1 / 1
王であるが故に
しおりを挟む
「親父…!」
「泣くな…!王が泣いてどうする!お前が泣いたら民はどうする」
「でも…!俺…これからどうすればいい?」
「優しい王になるんじゃ…お前の思う優しくて、民に憧れる存在に…!」
「できない…!俺は親父みたいには!」
「弱音を吐くな!王であるならば!民より前へ!未来を進め!」
「王子、雑務は私にお任せ下さい。これから旅へ出てくだされ。下界を見て自分の王を見つけてください。」
「ミー…お前も行ってやりなさい。困った時には助け合うんじゃ」
「ミー…ミー!!」
「分かったよ…行ってきます!必ず王に相応しくなって戻る」
「あぁ…成長したな。きっと安心して国を任せられるだろう…行ってらっしゃい…我が息子よ…」
それから俺はミーと共に下界に降りて民の様子を見て旅していった。そこでは王が死んだという噂がすぐに広まって王権を巡って魔物たちが争っていた。
「ミー…お前って、戦えるか?」
「ミー…」
「だよなぁ…なんていうか…見るからに弱そうだし」
「ミー!!」
「悪かったって!そんなに小突くな!…ただ、この状況はほっとけない」
ボトッ! いてっ!
「いってぇ!なんだこれ!?空から降ってきたよな…本…?」
「ミー?」
「なになに…?って、なんだ!全然読めねぇぞ!」
そこには見たことの無い言語で色々書かれていた。
「ミー…?」
「呪文か…?それとも暗号か?どちらにせよ…」
グォォォォ!!
「ミー!!ミー!!」
「ミー!?ドラゴンだって!?ど、どうすりゃいいんだ!」
「ミー!!」
ミーがこんなに叫んでるのに…俺は何も出来ないのか!?くそ!!
何かないのか!!あいつに太刀打ちできる方法は!?
ブォーン…本が光る。自動的に開いた最初の1ページ。なぜか読めるようになったその文言を無意識に俺は叫んだ。
「ガウル!!」
「ウォーー!!」
瞬間、ミーの体が大きくなって今までに聞いたことの無い雄叫びを上げた。そして、ミーらしき魔物はドラゴンに電撃を放った。
「ミー…なのか?」
ミーは俺を見るなり涙を流して森の奥へ逃げた。
「おい!ミー!!どうしたんだ!」
俺は必死にミーを追った。追いついてミーは言った。
「僕がこんな魔物なんて…嫌でしょ?ほっといてよ」
「喋って…!って!んなわけねぇだろ!」
「僕が嫌なんだ!迷惑だろ!こんないつ暴れ出すか分からない大きいだけのやつ!」
「…もういっぺん言ってみろ!魔物だろうがなんだろうが!その前に友達だろうが!助け合うんだろうが!暴れるんなら俺が止めるさ!俺があぶなきゃお前が助けろ!!迷惑なんてかけてなんぼだ。俺を信じろ!俺もお前を信じるから!!一緒に戦うから!だから迷惑だなんてもういっぺん言ってみろ!ぶん殴るぞ!」
「…ありがとう、王様」
そこでミーは力尽きて元の姿に戻った。
「ミー!」
「やっぱりミーはミーミー言ってる方が似合ってるぜ」
「ミー!?ミー!」
「にしてもこの本…一体なんなんだ。1種の呪文らしいが…こんな呪文見たことも聞いたこともないぞ」
チュンチュン!
「もう朝か…おい!ミー起きろー!」
「ミー…」
「あれ、あの本がないぞ…?」
?「これのことか?」
「誰だっ!」
「僕は君と同じ王子だ。まさか同じ本を持つ人が見つかるとは」
「王子…?どこの国だ?」
「メルブ国。そういう君は?」
「ヘルーゲル国だ。」
「奇遇にも隣国だね!」
「ほんとか!?おい、聞いたかよミー!お隣さんだとよ」
「ミー…」
「おい、そんな不機嫌そうな態度しちゃ失礼だろ!」
「いや、いいんだ。躾のできてない獣には相応の罰をね」
バキッ!
「み、ミー」
「おい!何するんだ!何も殴る事ないだろ!!」
「言葉が通じないならこうやって分からせるしかないだろ」
「全く王様がこんなクソ野郎だとはな!」
「では、君はどんな王を目指すんだい?」
「俺は、優しい王様になる」
「そんな甘いことじゃ国ひとつ背負えないよ。それ以外は?」
「それ以外に、俺の見てる王はない。」
「価値観が合わないようだね。」
「俺の友達を傷付ける奴と価値観なんざ合ってたまるか!」
「ヘル!おいで、こいつらを食え」
グォォォ…
「昨日のドラゴン!?お前だったのか!」
「ヘル、ウィンドだ。」
ブォーーー…強烈な風が横切った。立ってられないほどに強烈な風だ。
「これは準備運動、さぁ本番だ。ゲンダルド」
もっと強く、肌を切り裂く風が起こった。もう…ダメだ…
「ミーー!!!」
「ミー!?やめろ!離れるんだ!そんな直で食らったら体がボロボロになる!!」
「ミーーー!!!!」
「ミー!!…ガウル!」
シーン…
「どうしてだ!ガウルが出ない!?」
「本がなきゃ術は出せない。そんな初歩的なことも知らないのか」
「なんだと…!ミー!!ミー!!!」
「ミ、ミー…」
「ミー!しっかりしろ!!俺を助けてくれたって!お前が居なきゃ…!」
「さて、とどめだ。もう一度。ゲンダルド」
「ミー!(信じて!)ミー!(信じて)ミー(信じて!)」
「ミー…!!わかった。」
その時、頭にくっきりと出すべき呪文が浮かんだ。
「ガウルガー!!」
本が眩く光ってミーの口からガウルの比じゃない電撃が放たれた。その轟は体を伝わってミーの叫びを伝えた。俺は目をつぶることはしなかった。眩しくも暖かいこの光を最後まで信じて見送った。
「ただいま。しばらく空けたな。」
「王子、見つかりましたか?自分の王は」
「あぁ、優しくて。背中を見せられる王になる」
「左様でございますか。民に背中を見せるというのは中々できることではありません。が、だからこそ民は着いていきたいと思うでしょう。民を信じるからこそ民に信じられる。そんな王になるのですね?」
「あぁ、相棒との約束なんだ。」
「左様で…ございますか。では、演説の用意を。」
「あぁ」
「みんな!聞いてくれ。俺は王になる。みんなに慕われるような王にもなるし、みんなを慕う王になる。俺はみんなのことを信じてる。たとえ背を向けても、見限らずについてきてくれると。後ろ指を刺さない民だと信じてる。だから俺のことも信じてくれ!…ついてきてくれるか?」
ウォォォォ!!(歓声)
「立派に成長なされましたね。王子…いや、王様」
「ミーのおかげなんだ。ミーが…俺に信じることを教えてくれた」
「きっとミーも…王の姿を見ておられます。きっと背中を押しています。」
「あぁ…」
「ちなみに王よ、隣国のメルブ国のことなんですが…」
「メルブ国、あいつの国か…!」
「どうやら魔物がお祭り騒ぎなようで…皆があなたに会いたいと…」
「え?」
「魔界メルブの王子が倒されたことで新たな王が付きそこの魔物たちは大喜びだそうで…」
「じゃああいつって魔王だったのか!?」
「そうなりますね。で、新たなメルブの王というのが」
「ミー!!」
「ミー!?な、なんでお前がここに!?」
「ミー!ミー!!」
「どうやら死んだ魔物は魔界に送られ、そこでミーが王子を倒した魔獣ということで魔王となったらしいのです…」
「ミー!ミー!!」
「…心配させるんじゃねぇぞ!相棒!」
「ミー!」
「これからまた王様タッグだな!信じてるぜ!相棒!」
「ミー!!」
終
「泣くな…!王が泣いてどうする!お前が泣いたら民はどうする」
「でも…!俺…これからどうすればいい?」
「優しい王になるんじゃ…お前の思う優しくて、民に憧れる存在に…!」
「できない…!俺は親父みたいには!」
「弱音を吐くな!王であるならば!民より前へ!未来を進め!」
「王子、雑務は私にお任せ下さい。これから旅へ出てくだされ。下界を見て自分の王を見つけてください。」
「ミー…お前も行ってやりなさい。困った時には助け合うんじゃ」
「ミー…ミー!!」
「分かったよ…行ってきます!必ず王に相応しくなって戻る」
「あぁ…成長したな。きっと安心して国を任せられるだろう…行ってらっしゃい…我が息子よ…」
それから俺はミーと共に下界に降りて民の様子を見て旅していった。そこでは王が死んだという噂がすぐに広まって王権を巡って魔物たちが争っていた。
「ミー…お前って、戦えるか?」
「ミー…」
「だよなぁ…なんていうか…見るからに弱そうだし」
「ミー!!」
「悪かったって!そんなに小突くな!…ただ、この状況はほっとけない」
ボトッ! いてっ!
「いってぇ!なんだこれ!?空から降ってきたよな…本…?」
「ミー?」
「なになに…?って、なんだ!全然読めねぇぞ!」
そこには見たことの無い言語で色々書かれていた。
「ミー…?」
「呪文か…?それとも暗号か?どちらにせよ…」
グォォォォ!!
「ミー!!ミー!!」
「ミー!?ドラゴンだって!?ど、どうすりゃいいんだ!」
「ミー!!」
ミーがこんなに叫んでるのに…俺は何も出来ないのか!?くそ!!
何かないのか!!あいつに太刀打ちできる方法は!?
ブォーン…本が光る。自動的に開いた最初の1ページ。なぜか読めるようになったその文言を無意識に俺は叫んだ。
「ガウル!!」
「ウォーー!!」
瞬間、ミーの体が大きくなって今までに聞いたことの無い雄叫びを上げた。そして、ミーらしき魔物はドラゴンに電撃を放った。
「ミー…なのか?」
ミーは俺を見るなり涙を流して森の奥へ逃げた。
「おい!ミー!!どうしたんだ!」
俺は必死にミーを追った。追いついてミーは言った。
「僕がこんな魔物なんて…嫌でしょ?ほっといてよ」
「喋って…!って!んなわけねぇだろ!」
「僕が嫌なんだ!迷惑だろ!こんないつ暴れ出すか分からない大きいだけのやつ!」
「…もういっぺん言ってみろ!魔物だろうがなんだろうが!その前に友達だろうが!助け合うんだろうが!暴れるんなら俺が止めるさ!俺があぶなきゃお前が助けろ!!迷惑なんてかけてなんぼだ。俺を信じろ!俺もお前を信じるから!!一緒に戦うから!だから迷惑だなんてもういっぺん言ってみろ!ぶん殴るぞ!」
「…ありがとう、王様」
そこでミーは力尽きて元の姿に戻った。
「ミー!」
「やっぱりミーはミーミー言ってる方が似合ってるぜ」
「ミー!?ミー!」
「にしてもこの本…一体なんなんだ。1種の呪文らしいが…こんな呪文見たことも聞いたこともないぞ」
チュンチュン!
「もう朝か…おい!ミー起きろー!」
「ミー…」
「あれ、あの本がないぞ…?」
?「これのことか?」
「誰だっ!」
「僕は君と同じ王子だ。まさか同じ本を持つ人が見つかるとは」
「王子…?どこの国だ?」
「メルブ国。そういう君は?」
「ヘルーゲル国だ。」
「奇遇にも隣国だね!」
「ほんとか!?おい、聞いたかよミー!お隣さんだとよ」
「ミー…」
「おい、そんな不機嫌そうな態度しちゃ失礼だろ!」
「いや、いいんだ。躾のできてない獣には相応の罰をね」
バキッ!
「み、ミー」
「おい!何するんだ!何も殴る事ないだろ!!」
「言葉が通じないならこうやって分からせるしかないだろ」
「全く王様がこんなクソ野郎だとはな!」
「では、君はどんな王を目指すんだい?」
「俺は、優しい王様になる」
「そんな甘いことじゃ国ひとつ背負えないよ。それ以外は?」
「それ以外に、俺の見てる王はない。」
「価値観が合わないようだね。」
「俺の友達を傷付ける奴と価値観なんざ合ってたまるか!」
「ヘル!おいで、こいつらを食え」
グォォォ…
「昨日のドラゴン!?お前だったのか!」
「ヘル、ウィンドだ。」
ブォーーー…強烈な風が横切った。立ってられないほどに強烈な風だ。
「これは準備運動、さぁ本番だ。ゲンダルド」
もっと強く、肌を切り裂く風が起こった。もう…ダメだ…
「ミーー!!!」
「ミー!?やめろ!離れるんだ!そんな直で食らったら体がボロボロになる!!」
「ミーーー!!!!」
「ミー!!…ガウル!」
シーン…
「どうしてだ!ガウルが出ない!?」
「本がなきゃ術は出せない。そんな初歩的なことも知らないのか」
「なんだと…!ミー!!ミー!!!」
「ミ、ミー…」
「ミー!しっかりしろ!!俺を助けてくれたって!お前が居なきゃ…!」
「さて、とどめだ。もう一度。ゲンダルド」
「ミー!(信じて!)ミー!(信じて)ミー(信じて!)」
「ミー…!!わかった。」
その時、頭にくっきりと出すべき呪文が浮かんだ。
「ガウルガー!!」
本が眩く光ってミーの口からガウルの比じゃない電撃が放たれた。その轟は体を伝わってミーの叫びを伝えた。俺は目をつぶることはしなかった。眩しくも暖かいこの光を最後まで信じて見送った。
「ただいま。しばらく空けたな。」
「王子、見つかりましたか?自分の王は」
「あぁ、優しくて。背中を見せられる王になる」
「左様でございますか。民に背中を見せるというのは中々できることではありません。が、だからこそ民は着いていきたいと思うでしょう。民を信じるからこそ民に信じられる。そんな王になるのですね?」
「あぁ、相棒との約束なんだ。」
「左様で…ございますか。では、演説の用意を。」
「あぁ」
「みんな!聞いてくれ。俺は王になる。みんなに慕われるような王にもなるし、みんなを慕う王になる。俺はみんなのことを信じてる。たとえ背を向けても、見限らずについてきてくれると。後ろ指を刺さない民だと信じてる。だから俺のことも信じてくれ!…ついてきてくれるか?」
ウォォォォ!!(歓声)
「立派に成長なされましたね。王子…いや、王様」
「ミーのおかげなんだ。ミーが…俺に信じることを教えてくれた」
「きっとミーも…王の姿を見ておられます。きっと背中を押しています。」
「あぁ…」
「ちなみに王よ、隣国のメルブ国のことなんですが…」
「メルブ国、あいつの国か…!」
「どうやら魔物がお祭り騒ぎなようで…皆があなたに会いたいと…」
「え?」
「魔界メルブの王子が倒されたことで新たな王が付きそこの魔物たちは大喜びだそうで…」
「じゃああいつって魔王だったのか!?」
「そうなりますね。で、新たなメルブの王というのが」
「ミー!!」
「ミー!?な、なんでお前がここに!?」
「ミー!ミー!!」
「どうやら死んだ魔物は魔界に送られ、そこでミーが王子を倒した魔獣ということで魔王となったらしいのです…」
「ミー!ミー!!」
「…心配させるんじゃねぇぞ!相棒!」
「ミー!」
「これからまた王様タッグだな!信じてるぜ!相棒!」
「ミー!!」
終
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる