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11 子爵令嬢
「画家に描かせたんだ」
ヴァレリアンに呼ばれて手渡された絵に、ラシェルは気を失いたくなった。
描かれていた絵は、肖像画だ。着飾った青紫の瞳を持った女性が、微笑んでいる。
「君の似顔絵だ。よく描けているだろう?」
これは罠だ。ヴァレリアンはいつも以上にいやらしい微笑みをしてくる。悪巧みを考えている、感じの悪い笑みだ。
肖像画は確かにラシェルだが、ラシェルは今、ミシェル・ドヴォス男爵令嬢である。渡された肖像画が、誰を描いているのか。ヴァレリアンは口端に笑みを湛えているだけで、誰かは口にしない。
「そのようですが、微妙に違います」
「どこが違う?」
「メガネをかけていないので」
「そうだな。かけていないな。では、別人だろうか?」
「そうだと思います」
ヴァレリアンの言葉にラシェルは真顔で頷いた。私ではありません。と口にして。
「王太子殿下の婚約者の似顔絵だ」
「そうでしたか。私にそっくりですね」
「ぷはっ。この後に及んで、無理があるだろう。はは」
ヴァレリアンは吹き出した。やはり確信してこの絵を出してきたようだ。
しかし、ここで頷くわけにはいかない。事実だと知って、どう出てくるかがわからなかった。なんのために、事実を突き止めたのか。
最悪、この男を封じて逃げる必要がある。ヴァレリアンの隣にいるのは側近の男、コンラードだけ。警備の騎士は、部屋の外だ。
「短気は起こすなよ。王妃の陰謀だろう。クリストフには伝えていない。何も知らないようだからな。想像はできる。はめられたのだろう?」
攻撃する気配でも察したか、コンラードが警戒しているのがわかった。剣を手に持っていないところから、魔法が使えるのだろう。精霊の気配はない。いればトビアが気付いている。
「どうしたい?」
ヴァレリアンは薄笑いを浮かべた。その笑い方は挑戦的だ。なんのつもりで事実を突き止めたのか、ラシェルには思い当たることがあった。
「なにがでしょうか」
「復讐がしたいか?」
「なにを勘違いされているのか存じませんが、私はただのメイドで、働いて穏やかに過ごすことが望みです」
「なるほど。確かに、あの城で穏やかに住むのは難しいな。では、王妃がいなかったらどうだ」
やはり、言いたいことはそこか。王妃に復讐する駒が見つかったと思っているのだろう。
「クリストフと恋仲だったのだろう。離れ離れにされて、王妃には恨みはないのだろうか?」
「なんの話をされているのか存じませんが、王子と恋仲の子爵令嬢は、王子によって離宮へ移動することになりました。王妃を恨む必要がありますか?」
「ふむ。原因となった王妃を恨む必要はないと?」
「子爵令嬢が恨むならば、何もしなかった王子でしょう。母親によちよちされている子供ではないのに、歯向かう気概もない。ならば、反対されるような相手を選ぶなと言うことです」
ラシェルの言葉に、ヴァレリアンは一瞬目を見開いた。そうしてすぐに納得したかのように頷く。
「信じるべき相手を間違えて、離宮へ移動させることに賛成した。子爵令嬢はさぞかしがっかりしただろうな。その結果が、馬車ごと川に転落だ。恨むべきは王子であるか」
「子爵令嬢の心は、私にはわかりません」
「はは。そうだな。君は男爵令嬢だった。子爵令嬢の男の趣味が悪いことを、君に聞いても仕方がなかったな」
(余計なお世話よ!!)
それが口からポロリと出ないように、しっかり口をつぐんでおく。
「子爵令嬢には、良い勉強になっただろう」
もう行って良いと促されて、頬をひきつらせないように我慢して部屋から出れば、閉めた扉の向こうで、大きな笑い声が聞こえた。
『ちょっと、あいつ、しめようか?』
トビアの声に、頷きそうになる。
ヴァレリアンからすれば、王妃への復讐を考えているならば、手を貸してもいいとでも言うつもりだったのだろう。
ラシェルを王宮に引き渡すというわけではなさそうだ。それは安心すべきか。
けれど、今後なにかに使われる可能性は高い。
「面倒なことになっちゃったわね」
王妃に関わったからといって、攻撃的な人間だと思わないでほしい。復讐などとんでもない。今後これ以上関わりたくないだけだ。人を使って何かと企まないでほしい。
王妃に恨みなどない。そうであれば、クリストフを先に恨むだろう。彼は助けると言って、甘い言葉を囁きながら、なにもしようとしなかった。ただ我慢して、待ってほしいと言っていただけ。なにをすることもなく、王妃の言うことを聞いていただけなのだ。
信じて待っていても、なにもしていないと気付いた時、打ちのめされることもわかっていない。
王妃に打ち勝てと言っているのではない。抵抗する姿を見せてほしかった。ちんけな嫌がらせや攻撃は、ラシェルにとってそこまで驚異ではない。精霊使いが攻撃してくるならばともかく、令嬢たちやメイドたちの嫌がらせ程度で、ラシェルは動じない。騎士たちの攻撃にも、それなりに対処できる。
そうではないのだ。
クリストフが、王妃に少しでも立ち向かい、ラシェルを信じて言い返すだけでも良かった。王妃に勝利しろとは言わない。抵抗する姿を見せてほしかっただけだ。
だが、クリストフは、それすらも見せなかった。ラシェルに我慢してほしいとの一点張りで、いつか王妃に納得してもらって、そのうち理解してもらえると信じて疑わなかった。その間に、ラシェルは何度も攻撃を受けていたのに。
耐えても意味はない。いつかそのうちが、永遠にあると思わないでほしい。
少しでも立ち向かう気概を見せてくれれば、ラシェルも動いただろう。協力して王妃より、クリストフの立場を上にすることも、互いに手を取り合えば、好転できたかもしれない。
しかし、クリストフはなにもしない。そして、ラシェルのことを信じもしなかった。
「私はただ、信じてくれるだけで良かったのに」
声に出ていたかもわからない小さな囁きを口にして、ラシェルは首を振ると、前を見据えて、ゆっくりと歩き出した。
公爵家から出ていかなければならないかもしれない。
サイラスに連絡して、別の場所ですぐに働けるか、確認しておいた方が良いだろうか。
(お金もまだ集まっていないのに)
さすがにメガネだけで変装は無理があった。公爵家と王宮は縁が薄くなっているからと、安易に考えすぎていたようだ。
ラシェルはヴァレリアンの部屋にカートでお茶を運ぶ。ノックをすれば、なにを言われることなく部屋に入る許可を得る。
ヴァレリアンの本棟での仕事部屋は、本棚に囲まれており、とても重厚な部屋だ。歴史を感じる深い色合い。趣味の良い調度品。おそらく前公爵が使っていたのだろう。渋い焦茶色に染まった部屋だが、趣味がいい。
そこで、ヴァレリアンは書類を広げていた。
お茶は濃いめで、砂糖もミルクもいらない。ポットからカップへ注いで、机に置いて、声をかけられなければ、そのまま部屋を出る。
「出ていかなかったか」
「お給料をいただいておりません」
「ぷはっ、そうだな。ならば、給料日まで十分に働いてくれ」
ヴァレリアンは吹き出しつつ、カップに手を伸ばす。
この雰囲気ならば、なにもないまま働けるか、どうか。ラシェルも別の場所で働くことは考えたくない。なんといっても、公爵家の給料は他に比べればかなり良いのだから。しかも、本棟に入ることによって、その給料も上がった。上がったからには、ありがたくいただきたい。
「この茶は、君が全て用意したのか?」
「そうですが?」
それがどうかしたのか。いつも通り、指定されている茶葉を入れてきた。量が間違っていただろうか。
ヴァレリアンは、それならば良い、と口を付ける。
茶葉を間違えた覚えはない。だから問題ないはずだが。そう思って踵を返した時、後ろで、ゴホ。と咳き込む音が聞こえた。
「ヴァレリアン様!」
コンラードが大声を上げた。ヴァレリアンがむせたように口元を押さえ、咳き込んだ。
その指の隙間から、紅茶の色とは思えない、真っ赤な液体が流れていた。
「衛兵! その女を捕えろ!!」
「ちょ、ちょっと!?」
扉の前で警備をしていた衛兵たちが部屋に入ってくる。その間にもヴァレリアンは咳をして、口から血を吐き出した。
「毒だ! ヴァレリアン様!」
コンラードの叫び声に、部屋は混乱に陥った。
ヴァレリアンに呼ばれて手渡された絵に、ラシェルは気を失いたくなった。
描かれていた絵は、肖像画だ。着飾った青紫の瞳を持った女性が、微笑んでいる。
「君の似顔絵だ。よく描けているだろう?」
これは罠だ。ヴァレリアンはいつも以上にいやらしい微笑みをしてくる。悪巧みを考えている、感じの悪い笑みだ。
肖像画は確かにラシェルだが、ラシェルは今、ミシェル・ドヴォス男爵令嬢である。渡された肖像画が、誰を描いているのか。ヴァレリアンは口端に笑みを湛えているだけで、誰かは口にしない。
「そのようですが、微妙に違います」
「どこが違う?」
「メガネをかけていないので」
「そうだな。かけていないな。では、別人だろうか?」
「そうだと思います」
ヴァレリアンの言葉にラシェルは真顔で頷いた。私ではありません。と口にして。
「王太子殿下の婚約者の似顔絵だ」
「そうでしたか。私にそっくりですね」
「ぷはっ。この後に及んで、無理があるだろう。はは」
ヴァレリアンは吹き出した。やはり確信してこの絵を出してきたようだ。
しかし、ここで頷くわけにはいかない。事実だと知って、どう出てくるかがわからなかった。なんのために、事実を突き止めたのか。
最悪、この男を封じて逃げる必要がある。ヴァレリアンの隣にいるのは側近の男、コンラードだけ。警備の騎士は、部屋の外だ。
「短気は起こすなよ。王妃の陰謀だろう。クリストフには伝えていない。何も知らないようだからな。想像はできる。はめられたのだろう?」
攻撃する気配でも察したか、コンラードが警戒しているのがわかった。剣を手に持っていないところから、魔法が使えるのだろう。精霊の気配はない。いればトビアが気付いている。
「どうしたい?」
ヴァレリアンは薄笑いを浮かべた。その笑い方は挑戦的だ。なんのつもりで事実を突き止めたのか、ラシェルには思い当たることがあった。
「なにがでしょうか」
「復讐がしたいか?」
「なにを勘違いされているのか存じませんが、私はただのメイドで、働いて穏やかに過ごすことが望みです」
「なるほど。確かに、あの城で穏やかに住むのは難しいな。では、王妃がいなかったらどうだ」
やはり、言いたいことはそこか。王妃に復讐する駒が見つかったと思っているのだろう。
「クリストフと恋仲だったのだろう。離れ離れにされて、王妃には恨みはないのだろうか?」
「なんの話をされているのか存じませんが、王子と恋仲の子爵令嬢は、王子によって離宮へ移動することになりました。王妃を恨む必要がありますか?」
「ふむ。原因となった王妃を恨む必要はないと?」
「子爵令嬢が恨むならば、何もしなかった王子でしょう。母親によちよちされている子供ではないのに、歯向かう気概もない。ならば、反対されるような相手を選ぶなと言うことです」
ラシェルの言葉に、ヴァレリアンは一瞬目を見開いた。そうしてすぐに納得したかのように頷く。
「信じるべき相手を間違えて、離宮へ移動させることに賛成した。子爵令嬢はさぞかしがっかりしただろうな。その結果が、馬車ごと川に転落だ。恨むべきは王子であるか」
「子爵令嬢の心は、私にはわかりません」
「はは。そうだな。君は男爵令嬢だった。子爵令嬢の男の趣味が悪いことを、君に聞いても仕方がなかったな」
(余計なお世話よ!!)
それが口からポロリと出ないように、しっかり口をつぐんでおく。
「子爵令嬢には、良い勉強になっただろう」
もう行って良いと促されて、頬をひきつらせないように我慢して部屋から出れば、閉めた扉の向こうで、大きな笑い声が聞こえた。
『ちょっと、あいつ、しめようか?』
トビアの声に、頷きそうになる。
ヴァレリアンからすれば、王妃への復讐を考えているならば、手を貸してもいいとでも言うつもりだったのだろう。
ラシェルを王宮に引き渡すというわけではなさそうだ。それは安心すべきか。
けれど、今後なにかに使われる可能性は高い。
「面倒なことになっちゃったわね」
王妃に関わったからといって、攻撃的な人間だと思わないでほしい。復讐などとんでもない。今後これ以上関わりたくないだけだ。人を使って何かと企まないでほしい。
王妃に恨みなどない。そうであれば、クリストフを先に恨むだろう。彼は助けると言って、甘い言葉を囁きながら、なにもしようとしなかった。ただ我慢して、待ってほしいと言っていただけ。なにをすることもなく、王妃の言うことを聞いていただけなのだ。
信じて待っていても、なにもしていないと気付いた時、打ちのめされることもわかっていない。
王妃に打ち勝てと言っているのではない。抵抗する姿を見せてほしかった。ちんけな嫌がらせや攻撃は、ラシェルにとってそこまで驚異ではない。精霊使いが攻撃してくるならばともかく、令嬢たちやメイドたちの嫌がらせ程度で、ラシェルは動じない。騎士たちの攻撃にも、それなりに対処できる。
そうではないのだ。
クリストフが、王妃に少しでも立ち向かい、ラシェルを信じて言い返すだけでも良かった。王妃に勝利しろとは言わない。抵抗する姿を見せてほしかっただけだ。
だが、クリストフは、それすらも見せなかった。ラシェルに我慢してほしいとの一点張りで、いつか王妃に納得してもらって、そのうち理解してもらえると信じて疑わなかった。その間に、ラシェルは何度も攻撃を受けていたのに。
耐えても意味はない。いつかそのうちが、永遠にあると思わないでほしい。
少しでも立ち向かう気概を見せてくれれば、ラシェルも動いただろう。協力して王妃より、クリストフの立場を上にすることも、互いに手を取り合えば、好転できたかもしれない。
しかし、クリストフはなにもしない。そして、ラシェルのことを信じもしなかった。
「私はただ、信じてくれるだけで良かったのに」
声に出ていたかもわからない小さな囁きを口にして、ラシェルは首を振ると、前を見据えて、ゆっくりと歩き出した。
公爵家から出ていかなければならないかもしれない。
サイラスに連絡して、別の場所ですぐに働けるか、確認しておいた方が良いだろうか。
(お金もまだ集まっていないのに)
さすがにメガネだけで変装は無理があった。公爵家と王宮は縁が薄くなっているからと、安易に考えすぎていたようだ。
ラシェルはヴァレリアンの部屋にカートでお茶を運ぶ。ノックをすれば、なにを言われることなく部屋に入る許可を得る。
ヴァレリアンの本棟での仕事部屋は、本棚に囲まれており、とても重厚な部屋だ。歴史を感じる深い色合い。趣味の良い調度品。おそらく前公爵が使っていたのだろう。渋い焦茶色に染まった部屋だが、趣味がいい。
そこで、ヴァレリアンは書類を広げていた。
お茶は濃いめで、砂糖もミルクもいらない。ポットからカップへ注いで、机に置いて、声をかけられなければ、そのまま部屋を出る。
「出ていかなかったか」
「お給料をいただいておりません」
「ぷはっ、そうだな。ならば、給料日まで十分に働いてくれ」
ヴァレリアンは吹き出しつつ、カップに手を伸ばす。
この雰囲気ならば、なにもないまま働けるか、どうか。ラシェルも別の場所で働くことは考えたくない。なんといっても、公爵家の給料は他に比べればかなり良いのだから。しかも、本棟に入ることによって、その給料も上がった。上がったからには、ありがたくいただきたい。
「この茶は、君が全て用意したのか?」
「そうですが?」
それがどうかしたのか。いつも通り、指定されている茶葉を入れてきた。量が間違っていただろうか。
ヴァレリアンは、それならば良い、と口を付ける。
茶葉を間違えた覚えはない。だから問題ないはずだが。そう思って踵を返した時、後ろで、ゴホ。と咳き込む音が聞こえた。
「ヴァレリアン様!」
コンラードが大声を上げた。ヴァレリアンがむせたように口元を押さえ、咳き込んだ。
その指の隙間から、紅茶の色とは思えない、真っ赤な液体が流れていた。
「衛兵! その女を捕えろ!!」
「ちょ、ちょっと!?」
扉の前で警備をしていた衛兵たちが部屋に入ってくる。その間にもヴァレリアンは咳をして、口から血を吐き出した。
「毒だ! ヴァレリアン様!」
コンラードの叫び声に、部屋は混乱に陥った。
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