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86 ー物言わぬー
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地下倉庫がこの場所にあった。
ヘキ卿は、これを知っていたのだろうか。
この場所に、地下倉庫があることを。
「え、ちょっと待て」
ふと考える。理音にこれをわざと知らせるために、掃除をさせたのだろうか。
そうだとしたら、調べるためにここに入ったことは、彼にバレていることになる。
「や、まさかな」
一度思いついた考えを振り落とした。バレる理由がないのだ。
ナラカが理音と話しているのを見たとしても、一体何を調べに入り込んだか、気づかれるとは思えない。ナラカを知っていたとして、何かを調べにきたと気づくとしても。
理音自体から、何かが漏れる理由はない。その理由に、協力者はナラカだけなのだから。
大尉の家から来たと知っていたとすれば、どうだろう。
大尉がどこの味方なのか、例えばフォーエンの味方だと思っていれば、何を調べにきたのかわかるのだろうか。
くぼみの下が地下倉庫だとすると、何が入っているのだろう。
「わざわざ人に教えても、いい様なもの?とか?」
ただの地下倉庫なだけで、別段何もおかしな物は入っていないのならば、何も問題はない。
けれどもしも、
もしも、この下に武器や食料が入っていれば、決定的な証拠となる。
そうだとして、この倉庫を理音に知らせると言うことは、ヘキ卿はフォーエンと敵対する気はないと言うことだ。
「どうやって開けんだろ」
何か道具がいるのか、くぼみに何かを引っ掛けて引くタイプの扉の様だった。爪の部分に金具を入れて開けるのだとは思うのだが、いかんせん道具がない。
木目をよく見れば、一畳ほどの大きさの線が四角形に繋がっていた。このサイズが開くのは明らかだ。
くぼみは二つだけで、どうやら穴が下まで貫通しているようだった。薄い金属などで引っ掛けて開けるのかもしれない。L字の金属でもあるのだろうか。
これを開ける道具があるはずだが、どこかにしまっているのだろうか。
三ミリほどの薄さと幅が五ミリほどである。
「ん、待てよ?」
自分の荷物の中にぴったりの道具があるではないか。しかも丁度二個。急いでそれを部屋に取りに行き戻ってくる。
「あとは紐を結んで」
カードリングを二つ紐で繋げて、理音は片方ずつくぼみに入れた。
リングが横になるようにして引っ掛けると、そのまま紐を引っ張ったのだ。ほんの少し浮いたところで足を挟むと、そのまま蓋を開いた。
頭を突っ込んでスマフォの懐中電灯をつけて中を照らすと、下に降りる梯子が目に入った。
倉庫は思ったよりも広く、この建物よりずっと広い地下になっているようだった。
これならば、多くの食料でも武器でもしまえるだろう。
とは言え、まだ物があるとは確信できない。
「降りるしかないか」
蓋は閉めて問題ないだろう。下から押せば蓋は動かせる。カードリングを外しておけば、誰かが入ってきても地下にいるとは気づかないはずだ。
辺りを照らしながら梯子を降りると、思ったよりも深かった。
冷んやりとした空気とカビ臭さが、鼻腔をつく。窓がないので換気ができないのだろう。
部屋の中には木箱が幾つも積まれていた。分類されているのか、奥と手前とで積まれた山の数が違う。
奥の木箱から開けると、中には陶器が入っていた。
箱いっぱいに、同じ形の円形の陶器が並んでいる。
布で蓋がされており、紐を解いて中を見れば納得の物が入っていた。
「お砂糖…。じゃ、こっちは?」
箱のサイズが違う木箱がある。正方形の木箱に砂糖が入っていれば、長方形の木箱には何が入っているのか。
中には麻の袋のようなものが入っており、それを押すとぎしりと鳴って凹んだ。
「お米…」
箱のサイズによって入っている物が違うとしたら、それはどれだけの多さとなるだろう。
「武器は?」
問題はそれだ。木箱の山にある一箱ずつを開けて、中身を確かめていく。
「あれ、この箱」
木箱の色は黒色で、隙間のない頑丈な作り。この色は見たことがある。
どこで見たのか、シュンエイに送られてきた、旦那様からの贈り物と同じ箱だ。
重い長持ち。揺らせば紙が擦れて、かさかさ音がする。
開けて見れば、それが何なのかすぐにわかった。
紙に包まれた長い金属。一つ一つ包まって、隙間に紙がぎっしり詰められている。
動かしても金属音など出ない。音は紙の音だけで、けれど持つとずっしりと重量があった。
「武器だ…」
一つの木箱に、銀製の剣が何本入っているのか。模様は皆同じで、量産された物と断定して間違いないだろう。兵士の使う武器だ。
「もしかして、盗むんじゃなくて、ここに運んでた…?」
それでは、大尉はこのことを知らない。
シュンエイの実家から大尉の家へと武器を運び、それをヘキ卿の家に運び込んでいる。
まず先に、シュンエイへの贈り物だとして大尉の家のあの倉庫に保管し、直接武器を入荷しているように見せないためにワンクッション置いて、ヘキ卿の屋敷へと運ぶ。
アスナたちは倉庫から盗んでいたのではない。カモフラージュのために、大尉の屋敷を使っていただけだ。
米や砂糖も、まずはあの倉庫に入れていたのかもしれない。
「あれ、そしたら、大尉は陥れられちゃうんじゃないの?お米を保管してたって。や、でもシュンエイ様が嫁いてるんだから、実家にも悪影響あるよね」
矛盾だらけで頭が痛くなってくる。
武器の運搬について、大尉の屋敷を隠れ蓑にしていたのは確かだろう。あの倉庫を中継地点とし、こちらに運ぶのだ。
では、食料は?
市場操作ができるほどの力があって、食料を買い占めておきながら、わざわざそれを大尉の屋敷に運ぶ必要はない。そこまでの広さの倉庫ではない。なのに米や砂糖を運んでいる。ヘキ卿のこの倉庫は空いているのに。
大尉の屋敷に運ぶ必要はないのに運んでいる。その理由は何なのだろう。
そもそも、市場操作は一体誰が行ったのだろう。内大臣の関係者だろうか。だとしたらシュンエイの父親は関わりがないかもしれない。
「あれ、じゃ、なおさら倉庫に持ってく必要はない…」
夜中に荷物を運んだのは五人。アスナたち五人。それから事情を知っているのはユムユナ。あとの者たちは盗みに入られたことも知らない。
では、彼らは何を知っているのだろう。
シュンエイの父親が、大尉の家に武器を送っていること。
その武器を大尉の家を経由して、ヘキ卿の家に運んでいること。
市場操作の食料を、大尉の家を経由して、ヘキ卿の家に運んでいること。
シュンエイの父親は、全て知っているのだろうか?
もしかしたら、シュンエイの父親ですら、食料のことは知らない。
「謀反のついでに大尉を陥れる。シュンエイ様も道づれなる」
それは謀反を起こす者にしてみれば、どうでもいいことなのかもしれない。
謀反を起こす者がヘキ卿の妻であれ、内大臣であれ、彼らからしてみれば商家が道づれとなっても、大した問題ではない。
ただ、フォーエン派の大尉は、謀反と共に陥れられる。
ヘキ卿は、これを知っていたのだろうか。
この場所に、地下倉庫があることを。
「え、ちょっと待て」
ふと考える。理音にこれをわざと知らせるために、掃除をさせたのだろうか。
そうだとしたら、調べるためにここに入ったことは、彼にバレていることになる。
「や、まさかな」
一度思いついた考えを振り落とした。バレる理由がないのだ。
ナラカが理音と話しているのを見たとしても、一体何を調べに入り込んだか、気づかれるとは思えない。ナラカを知っていたとして、何かを調べにきたと気づくとしても。
理音自体から、何かが漏れる理由はない。その理由に、協力者はナラカだけなのだから。
大尉の家から来たと知っていたとすれば、どうだろう。
大尉がどこの味方なのか、例えばフォーエンの味方だと思っていれば、何を調べにきたのかわかるのだろうか。
くぼみの下が地下倉庫だとすると、何が入っているのだろう。
「わざわざ人に教えても、いい様なもの?とか?」
ただの地下倉庫なだけで、別段何もおかしな物は入っていないのならば、何も問題はない。
けれどもしも、
もしも、この下に武器や食料が入っていれば、決定的な証拠となる。
そうだとして、この倉庫を理音に知らせると言うことは、ヘキ卿はフォーエンと敵対する気はないと言うことだ。
「どうやって開けんだろ」
何か道具がいるのか、くぼみに何かを引っ掛けて引くタイプの扉の様だった。爪の部分に金具を入れて開けるのだとは思うのだが、いかんせん道具がない。
木目をよく見れば、一畳ほどの大きさの線が四角形に繋がっていた。このサイズが開くのは明らかだ。
くぼみは二つだけで、どうやら穴が下まで貫通しているようだった。薄い金属などで引っ掛けて開けるのかもしれない。L字の金属でもあるのだろうか。
これを開ける道具があるはずだが、どこかにしまっているのだろうか。
三ミリほどの薄さと幅が五ミリほどである。
「ん、待てよ?」
自分の荷物の中にぴったりの道具があるではないか。しかも丁度二個。急いでそれを部屋に取りに行き戻ってくる。
「あとは紐を結んで」
カードリングを二つ紐で繋げて、理音は片方ずつくぼみに入れた。
リングが横になるようにして引っ掛けると、そのまま紐を引っ張ったのだ。ほんの少し浮いたところで足を挟むと、そのまま蓋を開いた。
頭を突っ込んでスマフォの懐中電灯をつけて中を照らすと、下に降りる梯子が目に入った。
倉庫は思ったよりも広く、この建物よりずっと広い地下になっているようだった。
これならば、多くの食料でも武器でもしまえるだろう。
とは言え、まだ物があるとは確信できない。
「降りるしかないか」
蓋は閉めて問題ないだろう。下から押せば蓋は動かせる。カードリングを外しておけば、誰かが入ってきても地下にいるとは気づかないはずだ。
辺りを照らしながら梯子を降りると、思ったよりも深かった。
冷んやりとした空気とカビ臭さが、鼻腔をつく。窓がないので換気ができないのだろう。
部屋の中には木箱が幾つも積まれていた。分類されているのか、奥と手前とで積まれた山の数が違う。
奥の木箱から開けると、中には陶器が入っていた。
箱いっぱいに、同じ形の円形の陶器が並んでいる。
布で蓋がされており、紐を解いて中を見れば納得の物が入っていた。
「お砂糖…。じゃ、こっちは?」
箱のサイズが違う木箱がある。正方形の木箱に砂糖が入っていれば、長方形の木箱には何が入っているのか。
中には麻の袋のようなものが入っており、それを押すとぎしりと鳴って凹んだ。
「お米…」
箱のサイズによって入っている物が違うとしたら、それはどれだけの多さとなるだろう。
「武器は?」
問題はそれだ。木箱の山にある一箱ずつを開けて、中身を確かめていく。
「あれ、この箱」
木箱の色は黒色で、隙間のない頑丈な作り。この色は見たことがある。
どこで見たのか、シュンエイに送られてきた、旦那様からの贈り物と同じ箱だ。
重い長持ち。揺らせば紙が擦れて、かさかさ音がする。
開けて見れば、それが何なのかすぐにわかった。
紙に包まれた長い金属。一つ一つ包まって、隙間に紙がぎっしり詰められている。
動かしても金属音など出ない。音は紙の音だけで、けれど持つとずっしりと重量があった。
「武器だ…」
一つの木箱に、銀製の剣が何本入っているのか。模様は皆同じで、量産された物と断定して間違いないだろう。兵士の使う武器だ。
「もしかして、盗むんじゃなくて、ここに運んでた…?」
それでは、大尉はこのことを知らない。
シュンエイの実家から大尉の家へと武器を運び、それをヘキ卿の家に運び込んでいる。
まず先に、シュンエイへの贈り物だとして大尉の家のあの倉庫に保管し、直接武器を入荷しているように見せないためにワンクッション置いて、ヘキ卿の屋敷へと運ぶ。
アスナたちは倉庫から盗んでいたのではない。カモフラージュのために、大尉の屋敷を使っていただけだ。
米や砂糖も、まずはあの倉庫に入れていたのかもしれない。
「あれ、そしたら、大尉は陥れられちゃうんじゃないの?お米を保管してたって。や、でもシュンエイ様が嫁いてるんだから、実家にも悪影響あるよね」
矛盾だらけで頭が痛くなってくる。
武器の運搬について、大尉の屋敷を隠れ蓑にしていたのは確かだろう。あの倉庫を中継地点とし、こちらに運ぶのだ。
では、食料は?
市場操作ができるほどの力があって、食料を買い占めておきながら、わざわざそれを大尉の屋敷に運ぶ必要はない。そこまでの広さの倉庫ではない。なのに米や砂糖を運んでいる。ヘキ卿のこの倉庫は空いているのに。
大尉の屋敷に運ぶ必要はないのに運んでいる。その理由は何なのだろう。
そもそも、市場操作は一体誰が行ったのだろう。内大臣の関係者だろうか。だとしたらシュンエイの父親は関わりがないかもしれない。
「あれ、じゃ、なおさら倉庫に持ってく必要はない…」
夜中に荷物を運んだのは五人。アスナたち五人。それから事情を知っているのはユムユナ。あとの者たちは盗みに入られたことも知らない。
では、彼らは何を知っているのだろう。
シュンエイの父親が、大尉の家に武器を送っていること。
その武器を大尉の家を経由して、ヘキ卿の家に運んでいること。
市場操作の食料を、大尉の家を経由して、ヘキ卿の家に運んでいること。
シュンエイの父親は、全て知っているのだろうか?
もしかしたら、シュンエイの父親ですら、食料のことは知らない。
「謀反のついでに大尉を陥れる。シュンエイ様も道づれなる」
それは謀反を起こす者にしてみれば、どうでもいいことなのかもしれない。
謀反を起こす者がヘキ卿の妻であれ、内大臣であれ、彼らからしてみれば商家が道づれとなっても、大した問題ではない。
ただ、フォーエン派の大尉は、謀反と共に陥れられる。
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