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238 ー流れー
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『必ず帰れるから。空を見上げて』
そう言うつもりだったのに、そう言えなかった。
「リオン殿、手綱を握って、このまま走ってください!」
「ギョウエンさん!?」
森を出れば隠れられる場所はない。雨がやみ明るくなりはじめていた空の下で、ギョウエンは馬から後方に飛び降りた。
追ってくる者たちは馬に乗っているのに、ギョウエンは草むらを走り抜けると、流れるように馬の足を切り追手を倒していく。
それを避けた追手にはナイフを飛ばし、あっという間に追手の馬を奪い、逆に追手を追った。
ギョウエンが超人のように強い。普段見せない素早さと鋭敏さで後ろから追手の首を刎ねた。
だがそれでも追手は残っている。理音を逃すまいと馬が追ってくる。
馬のスピードを上げる方法なんて知らない。馬の腹を蹴れば前みたいに後ろにのけぞって転げてしまうかもしれない。
とにかくしがみついて馬の背に乗っているしかなかった。馬は何かに急き立てられるように走り続ける。
「あっ!」
馬ががくりとバランスを崩した。
しがみついていた背から手が離れる。馬は重い荷物を振り切るように背中を揺らし、暴れるように飛び跳ねた。
「きゃあっ!」
身体が宙に浮いたと思った瞬間、背中にひどい衝撃が響いた。息もできないほどの激しい痛みが身体中に走り、吐き出す息の代わりに大きく咳き込んだ。
仰向けに地面に転げたのか、冷たさが背中から伝わってくる。
「げほっ。ぐほっ」
痛みに咳き込めば、逆に息苦しさに悶えそうになる。
それでも、視界に入った景色に、息が止まりそうになった。
流星。
いつもと同じ、いくつもの光の粒が同じ方向へ流れていく。
必ず帰れるから。空を見上げて。
今小河原に言っても、小河原はきっと帰ろうとはしない。
いつもの流星なのに、いつか見に行ったプラネタリウムを思い出した。
プラネタリウム、楽しかったね。もっと一緒にいられたら、何かが変わったのかもしれない。
でも、
「…オン、リオン!!」
聞きなれた声。息せって走り寄ってくる、普段なら典麗な姿の青年。けれど今は髪を乱し、仰ぎ見る自分に覆い被さるように、その美麗な顔を歪め瞳を潤わした。
「フォーエン…」
名を呼べば安堵の表情を見せつつも、眉を寄せ、何かを我慢するように口を閉じる。
その顔の後ろの空は、眩くほどの星が線を描くように流れていく。
「ごめん…、要くん」
「リオン!?」
私は、フォーエンが好き。
だから、一緒には行けない。
「要くんを、逃がしてあげて…。奥さんと子供と一緒で、要くんは、二人を、守っているから」
小河原は一人で逃げたりしない。二人を守るだろう。自分は一緒に行けない。小河原とは一緒に行けないのだ。
シヴァ少将として捕らえられれば、免責は逃れられない。このままどこかへ逃げられるのならば、王都ではない場所へ逃げた方がいい。
「お願い。フォーエン」
「———わかった。あの男は追わない。いいから、もう話すな」
フォーエンは口元を拭った。何がついているのか、理音の口元を拭いてゆっくりと抱き上げようとする。
「———っ」
「リオン!?」
ひどい痛みが背中を走った。しかしそれを感じるよりも、空の星の流れが続いているのが目に入った。
「フォーエン、わたしは、こっちに、いたい」
星が流れている。あれに乗れば帰られるだろう。
けれど、そうしたくない。ここから離れたくない。
フォーエンと、離れ離れになりたくない。
もう二度と、会えなくなるなんて考えたくもない。
「リオン?」
「フォーエン、来てくれて、ありがと。だから、ずっと…、」
「リオン!!」
だから、ずっと、側にいて欲しい。
その声が、出ていたのかわからない。
けれどフォーエンは、一度理音をゆっくり抱きしめると、静かに微笑んだ。
鳥のさえずりが聞こえて、耳をそばだてた。季節の移りが進んだのか、春の訪れに喜んでいるようだ。
冬は星を見るのに最適だが、こちらではいつも曇り空ばかりで、ほとんど星を見ることができない。雪も多く湿っていて、乾燥してばかりの冬とは違った。
だからか、鳥の声などほとんど聞こえなかったのに、今日は天気がいいのかよく鳴き声が通っている。
その鳴き声とは別の音が掠れて聞こえる。自分の近くで何かの気配とそっと動く音が耳に入った。
「…リオン?」
「…フォー…」
フォーエンと言いたかったのに、声が喉から出てこない。掠れたざらざらした音が喉を通り、大さくむせた。
「リオン!?大丈夫か!?私がわかるか!?」
部屋の中は昼間なのか随分明るいのに、フォーエンの顔色はひどく青白く、血の気の引いた顔をしている。
それだけでなく、目元が赤く膨れ、擦り付けたような跡がついていた。
「長く、目が覚めなかった。もう、目が覚めないかと…っ」
嗚咽を漏らすような声に、こちらが驚いた。眠っていなかったのだろうか、フォーエンは理音の手をぎゅっと握りそこに頭を寄せる。
心配させたのだろうか。身体を小さくするように丸くして、少し震えているようだった。
「フォーエン、大丈夫だよ」
そっと頭を撫でてやると、フォーエンは紺色の瞳を潤わせ、絵画のように緩やかな美しい笑みを見せる。
目覚めに女神の微笑みは眩しすぎる。瞳を瞬かせると、フォーエンはそろりと頬を撫でてきた。
「お前は、いつも、怪我ばかり…」
「あたま、馬鹿になる気がする」
殴られ続けて脳細胞死滅している気がする。頭を殴られる確率は高いので、フォーエンは苦味を見せつつも小さく笑う。
「ただでさえ、何を言うかわからないのに」
「おかしなこと、ばかり言う?」
「わたしにとって、有益なことばかりだ」
静かな声音。けれどそれはとても優しくて、フォーエンは穏やかな笑みを見せる。
「ウーゴの葉がまた増えた。このまま成長していくはずだ。いつか実も成る。その時には、この国は大きく変化しているだろう」
「それでも、いいの…?」
「それが良い変化ならば受け入れるべきだ」
自分は災いを運ぶ。それがこの国を滅ぼすかもしれない。
影響は軽いものではないだろう。大きな犠牲を払うかもしれない。それが良い変化であったとしても。
けれどフォーエンは恐れることなく受け入れるつもりだ。
自分がこの世界に来た意味。
そんなものはないと思っていたけれど、関わることで少しずつ影響を与え変化を促している。
それでもいいのだと、フォーエンは頷いた。
「ごほっ」
何か言おうとして、理音は小さくむせた。喉が渇いているか、掠れて声が出にくい。
「喉、かさかさする…」
「動くな。今、水を…」
フォーエンは水差しを取ると口に含んだ。近付きすぎてどこを見ていいか迷う前に、唇に温もりを感じた。
突然に潤う喉が、逆にむせそうになる。
「そんな、飲ませ方、ある…?」
「気にするな」
フォーエンはいたずらっ子のようににやりと笑うと、もう一度濡れた唇を静かに重ねた。
そう言うつもりだったのに、そう言えなかった。
「リオン殿、手綱を握って、このまま走ってください!」
「ギョウエンさん!?」
森を出れば隠れられる場所はない。雨がやみ明るくなりはじめていた空の下で、ギョウエンは馬から後方に飛び降りた。
追ってくる者たちは馬に乗っているのに、ギョウエンは草むらを走り抜けると、流れるように馬の足を切り追手を倒していく。
それを避けた追手にはナイフを飛ばし、あっという間に追手の馬を奪い、逆に追手を追った。
ギョウエンが超人のように強い。普段見せない素早さと鋭敏さで後ろから追手の首を刎ねた。
だがそれでも追手は残っている。理音を逃すまいと馬が追ってくる。
馬のスピードを上げる方法なんて知らない。馬の腹を蹴れば前みたいに後ろにのけぞって転げてしまうかもしれない。
とにかくしがみついて馬の背に乗っているしかなかった。馬は何かに急き立てられるように走り続ける。
「あっ!」
馬ががくりとバランスを崩した。
しがみついていた背から手が離れる。馬は重い荷物を振り切るように背中を揺らし、暴れるように飛び跳ねた。
「きゃあっ!」
身体が宙に浮いたと思った瞬間、背中にひどい衝撃が響いた。息もできないほどの激しい痛みが身体中に走り、吐き出す息の代わりに大きく咳き込んだ。
仰向けに地面に転げたのか、冷たさが背中から伝わってくる。
「げほっ。ぐほっ」
痛みに咳き込めば、逆に息苦しさに悶えそうになる。
それでも、視界に入った景色に、息が止まりそうになった。
流星。
いつもと同じ、いくつもの光の粒が同じ方向へ流れていく。
必ず帰れるから。空を見上げて。
今小河原に言っても、小河原はきっと帰ろうとはしない。
いつもの流星なのに、いつか見に行ったプラネタリウムを思い出した。
プラネタリウム、楽しかったね。もっと一緒にいられたら、何かが変わったのかもしれない。
でも、
「…オン、リオン!!」
聞きなれた声。息せって走り寄ってくる、普段なら典麗な姿の青年。けれど今は髪を乱し、仰ぎ見る自分に覆い被さるように、その美麗な顔を歪め瞳を潤わした。
「フォーエン…」
名を呼べば安堵の表情を見せつつも、眉を寄せ、何かを我慢するように口を閉じる。
その顔の後ろの空は、眩くほどの星が線を描くように流れていく。
「ごめん…、要くん」
「リオン!?」
私は、フォーエンが好き。
だから、一緒には行けない。
「要くんを、逃がしてあげて…。奥さんと子供と一緒で、要くんは、二人を、守っているから」
小河原は一人で逃げたりしない。二人を守るだろう。自分は一緒に行けない。小河原とは一緒に行けないのだ。
シヴァ少将として捕らえられれば、免責は逃れられない。このままどこかへ逃げられるのならば、王都ではない場所へ逃げた方がいい。
「お願い。フォーエン」
「———わかった。あの男は追わない。いいから、もう話すな」
フォーエンは口元を拭った。何がついているのか、理音の口元を拭いてゆっくりと抱き上げようとする。
「———っ」
「リオン!?」
ひどい痛みが背中を走った。しかしそれを感じるよりも、空の星の流れが続いているのが目に入った。
「フォーエン、わたしは、こっちに、いたい」
星が流れている。あれに乗れば帰られるだろう。
けれど、そうしたくない。ここから離れたくない。
フォーエンと、離れ離れになりたくない。
もう二度と、会えなくなるなんて考えたくもない。
「リオン?」
「フォーエン、来てくれて、ありがと。だから、ずっと…、」
「リオン!!」
だから、ずっと、側にいて欲しい。
その声が、出ていたのかわからない。
けれどフォーエンは、一度理音をゆっくり抱きしめると、静かに微笑んだ。
鳥のさえずりが聞こえて、耳をそばだてた。季節の移りが進んだのか、春の訪れに喜んでいるようだ。
冬は星を見るのに最適だが、こちらではいつも曇り空ばかりで、ほとんど星を見ることができない。雪も多く湿っていて、乾燥してばかりの冬とは違った。
だからか、鳥の声などほとんど聞こえなかったのに、今日は天気がいいのかよく鳴き声が通っている。
その鳴き声とは別の音が掠れて聞こえる。自分の近くで何かの気配とそっと動く音が耳に入った。
「…リオン?」
「…フォー…」
フォーエンと言いたかったのに、声が喉から出てこない。掠れたざらざらした音が喉を通り、大さくむせた。
「リオン!?大丈夫か!?私がわかるか!?」
部屋の中は昼間なのか随分明るいのに、フォーエンの顔色はひどく青白く、血の気の引いた顔をしている。
それだけでなく、目元が赤く膨れ、擦り付けたような跡がついていた。
「長く、目が覚めなかった。もう、目が覚めないかと…っ」
嗚咽を漏らすような声に、こちらが驚いた。眠っていなかったのだろうか、フォーエンは理音の手をぎゅっと握りそこに頭を寄せる。
心配させたのだろうか。身体を小さくするように丸くして、少し震えているようだった。
「フォーエン、大丈夫だよ」
そっと頭を撫でてやると、フォーエンは紺色の瞳を潤わせ、絵画のように緩やかな美しい笑みを見せる。
目覚めに女神の微笑みは眩しすぎる。瞳を瞬かせると、フォーエンはそろりと頬を撫でてきた。
「お前は、いつも、怪我ばかり…」
「あたま、馬鹿になる気がする」
殴られ続けて脳細胞死滅している気がする。頭を殴られる確率は高いので、フォーエンは苦味を見せつつも小さく笑う。
「ただでさえ、何を言うかわからないのに」
「おかしなこと、ばかり言う?」
「わたしにとって、有益なことばかりだ」
静かな声音。けれどそれはとても優しくて、フォーエンは穏やかな笑みを見せる。
「ウーゴの葉がまた増えた。このまま成長していくはずだ。いつか実も成る。その時には、この国は大きく変化しているだろう」
「それでも、いいの…?」
「それが良い変化ならば受け入れるべきだ」
自分は災いを運ぶ。それがこの国を滅ぼすかもしれない。
影響は軽いものではないだろう。大きな犠牲を払うかもしれない。それが良い変化であったとしても。
けれどフォーエンは恐れることなく受け入れるつもりだ。
自分がこの世界に来た意味。
そんなものはないと思っていたけれど、関わることで少しずつ影響を与え変化を促している。
それでもいいのだと、フォーエンは頷いた。
「ごほっ」
何か言おうとして、理音は小さくむせた。喉が渇いているか、掠れて声が出にくい。
「喉、かさかさする…」
「動くな。今、水を…」
フォーエンは水差しを取ると口に含んだ。近付きすぎてどこを見ていいか迷う前に、唇に温もりを感じた。
突然に潤う喉が、逆にむせそうになる。
「そんな、飲ませ方、ある…?」
「気にするな」
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