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17−2 贈り物
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「わあっ!」
心臓を押さえていると、外で子供たちの声が悲鳴が聞こえた。
「どうしたの!?」
院長が急いで外に出る。ジョアンナもその後に続いた。
外で遊んでいた男の子たちが集まって、一人の子を囲んでいる。そこを割って入れば、一人の男の子がぐったりとしたまま地面に倒れ込んでいた。
「木から落ちたんだ」
「木って」
ジョアンナが見上げた木の枝は、ジョアンナの身長よりずっと高いところにあった。2階くらいの高さから落ちたというのか。
「お医者様を呼んでちょうだい! ベッドの用意をして!」
「待て、院長! 動かすな!」
「アルヴェール様!? 部屋に連れて行きませんと」
「頭を打っているんだ。動かさない方がいい。急いで医者を呼べ」
アルヴェールが騎士に命令を出してから、子供たちを家に入れるように指示する。泣き出す子たちもいて騒がしくなっていたからだ。ジョアンナもどうしていいのかわからなくて、右往左往しながら子供たちを部屋に連れて行こうとした。ちらりと倒れた子供を見やれば、先ほどより顔色が悪くなっている。
「顔色が……」
「ジョアンナさん、こちらに」
アルヴェールが手招いて、ジョアンナを呼んだ。
「君には加護を与える力があると言った。ハンカチに加護をかけるように、この子に祈りをささげられないか?」
「祈りを、ですか? そんなことをして、なにが」
「治療できるかもしれない」
「私がですか??」
加護を与えることができると言われて、ジョアンナは半信半疑なのに、治療とは。
「そんなこと、できるわけが」
「子供の顔色がひどくなっている。医者を待っていられない!」
アルヴェールの言う通り、子供の顔色は青から白へと変わっている。血の気のない、真っ白な顔。息もしているのか、ぴくりとも動かない。
「ジョアンナ!」
「ど、どうすれば!?」
「ハンカチを作っている時はなにを考えている!? 誰かに贈り物を作る時に、子供たちにリボンや手袋を作っている時は、なにを考えている!?」
子供たちになにかを作る時。リボンならば、気に入ってもらえるように。可愛らしい女の子たちが、穏やかに過ごせるように。男の子たちに贈ったのはベルトがわりの編み紐で、走り回る時に怪我をしないように、元気で過ごせるようにと。
子供たちが、幸福であるようにと。
手の中に、光が灯った気がした。
「う、あれ? どうしたの?」
男の子がむくりと起き上がる。真っ白だった顔色が血が通ったように血色の良い顔色に変わった。
「ジョアンナ……。よくやった」
「信じられません……」
「木から滑った気がしたけど、どこも痛くないや」
「気をつけないと、大怪我をするところだったんだぞ。あまり無茶をするんじゃない」
「ジョアンナねえちゃんに、花をとろうとしただけだよ」
男の子の手の中に、手折れた白色の小さな花が握られていた。木から滑った時に握り潰してしまったのか、花びらがひらりと落ちる。
「危なかったということだな。ほら、もうあんな高いところに登るなよ」
「はあい」
男の子は何事もなかったように走って家の中に入っていく。驚いた院長が大声を上げていた。
元気なった男の子を見ても、信じられない。ジョアンナは自分のひらを見つめたが、普段と変わりない自分の手だった。
「君の力だ」
「私の、力」
加護を作ったように祈りを捧げる。そんな話、冗談にしか聞こえなかったのに。
実際目の当たりにしても、信じられない。しかし、アルヴェールを見上げれば、にこりと微笑む。
「もしも君に力がなければ、もしかしたらあの子供は死んでしまったかもしれない。かなり危険な状態だっただろう。君は今まで、多くの物に加護をかけてきたはずだ。とても珍しい力だ。無意識に行なって、多くの加護を与えてきたのだろうな。うまく使えるようになれば、子供たちの怪我や風邪も治せるようになるだろう。しかし、君の魔力を使うから、体調が悪くなるかもしれない。あまり急いで使うのだけはやめておくといい」
「アルヴェール様、そろそろ時間です」
「ああ、今行く。子供は念の為医者に見せるといい。それで問題なければ、君の力が間違いのないものだとわかるだろう。誰かに話すことなどしないから、安心するといい」
アルヴェールはそう言って馬車へと歩く。もう帰らなければならない時間なのだ。
医者がやってきて、急いで家に入っていく。男の子はケロリとしていたが、実際大丈夫なのだろうか。それを横目にして、アルヴェールの背を見送った。
(本当に、私が?)
にわかには信じられない。加護の話ですら眉唾物だというのに、治療できる力があるなど。
けれど、何事もないと先ほどの男の子が家から飛び出してくる。院長が慌てて男の子を追いかけて捕まえた。医者も飛び出してきて、大丈夫なのか確認する。
もしも、ジョアンナに力がなければ、あの男の子はどうなっていたのか。
「アルヴェール様、アルヴェール様!」
馬車に乗って出発しそうなところを、ジョアンナは走って追いかけた。馬車が動きはじめて、ジョアンナの声にアルヴェールが停めるように御者を呼ぶ。
「ジョアンナさん? どうした?」
「あの、前に言っていた、私に、魔法の使い方を教えてくださると」
「あ、ああ」
「教えてください。私、この力を使いこなしたいです! 子供たちになにかあったら、対処できるように!」
心臓を押さえていると、外で子供たちの声が悲鳴が聞こえた。
「どうしたの!?」
院長が急いで外に出る。ジョアンナもその後に続いた。
外で遊んでいた男の子たちが集まって、一人の子を囲んでいる。そこを割って入れば、一人の男の子がぐったりとしたまま地面に倒れ込んでいた。
「木から落ちたんだ」
「木って」
ジョアンナが見上げた木の枝は、ジョアンナの身長よりずっと高いところにあった。2階くらいの高さから落ちたというのか。
「お医者様を呼んでちょうだい! ベッドの用意をして!」
「待て、院長! 動かすな!」
「アルヴェール様!? 部屋に連れて行きませんと」
「頭を打っているんだ。動かさない方がいい。急いで医者を呼べ」
アルヴェールが騎士に命令を出してから、子供たちを家に入れるように指示する。泣き出す子たちもいて騒がしくなっていたからだ。ジョアンナもどうしていいのかわからなくて、右往左往しながら子供たちを部屋に連れて行こうとした。ちらりと倒れた子供を見やれば、先ほどより顔色が悪くなっている。
「顔色が……」
「ジョアンナさん、こちらに」
アルヴェールが手招いて、ジョアンナを呼んだ。
「君には加護を与える力があると言った。ハンカチに加護をかけるように、この子に祈りをささげられないか?」
「祈りを、ですか? そんなことをして、なにが」
「治療できるかもしれない」
「私がですか??」
加護を与えることができると言われて、ジョアンナは半信半疑なのに、治療とは。
「そんなこと、できるわけが」
「子供の顔色がひどくなっている。医者を待っていられない!」
アルヴェールの言う通り、子供の顔色は青から白へと変わっている。血の気のない、真っ白な顔。息もしているのか、ぴくりとも動かない。
「ジョアンナ!」
「ど、どうすれば!?」
「ハンカチを作っている時はなにを考えている!? 誰かに贈り物を作る時に、子供たちにリボンや手袋を作っている時は、なにを考えている!?」
子供たちになにかを作る時。リボンならば、気に入ってもらえるように。可愛らしい女の子たちが、穏やかに過ごせるように。男の子たちに贈ったのはベルトがわりの編み紐で、走り回る時に怪我をしないように、元気で過ごせるようにと。
子供たちが、幸福であるようにと。
手の中に、光が灯った気がした。
「う、あれ? どうしたの?」
男の子がむくりと起き上がる。真っ白だった顔色が血が通ったように血色の良い顔色に変わった。
「ジョアンナ……。よくやった」
「信じられません……」
「木から滑った気がしたけど、どこも痛くないや」
「気をつけないと、大怪我をするところだったんだぞ。あまり無茶をするんじゃない」
「ジョアンナねえちゃんに、花をとろうとしただけだよ」
男の子の手の中に、手折れた白色の小さな花が握られていた。木から滑った時に握り潰してしまったのか、花びらがひらりと落ちる。
「危なかったということだな。ほら、もうあんな高いところに登るなよ」
「はあい」
男の子は何事もなかったように走って家の中に入っていく。驚いた院長が大声を上げていた。
元気なった男の子を見ても、信じられない。ジョアンナは自分のひらを見つめたが、普段と変わりない自分の手だった。
「君の力だ」
「私の、力」
加護を作ったように祈りを捧げる。そんな話、冗談にしか聞こえなかったのに。
実際目の当たりにしても、信じられない。しかし、アルヴェールを見上げれば、にこりと微笑む。
「もしも君に力がなければ、もしかしたらあの子供は死んでしまったかもしれない。かなり危険な状態だっただろう。君は今まで、多くの物に加護をかけてきたはずだ。とても珍しい力だ。無意識に行なって、多くの加護を与えてきたのだろうな。うまく使えるようになれば、子供たちの怪我や風邪も治せるようになるだろう。しかし、君の魔力を使うから、体調が悪くなるかもしれない。あまり急いで使うのだけはやめておくといい」
「アルヴェール様、そろそろ時間です」
「ああ、今行く。子供は念の為医者に見せるといい。それで問題なければ、君の力が間違いのないものだとわかるだろう。誰かに話すことなどしないから、安心するといい」
アルヴェールはそう言って馬車へと歩く。もう帰らなければならない時間なのだ。
医者がやってきて、急いで家に入っていく。男の子はケロリとしていたが、実際大丈夫なのだろうか。それを横目にして、アルヴェールの背を見送った。
(本当に、私が?)
にわかには信じられない。加護の話ですら眉唾物だというのに、治療できる力があるなど。
けれど、何事もないと先ほどの男の子が家から飛び出してくる。院長が慌てて男の子を追いかけて捕まえた。医者も飛び出してきて、大丈夫なのか確認する。
もしも、ジョアンナに力がなければ、あの男の子はどうなっていたのか。
「アルヴェール様、アルヴェール様!」
馬車に乗って出発しそうなところを、ジョアンナは走って追いかけた。馬車が動きはじめて、ジョアンナの声にアルヴェールが停めるように御者を呼ぶ。
「ジョアンナさん? どうした?」
「あの、前に言っていた、私に、魔法の使い方を教えてくださると」
「あ、ああ」
「教えてください。私、この力を使いこなしたいです! 子供たちになにかあったら、対処できるように!」
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