたのだろう?」
今度はあからさまに目を背けてくる三人。
この反応を見る限り、我の推理は当たっているのだろう。
今朝方から、仲間たちは何やら我に隠れてコソコソと話し合っていたのだ……そんな様子を見て、警戒しない訳がない。
無論、我の追放についての話し合いだと思ってビクビクしていた訳ではないぞ。
あくまで、仲間同士での隠し事などけしからんと思っていただけだ。
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「もうよい、皆まで言うな。お前たちも……その、悪気があった訳ではないみたいだからな」
我の言葉に安心したのか、三人はホッと胸を撫でおろしたように見えた。
「……でも、レギの力…………フウたちの想像以上……だった」
「ええ、認めたくないけど……中々やるじゃない」
「ホントにな! さっきのスキル……どれも初めて見たぜ!」
立ち上がって早々、次々に上がる我への称賛。
気分は良いが、若干むず痒いものである……
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