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「リオン、来なさい」
ふいに声をかけられて、理音は顔を上げた。
ユウリンだ。こちらの屋敷に来るのはあまりない。
「昨日は、何か騒がしかったようだね」
何かって、何を聞いていないのだろうか。同じ屋敷内であるのに。
「泥棒が出たみたいですけど」
結局、昨日のことはまるでなかったかのように、ユムユナは振る舞った。
キノリも何があったのかよくわかっていなかったようで、むしろ真実を知っているのが何人いるのかもわからない。
警備の従者も侵入者がいたと知ってはいたが、盗みに入られたと言うことを知らない者もいた。
「騒ぎがあって、鎮圧したとは聞いているんだけど?」
鎮圧。あの三人を捕まえたわけではないのに。
ユムユナはもみ消すつもりだろう。
「何かご用でしょうか」
理音は特に返答せずに、ユウリンの訪問を問うた。
「大尉がお呼びだ」
何だろう。今までそんな呼び出しなど、されたことなどないのに。
「私、何かしましたか?」
一応聞いてみる。答えは返ってこなかったが。
「そう言えば、道で何者かに声をかけられたようだね」
「ああ、はい。ご存知だと思ってました。お知り合いですか?」
「そう切り返してくるのか?」
そう切り返してはまずかっただろうか。どうせ知っていると思っていたし、自分に被害はなかったので言わなかっただけだ。
「私から言われる前に教えてほしいものだね」
「被害がなかったので、特に問題はなかったかと。喧嘩は売ってませんし」
「…うん。売らないでほしいものだね。リオン、君は意外と強気だな。男の従者を選ぶだけあるけれども」
「そうですね。こちらでは大人しくしてますけど。身分とかあるし」
「身分、君の国ではないのか?」
「こっちほど謙虚にはないです。勿論仕事や学校での上下はありますけれど、理不尽な言われは起きないですよ。こっちと違って。いきなり声かけて来て、無礼者、なんて偉そうなことは言われません」
「…君は危険分子だな」
不穏な言葉だった。唐突にそれを口にしてくる、その意図を探ろうとした。
けれどユウリンは笑いを内に含んでいた。嫌味のない、受け入れた笑いだ。
「馬車に乗った者を相手にする時は気をつけるように。運悪く大尉より身分の高い方であれば不徳とされる」
「はい」
だから逃げました。とは言わない方がいいだろう。これはしっかりとした教えだ。
「ああ言う場合、どうすれば良かったですか?大尉の不利になるような相手だと面倒なので逃げたんですけど」
「逃げた場合あとで気づかれると困る。やはり逃げてはいけない。できるだけ控えて、相手の言う通りに問われた通りに答えなさい。不当な言われであれば黙っていればいい。こちらが悪くなければそれでいいから。相手が飽きるまで我慢だ」
「わかりました」
実際、頭を下げて相手の怒りが収まるまで待つものなのだろう。堪え性がないのでそれをしなかっただけだ。
また次あやをつけられたら、我慢するしかない。
「ところで、そんなすぐに逃げたのかい?」
「すぐ、でもないですけど」
「相手も逃げられるとは思ってなかっただろうな」
随分悠長なことを言って、ユウリンは小さく苦笑いした。
「どちらの方だったんですか?大尉の何か…」
敵か、とは言えない。一体何の敵かと逆に尋ねられても答えられない。
「気にすることはない。もう済んだことだ」
ユウリンは無論相手を口にしない。されてもどこの誰かはわからないが、彼らには理音があやをつけられる理由を持っているわけだ。
「そう言えば、シュンエイ様の元によく荷物が届いているようだ。リオンはその手伝いもしているの?」
「はい。昨日はたくさん来たみたいで。倉庫に積めました」
その倉庫も中身はどうなっているのかわからないわけだが。
「よく、送られてくるね。シュンエイ様も大切にされている」
「そうですかね」
「…そうは思わないの?」
ユウリンは横目で見てきた。不快と言うよりはどこか探るような問い方だ。
むしろ問いたい。あんな物の送り方をされて、愛されていると思う娘はいるのだろうか。
「倉庫に大量にしまっちゃうくらい物送ってきても、娘が見てないですし」
娘とか言ってしまった。ユムユナに聞かれたら雷が落ちる。
「娘に何か送りたいと思うのは、父親の親心じゃないか?」
ユウリンは気にしなかったようだ、理音に問う。
母親が一人暮らしをしている兄に、野菜やら混ぜれば完成の調味料を段ボール一杯に送っていた。あの姿を見れば、親心と言うか、食生活を心配してるんだろうなあ。とは思う。
だがシュンエイに対しては、一方的に何かを送り、シュンエイ自体はそれすらも知らない。どうでもいいと思っているかもしれない。
父親の贈り物に対して、シュンエイは一度もコメントしたことがないからだ。
ユムユナに渡されて、興味なさそうにそれを眺めるだけ。父親が寂しいとか、そういう言葉も聞かない。
それは、あの倉庫の中にも表れているだろう。
「大旦那様は、シュンエイ様に送ってるんですかね。彼女のことなんて何も考えないで、大旦那様が好きに送ってるようにしか思えません」
なまじ、金があるからそう言う行動に出やすいのかもしれない。金が少なければ贈る物も厳選するだろうに。
「君は、面白い発想をするね。やはり新しいだけあるのかもしれないけれど」
「新しい?」
「入ったばかりの者である。主人をまだ主人であると思えていない。シュンエイ様の父君は、既に君の主人ではないけれど」
忠誠心を問われるのであれば、そんなものはない。
雇ってくれたことに感謝はあれど、おかしいと思うことはおかしいと思う。
だが、それはどの立場も同じではないだろうか。
例えば、フォーエンが好きな女性でも見つけてアプローチするのに、無駄に金をかけて大量に物を送ってたら、
「きっと殴るな…」
「殴る?」
「いえ、一人言です。主人が血迷ってたら一緒に迷って考えてあげれればいいなって」
フォーエンが誰かに物を送ったりする様を見たいわけではないが、それは今後起きることなのだ。
「そいや、今の皇帝って奥さんいんですか?いっぱいに女子いるのは、知ってるんですけど」
「突然だな。皇帝陛下には妃は多くいるよ。今は何人ぐらいいるのかな。確かな数字は知らないけれど。ただまだお渡りがないのは確かだ」
「お渡り?」
「仲睦まじくされてはいないと言うことだよ」
そう言う言い方をするわけである。アホなことを聞いた。
「一時期は、そう言う方がいらっしゃったわけだけれどね」
「そうなんです…か…?」
初耳だった。
前に聞いた時は、誰も選んでいないようなことを言っていたのに。
確かにこちらを出た日と、こちらに来た日とで、どれくらいの時間が空いているのか計算できないため、結局何日ほど過ぎたのかはわかっていない。
フォーエンが新しく皇帝となったと聞いたので、そこまで日は経っていないだろうが、それでもその間に、誰か特別な人を選んだのだろうか。
ふいに声をかけられて、理音は顔を上げた。
ユウリンだ。こちらの屋敷に来るのはあまりない。
「昨日は、何か騒がしかったようだね」
何かって、何を聞いていないのだろうか。同じ屋敷内であるのに。
「泥棒が出たみたいですけど」
結局、昨日のことはまるでなかったかのように、ユムユナは振る舞った。
キノリも何があったのかよくわかっていなかったようで、むしろ真実を知っているのが何人いるのかもわからない。
警備の従者も侵入者がいたと知ってはいたが、盗みに入られたと言うことを知らない者もいた。
「騒ぎがあって、鎮圧したとは聞いているんだけど?」
鎮圧。あの三人を捕まえたわけではないのに。
ユムユナはもみ消すつもりだろう。
「何かご用でしょうか」
理音は特に返答せずに、ユウリンの訪問を問うた。
「大尉がお呼びだ」
何だろう。今までそんな呼び出しなど、されたことなどないのに。
「私、何かしましたか?」
一応聞いてみる。答えは返ってこなかったが。
「そう言えば、道で何者かに声をかけられたようだね」
「ああ、はい。ご存知だと思ってました。お知り合いですか?」
「そう切り返してくるのか?」
そう切り返してはまずかっただろうか。どうせ知っていると思っていたし、自分に被害はなかったので言わなかっただけだ。
「私から言われる前に教えてほしいものだね」
「被害がなかったので、特に問題はなかったかと。喧嘩は売ってませんし」
「…うん。売らないでほしいものだね。リオン、君は意外と強気だな。男の従者を選ぶだけあるけれども」
「そうですね。こちらでは大人しくしてますけど。身分とかあるし」
「身分、君の国ではないのか?」
「こっちほど謙虚にはないです。勿論仕事や学校での上下はありますけれど、理不尽な言われは起きないですよ。こっちと違って。いきなり声かけて来て、無礼者、なんて偉そうなことは言われません」
「…君は危険分子だな」
不穏な言葉だった。唐突にそれを口にしてくる、その意図を探ろうとした。
けれどユウリンは笑いを内に含んでいた。嫌味のない、受け入れた笑いだ。
「馬車に乗った者を相手にする時は気をつけるように。運悪く大尉より身分の高い方であれば不徳とされる」
「はい」
だから逃げました。とは言わない方がいいだろう。これはしっかりとした教えだ。
「ああ言う場合、どうすれば良かったですか?大尉の不利になるような相手だと面倒なので逃げたんですけど」
「逃げた場合あとで気づかれると困る。やはり逃げてはいけない。できるだけ控えて、相手の言う通りに問われた通りに答えなさい。不当な言われであれば黙っていればいい。こちらが悪くなければそれでいいから。相手が飽きるまで我慢だ」
「わかりました」
実際、頭を下げて相手の怒りが収まるまで待つものなのだろう。堪え性がないのでそれをしなかっただけだ。
また次あやをつけられたら、我慢するしかない。
「ところで、そんなすぐに逃げたのかい?」
「すぐ、でもないですけど」
「相手も逃げられるとは思ってなかっただろうな」
随分悠長なことを言って、ユウリンは小さく苦笑いした。
「どちらの方だったんですか?大尉の何か…」
敵か、とは言えない。一体何の敵かと逆に尋ねられても答えられない。
「気にすることはない。もう済んだことだ」
ユウリンは無論相手を口にしない。されてもどこの誰かはわからないが、彼らには理音があやをつけられる理由を持っているわけだ。
「そう言えば、シュンエイ様の元によく荷物が届いているようだ。リオンはその手伝いもしているの?」
「はい。昨日はたくさん来たみたいで。倉庫に積めました」
その倉庫も中身はどうなっているのかわからないわけだが。
「よく、送られてくるね。シュンエイ様も大切にされている」
「そうですかね」
「…そうは思わないの?」
ユウリンは横目で見てきた。不快と言うよりはどこか探るような問い方だ。
むしろ問いたい。あんな物の送り方をされて、愛されていると思う娘はいるのだろうか。
「倉庫に大量にしまっちゃうくらい物送ってきても、娘が見てないですし」
娘とか言ってしまった。ユムユナに聞かれたら雷が落ちる。
「娘に何か送りたいと思うのは、父親の親心じゃないか?」
ユウリンは気にしなかったようだ、理音に問う。
母親が一人暮らしをしている兄に、野菜やら混ぜれば完成の調味料を段ボール一杯に送っていた。あの姿を見れば、親心と言うか、食生活を心配してるんだろうなあ。とは思う。
だがシュンエイに対しては、一方的に何かを送り、シュンエイ自体はそれすらも知らない。どうでもいいと思っているかもしれない。
父親の贈り物に対して、シュンエイは一度もコメントしたことがないからだ。
ユムユナに渡されて、興味なさそうにそれを眺めるだけ。父親が寂しいとか、そういう言葉も聞かない。
それは、あの倉庫の中にも表れているだろう。
「大旦那様は、シュンエイ様に送ってるんですかね。彼女のことなんて何も考えないで、大旦那様が好きに送ってるようにしか思えません」
なまじ、金があるからそう言う行動に出やすいのかもしれない。金が少なければ贈る物も厳選するだろうに。
「君は、面白い発想をするね。やはり新しいだけあるのかもしれないけれど」
「新しい?」
「入ったばかりの者である。主人をまだ主人であると思えていない。シュンエイ様の父君は、既に君の主人ではないけれど」
忠誠心を問われるのであれば、そんなものはない。
雇ってくれたことに感謝はあれど、おかしいと思うことはおかしいと思う。
だが、それはどの立場も同じではないだろうか。
例えば、フォーエンが好きな女性でも見つけてアプローチするのに、無駄に金をかけて大量に物を送ってたら、
「きっと殴るな…」
「殴る?」
「いえ、一人言です。主人が血迷ってたら一緒に迷って考えてあげれればいいなって」
フォーエンが誰かに物を送ったりする様を見たいわけではないが、それは今後起きることなのだ。
「そいや、今の皇帝って奥さんいんですか?いっぱいに女子いるのは、知ってるんですけど」
「突然だな。皇帝陛下には妃は多くいるよ。今は何人ぐらいいるのかな。確かな数字は知らないけれど。ただまだお渡りがないのは確かだ」
「お渡り?」
「仲睦まじくされてはいないと言うことだよ」
そう言う言い方をするわけである。アホなことを聞いた。
「一時期は、そう言う方がいらっしゃったわけだけれどね」
「そうなんです…か…?」
初耳だった。
前に聞いた時は、誰も選んでいないようなことを言っていたのに。
確かにこちらを出た日と、こちらに来た日とで、どれくらいの時間が空いているのか計算できないため、結局何日ほど過ぎたのかはわかっていない。
フォーエンが新しく皇帝となったと聞いたので、そこまで日は経っていないだろうが、それでもその間に、誰か特別な人を選んだのだろうか。
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