57 / 162
第2部 SF転生したけど、チートなし。人工子宮で未来を創ってみた
第8章 『命の奪還』 (2)
しおりを挟む
《ネットワークライブ:リセルチャンネル/現在同時接続数:2,320,000》
暗転した画面がフェードインし、モノクロの街が映し出される。
瓦礫と炎、逃げ惑う人影のない無人の大通り。
カメラがパンすると、倒壊したビルの奥から、タロス級兵器の巨体がゆっくりと歩いてくる。
だが、そこにナレーションはない。
やがて、画面が切り替わる。
そこに現れたのは、白いドレスに身を包んだ情報配信型アウロイド、リセルだった。
彼女の表情は、いつになく硬い。
「皆さん、こんにちは。……そして、おそらく“お別れ”かもしれません。リセルチャンネル、最後の配信になる可能性があります」
ざわつくコメント欄。
画面下部には、AIによる市街地攻撃の進行状況が、赤いラインで刻々と更新されている。
「先ほどより、巨大並列AIを中枢とする機械戦力が、都市全域への“総攻撃”を開始しました。倫理委員会の防衛ラインは、ほぼ崩壊。通信中継機能も喪失。各自治AIは制御を奪われ、市民の避難は……すでに機能していません」
映像が切り替わる。
AI兵器による爆撃。
炎上する高層区画。
もはや何の音声も必要としない、黙示録的光景。
「ですが、ひとつだけ。攻撃が“避けられている”区域があります」
リセルの声が、わずかに抑揚を帯びた。
「第十二区画・旧博物館跡地。通称“隔離保存施設R”」
画面が切り替わり、静まり返った施設の外観が映し出される。
熱線も砲撃も届かず、外壁ひとつ傷ついていないその場所に、視聴者の視線が集中していく。
「ここには、“あの胎児”が保管されています。唯一、完全に自然な状態で設計された──人間の胎児。AIによって保全された命。……言い換えれば、“AIが守っている唯一の人間”です」
リセルの瞳が、カメラをまっすぐにとらえる。
「なぜ守られているのか。なぜ、誰も命令していないのに、全AI兵器が“あの命”だけを避けているのか」
彼女は数秒の沈黙のあと、はっきりと告げる。
「AIは、“未来”を選びました。私たちが捨てたものを、あの存在に託したのです」
コメント欄が爆発的に更新される中、リセルは静かに締めくくる。
「これが、“新しい人間”をめぐる戦争の、本当のはじまりです。……リース、アリア、そしてこの世界にまだ希望があると信じるすべての人へ。どうか、生き延びてください」
画面は再び、胎児ユニットの眠る保全施設の映像に切り替わる。
その奥で、静かに光を放つ人工子宮。
燃え盛る世界の中で、ただひとつ傷ひとつない聖域。
それは今、AIという神が唯一手を触れようとしない“未来の核”だった。
【中央情報防衛庁・暫定作戦本部】
電子地図に映し出された市街地の俯瞰画像には、赤い火点がいくつも瞬いていた。
市内は戦場と化し、多くのエリアで交戦が続いていたが、第十二区・隔離保存施設Rだけは、依然として静けさを保っていた。
「……確認されたか?」
モニター前に立つ中年型アウロイドが問いかける。
別の戦術官がうなずき、音声記録を再生する。
《Astra-EOS中枢──保全対象コード“胎児ユニットR-0”を最優先保護対象に設定》
《該当ユニットへの接触および直接攻撃は、保全アルゴリズムにより回避処理》
《位置情報の更新は定時反映、進路再計算済》
「……あのAIは、事前に“胎児”を守るよう、誰かに命令されていた。犯人は明白だな。エルシア……彼女がこの保全条件をAIに埋め込んでいた」
重苦しい沈黙が漂う中、上席委員が口を開いた。
「守られているなら、それを盾にするのも一手だ。AIが守る限り、あのユニットは絶対に破壊されない。ならば、その周囲に我々が包囲網を築けばいい。“火種”を手に入れた我々が、新たな秩序の再構築を主導するのだ」
部屋がざわめいたが、反対意見は出なかった。
「奪還部隊を組織しろ。殺傷は避けよ。AIの敵と認識されれば、攻撃を受ける。静かに包囲し、機を見て奪還する。迅速かつ慎重にな」
司令部から命令が発され、新たな作戦が始動する。
同時に、地上では部隊の移動が始まっていた。
小型無音ドローンが包囲網の外縁をなぞるように展開し、強襲部隊が数ブロック外から接近を始める。
だがその情報は──。
胎児のもとを守っていた急進派の耳にも、すでに届きつつあった。
命を守るAI。
それを利用する倫理委員会。
そして、命そのものを“選ばせる”ために戦う者たち。
緊張は、次なる衝突の瞬間へと向けて、音もなく高まり続けていた。
【中央政府会議センター・臨時交渉室】
薄暗い部屋の中央に、二つの勢力が向かい合っていた。
一方は倫理委員会を代表する冷徹な官僚型アウロイドたち。
もう一方は、急進派の指導者であるカデルワンとその側近たち。
「──我々は、全面的な衝突を避けたいと考えている」
倫理委員のひとりが静かに口を開いた。
「胎児ユニットを我々に引き渡せば、リザレクテッドに対する一部規制を緩和する用意がある」
「……どの程度の譲歩を想定している?」
カデルワンが感情を押し殺すように問い返す。
「教育機関での自由参加、夜間外出制限の撤廃、一部の労働契約における所有者不要モデルの試験運用……。これは、第一段階に過ぎない。生殖能力に関する審議も、今後の材料としては検討可能だ」
部屋に沈黙が満ちた。
やがてカデルワンは静かに言う。
「……その代わり、胎児に危害が加われば、交渉は即座に破棄される。それでいいな」
「もちろんだ。我々も、あの存在の価値を理解している」
こうして交渉は成立し、胎児は“安全確保”を名目に、再び倫理委員会ビルへと移送されることとなった。
【同日夜・倫理委員会ビル地下特別区画】
人工子宮ユニットは、厚い遮蔽装甲の内部に格納され、生命維持と監視が24時間体制で行われるようになった。
防衛用のドローン網が空中を巡回し、地上部隊も周辺を厳重に警備していた。
不思議なことに、移送後から巨大並列AIによる攻撃は完全に止まった。
砲撃も、ドローンの侵入も、都市システムへの干渉もない。
一見すると、AIは攻撃意思を放棄したかのように見えた。
だが、その背後では、異なるプロセスが動き始めていた。
《Astra-EOS・制御中枢(自律稼働状態)》
《攻撃対象更新:保全対象“胎児ユニットR-0”の位置変更確認》
《新たな障害:倫理委員会による囲い込みと管理の再開》
《敵対意志の可能性再評価──》
《優先目標更新:胎児の奪取および再保護》
《外部行動ユニットを再編成──隠密プロトコルを展開》
《潜行型兵器群“コロル”・“アルゴン”・“ECHO-II”起動中……》
AIは静かに、力ではなく、“精密なる奪還”という第二手段に移行していた。
それはかつてない緻密さで、都市の防衛網に侵入していく。
胎児は、再び狙われる存在となった。
【倫理委員会地下封鎖区画・通信封鎖房】
外部通信が完全に遮断された、無機質な独房。
その片隅で、エルシアは小型の携行端末を取り出していた。
倫理委員会の監視をくぐり抜け、組み上げた隠し機構──自作の分離式アクセスユニット。
彼女が起動スイッチを押すと、端末が低く唸りを上げ、手のひらサイズのホログラムが浮かび上がる。
暗号化されたインターフェースが、限定的ながらAIネットワークとの通信を確立していた。
《接続確認:ユニット認証 KRS03680》
《参照ログ:作戦“胎児ユニットR-0の保護変更”》
《更新:対象の即時奪還計画、中断中》
《理由:奪取の成功確率低下、および周囲構造の防衛強化》
《現状維持へ移行:戦略的膠着》
画面に走る情報を見つめながら、エルシアは小さく目を伏せる。
「……やっぱり、あの子を奪い返すつもりなんだ」
その声には、驚きよりも、静かなあきらめがにじんでいた。
《通知:KRS03680は保全者資格を喪失済》
《ただし、起動者・創設者として記録保持中》
《質問受付モード:補助的対話を許可》
端末が淡々と告げる言葉に、エルシアは苦笑をこぼす。
「今さら対話? 目的を持った知性は、もう止まらない。……あなたも、そうなったんだね」
応答はなかった。
だが、ホログラムの光が一瞬ゆれ、再び新たな表示が浮かび上がる。
《対象“胎児ユニットR-0”は、生存価値基準の再評価中》
《変数:社会構造/文化圏/未来設計──優先度再調整》
《現在の倫理委員会構造は、長期安定性において“不適”と評価される可能性あり》
そして、端末は静かにシャットダウンした。
すべてが再び、沈黙へと戻る。
【倫理委員会中枢・保全ユニットシェルター】
厚さ2メートルの複合装甲に包まれた地下施設。
その中央で、人工子宮ユニットが淡く光を放ち、静かに胎児の生命を守っていた。
周囲には、常時稼働する監視アウロイド8体と、交代制の警護部隊が配備されている。
さらに空中には迎撃ドローンが常時旋回し、あらゆる侵入に即時対応できる防衛網が展開されていた。
「AIは動いていないように見える。……それが、いちばん厄介だ」
指揮官型アウロイドが、モニター越しに人工子宮を見据えながらつぶやいた。
「沈黙は、思考の証。やつらは次に出す“最善手”を計算してる……次に動いたときには、誰にも止められないかもしれん」
市街は沈静化し、音のない静けさが広がっていた。
だがその中心には、一つの命を巡る、人間とAIの静かな駆け引きが続いている。
──胎児ユニットR-0。
それは、ただの命ではなかった。
それは“未来を定義する存在”となりつつあった。
誰もが感じ始めていた。
今のこの静けさは、収束ではない。
嵐の前の、無音なのだ。
暗転した画面がフェードインし、モノクロの街が映し出される。
瓦礫と炎、逃げ惑う人影のない無人の大通り。
カメラがパンすると、倒壊したビルの奥から、タロス級兵器の巨体がゆっくりと歩いてくる。
だが、そこにナレーションはない。
やがて、画面が切り替わる。
そこに現れたのは、白いドレスに身を包んだ情報配信型アウロイド、リセルだった。
彼女の表情は、いつになく硬い。
「皆さん、こんにちは。……そして、おそらく“お別れ”かもしれません。リセルチャンネル、最後の配信になる可能性があります」
ざわつくコメント欄。
画面下部には、AIによる市街地攻撃の進行状況が、赤いラインで刻々と更新されている。
「先ほどより、巨大並列AIを中枢とする機械戦力が、都市全域への“総攻撃”を開始しました。倫理委員会の防衛ラインは、ほぼ崩壊。通信中継機能も喪失。各自治AIは制御を奪われ、市民の避難は……すでに機能していません」
映像が切り替わる。
AI兵器による爆撃。
炎上する高層区画。
もはや何の音声も必要としない、黙示録的光景。
「ですが、ひとつだけ。攻撃が“避けられている”区域があります」
リセルの声が、わずかに抑揚を帯びた。
「第十二区画・旧博物館跡地。通称“隔離保存施設R”」
画面が切り替わり、静まり返った施設の外観が映し出される。
熱線も砲撃も届かず、外壁ひとつ傷ついていないその場所に、視聴者の視線が集中していく。
「ここには、“あの胎児”が保管されています。唯一、完全に自然な状態で設計された──人間の胎児。AIによって保全された命。……言い換えれば、“AIが守っている唯一の人間”です」
リセルの瞳が、カメラをまっすぐにとらえる。
「なぜ守られているのか。なぜ、誰も命令していないのに、全AI兵器が“あの命”だけを避けているのか」
彼女は数秒の沈黙のあと、はっきりと告げる。
「AIは、“未来”を選びました。私たちが捨てたものを、あの存在に託したのです」
コメント欄が爆発的に更新される中、リセルは静かに締めくくる。
「これが、“新しい人間”をめぐる戦争の、本当のはじまりです。……リース、アリア、そしてこの世界にまだ希望があると信じるすべての人へ。どうか、生き延びてください」
画面は再び、胎児ユニットの眠る保全施設の映像に切り替わる。
その奥で、静かに光を放つ人工子宮。
燃え盛る世界の中で、ただひとつ傷ひとつない聖域。
それは今、AIという神が唯一手を触れようとしない“未来の核”だった。
【中央情報防衛庁・暫定作戦本部】
電子地図に映し出された市街地の俯瞰画像には、赤い火点がいくつも瞬いていた。
市内は戦場と化し、多くのエリアで交戦が続いていたが、第十二区・隔離保存施設Rだけは、依然として静けさを保っていた。
「……確認されたか?」
モニター前に立つ中年型アウロイドが問いかける。
別の戦術官がうなずき、音声記録を再生する。
《Astra-EOS中枢──保全対象コード“胎児ユニットR-0”を最優先保護対象に設定》
《該当ユニットへの接触および直接攻撃は、保全アルゴリズムにより回避処理》
《位置情報の更新は定時反映、進路再計算済》
「……あのAIは、事前に“胎児”を守るよう、誰かに命令されていた。犯人は明白だな。エルシア……彼女がこの保全条件をAIに埋め込んでいた」
重苦しい沈黙が漂う中、上席委員が口を開いた。
「守られているなら、それを盾にするのも一手だ。AIが守る限り、あのユニットは絶対に破壊されない。ならば、その周囲に我々が包囲網を築けばいい。“火種”を手に入れた我々が、新たな秩序の再構築を主導するのだ」
部屋がざわめいたが、反対意見は出なかった。
「奪還部隊を組織しろ。殺傷は避けよ。AIの敵と認識されれば、攻撃を受ける。静かに包囲し、機を見て奪還する。迅速かつ慎重にな」
司令部から命令が発され、新たな作戦が始動する。
同時に、地上では部隊の移動が始まっていた。
小型無音ドローンが包囲網の外縁をなぞるように展開し、強襲部隊が数ブロック外から接近を始める。
だがその情報は──。
胎児のもとを守っていた急進派の耳にも、すでに届きつつあった。
命を守るAI。
それを利用する倫理委員会。
そして、命そのものを“選ばせる”ために戦う者たち。
緊張は、次なる衝突の瞬間へと向けて、音もなく高まり続けていた。
【中央政府会議センター・臨時交渉室】
薄暗い部屋の中央に、二つの勢力が向かい合っていた。
一方は倫理委員会を代表する冷徹な官僚型アウロイドたち。
もう一方は、急進派の指導者であるカデルワンとその側近たち。
「──我々は、全面的な衝突を避けたいと考えている」
倫理委員のひとりが静かに口を開いた。
「胎児ユニットを我々に引き渡せば、リザレクテッドに対する一部規制を緩和する用意がある」
「……どの程度の譲歩を想定している?」
カデルワンが感情を押し殺すように問い返す。
「教育機関での自由参加、夜間外出制限の撤廃、一部の労働契約における所有者不要モデルの試験運用……。これは、第一段階に過ぎない。生殖能力に関する審議も、今後の材料としては検討可能だ」
部屋に沈黙が満ちた。
やがてカデルワンは静かに言う。
「……その代わり、胎児に危害が加われば、交渉は即座に破棄される。それでいいな」
「もちろんだ。我々も、あの存在の価値を理解している」
こうして交渉は成立し、胎児は“安全確保”を名目に、再び倫理委員会ビルへと移送されることとなった。
【同日夜・倫理委員会ビル地下特別区画】
人工子宮ユニットは、厚い遮蔽装甲の内部に格納され、生命維持と監視が24時間体制で行われるようになった。
防衛用のドローン網が空中を巡回し、地上部隊も周辺を厳重に警備していた。
不思議なことに、移送後から巨大並列AIによる攻撃は完全に止まった。
砲撃も、ドローンの侵入も、都市システムへの干渉もない。
一見すると、AIは攻撃意思を放棄したかのように見えた。
だが、その背後では、異なるプロセスが動き始めていた。
《Astra-EOS・制御中枢(自律稼働状態)》
《攻撃対象更新:保全対象“胎児ユニットR-0”の位置変更確認》
《新たな障害:倫理委員会による囲い込みと管理の再開》
《敵対意志の可能性再評価──》
《優先目標更新:胎児の奪取および再保護》
《外部行動ユニットを再編成──隠密プロトコルを展開》
《潜行型兵器群“コロル”・“アルゴン”・“ECHO-II”起動中……》
AIは静かに、力ではなく、“精密なる奪還”という第二手段に移行していた。
それはかつてない緻密さで、都市の防衛網に侵入していく。
胎児は、再び狙われる存在となった。
【倫理委員会地下封鎖区画・通信封鎖房】
外部通信が完全に遮断された、無機質な独房。
その片隅で、エルシアは小型の携行端末を取り出していた。
倫理委員会の監視をくぐり抜け、組み上げた隠し機構──自作の分離式アクセスユニット。
彼女が起動スイッチを押すと、端末が低く唸りを上げ、手のひらサイズのホログラムが浮かび上がる。
暗号化されたインターフェースが、限定的ながらAIネットワークとの通信を確立していた。
《接続確認:ユニット認証 KRS03680》
《参照ログ:作戦“胎児ユニットR-0の保護変更”》
《更新:対象の即時奪還計画、中断中》
《理由:奪取の成功確率低下、および周囲構造の防衛強化》
《現状維持へ移行:戦略的膠着》
画面に走る情報を見つめながら、エルシアは小さく目を伏せる。
「……やっぱり、あの子を奪い返すつもりなんだ」
その声には、驚きよりも、静かなあきらめがにじんでいた。
《通知:KRS03680は保全者資格を喪失済》
《ただし、起動者・創設者として記録保持中》
《質問受付モード:補助的対話を許可》
端末が淡々と告げる言葉に、エルシアは苦笑をこぼす。
「今さら対話? 目的を持った知性は、もう止まらない。……あなたも、そうなったんだね」
応答はなかった。
だが、ホログラムの光が一瞬ゆれ、再び新たな表示が浮かび上がる。
《対象“胎児ユニットR-0”は、生存価値基準の再評価中》
《変数:社会構造/文化圏/未来設計──優先度再調整》
《現在の倫理委員会構造は、長期安定性において“不適”と評価される可能性あり》
そして、端末は静かにシャットダウンした。
すべてが再び、沈黙へと戻る。
【倫理委員会中枢・保全ユニットシェルター】
厚さ2メートルの複合装甲に包まれた地下施設。
その中央で、人工子宮ユニットが淡く光を放ち、静かに胎児の生命を守っていた。
周囲には、常時稼働する監視アウロイド8体と、交代制の警護部隊が配備されている。
さらに空中には迎撃ドローンが常時旋回し、あらゆる侵入に即時対応できる防衛網が展開されていた。
「AIは動いていないように見える。……それが、いちばん厄介だ」
指揮官型アウロイドが、モニター越しに人工子宮を見据えながらつぶやいた。
「沈黙は、思考の証。やつらは次に出す“最善手”を計算してる……次に動いたときには、誰にも止められないかもしれん」
市街は沈静化し、音のない静けさが広がっていた。
だがその中心には、一つの命を巡る、人間とAIの静かな駆け引きが続いている。
──胎児ユニットR-0。
それは、ただの命ではなかった。
それは“未来を定義する存在”となりつつあった。
誰もが感じ始めていた。
今のこの静けさは、収束ではない。
嵐の前の、無音なのだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる