群青雨色紫伝 ー東雲理音の異世界日記ー

MIRICO

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156 ー大司の尊ー

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 一番手は、ごろつきの雇われ者だったのかもしれない。
 だから、理音たちを襲った後殺されたのだし、理音が何者かも知らなかったかもしれない。

 二番手は焦っていただろう。
 理音を助ける手の者がもし万が一来た場合、理音を殺す隙がある時間は理音が城に帰るまでの時間だけだ。その時警備は多くなっているだろうし、理音を暗殺するには難しくなる。

 二番手は失敗できない。理音を殺すチャンスは少ないのだから。
 二番手は主犯の意図をしっかり理解しているだろう。だとすれば、失敗した時、何をするのか容易に想像できる。


「今日、君を狙った者たちは、余程の忠義心があったようだ」
 レイシュンは少しだけ顔色を濁らせた。そこまでは予想していなかったと。
 理音だって予想していない。しかし、本当にコウユウが主犯なのではないかと思わずにはいられない。何かを考えるたびに、それが裏付けされていく気がする。

 フォーエンへの忠義があるならば、あり得る気がするからだ。
 フォーエンへ悪影響を及ぼす者が、フォーエンの側にいる。しかも夜も一緒とくれば、フォーエンのために理音を亡き者にしたくなるだろう。フォーエンの運命を左右するならば尚更。
 考え方は理解できないが、こちらにはそんなものが存在していることを知っている。
 理音を守れと命令を受けた者たちは、それで死んだ。

「犯人に通じるものは、ないんですよね」
「城の下女は町で買い物の途中、見知らぬ者に声を掛けられて、川で拾った女性の話をしたそうです」
 ギョウエンは無表情のまま語り始める。燭台の火が揺れて、銀色の髪が赤く染まった。
 それを、緊張を飲み込んで聞こうと思ったのに、

「レイシュン様があなたを隣に置いたせいで、レイシュン様があなたを娶ると勘違いし、愚痴るようにあなたがここに来てからのことを、見知らぬ男に全て話したそうです」
「え、ちょっと、説明雑すぎだろう」
「本当のことです」
 理音はぽかんと口を開けた。ギョウエンはレイシュンの制止も聞かず、更にまくし立てる。

「レイシュン様に懸想していた下女は、レイシュン様がとうとう隣に女性を置いたことに、大きな衝撃を受けたそうです。特別な者を側に置かなかったレイシュン様が、川で拾った女性を隣に置いたと言うことで、下女たち、城の女たちは一斉に悲鳴を上げたとか。くだらない噂ですが、その下女は声を掛けてきた見知らぬ男に、優しく慰められたそうです。それで愚痴を吐露したと」
「…え、その結果、部屋がバレてしまったと?」
「ええ。レイシュン様はあなたを隣に置くことで、王都のご使者の反応を見たかったようですが、無駄に終わった様子。そのせいで別の相手が釣れましたが」
「使者の反応を見たかったって…」

 どこまで気付いて行うつもりだったのか、理音は半笑いでレイシュンを見やった。
 ここで変な顔はできない。自分はハク大輔の元で働いているのだと思わせなければならない。侍女だと思われていなくても、誰の手でもなく、ハク大輔の周辺の人間であると思わせなければいけなかった。
 間違っても、フォーエンの隣にいた者だとは思わせてはいけない。

「マウォ殿はハク大輔とも交流がある。その辺りを確認したかっただけだ」
 交流あるのか。シヴァ少将の奥さんのお兄さんと?
 いや、交流くらいあるのかもしれない。シヴァ少将とハク大輔は遠い親戚。シヴァ少将が皇帝を狙っているわけではないのなら、誰と仲良くしようと問題はないはずだ。

 どちらにしても囮に使われたわけである。何だ、やっぱりか。
 だったら最初から言ってほしいものだ。いや、言うわけがない。ハク大輔周辺に本当にいたのか確認したかったのだから。

「一介の侍女を覚えているような方ではないでしょう」
 ギョウエンはため息混じりに言った。初めから反対していたのか、レイシュンを見る目が冷たい。
「私だったらリオンちゃんは覚えるよ」
 自信満々に言うあたり、レイシュンである。

「疑われるのはいいんですけど。いいんですか、下女さんもそんな口軽くて」
「それについては、もちろん厳罰を処すよ。奥に入るまでの者ではなくとも、城の情報を外に漏らす者はいらない」
 解雇と言うことだろうか。社外秘をベラベラ話す者は、中に置いておけない。しかし、それにしても、
「その下女さんが城の中で働いてること、わかっちゃうんですね」

 声を掛けたならば、ある程度は人を絞っていたはずだ。話をしそうな者を探していたのだろう。
「まあ、城内に何らかの関わりを持った奴はいるだろうね。その下女を狙ったのも、城内で知り得たことだ。よく他の同僚に私やリオンちゃんの話を、恨みがましく話していたらしいから」

 そんな下女がいるのだと、城にいる誰かが主犯に話した。
 話した者は理音がどこにいるかは何となくわかっていても、部屋まではわからない。そして、その部屋を知っている下女を犯人は使った。

「じゃあ、私を殺そうとした人は、この城の誰かに繋がりを持ってる、と」
「そうなるね」
 それだけわかっていても、犯人を絞ることはできない。レイシュンもギョウエンも口を閉じた。
「下女は初めは愚痴を聞いてもらっていただけらしいよ。私がリオンちゃんを妻に迎えるつもりだ。それが許せない。どこぞの姫ならまだしも、私が連れてきた、正体不明な女の子」

 下女の言葉に、男は囁いた。
 男は裕福そうな身なりの三十代ほどで、賊に襲われた娘の話を耳にしたと言ってきた。

 この町の付近で、近頃物騒な話があったのだね。
 道なりでいきなり襲われたとか。従者は死に、残ったのは一人の娘。
 高貴な産まれの方ならば、余程怖い思いをされたことだろう。
 これから冬も厳しくなる場所だ。大怪我を負って家にも帰れず、さぞやお心を痛めているに違いない。

 下女は言ったそうだ。その娘はレイシュン様の側で、ただのうのうと暮らしてるだけだ。怪我をしたと言うのは耳にしたが、今は怪我も治っているんじゃないか。
 よくレイシュン様と茶を飲んでいる。何処の馬の骨かもわからないのに、レイシュン様はなぜいつまでもあんな娘を側に置くのか。

 話を聞きながら、理音は目を微かに眇めた。

 高貴な方、ねえ。

 レイシュンは理音の表情に一度目を合わせたが、気にせず話を続けた。

 いやしかし、実はその方は後宮から逃げてきた花の一人と言う噂があるのだ。
 お怒りになった今上帝は、賊をけしかけたと言う。
 もし州侯が今上帝の花を匿っていると知れたら、大変なことになってしまう。州侯はそれを知らないのだろう。その花が今上帝をも騙す、妖しであると言うことを。
 
「…」
 理音はつい眉根を寄せた。おかしなフレーズを入れてくるな。と若干不快に思う。
レイシュンは更に続ける。

 州侯は知っていて城に匿っているのか。それとも、知らずその方をお助けしたのか。
 場合によっては州侯も城の中にいる者も罰せられるだろう。関係者だけではない。働く者たちにも被害は及ぶ。
 男の言葉に、下女は怒りを覚えたそうだ。

 アホなの?とは突っ込まない。こちらの倫理は理音が納得できるものではないので、そう言ったことも盲信してしまうかもしれないからだ。
 男は巧みに誘導する。

 私なら後宮の花を垣間見たことがある。
 顔を見れば、その方が後宮の花なのかそうではないのか、見分けがつくだろう。
 なに、花の場所と周囲が把握できれば問題ない。これで別人ならば、何も起きないのだから。

 そうして、男に理音の部屋の場所を教えた。しかし男に教えた後、男が理音を確認するよりも先に、レイシュンに直接伝えた方がいいと考えた。自分は下女でレイシュンには話はできない。それでもどうにか伝えたいと、城の中を無駄にウロウロしたせいで、兵士に捕まってしまったとさ。ちゃんちゃん。


「アホなの?」
 理音は堪えきれずに、とうとうそれを吐き出した。

「そんなこと信じちゃうの?それで城の内部のこと話しちゃうの?それで教えちゃうって、警備上ダメですよね?」
「駄目だねえ」
 レイシュンも呆れ顔をしている。ため息をついて長椅子に腰かけた。
 ギョウエンは半目になって口を横一文字にしていた。毒づきたいのを我慢しているようだ。

「そんなで侵入されて、もしレイシュンさんに何かあったら、どうするつもりだったんだろ」
「そうだねえ…」
 レイシュンはため息交じりに言った。理音ももう一度、アホだなあ。と呟いてため息をついた。

 しかしまあ、間違いなく囮を狙いに来た敵になる。

 高貴な方って、理音を見ていれば間違いだと簡単に気付くだろう。口は悪いし態度も高貴には程遠い。
 後宮の花。つまり皇帝の相手として理解している上で、理音を狙う。実情の知らない、囮を信じている輩。囮作戦は続行中である。
 ならば犯人はコウユウではないのか。彼ならば間違っても理音を高貴な方とは言わない自信がある。

 けれど、
「その下女と逃げた者以外、死んじゃったわけですもんね…」
「そうだね…」
 何人死んでも、首謀者は暗幕の後ろに隠れたまま。影すら見えない。
 これでは何の意味もない。死に損だ。
 口を割った下女には、死ほどの罰は与えられないよう、ただ祈るだけである。
「しかし、面白い納得のさせ方をしてきたと思ったよ。よりによって後宮の花とは」
 レイシュンの呟きに、理音はコメントしなかった。

 含んで言ってきたのか、そうでないかがわからない。
 後宮からそんなに簡単に逃げることができるのかな?と素朴な疑問を持ったが、それを口にするのはやめた。
 レイシュンは遠い目で言うので、含んで言ってきたわけではないと思いたい。



 部屋が変えられたので、理音は別の館にいた。前にいた庭のある橋にいるのが好きだったのだが、こちらはこちらで中庭があり、そこも同じように吹き抜けで二階から庭が見られるようになっていた。

 ここでも同じ、食べられる植物や薬となる植物が植えられている。時折そうでないものも見かけるが、ほとんどが食べられるものだった。
 徹底している。よほどの飢饉があったのだろうが、今これだけの植物を成長させられるのだ。よく手を入れているリンネのおかげなのだろう。
 温室まで作らなければならないのは、冬雪が深くなるためだ。温室を客人の庭に使い、スペースをうまく利用している。

 何度見ても思う。この庭ほしい。
「リオンちゃん、調子はどう?」
「レイシュンさん」

 あれからレイシュンは、再び毎日のように理音の元に訪れた。結局囮にし結果も出たため、もう近くに寄ることも控えると思ったのだが、あまり気にならないらしい。下女のこともあったので少しは気にするのかと思ったが、ギョウエンも変わらず一緒についてくる。

「大丈夫です。元気ですよ。庭見てました。色々綺麗に咲いてて素敵です」
 温室なので季節とは違った植物が咲いている。今気になっているのは、あの柑橘系っぽい実、何の種類だろう。である。
 まだ緑色の実であるが、柑橘系で間違いない。大きさからみかんではなかろうか。
 それを考えるとお腹が鳴りそうになる。ぐう。

「それだけ元気そうなら、大丈夫かな?外の庭で日向ぼっこでもしようか。あったかくしてね。たまには陽に当たらないと、顔色が悪くなるばかりだよ」
「そうですね」
 頷いて、理音が椅子からから降りようとすると、レイシュンは躊躇なく手を差し出した。
差し出されたのだと思った、伸ばされた腕を取ろうとした時は。
 けれど、するりと避けられて、身体が近付くと、遠慮なく理音を抱き上げたのだ。

「私が運んであげるから」
 言ってからの行動ではない。
「や、歩けます。歩けます!」
「駄目だよ。庭は遠いから」

 レイシュンの言葉にギョウエンはさっと目を逸らす。だから、逸らすくらいなら止めてよ。見ていないからないことにしようとする、その適当さに驚きだ。この人下女たちの噂を耳にしているのだから、気にしてほしい。また恨まれては堪らないんだが。
 しかしレイシュンはギョウエンの顔を気にせず、廊下を歩んで行く。

「降ります!」
 バスで停車駅に着いたかのように、理音は叫んだ。しかしレイシュンはものともしない。
「リオンちゃん、軽いなあ。やっぱり痩せたね。川で拾った時より軽い気がするよ」
 そんなこと比べないでほしい。それより、重さを覚えていなくていい。
「降ります!!」

 さすがにお姫様抱っこは遠慮したい。そう何度も勘弁してほしい。腕の置き場も目線もどうすればいいのかわからない。
 けれどレイシュンは何てことはないのだと、ずんずん先へと進んだ。

 廊下ですれ違う侍女たちや兵士たちの前を通れば、頭を下げながらも一度は必ず驚くか、二度見する者もいた。
 いたたまれない気持ちでいっぱいになる。自分は得体の知れない人間で、身元すらわからないのだし、レイシュンがまた理音を嫁にするとかしないとか、噂されそうで寒気がする。

 宴や武道大会でレイシュンの隣に座ったせいで、女たちの視線は鋭くなっていた。ありありと怪訝な顔をされると、さすがに理音も彼らの心の内が見えるようだった。
 舞台の上でフォーエンの隣にいる時のように、訝しげに理音を見るのだから。

 今更ながらコウユウの気持ちがわかる。
 得体の知れない女。しかも災いの種。それが皇帝の隣にいれば、何としても排除したくなる。レイシュンの部下もそう思うだろう。理音は刺客に襲われた謎の女だ。主人を危険に合わすならば、さっさと出て行ってほしい。

 人の心知らずと、にこにこ顔を絶やさない。
 気が抜けるのは、レイシュンの機嫌の良さのせいな気がした。彼は理音に会いに来るたび、笑みを口にのせている。


「さ、着いたよ。ここでお茶を飲もう」
 レイシュンはゆっくりと理音を下ろすと、四阿の椅子に理音を座らせた。
 たどり着いた場所、手入れが行き届いた庭の一角。王宮の理音の住む館の庭のように池と小島があったが、そこにウーゴの木があった。
 ここでもウーゴは葉もなく枝のまま。しなだれた枝を木で支えてもらっている。何も咲かせていない、寂しい木。

「良い景色でしょう?」
 レイシュンはウーゴについては何も言わず、景色を指差した。指さされた方向へ目をやると、一瞬息を飲みそうになった。
「ここ、山の上、なんですか…?」
「正確には崖の上かな。庭の先は断崖絶壁で、気付いた通り、城壁がないんだ」

 レイシュンの言う通り、あるべき壁がない。どこへ行っても壁に囲まれる王宮と違い、この庭は池周りにある岩を越えたら空しか見えなかった。
 だからこそ、景色が庭と重なって見える。池の向こうは山の頂だ。四阿の椅子に座れば一つの景色となって見えた。日本の庭園に似ている。

「いい場所でしょ?この庭は王宮にもないよ。遠くの山脈が庭の一部として造られているからね。開放感がある」
「すごいですね。遠くまで見通せる」
「ここは自然の要塞だからね。ここからは見えないけれど、下は川になっている。その先は平地で、山になり、その山を越えたら、別の国だ。あの山が国境みたいなものだね」
 山を越えてもこの場所に来るまで平地が続く。その上に聳えるこの城は大きな要塞のようになっているのだろう。

「あの山の中にバラク族が住む村がある。近く見えるようで行ってみると案外遠いんだよ」
 確かにここから見る分には近いような気もするが、崖を降りて山の麓まで行くにはかなり距離があるようだった。

 遠目にある山は焦げ茶色や赤色をしている。紅葉が進んでいるのだろう、暖色の絨毯が空の下に敷いてあるみたいだ。この庭にあるウーゴの枝には何もついていないのに、山々には色を変える葉がこれから新しい葉を得るために色を変えるのだ。

「ウーゴの木の寂しさが、凄く目立ちますね」
 言ってはいけなかっただろうか。レイシュンは一瞬目配せをすると、ギョウエンが近くにいた侍女や兵士たちを下がらせた。
「今の皇帝陛下が葉を茂らせてくれるのか、これからわかるだろうね」
 他の者たちが下がるのを確認すると、レイシュンは茶を口に運びながらそう呟いた。

 繁栄すればウーゴは葉をつけ花を咲かせる。この国が滅びの道を歩むたび、ウーゴは枯れていく。そんな話、にわかには信じられない。けれど、この国の人々はそれを信じている。
「ウーゴの木を軽んずるような言葉はいけないよ。皇帝陛下を貶めるているように聞こえてしまう」
 レイシュンはちくりと理音をたしなめた。それはヘキ卿と同じ意見で、その言葉だけで皇帝陛下への忠義を疑われてしまうからだ。

 ウーゴはこの国と運命共同体である。ウーゴが枯れれば国も滅びると聞いてもしっくり来ないが、この国の人間はそれを信じていた。
 話せない頃に見たウーゴの絵をふと思い出す。散る花と、ウーゴの下に倒れた人々。不吉な絵。まるで枯れたせいで一度この国が滅びたような話だ。

 ウーゴはこの世界どこの国にもあるのだろうか。それとも、この国だけに植えられている木なのだろうか。ウーゴの話はフォーエンに聞いたことがない。そう言えば、なぜフォーエンは自分にあの絵を見せたのだろう。特に興味がないので、聞こうとも思わなかったし、そんなこともすっかり忘れていた。

 ただ、長い間枝だけだと言うのに、新芽が出なければフォーエンの皇帝陛下としての気質が問われるのだろう。それだけはわかっていた。

「しかし、まあ、今年は良くないことが起きると言われていたからね」
「良くない?」
 ウーゴに目をやりながら、レイシュンは笑うように呟いた。どこか嘲笑うような笑い。
「知らない?大司の尊の予言を」

 どこかで聞いたフレーズだ。理音はふとその言葉を思い出した。

 大司の尊の御言葉通り。
 ハルイの言っていた言葉だ。
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