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158 ー美しい花ー
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ウルバスはリンネに声を掛けていた、金髪のタレ目の男だ。一緒にいるところを不思議がられていた、あのウルバスである。
死因は不明。部屋で一人でいたところ、倒れてそのまま亡くなったらしい。
解剖など行うわけではないらしく、不幸だからとすぐに葬儀となった。病を持っていたわけではなく健康そのものの男だったのだが、心臓が突然止まったと診断された。
突然死。診断結果はそれだけだ。
「お食事は精進料理となりますので、肉魚類は入ってございません」
侍女が持ってきた食事は野菜だらけのもので、あとは穀類と果物だけだった。
ベッドにごろごろしているだけなので、食事はそんなに入らない。わかりましたと頷いて、ベッドの上でそれを食べ始めた。
病人でもないのにベッドの上で食事とか、どうかと思うが、実のところ背中が痛んであまり動きたくないのだ。
医者によると冷えてきているので、それで背中の傷が痛むとか。悪くなっているわけではないので問題はないようだが、動くと声を上げそうになる程痛むのだ。
背中の傷をしっかり見ることはなかった。鏡はあるはあるが、石を磨いて作られた鏡で、大きくても顔の一回り大きいくらい。姿見なんてものはない。後ろを向いて背を見ることはできるが、足元おぼつかない中身体をひねって見ればすっ転ぶ。だからちらりと見られたくらい。今現状どうなっているかは見ていない。
しかしそれにしても、皮膚が痛いという感覚ではなかった。背中の中が痛いというか、痛みは中に響いてじんじん痛む。剣で斬られたわけではないし、岩にでも当たってできた傷なのだろうけれど、骨や筋でも痛めたのか不安になる。冷えていることもあって、怪我に響いているのかもしれないが、痛みは強い。
横になると痛みは和らいだように思えた。だからベッドの上でごろごろしているわけだが。
傷が残っているかはあまり気にしていない。痛みはいつかとれるだろうと思うことにしている。だた何となく気鬱で、それがなぜなのか何となくわかっていた。
気にしたのは、災いのことだ。
自分がここに来た意味。一度自分の世界に戻れたのに、再びこちらに来てしまった、その理由。全て合点がいった気がする。
星見が理音が来る日を知っていたことも納得がいく。
この国にとっての災い。
フォーエンにとっても。
殺されても文句の言えない立場。それがフォーエンの側にいて我がままを言うのだから、コウユウどれだけ嫌悪するか、考えなくともわかる話である。
痛みは背中にあっても、胸も痛むような気がした。
「リオンちゃん、入っていいかな?」
ぼうっとしていると、言いながら顔を出したのはレイシュンだ。
「聞いたよ。背中が痛むんだって?」
耳が早い。葬式には出ないのか、レイシュンはいつも通りの格好でやってきた。
「冷えてきているからね。この間外にいたのがまずかったかな」
「いえ、息抜きになるので助かります」
ずっと部屋にいれば発狂しそうだ。何だかんだでレイシュンのお誘いはありがたいのである。
レイシュンは理音の表情を見ながら、いくらか憂いてみせる。その顔をしながら、珍しく遠慮げに話を始めた。
「実は君に聞きたいことがあって…。心の臓が突然止まる毒薬が何か、君は思い浮かぶ?」
遠慮げなくせに内容が濃い。誰のことを言っているのかわかるが、既に葬式を終えたのだろうに、なぜ今更聞くのか。
「おかしな点があると、今更気付いたんだよ」
問う前にレイシュンは告げた。そろそろ顔を隠して話そうかな。
「殺される理由があったんですか?」
レイシュンはベッドに腰を下ろすと、理音を見ながら曖昧な笑いを見せた。
何だその顔。
レイシュンには珍しい、困ったような濁った顔。ゆっくりと紡がれた話に耳を傾ければ、理音も何とも言えない顔をしてしまった。
ウルバスが何者かに頼まれて、噂を撒き散らしている。自分が行うのではなく、部下を使い、あらぬ噂を飲み屋で流したのだ。その噂は回り、レイシュンの部下の耳にも入った。
その話が、
「皇帝の妃がこの城にいる」
である。
前に聞いたフレーズだ。つい最近それで理音の部屋の場所が外に漏れ、暗殺者がこの城に入り込んだのは記憶に新しい。
「懲りない話なんだけれどね、その噂をばら撒いたウルバスが突然死したとなると、少し話が変わってくるんだ」
「そのウルバスさんが噂をばら撒いて、それを依頼した輩が、ウルバスさんを殺したってことですか」
「そうだねえ」
そうだとして、そんなことをする理由があるのか?
皇帝の妃を本当に探しているのならば、理音をフォーエンの妃と信じた者の仕業になる。それらが噂をばら撒いた方が安全だろう。なぜウルバスを使う必要があったのだろうか。そして、殺すとなればそれなりにリスクが伴う。前のようにごろつきを殺すのとは話が違うからだ。
「そんなんで殺されるなら、少し考えがちゃちと言うか」
「言いたいことはわかるよ。私は殺さなければならない理由ができたのかな、と思っている。正直、ウルバスを殺しても得することはないからね。あれでも一応貴族だ」
曲がりなりにも貴族。それを殺せば調べられはするだろう。外傷がなく突然死したため、深くは調べられなかったわけだが。
「それで毒ですか」
「毒を口にすれば、胃の腑のものを吐き出したりするだろう。それがなかったことと、死んだ部屋で争った跡がなかったことで、事件性はないと処理されたんだ。けれどその話が出て、本当に突然死なのか疑わしくなったんだよ」
そこで理音に話を聞こうと思うのもどうかと思うが、まあ言うまい。しかし突然死する毒などいくらでもあるだろうに。こちらではそれがあまり有名ではないと言うことか。
「ちなみに遺体って、こちら土葬ですか?」
「火葬だよ。不浄を包み浄化する力があるのは炎だけだ。まあ、地方では土葬が多いね。燃やす種がない場合がある。貧困な地は特に」
なる程。人を一人燃やすには燃料がいる。その燃料を捻出する力のない場所では土葬なのだ。市民によっては土葬もあるが、貴族は違うと言ったところだろう。
ウルバスは火葬されてしまったようだ。遺体が残っていても毒を調べられる程の医学は進んでいないのだろうが。
理音はうーんと唸ってみせる。心肺停止の毒など色々あるだろうが、この国の化学レベルであれば自然毒の可能性が高い。
「争った形跡がないってことは、部屋で倒れてたってことですよね。亡くなるところは誰も見てない?」
「見ていないね。食事の時間に侍女が呼びに行ったら、そこで死んでいたそうだ」
「その前はお出掛けしてたんですか?」
理音の質問にレイシュンはふと顔を緩めた。なぜそこで嬉しそうにするのか。
「毒を飲ませるなら外でってことなら、出掛けているよ。昼食に料理店、それから女性は行かない店」
それっていかがわしい店ってことだろうか。理音も売られたあの店である。
「昼間からあ」
「そうだねえ」
放蕩息子なのも頷ける。昼間から娼館にいるのなら。
しかしふと疑問に思う。ずいぶん健全な時間に帰ってくるものだ。まあ昼間でもやることやってるんだろうが、その後予定でもあったのだろうか。
「帰ってくるの早くありません?夕飯に間に合うように帰ってくるって」
「それは確かにね。誰かが訪れるわけではなかったけれど」
「毒盛られる時に早く帰れって言われたのかな」
「まさか」
レイシュンは一度吹き出してみせた。理音もそう思うが、ずいぶん健全な女遊びである。ああ言うものは時間制なのだから、そんなものと納得したいところだが。
「毒盛るなら時間がですね。家に戻って死ぬ時間を合わせたいなら、まあ、必要かと。でもそんな毒って即効性だろうから、家で盛られないと難しいと思うんですよね」
カプセルでもあるなら話は別だが。時間をかけて回る毒とは何があるだろうか。
「ウルバスを嫌っている者は多そうだから、それはあり得えるねえ。一度、行ってみないと駄目そうかな」
ちらりと横目で見るレイシュンに、拒否の言葉は届かないだろう。
背中の痛みを気にしたのはそこなのか。と思わずにはいられない。レイシュンは理音の体を労りながらも、ウルバスの屋敷へ理音を連れた。
城からそう離れていない、静かな通りに白壁が続く。そう言う場所は大抵お屋敷である。さすが武官の息子か、家は思った以上に立派だった。
門構えもさるもの、門番の許可を得て進めば庭から屋敷までの道が長い。その道の間に門を二度通る謎さである。レイシュンによるとこの数度の門は普通だとか。隣国が近いため、防衛に門が数度あるのは当然なのだ。門から屋敷までは馬車に乗ったまま進むのだから、門から屋敷の前までの道のりの遠さがわかると言うものだ。
やっと着いた屋敷から部屋に案内され、そこで出迎えたのは短い口髭を生やした、いかにも筋肉質ないかついおじさんだった。
「息子の死に疑わしきあると、侍女を連れながらお出ましとは思いませんでしたが」
耳に響く重低音。白髪混じりの髪は前髪は短く、後ろで三つ編みにして束ねられている。武官と言うのでそこそこいかついのを想像していたが、予想以上にいかついおじさんだった。
ウルバスの父親は戦国時代の武将みたいな感じを想定していたのだが、どちらかと言うとアメフトとかラグビーとかプレイしていそうな筋肉マンで、首がやけに太い。身長もあって目の前にいられると迫力がある。首でも持たれたらぼっきり折られそうだ。
理音を侮蔑の目で見やってそれから見ようとしない。レイシュンを冷ややかに見たきり、こちらへ視線をうつしもしなかった。見る価値もないと言われているみたいだ。
このお父さんにしてあの金髪のなよっとしたウルバスが生まれるとは、きっとお母さんが繊細な方に違いないと失礼なことを思う。
しかし、ウルバスの父親の言い分はもっともなので、黙っていた。息子が亡くなりその死亡理由を調べるために州侯が来たら、何と女連れである。文句も言うわ。
レイシュンは静かに会釈して理音を後ろに歩かせた。ウルバスの父親は眼光をレイシュンに送りながら、ウルバスの死んでいた部屋に二人を連れた。
「ここが愚息の部屋だ。長椅子の前で倒れたまま、息絶えた」
言葉の最後は噛み締めて言う。愚息だと言いながらも、その息子の死を悼んでいるのに気付かされる。父親はそれを悟られまいとレイシュンを睨みつけた。
「ここで何かわかると言うのか」
わかるかどうか。理音は部屋を見回す。高価な調度品、椅子や机の細かな装飾。派手な灯り入れ、天蓋からぶら下がる布が錦糸で織られている。艶やかな布地は外からの光でキラキラ反射していた。
ナイトテーブルには水差し。当時のままか、理音はそれに近寄った。近寄ろうと思った。ウルバスの父親の言葉に遮られなければ。
「殺されたなどと言うのならば、証拠を出すがいい。そうでなければ、この部屋から出られぬと思え」
息子が死んだその哀しみを理音にぶつけるかのような迫力だ。その迫力に押されそうにならなかったのは、レイシュンが前に立ちはだかったからだ。
「ウルバス殿が何者かに殺されたのならば、由々しき問題ですよ。あなたの息子がこの部屋で殺されたとあらば」
「だからその証拠を見せろと言っている!」
殺されたかもしれないのに、なぜ調べられるのを嫌がるのか。理音は怒りを向けられたながらも首を傾げた。むしろなぜ怒るのか理解できない。
それを思うと、怒りを向けられても気にならなかった。きょろりともう一度部屋を見回す。
窓は出窓で、そこに花瓶が置いてある。青磁のようにひびのような模様と薄く湖のような青が美しい。その花瓶には何も生けていない。亡くなった人に花を手向けたりしないのだろうか。それともまだ息子の死に向き合えないのだろうか。そう言った習慣がないのかもしれないが、理音はその花瓶が何となく気になった。
この部屋は一階だが、城と同じように基礎が高いわけではないので、普通の一階と変わりない。若干高めかもしれないが、王宮と比べればただの一階だ。窓の外は庭で、背丈の低い植物や大きな岩で造られている。よく日差しも入るし、眺めもいい。
その窓からいつも光が届くのだろう。壁際のチェストは少しだけ日に焼けて、日の当たらない側面の色に比べて日の当たる側面と上面は若干薄くなっている。しかし、一角だけ色が濃い場所があった。
「いつも、この窓際に花瓶て置いてます?」
「は?何を言っている?」
父親に聞いたつもりはないが、がなるように反応したのはそちらだった。理音は側に控えていた侍女に聞いたのだが。
「何か気になるの?」
「いえ、ここだけ色が濃いなって。花瓶はいつもここには置いてなかったんじゃないかなって」
「一体何のつもりだ。ソウの方の侍女は躾がなっていないようだな」
そんな噛みつくように言わなくてもいいのに。高校でいつも怒っている先生を思い出す。なぜそんなにいつもピリピリしているのだろう。その姿を見ていると逆に冷静になるのだ。一人空気の違う者がいると、その様子がわかりやすく浮きぼりになる。
暴かれるのが嫌なのだろうか。それを疑いたくなる。
「すみません、そこの方、ここにいつも何か置いてませんでした?サイズ、形から言うと、コースター、えっと、湯呑みを置く下敷みたいな」
扉の前で控えていた女性は体を硬らせた。父親がまた睨みつけたからだ。
恐怖政治かよ。パラハラにも程がある。これでは父親が息子殺しを黙認しているようではないか。先ほどの哀しみは偽物だったのだろうか。
「気になることなの?」
答えが返ってこないことを見越して、レイシュンは問うた。確かに色が違うと言って。
理音は花瓶をずらすが、その下は他と同じ薄い茶色。普段はここに花瓶を置いていない証拠だ。
花を飾っていないのに、なぜここに花瓶を置いたのだろう。窓の前にわざわざ花瓶を置いたのならば、花を飾るためだろうに。窓からの花瓶と花は絵的に見栄えがいい。
別のチェストを見やると、不自然に物の置いていないところがある。理音はその青の花瓶を花柄に編まれたドイリーごと持ってそのチェストに移動させた。
おそらく、この花瓶はここにあったはずだ。花瓶からの水分が時折落ちていたのか、少しだけ色黒い。
花瓶には何かの植物が飾られていたのだろうか。その植物は一体何だったのだろうか。
「息子さんって、どうやって亡くなってたんですか?胸を押さえて倒れていた?」
「それを聞いてどうする!」
ウルバスの父親は我慢がならないと、とうとう怒鳴りつけた。怒鳴られても理音は特に動じない。怪しいなと思うだけである。
怒鳴られても理音は冷静だった。武器を持っていないのならば気にすることではないからだ。レイシュンもいるし、怒鳴られても動じない図太さを持ち合わせている。
「聞いた話では、胸と喉を押さえていたと。だから心の臓が悪くなったと聞いたね」
「喉と胸ですか」
思いつく植物はある。だが、季節が違いすぎた。秋に咲く植物で嘔吐もなく死に至る植物が思いつかない。
知らないだけであるのかもしれないが、理音には思い出せなかった。
「泡を吹いて倒れてたわけじゃないんですもんね」
「それは、聞いていないね」
レイシュンはそう言いながら横目で侍女を見やった。やはり彼女が発見者なのだろう。レイシュンの言葉に身体をびくつかせたが、小さく左右に首を振った。ウルバスの父親に睨まれてすぐに下を向いてしまったが。
泡でも吹いていたら思いつく植物があったのだが、それは違うらしい。理音は再び部屋を見回す。
心臓が止まる殺し方なんて、知るわけがない。よくある感電死とかはこのアナログ社会には雷以外思いつかないし、他に化学薬品くらいしかわからない。
ヒ素とかどうなのだろうと考えてみるが、死に方など知らない。古来暗殺に使われるものだから、このアナログ国ならありそうであるが。
皮下注射で殺すとかなら思いつくものはある。そうすると誰かに会わなければ死ぬことはなかった。
誰か訪ねて来た者もいないとなると、袋小路にはまった。
雀蜂とか偶然飛んでこないものだろうか。サソリとか、毒蜘蛛とか。
それにしてもこの地面に人が死んでいたとは思えない。絨毯の色は濃い赤で血を吐いてもわかりにくいだろうが、その痕跡はない。鳳凰のような鳥が描かれており、それを汚す色は見当たらない。心臓が止まって死んだとして、出してもよだれくらいだろうか。遺体の痕跡は理音にはわからなかった。
死体がないので気にもせず部屋に入られるのだから、自分の感覚も麻痺してきたものだと自分で感心する。普通なら気味が悪いはずなのに。
「何も出ないのならば、さっさと出て行ってもらおうか!」
ウルバスの父親が再び噛み付いてきた。死亡の現場を見て理音がわかるわけがないので、退散したいのは山々なのだが、レイシュンは理音が何か見つけるのをお待ちである。
何を一体自分に見出しているのか。
わかるわけがないと言いながらここに来てしまったので、それなりに成果を出したいのだが、いかんせんこちとらただの女子高生である。さっぱり何もわからない。
「この花瓶、何か飾ってありましたか?」
一応聞いてみるが、侍女は小さな声で答えてくれた。
「名前はわかりませんが、美しい花でした。いただいたものだと」
死因は不明。部屋で一人でいたところ、倒れてそのまま亡くなったらしい。
解剖など行うわけではないらしく、不幸だからとすぐに葬儀となった。病を持っていたわけではなく健康そのものの男だったのだが、心臓が突然止まったと診断された。
突然死。診断結果はそれだけだ。
「お食事は精進料理となりますので、肉魚類は入ってございません」
侍女が持ってきた食事は野菜だらけのもので、あとは穀類と果物だけだった。
ベッドにごろごろしているだけなので、食事はそんなに入らない。わかりましたと頷いて、ベッドの上でそれを食べ始めた。
病人でもないのにベッドの上で食事とか、どうかと思うが、実のところ背中が痛んであまり動きたくないのだ。
医者によると冷えてきているので、それで背中の傷が痛むとか。悪くなっているわけではないので問題はないようだが、動くと声を上げそうになる程痛むのだ。
背中の傷をしっかり見ることはなかった。鏡はあるはあるが、石を磨いて作られた鏡で、大きくても顔の一回り大きいくらい。姿見なんてものはない。後ろを向いて背を見ることはできるが、足元おぼつかない中身体をひねって見ればすっ転ぶ。だからちらりと見られたくらい。今現状どうなっているかは見ていない。
しかしそれにしても、皮膚が痛いという感覚ではなかった。背中の中が痛いというか、痛みは中に響いてじんじん痛む。剣で斬られたわけではないし、岩にでも当たってできた傷なのだろうけれど、骨や筋でも痛めたのか不安になる。冷えていることもあって、怪我に響いているのかもしれないが、痛みは強い。
横になると痛みは和らいだように思えた。だからベッドの上でごろごろしているわけだが。
傷が残っているかはあまり気にしていない。痛みはいつかとれるだろうと思うことにしている。だた何となく気鬱で、それがなぜなのか何となくわかっていた。
気にしたのは、災いのことだ。
自分がここに来た意味。一度自分の世界に戻れたのに、再びこちらに来てしまった、その理由。全て合点がいった気がする。
星見が理音が来る日を知っていたことも納得がいく。
この国にとっての災い。
フォーエンにとっても。
殺されても文句の言えない立場。それがフォーエンの側にいて我がままを言うのだから、コウユウどれだけ嫌悪するか、考えなくともわかる話である。
痛みは背中にあっても、胸も痛むような気がした。
「リオンちゃん、入っていいかな?」
ぼうっとしていると、言いながら顔を出したのはレイシュンだ。
「聞いたよ。背中が痛むんだって?」
耳が早い。葬式には出ないのか、レイシュンはいつも通りの格好でやってきた。
「冷えてきているからね。この間外にいたのがまずかったかな」
「いえ、息抜きになるので助かります」
ずっと部屋にいれば発狂しそうだ。何だかんだでレイシュンのお誘いはありがたいのである。
レイシュンは理音の表情を見ながら、いくらか憂いてみせる。その顔をしながら、珍しく遠慮げに話を始めた。
「実は君に聞きたいことがあって…。心の臓が突然止まる毒薬が何か、君は思い浮かぶ?」
遠慮げなくせに内容が濃い。誰のことを言っているのかわかるが、既に葬式を終えたのだろうに、なぜ今更聞くのか。
「おかしな点があると、今更気付いたんだよ」
問う前にレイシュンは告げた。そろそろ顔を隠して話そうかな。
「殺される理由があったんですか?」
レイシュンはベッドに腰を下ろすと、理音を見ながら曖昧な笑いを見せた。
何だその顔。
レイシュンには珍しい、困ったような濁った顔。ゆっくりと紡がれた話に耳を傾ければ、理音も何とも言えない顔をしてしまった。
ウルバスが何者かに頼まれて、噂を撒き散らしている。自分が行うのではなく、部下を使い、あらぬ噂を飲み屋で流したのだ。その噂は回り、レイシュンの部下の耳にも入った。
その話が、
「皇帝の妃がこの城にいる」
である。
前に聞いたフレーズだ。つい最近それで理音の部屋の場所が外に漏れ、暗殺者がこの城に入り込んだのは記憶に新しい。
「懲りない話なんだけれどね、その噂をばら撒いたウルバスが突然死したとなると、少し話が変わってくるんだ」
「そのウルバスさんが噂をばら撒いて、それを依頼した輩が、ウルバスさんを殺したってことですか」
「そうだねえ」
そうだとして、そんなことをする理由があるのか?
皇帝の妃を本当に探しているのならば、理音をフォーエンの妃と信じた者の仕業になる。それらが噂をばら撒いた方が安全だろう。なぜウルバスを使う必要があったのだろうか。そして、殺すとなればそれなりにリスクが伴う。前のようにごろつきを殺すのとは話が違うからだ。
「そんなんで殺されるなら、少し考えがちゃちと言うか」
「言いたいことはわかるよ。私は殺さなければならない理由ができたのかな、と思っている。正直、ウルバスを殺しても得することはないからね。あれでも一応貴族だ」
曲がりなりにも貴族。それを殺せば調べられはするだろう。外傷がなく突然死したため、深くは調べられなかったわけだが。
「それで毒ですか」
「毒を口にすれば、胃の腑のものを吐き出したりするだろう。それがなかったことと、死んだ部屋で争った跡がなかったことで、事件性はないと処理されたんだ。けれどその話が出て、本当に突然死なのか疑わしくなったんだよ」
そこで理音に話を聞こうと思うのもどうかと思うが、まあ言うまい。しかし突然死する毒などいくらでもあるだろうに。こちらではそれがあまり有名ではないと言うことか。
「ちなみに遺体って、こちら土葬ですか?」
「火葬だよ。不浄を包み浄化する力があるのは炎だけだ。まあ、地方では土葬が多いね。燃やす種がない場合がある。貧困な地は特に」
なる程。人を一人燃やすには燃料がいる。その燃料を捻出する力のない場所では土葬なのだ。市民によっては土葬もあるが、貴族は違うと言ったところだろう。
ウルバスは火葬されてしまったようだ。遺体が残っていても毒を調べられる程の医学は進んでいないのだろうが。
理音はうーんと唸ってみせる。心肺停止の毒など色々あるだろうが、この国の化学レベルであれば自然毒の可能性が高い。
「争った形跡がないってことは、部屋で倒れてたってことですよね。亡くなるところは誰も見てない?」
「見ていないね。食事の時間に侍女が呼びに行ったら、そこで死んでいたそうだ」
「その前はお出掛けしてたんですか?」
理音の質問にレイシュンはふと顔を緩めた。なぜそこで嬉しそうにするのか。
「毒を飲ませるなら外でってことなら、出掛けているよ。昼食に料理店、それから女性は行かない店」
それっていかがわしい店ってことだろうか。理音も売られたあの店である。
「昼間からあ」
「そうだねえ」
放蕩息子なのも頷ける。昼間から娼館にいるのなら。
しかしふと疑問に思う。ずいぶん健全な時間に帰ってくるものだ。まあ昼間でもやることやってるんだろうが、その後予定でもあったのだろうか。
「帰ってくるの早くありません?夕飯に間に合うように帰ってくるって」
「それは確かにね。誰かが訪れるわけではなかったけれど」
「毒盛られる時に早く帰れって言われたのかな」
「まさか」
レイシュンは一度吹き出してみせた。理音もそう思うが、ずいぶん健全な女遊びである。ああ言うものは時間制なのだから、そんなものと納得したいところだが。
「毒盛るなら時間がですね。家に戻って死ぬ時間を合わせたいなら、まあ、必要かと。でもそんな毒って即効性だろうから、家で盛られないと難しいと思うんですよね」
カプセルでもあるなら話は別だが。時間をかけて回る毒とは何があるだろうか。
「ウルバスを嫌っている者は多そうだから、それはあり得えるねえ。一度、行ってみないと駄目そうかな」
ちらりと横目で見るレイシュンに、拒否の言葉は届かないだろう。
背中の痛みを気にしたのはそこなのか。と思わずにはいられない。レイシュンは理音の体を労りながらも、ウルバスの屋敷へ理音を連れた。
城からそう離れていない、静かな通りに白壁が続く。そう言う場所は大抵お屋敷である。さすが武官の息子か、家は思った以上に立派だった。
門構えもさるもの、門番の許可を得て進めば庭から屋敷までの道が長い。その道の間に門を二度通る謎さである。レイシュンによるとこの数度の門は普通だとか。隣国が近いため、防衛に門が数度あるのは当然なのだ。門から屋敷までは馬車に乗ったまま進むのだから、門から屋敷の前までの道のりの遠さがわかると言うものだ。
やっと着いた屋敷から部屋に案内され、そこで出迎えたのは短い口髭を生やした、いかにも筋肉質ないかついおじさんだった。
「息子の死に疑わしきあると、侍女を連れながらお出ましとは思いませんでしたが」
耳に響く重低音。白髪混じりの髪は前髪は短く、後ろで三つ編みにして束ねられている。武官と言うのでそこそこいかついのを想像していたが、予想以上にいかついおじさんだった。
ウルバスの父親は戦国時代の武将みたいな感じを想定していたのだが、どちらかと言うとアメフトとかラグビーとかプレイしていそうな筋肉マンで、首がやけに太い。身長もあって目の前にいられると迫力がある。首でも持たれたらぼっきり折られそうだ。
理音を侮蔑の目で見やってそれから見ようとしない。レイシュンを冷ややかに見たきり、こちらへ視線をうつしもしなかった。見る価値もないと言われているみたいだ。
このお父さんにしてあの金髪のなよっとしたウルバスが生まれるとは、きっとお母さんが繊細な方に違いないと失礼なことを思う。
しかし、ウルバスの父親の言い分はもっともなので、黙っていた。息子が亡くなりその死亡理由を調べるために州侯が来たら、何と女連れである。文句も言うわ。
レイシュンは静かに会釈して理音を後ろに歩かせた。ウルバスの父親は眼光をレイシュンに送りながら、ウルバスの死んでいた部屋に二人を連れた。
「ここが愚息の部屋だ。長椅子の前で倒れたまま、息絶えた」
言葉の最後は噛み締めて言う。愚息だと言いながらも、その息子の死を悼んでいるのに気付かされる。父親はそれを悟られまいとレイシュンを睨みつけた。
「ここで何かわかると言うのか」
わかるかどうか。理音は部屋を見回す。高価な調度品、椅子や机の細かな装飾。派手な灯り入れ、天蓋からぶら下がる布が錦糸で織られている。艶やかな布地は外からの光でキラキラ反射していた。
ナイトテーブルには水差し。当時のままか、理音はそれに近寄った。近寄ろうと思った。ウルバスの父親の言葉に遮られなければ。
「殺されたなどと言うのならば、証拠を出すがいい。そうでなければ、この部屋から出られぬと思え」
息子が死んだその哀しみを理音にぶつけるかのような迫力だ。その迫力に押されそうにならなかったのは、レイシュンが前に立ちはだかったからだ。
「ウルバス殿が何者かに殺されたのならば、由々しき問題ですよ。あなたの息子がこの部屋で殺されたとあらば」
「だからその証拠を見せろと言っている!」
殺されたかもしれないのに、なぜ調べられるのを嫌がるのか。理音は怒りを向けられたながらも首を傾げた。むしろなぜ怒るのか理解できない。
それを思うと、怒りを向けられても気にならなかった。きょろりともう一度部屋を見回す。
窓は出窓で、そこに花瓶が置いてある。青磁のようにひびのような模様と薄く湖のような青が美しい。その花瓶には何も生けていない。亡くなった人に花を手向けたりしないのだろうか。それともまだ息子の死に向き合えないのだろうか。そう言った習慣がないのかもしれないが、理音はその花瓶が何となく気になった。
この部屋は一階だが、城と同じように基礎が高いわけではないので、普通の一階と変わりない。若干高めかもしれないが、王宮と比べればただの一階だ。窓の外は庭で、背丈の低い植物や大きな岩で造られている。よく日差しも入るし、眺めもいい。
その窓からいつも光が届くのだろう。壁際のチェストは少しだけ日に焼けて、日の当たらない側面の色に比べて日の当たる側面と上面は若干薄くなっている。しかし、一角だけ色が濃い場所があった。
「いつも、この窓際に花瓶て置いてます?」
「は?何を言っている?」
父親に聞いたつもりはないが、がなるように反応したのはそちらだった。理音は側に控えていた侍女に聞いたのだが。
「何か気になるの?」
「いえ、ここだけ色が濃いなって。花瓶はいつもここには置いてなかったんじゃないかなって」
「一体何のつもりだ。ソウの方の侍女は躾がなっていないようだな」
そんな噛みつくように言わなくてもいいのに。高校でいつも怒っている先生を思い出す。なぜそんなにいつもピリピリしているのだろう。その姿を見ていると逆に冷静になるのだ。一人空気の違う者がいると、その様子がわかりやすく浮きぼりになる。
暴かれるのが嫌なのだろうか。それを疑いたくなる。
「すみません、そこの方、ここにいつも何か置いてませんでした?サイズ、形から言うと、コースター、えっと、湯呑みを置く下敷みたいな」
扉の前で控えていた女性は体を硬らせた。父親がまた睨みつけたからだ。
恐怖政治かよ。パラハラにも程がある。これでは父親が息子殺しを黙認しているようではないか。先ほどの哀しみは偽物だったのだろうか。
「気になることなの?」
答えが返ってこないことを見越して、レイシュンは問うた。確かに色が違うと言って。
理音は花瓶をずらすが、その下は他と同じ薄い茶色。普段はここに花瓶を置いていない証拠だ。
花を飾っていないのに、なぜここに花瓶を置いたのだろう。窓の前にわざわざ花瓶を置いたのならば、花を飾るためだろうに。窓からの花瓶と花は絵的に見栄えがいい。
別のチェストを見やると、不自然に物の置いていないところがある。理音はその青の花瓶を花柄に編まれたドイリーごと持ってそのチェストに移動させた。
おそらく、この花瓶はここにあったはずだ。花瓶からの水分が時折落ちていたのか、少しだけ色黒い。
花瓶には何かの植物が飾られていたのだろうか。その植物は一体何だったのだろうか。
「息子さんって、どうやって亡くなってたんですか?胸を押さえて倒れていた?」
「それを聞いてどうする!」
ウルバスの父親は我慢がならないと、とうとう怒鳴りつけた。怒鳴られても理音は特に動じない。怪しいなと思うだけである。
怒鳴られても理音は冷静だった。武器を持っていないのならば気にすることではないからだ。レイシュンもいるし、怒鳴られても動じない図太さを持ち合わせている。
「聞いた話では、胸と喉を押さえていたと。だから心の臓が悪くなったと聞いたね」
「喉と胸ですか」
思いつく植物はある。だが、季節が違いすぎた。秋に咲く植物で嘔吐もなく死に至る植物が思いつかない。
知らないだけであるのかもしれないが、理音には思い出せなかった。
「泡を吹いて倒れてたわけじゃないんですもんね」
「それは、聞いていないね」
レイシュンはそう言いながら横目で侍女を見やった。やはり彼女が発見者なのだろう。レイシュンの言葉に身体をびくつかせたが、小さく左右に首を振った。ウルバスの父親に睨まれてすぐに下を向いてしまったが。
泡でも吹いていたら思いつく植物があったのだが、それは違うらしい。理音は再び部屋を見回す。
心臓が止まる殺し方なんて、知るわけがない。よくある感電死とかはこのアナログ社会には雷以外思いつかないし、他に化学薬品くらいしかわからない。
ヒ素とかどうなのだろうと考えてみるが、死に方など知らない。古来暗殺に使われるものだから、このアナログ国ならありそうであるが。
皮下注射で殺すとかなら思いつくものはある。そうすると誰かに会わなければ死ぬことはなかった。
誰か訪ねて来た者もいないとなると、袋小路にはまった。
雀蜂とか偶然飛んでこないものだろうか。サソリとか、毒蜘蛛とか。
それにしてもこの地面に人が死んでいたとは思えない。絨毯の色は濃い赤で血を吐いてもわかりにくいだろうが、その痕跡はない。鳳凰のような鳥が描かれており、それを汚す色は見当たらない。心臓が止まって死んだとして、出してもよだれくらいだろうか。遺体の痕跡は理音にはわからなかった。
死体がないので気にもせず部屋に入られるのだから、自分の感覚も麻痺してきたものだと自分で感心する。普通なら気味が悪いはずなのに。
「何も出ないのならば、さっさと出て行ってもらおうか!」
ウルバスの父親が再び噛み付いてきた。死亡の現場を見て理音がわかるわけがないので、退散したいのは山々なのだが、レイシュンは理音が何か見つけるのをお待ちである。
何を一体自分に見出しているのか。
わかるわけがないと言いながらここに来てしまったので、それなりに成果を出したいのだが、いかんせんこちとらただの女子高生である。さっぱり何もわからない。
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一応聞いてみるが、侍女は小さな声で答えてくれた。
「名前はわかりませんが、美しい花でした。いただいたものだと」
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