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13② ー婚約者ー
「は、初めまして。メロディ・ニーグレンと申します!」
カミーユに誘われてやってきた王宮のお茶の席にいたのは、カミーユの婚約者メロディだった。
立ち上がった姿は華奢で身長が少し低く、ヴィオレットより頭ひとつ分くらい小さい。うねった長い髪はシナモンのような明るい薄茶色で、前髪を軽く上げて後ろでゆるく結んでいた。肌は健康的な白さで大きな焦茶色の瞳が可愛らしい。
まだ幼さが残っている顔立ちで、ヴィオレットを前にして頬を赤くしながらヴィオレットを見上げた。
二人とも恋人を親に紹介するような落ち着きのなさで、お互いに目配せしてヴィオレットの反応を待っている。その姿が子犬のようで、尻尾を振って待っているかのようだった。
(初めて近くで見たけど、カミーユ様にお似合いの可愛さなのだけれど!?)
「初めまして、メロディ様。ヴィオレット・ラグランジュと申します。お会いできて嬉しいわ。カミーユ様、メロディ様。この度はご婚約おめでとうございます」
まだ学院寮には戻っていないが、体調も戻ったカミーユがわざわざメロディを呼んで婚約者の紹介をしてくれた。
「ラグランジュ令嬢にお会いできて、光栄です! ずっとお話をしたいと思っていて……」
メロディはなぜか頬を押さえて赤面する。カミーユがくすくすと笑いながらメロディの言葉を付け足した。
「昔、お姉様にお会いしたことがあるそうです。その時に自己紹介はできなかったそうで、お姉様がどなたかも知らなかったのです」
「私、あの時のお礼を申し上げたくて」
パーティで体調を悪くしていたところ、付き添い人が飲み物を取りに行く間吐きそうになったそうだ。その時たまたまヴィオレットが声を掛け、カーテンの後ろに隠してくれた。
バルコニーで吐いてしまったが、その姿を隠すためにヴィオレットが窓の前に立ちはだかっていたため誰にも気付かれずに済んだそうだ。
すぐに付き添い人がやってきてが、ヴィオレットの名を聞くことはできなかった。
学院が違うのでヴィオレットに気付かなかったようだが、ヴィオレットがメロディの会った令嬢と印象が一致していなかった。呪われていたヴィオレットに気付くわけがなく、最近になってそれがファビアンの婚約者だと分かった。
「私ったら、全然気付くことができずにいて。あの時の方がラグランジュ令嬢だと気付き、婚約が決まったためカミーユ様にそのお話をしたところ、このような機会を作っていただいたのです」
「そうでしたか。体調も悪かったのですし、気付かなくて当然ですよ」
呪われたヴィオレットに気付く方が無理かもしれない。顔色も悪くゾンビのようだったのに、印象が同じでなくて当然だ。
カミーユとメロディはお互い気に入っているのか、たまに目を合わせて微笑み合う。何とも初々しくて愛らしい。雰囲気も似ていてお似合いの二人だった。
(お二人とも可愛すぎるのだけれど……)
微笑ましくて、こちらまで笑みが溢れてくる。カミーユにとってどんな婚約になるかと思ったが、どうやら相性は良さそうだ。これでデキュジ族についてとやかくいう輩が出てこなければいいのだが。
「気品のある美しい方だから、すぐに見付かるだろうと思っていたのですが中々見付からず。年も近そうだったので学院が同じかもしれないと、ジルお兄様が探していてくれてたのですけれど」
「ジルお兄様?」
「古い知り合いなのですが、ジル・キュッテルと言う、ファビアン王子と親しくさせていただいている方がおりまして、そのジルお兄様が探してくれていたんです。お名前を伺っていませんでしたので、ラグランジュ令嬢とは思いもせず。ジルお兄様から伺っていたお話とイメージが違って……、でも気付けて良かったです」
お兄様と呼ぶくらいならば、昔からジルと交流があるようだ。ニーグレン家は交流を避けていると思っていたのだが。
「ジル・キュッテルなら知っているわ。ファビアン王子と親しいから、たまにお顔を拝見するのよ」
「ファビアン王子とはお話をする間柄だと伺ってます。ラグランジュ令嬢のお話も時々。でも、ジルお兄様から聞いていた話では、その、もっと、元気のない方だと思っていました。ファビアン王子に……、よくすがっている姿を見ると伺っていて……。だから、私の知っている方とは違うと思っていたのです」
「何を馬鹿なことを。お姉様は少し体調を崩されていただけだよ。普段のお姉様は兄上にすがるような方ではないし、むしろお兄様をたしなめて、的確に指示されるくらいしっかりされている方だから!」
すかさずカミーユが口を挟む。一時的にはジルの言う通りになっていたのだから反論するつもりはなかったが、カミーユは眉を逆立てた。本来のヴィオレットはファビアンの尻を叩いて先へ誘導するような人だと力説するので、ヴィオレットも少々恥ずかしさが込み上げる。
カミーユのヴィオレットのイメージはそんな風らしい。
「あの時の方がラグランジュ令嬢だと知って、ジルお兄様の仰っている方は別の方ではないかと思いました。ジルお兄様は、その、少々、罵るような口調だったので」
「ジル・キュッテルが?」
「は、はい。ジルお兄様は時折言葉が厳しいのです。ファビアン王子を心配されていたのかもしれませんが、ご婚約者である方が男にすがる姿を見せていることを、咎めるような口調でした。王族の婚約者のあるべき姿を指摘されていて……。あの、どなたかと間違えていると思うのです。ラグランジュ令嬢に限ってそんなことは」
そんなことをしていたので反論しないが、しかしジル・キュッテルがそこまで厳格であることに驚いた。ファビアンを思ってヴィオレットを罵るほどのようだ。
(そこまで一緒にいるわけじゃないから、ねえ。まあ、よく話してはいるし、ファビアンもジルのことは信頼しているようだったから、仲がいいのでしょうけれど)
確かにヴィオレットには親しいそぶりは見せず、壁のある会話しかしたことがない。
ファビアンの部下のように、婚約者の態度を見る目が厳しいようだ。ジルは将来ファビアンの下に付く気なのか。
「それより、ジル・キュッテルとはよくお会いになるの? お兄様と呼ぶほどなのだから、随分昔から知り合いなのね」
「あ……、子供の頃にお会いして、その……、実は遠い親戚だと聞いて、それから親しくさせていただいてます。ほとんど会うことはないんですが、パーティでお会いすれば、遠い祖先の話を聞いたり、学院では勉強を見てくれたりと、面倒見の良いお兄様なのです」
「……そうなのね。ジル・キュッテルの優秀さはファビアン王子からも聞いています。試験も一位だったわ。素敵な親戚なのね」
「はい。お優しい方です」
「ですが、お姉様の悪口をするような輩だとは思いませんでした」
「も、申し訳ありません。ジルお兄様がどうしてそんなことを口にしていたのか、私もラグランジュ令嬢があの時の方だったと気付いてから、不思議で。どなたかと間違えているのかと思うのです」
カミーユはヴィオレットの悪口だけは許さないと憤慨するが、そこまで怒らなくていい。メロディの同意にカミーユは深く頷く。気の合う似た者同士で何よりだ。
ジルがメロディの婚約をいち早く知ったのは、メロディと仲が良いからだったか。ニーグレン家の知っていることかどうかは疑問だが。
(それは私が口出すことではないわね)
「カミーユ様はメロディ様をご存知だったのですか?」
「いえ、残念ながら、家名は耳にしていたのですけれど。婚約も急に王から伝えられたのです」
「私もまさかカミーユ様の婚約者に選ばれるとは思いませんでした」
カミーユもメロディも突然の知らせに驚いたようだ。時期も微妙で、決まったと思ったらすぐに発表となった。
(命を狙われたと思ったから、婚約で盤石にしようとしたのかしら……?)
タイミングから考えるとそれが一番の事情だろうか。
ニーグレン家は王宮から信頼されている家。カミーユの相手として問題はない。カミーユの立場から考えると、ニーグレン家では有り余ると思われるだろうが、メロディであればという思惑が見え隠れする。
ニーグレン家にとっては王の提案はありがたいことだろう。王がメロディの出生を知りながらカミーユの婚約者になるのだから。
王からすればニーグレン家に借りを作れる。他に思惑がなければ、両家にとって利のある婚約だ。
二人ともお互いに視線を合わせては微笑み合う。婚約が決まって間もないのに、随分と仲が良いようで安心した。
カミーユには幸せになってほしいものだ。
カミーユに誘われてやってきた王宮のお茶の席にいたのは、カミーユの婚約者メロディだった。
立ち上がった姿は華奢で身長が少し低く、ヴィオレットより頭ひとつ分くらい小さい。うねった長い髪はシナモンのような明るい薄茶色で、前髪を軽く上げて後ろでゆるく結んでいた。肌は健康的な白さで大きな焦茶色の瞳が可愛らしい。
まだ幼さが残っている顔立ちで、ヴィオレットを前にして頬を赤くしながらヴィオレットを見上げた。
二人とも恋人を親に紹介するような落ち着きのなさで、お互いに目配せしてヴィオレットの反応を待っている。その姿が子犬のようで、尻尾を振って待っているかのようだった。
(初めて近くで見たけど、カミーユ様にお似合いの可愛さなのだけれど!?)
「初めまして、メロディ様。ヴィオレット・ラグランジュと申します。お会いできて嬉しいわ。カミーユ様、メロディ様。この度はご婚約おめでとうございます」
まだ学院寮には戻っていないが、体調も戻ったカミーユがわざわざメロディを呼んで婚約者の紹介をしてくれた。
「ラグランジュ令嬢にお会いできて、光栄です! ずっとお話をしたいと思っていて……」
メロディはなぜか頬を押さえて赤面する。カミーユがくすくすと笑いながらメロディの言葉を付け足した。
「昔、お姉様にお会いしたことがあるそうです。その時に自己紹介はできなかったそうで、お姉様がどなたかも知らなかったのです」
「私、あの時のお礼を申し上げたくて」
パーティで体調を悪くしていたところ、付き添い人が飲み物を取りに行く間吐きそうになったそうだ。その時たまたまヴィオレットが声を掛け、カーテンの後ろに隠してくれた。
バルコニーで吐いてしまったが、その姿を隠すためにヴィオレットが窓の前に立ちはだかっていたため誰にも気付かれずに済んだそうだ。
すぐに付き添い人がやってきてが、ヴィオレットの名を聞くことはできなかった。
学院が違うのでヴィオレットに気付かなかったようだが、ヴィオレットがメロディの会った令嬢と印象が一致していなかった。呪われていたヴィオレットに気付くわけがなく、最近になってそれがファビアンの婚約者だと分かった。
「私ったら、全然気付くことができずにいて。あの時の方がラグランジュ令嬢だと気付き、婚約が決まったためカミーユ様にそのお話をしたところ、このような機会を作っていただいたのです」
「そうでしたか。体調も悪かったのですし、気付かなくて当然ですよ」
呪われたヴィオレットに気付く方が無理かもしれない。顔色も悪くゾンビのようだったのに、印象が同じでなくて当然だ。
カミーユとメロディはお互い気に入っているのか、たまに目を合わせて微笑み合う。何とも初々しくて愛らしい。雰囲気も似ていてお似合いの二人だった。
(お二人とも可愛すぎるのだけれど……)
微笑ましくて、こちらまで笑みが溢れてくる。カミーユにとってどんな婚約になるかと思ったが、どうやら相性は良さそうだ。これでデキュジ族についてとやかくいう輩が出てこなければいいのだが。
「気品のある美しい方だから、すぐに見付かるだろうと思っていたのですが中々見付からず。年も近そうだったので学院が同じかもしれないと、ジルお兄様が探していてくれてたのですけれど」
「ジルお兄様?」
「古い知り合いなのですが、ジル・キュッテルと言う、ファビアン王子と親しくさせていただいている方がおりまして、そのジルお兄様が探してくれていたんです。お名前を伺っていませんでしたので、ラグランジュ令嬢とは思いもせず。ジルお兄様から伺っていたお話とイメージが違って……、でも気付けて良かったです」
お兄様と呼ぶくらいならば、昔からジルと交流があるようだ。ニーグレン家は交流を避けていると思っていたのだが。
「ジル・キュッテルなら知っているわ。ファビアン王子と親しいから、たまにお顔を拝見するのよ」
「ファビアン王子とはお話をする間柄だと伺ってます。ラグランジュ令嬢のお話も時々。でも、ジルお兄様から聞いていた話では、その、もっと、元気のない方だと思っていました。ファビアン王子に……、よくすがっている姿を見ると伺っていて……。だから、私の知っている方とは違うと思っていたのです」
「何を馬鹿なことを。お姉様は少し体調を崩されていただけだよ。普段のお姉様は兄上にすがるような方ではないし、むしろお兄様をたしなめて、的確に指示されるくらいしっかりされている方だから!」
すかさずカミーユが口を挟む。一時的にはジルの言う通りになっていたのだから反論するつもりはなかったが、カミーユは眉を逆立てた。本来のヴィオレットはファビアンの尻を叩いて先へ誘導するような人だと力説するので、ヴィオレットも少々恥ずかしさが込み上げる。
カミーユのヴィオレットのイメージはそんな風らしい。
「あの時の方がラグランジュ令嬢だと知って、ジルお兄様の仰っている方は別の方ではないかと思いました。ジルお兄様は、その、少々、罵るような口調だったので」
「ジル・キュッテルが?」
「は、はい。ジルお兄様は時折言葉が厳しいのです。ファビアン王子を心配されていたのかもしれませんが、ご婚約者である方が男にすがる姿を見せていることを、咎めるような口調でした。王族の婚約者のあるべき姿を指摘されていて……。あの、どなたかと間違えていると思うのです。ラグランジュ令嬢に限ってそんなことは」
そんなことをしていたので反論しないが、しかしジル・キュッテルがそこまで厳格であることに驚いた。ファビアンを思ってヴィオレットを罵るほどのようだ。
(そこまで一緒にいるわけじゃないから、ねえ。まあ、よく話してはいるし、ファビアンもジルのことは信頼しているようだったから、仲がいいのでしょうけれど)
確かにヴィオレットには親しいそぶりは見せず、壁のある会話しかしたことがない。
ファビアンの部下のように、婚約者の態度を見る目が厳しいようだ。ジルは将来ファビアンの下に付く気なのか。
「それより、ジル・キュッテルとはよくお会いになるの? お兄様と呼ぶほどなのだから、随分昔から知り合いなのね」
「あ……、子供の頃にお会いして、その……、実は遠い親戚だと聞いて、それから親しくさせていただいてます。ほとんど会うことはないんですが、パーティでお会いすれば、遠い祖先の話を聞いたり、学院では勉強を見てくれたりと、面倒見の良いお兄様なのです」
「……そうなのね。ジル・キュッテルの優秀さはファビアン王子からも聞いています。試験も一位だったわ。素敵な親戚なのね」
「はい。お優しい方です」
「ですが、お姉様の悪口をするような輩だとは思いませんでした」
「も、申し訳ありません。ジルお兄様がどうしてそんなことを口にしていたのか、私もラグランジュ令嬢があの時の方だったと気付いてから、不思議で。どなたかと間違えているのかと思うのです」
カミーユはヴィオレットの悪口だけは許さないと憤慨するが、そこまで怒らなくていい。メロディの同意にカミーユは深く頷く。気の合う似た者同士で何よりだ。
ジルがメロディの婚約をいち早く知ったのは、メロディと仲が良いからだったか。ニーグレン家の知っていることかどうかは疑問だが。
(それは私が口出すことではないわね)
「カミーユ様はメロディ様をご存知だったのですか?」
「いえ、残念ながら、家名は耳にしていたのですけれど。婚約も急に王から伝えられたのです」
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タイミングから考えるとそれが一番の事情だろうか。
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ニーグレン家にとっては王の提案はありがたいことだろう。王がメロディの出生を知りながらカミーユの婚約者になるのだから。
王からすればニーグレン家に借りを作れる。他に思惑がなければ、両家にとって利のある婚約だ。
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