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1章 春嬢編
第三話*
第三話*
「いや、ちょっと待て。」
春嬢の部屋にはそれぞれ浴室がついている。自分自身の身支度はもちろん、客が帰宅前に入ったりもする。
「なんで風呂なんだよ!しかも一緒になんて…!」
この角部屋のお風呂は比較的広い。二人で入るのは私も初めてだけど。
「嫌ですか?」
私が着ていた服を脱ぎ始めると、彼は後ろを向いてくれる。律儀で優しい人。
「さっきまで真面目な話をしてて、じゃあいきなりベッドへ…。なんて雰囲気がないでしょ?」
バスタオル一枚になって、先に浴室に入る。浴槽に湯を張っているとドアの開く音がした。
「だからって…こんな…。」
彼もバスタオル一枚。鍛えられた筋肉と真っ白な仮面はそのまま。ガッチリした体つきに見合わない初心な反応がちょっと面白い。
「いいじゃない、どうせ顔は分からないし。ほら洗ってあげる。」
無理やり浴槽に入らせると仮面に気をつけながら髪を濡らし、シャンプーをしていく。
「これ外しちゃえばいいのに。」
「さっきと言ってる事違うじゃねぇか。」
言葉のわりに気持ち良さそうにしている。その真っ白な面の額に口づけた。
「ちょ、まっ、やめ…。」
「ふふっ。」
顔は分からないけど、体つきはイイ感じだしモテそうなのに。わざわざこんな店に来なくてもいい人いなかったのかな。
「ケインは女友達とかいないの?」
「友達…。そもそもこの国で男と女が友達になるって感覚は多分ないな。」
難しい。まだまだ私の知らないことばかりだ。
「マリアは他所の国から来たのか?」
「うーん…そうだね。あんまりこの国のこと知らないの。」
洗い終わると、狭い浴槽に無理やり一緒に入った。
「ちょ、バカ。狭いだろ。」
「やっとマリアって呼んでくれた。」
胸をそのたくましい腕に押し付けるように絡めると、驚くほど静かになった。
「ケインは初めてが私みたいな春嬢でいいの?」
「なっ、なんで初めてだって分かるんだよ。」
その反応で隠せると思ってるんだろうか。真っ赤な耳と首もと、お風呂だからって誤魔化せないよ。
ぐっと顔を寄せ、その赤い耳に唇を寄せる。ちゅっとわざと音をたてるとさらに赤くなった。
「うわっ!?は、初めてだよ。別に春嬢だからどうとか思ってない。ちょ、まて!」
そのまま肩に腕を回して抱きつく。私の髪と同じシャンプーの匂い。
「良かった。ケインは良い人だね。」
ゆっくりと彼の腕が回される。ぎゅっと体を押しつけた。
「やっぱりその仮面不便。どうにかならないかな。」
「悪いが顔を見せることはできない。」
そこだけはやっぱり譲れないらしい。
「そうだ!いいこと思いついた!」
* * *
「これならそれ外せるでしょ!」
お風呂から上がり手早く着替えた私は自分で自分の目元に目隠しをした。ぎゅっとリボンを巻きつけて、もうなにも見えない。
「たしかにそうだけど…。いいのかそれで?」
「大丈夫大丈夫。ほら早く取って。」
スルスルと紐の外れる音、カタンと小さな音をたてて何かがテーブルに置かれた。
「取った?そしたらこっちに来て。」
ベッドに腰掛け手招きすると、一人分の距離を置いて彼が座ったのがわかる。
「遠くない?」
「本当に見えてないのか?」
頑なに気にしている。私はこの国で顔を知ってる人なんてほとんどいないのに。どうしてそこまで慎重なんだろう。
「全然見えてないよ。」
「なら良いけど、そんなに大事なことなのか?」
向こうが近づいてこないなら、私がいく。手探りで一歩進んだ。
「やっぱりキスはするべきだと思うの。それだけで気持ちいいし、雰囲気でるし。」
「そういうもんなのか…?」
右手を差し出すと大きな手が握ってくれる。そのまま彼の頬に触れた。
「キスも初めて?」
「初めてだよ。全部。」
もう隠すのは諦めたみたいだ。まぁ全然隠せてなかったけど。
「じゃあ頑張って天国に連れていかないといけないね。」
「…もうやめてくれ。」
いま彼がどんな瞳で私を見つめているのか、見られないのが残念。
「ンっ……。」
ゆっくりと唇を重ねた。見えないので距離感が難しいけど、一回触れてしまえば大丈夫そう。
「…んんっ、ン……。」
チュッと舌先を吸うと、彼の体がぴくっと反応した。
「ケイン、舌出して。」
おそるおそる開いた唇の間で舌を絡めると、そのまま彼の口内を舐める。歯と唇の間、内頬、彼の舌も少しずつ私に触れてくる。
「ん、んんっ、はぁ……。」
唇を離すと熱い吐息が漏れた。
「ん…、なんだこれ。気持ち良すぎるだろ。」
「大事なことだったでしょ?」
彼の右手を自分の胸元に持ってくると、そのまま胸に押しつけた。
「!」
「触って?どこでも触っていいよ?」
一瞬の間のあと、ベッドに押し倒された。彼の顔はやっぱり赤いのだろうか。
「あっ、んんっ、もっと優しく。」
「…ごめん。」
ぎゅっと胸を掴まれ、少し痛かった。そのあと少しずつ優しい手つきになる。
たぷたぷと揺らされ、胸に視線を感じる。
「服脱がせて?」
薄いレースのキャミソール。胸元のリボンをほどかれるとすぐに胸が露になった。
「舐めてくれる?胸の先がさみしいよ。」
胸の先に分厚い舌が触れた。チロチロと舐められると反対側をぎゅっと揉みしだかれる。
「んんっ、気持ちいいっもっとして…。」
丁寧な愛撫に体が熱くなった。彼も興奮してくれてるかな。
手探りで彼の耳に触れると胸から唇が離れた。
「もう一回キスして?」
今度は彼のほうから舌を絡めてくれた。ぎゅっと抱きつくとさっきよりたくさん彼の体を感じる。目隠しのせいで自分の感覚が敏感になっているのかもしれない。
それとも彼だから感じているのだろうか。久しぶりの仕事を忘れそうな感覚に少しだけ戸惑った。
「いや、ちょっと待て。」
春嬢の部屋にはそれぞれ浴室がついている。自分自身の身支度はもちろん、客が帰宅前に入ったりもする。
「なんで風呂なんだよ!しかも一緒になんて…!」
この角部屋のお風呂は比較的広い。二人で入るのは私も初めてだけど。
「嫌ですか?」
私が着ていた服を脱ぎ始めると、彼は後ろを向いてくれる。律儀で優しい人。
「さっきまで真面目な話をしてて、じゃあいきなりベッドへ…。なんて雰囲気がないでしょ?」
バスタオル一枚になって、先に浴室に入る。浴槽に湯を張っているとドアの開く音がした。
「だからって…こんな…。」
彼もバスタオル一枚。鍛えられた筋肉と真っ白な仮面はそのまま。ガッチリした体つきに見合わない初心な反応がちょっと面白い。
「いいじゃない、どうせ顔は分からないし。ほら洗ってあげる。」
無理やり浴槽に入らせると仮面に気をつけながら髪を濡らし、シャンプーをしていく。
「これ外しちゃえばいいのに。」
「さっきと言ってる事違うじゃねぇか。」
言葉のわりに気持ち良さそうにしている。その真っ白な面の額に口づけた。
「ちょ、まっ、やめ…。」
「ふふっ。」
顔は分からないけど、体つきはイイ感じだしモテそうなのに。わざわざこんな店に来なくてもいい人いなかったのかな。
「ケインは女友達とかいないの?」
「友達…。そもそもこの国で男と女が友達になるって感覚は多分ないな。」
難しい。まだまだ私の知らないことばかりだ。
「マリアは他所の国から来たのか?」
「うーん…そうだね。あんまりこの国のこと知らないの。」
洗い終わると、狭い浴槽に無理やり一緒に入った。
「ちょ、バカ。狭いだろ。」
「やっとマリアって呼んでくれた。」
胸をそのたくましい腕に押し付けるように絡めると、驚くほど静かになった。
「ケインは初めてが私みたいな春嬢でいいの?」
「なっ、なんで初めてだって分かるんだよ。」
その反応で隠せると思ってるんだろうか。真っ赤な耳と首もと、お風呂だからって誤魔化せないよ。
ぐっと顔を寄せ、その赤い耳に唇を寄せる。ちゅっとわざと音をたてるとさらに赤くなった。
「うわっ!?は、初めてだよ。別に春嬢だからどうとか思ってない。ちょ、まて!」
そのまま肩に腕を回して抱きつく。私の髪と同じシャンプーの匂い。
「良かった。ケインは良い人だね。」
ゆっくりと彼の腕が回される。ぎゅっと体を押しつけた。
「やっぱりその仮面不便。どうにかならないかな。」
「悪いが顔を見せることはできない。」
そこだけはやっぱり譲れないらしい。
「そうだ!いいこと思いついた!」
* * *
「これならそれ外せるでしょ!」
お風呂から上がり手早く着替えた私は自分で自分の目元に目隠しをした。ぎゅっとリボンを巻きつけて、もうなにも見えない。
「たしかにそうだけど…。いいのかそれで?」
「大丈夫大丈夫。ほら早く取って。」
スルスルと紐の外れる音、カタンと小さな音をたてて何かがテーブルに置かれた。
「取った?そしたらこっちに来て。」
ベッドに腰掛け手招きすると、一人分の距離を置いて彼が座ったのがわかる。
「遠くない?」
「本当に見えてないのか?」
頑なに気にしている。私はこの国で顔を知ってる人なんてほとんどいないのに。どうしてそこまで慎重なんだろう。
「全然見えてないよ。」
「なら良いけど、そんなに大事なことなのか?」
向こうが近づいてこないなら、私がいく。手探りで一歩進んだ。
「やっぱりキスはするべきだと思うの。それだけで気持ちいいし、雰囲気でるし。」
「そういうもんなのか…?」
右手を差し出すと大きな手が握ってくれる。そのまま彼の頬に触れた。
「キスも初めて?」
「初めてだよ。全部。」
もう隠すのは諦めたみたいだ。まぁ全然隠せてなかったけど。
「じゃあ頑張って天国に連れていかないといけないね。」
「…もうやめてくれ。」
いま彼がどんな瞳で私を見つめているのか、見られないのが残念。
「ンっ……。」
ゆっくりと唇を重ねた。見えないので距離感が難しいけど、一回触れてしまえば大丈夫そう。
「…んんっ、ン……。」
チュッと舌先を吸うと、彼の体がぴくっと反応した。
「ケイン、舌出して。」
おそるおそる開いた唇の間で舌を絡めると、そのまま彼の口内を舐める。歯と唇の間、内頬、彼の舌も少しずつ私に触れてくる。
「ん、んんっ、はぁ……。」
唇を離すと熱い吐息が漏れた。
「ん…、なんだこれ。気持ち良すぎるだろ。」
「大事なことだったでしょ?」
彼の右手を自分の胸元に持ってくると、そのまま胸に押しつけた。
「!」
「触って?どこでも触っていいよ?」
一瞬の間のあと、ベッドに押し倒された。彼の顔はやっぱり赤いのだろうか。
「あっ、んんっ、もっと優しく。」
「…ごめん。」
ぎゅっと胸を掴まれ、少し痛かった。そのあと少しずつ優しい手つきになる。
たぷたぷと揺らされ、胸に視線を感じる。
「服脱がせて?」
薄いレースのキャミソール。胸元のリボンをほどかれるとすぐに胸が露になった。
「舐めてくれる?胸の先がさみしいよ。」
胸の先に分厚い舌が触れた。チロチロと舐められると反対側をぎゅっと揉みしだかれる。
「んんっ、気持ちいいっもっとして…。」
丁寧な愛撫に体が熱くなった。彼も興奮してくれてるかな。
手探りで彼の耳に触れると胸から唇が離れた。
「もう一回キスして?」
今度は彼のほうから舌を絡めてくれた。ぎゅっと抱きつくとさっきよりたくさん彼の体を感じる。目隠しのせいで自分の感覚が敏感になっているのかもしれない。
それとも彼だから感じているのだろうか。久しぶりの仕事を忘れそうな感覚に少しだけ戸惑った。
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