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2章 侍女編
第三十五話
第三十五話
遠くに夜会の音楽が聞こえる。今頃ララさんとアルセイン様がダンスを踊っているはずだ。
年が明ければ二人の結婚式が盛大に行われる。自分のことのように嬉しくて、楽しみで仕方ない。
「なに一人でニヤニヤしてるんだよ。」
「ふふ、ケインには秘密。」
ララさんには結婚祝いに私からとっておきの下着をプレゼントした。アルセイン様にもきっと喜んでもらえるはず。
私はと言えば、ケインに手を引かれ夜会を抜け出し王城の中を進む。今まで一度も入ったことのない王族の居住区。そこは王城の中でも更にきらびやかだ。
「私が勝手に入っていいの?」
「親父にも挨拶した。問題ないだろ。」
国王陛下からおかえりと声をかけられたとき涙が出そうになった。
私がどうしてこの世界に来たのかはさっぱり分からないし、答えなんてないのかもしれない。それでもここで出逢った人たちのおかげで私はここにいる。
「ここだ。」
居住区の最奥、そこは亡くなった皇后様が使っていた部屋。大きな扉を開けた先には綺麗に片付けられた部屋。彼のお母さんの気配がまだそこにある気がした。
「綺麗な人…。」
壁にかかる肖像画。微笑むその人は思っていたよりずっと優しそうで、芯の強そうな瞳をしている。
「目元はアルセイン様に、口元はケインに似てるね。」
「本当か?そんなこと初めて言われた。」
私は母に似ているのだろうか。小さい頃はよく父親に似ていると言われたけど、歳を取るにつれ母に似てる部分が増えている気がする。
「マリア。」
母に会いに行こう。そう言って手を引いてくれたケインはたった半年で驚くほど男らしくなっていた。どんなことをしていたのか、何を思っていたのか。これからたくさん聞かせてほしい。
「剣術大会では準優勝だった。騎士としてまだ功績もあげてない。」
「うん、知ってる。次は必ず近くで応援するから。」
ロベルト卿に負けたこと、ケインはずっと気にしている。
「マリアは自分の力でここまで来たのに、俺はまだまだだ。」
私の力なんてほんの少しだ。周りに助けられてばかりいる。
「それでも俺はマリアの側にいたい。もう二度と離れたくない。」
春嬢でも侍女でもない。私はちゃんと彼にふさわしい自分になれた?
「俺と結婚してほしい。側にいてくれるか?」
彼の言葉を聞き終わる前に、その首元に抱きついた。
「もちろんだよ。大好き、ケイン。」
どんな理由でもいい。この世界に来られて良かった。こんなに大切な人に会えたんだもの。
遠くに夜会の音楽が聞こえる。今頃ララさんとアルセイン様がダンスを踊っているはずだ。
年が明ければ二人の結婚式が盛大に行われる。自分のことのように嬉しくて、楽しみで仕方ない。
「なに一人でニヤニヤしてるんだよ。」
「ふふ、ケインには秘密。」
ララさんには結婚祝いに私からとっておきの下着をプレゼントした。アルセイン様にもきっと喜んでもらえるはず。
私はと言えば、ケインに手を引かれ夜会を抜け出し王城の中を進む。今まで一度も入ったことのない王族の居住区。そこは王城の中でも更にきらびやかだ。
「私が勝手に入っていいの?」
「親父にも挨拶した。問題ないだろ。」
国王陛下からおかえりと声をかけられたとき涙が出そうになった。
私がどうしてこの世界に来たのかはさっぱり分からないし、答えなんてないのかもしれない。それでもここで出逢った人たちのおかげで私はここにいる。
「ここだ。」
居住区の最奥、そこは亡くなった皇后様が使っていた部屋。大きな扉を開けた先には綺麗に片付けられた部屋。彼のお母さんの気配がまだそこにある気がした。
「綺麗な人…。」
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「目元はアルセイン様に、口元はケインに似てるね。」
「本当か?そんなこと初めて言われた。」
私は母に似ているのだろうか。小さい頃はよく父親に似ていると言われたけど、歳を取るにつれ母に似てる部分が増えている気がする。
「マリア。」
母に会いに行こう。そう言って手を引いてくれたケインはたった半年で驚くほど男らしくなっていた。どんなことをしていたのか、何を思っていたのか。これからたくさん聞かせてほしい。
「剣術大会では準優勝だった。騎士としてまだ功績もあげてない。」
「うん、知ってる。次は必ず近くで応援するから。」
ロベルト卿に負けたこと、ケインはずっと気にしている。
「マリアは自分の力でここまで来たのに、俺はまだまだだ。」
私の力なんてほんの少しだ。周りに助けられてばかりいる。
「それでも俺はマリアの側にいたい。もう二度と離れたくない。」
春嬢でも侍女でもない。私はちゃんと彼にふさわしい自分になれた?
「俺と結婚してほしい。側にいてくれるか?」
彼の言葉を聞き終わる前に、その首元に抱きついた。
「もちろんだよ。大好き、ケイン。」
どんな理由でもいい。この世界に来られて良かった。こんなに大切な人に会えたんだもの。
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