命ばかり

新田海斗

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2章 忘れ去られる

1 新しい家

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眠い。
無理をしすぎただろうか。
午後十一時半ごろに起きる。
8畳程度の小さな部屋にはテレビ、机、敷布団が置いてあり、窮屈だ。
コンビニ弁当の箱、飲み終えた缶ビール、空のポテチの袋。
だらしない自分を見ると、これこそ自分に相応しいと思えてくる。
スマホを見る。
モニカから連絡が来ていた。
「今度、魔王紹介していい?(笑)」
魔王?
もしかすると、新王軍の王?
まぁ、彼女の話だし信頼してもいいか。
「分かった。僕の友達に豪邸を持ってる人がいてね。少し騒がしいかもしれないけど、どうかな?」
と、連絡し、仕事に向かう。
今日、土曜日はコンビニバイト。
明日は休みで、月曜日から水曜日までホストクラブでホスト。
木曜は、キャッチ。
いわゆる勧誘だ。
金曜は飲食店でバイト。
週休一日だが仕方ない。
まぁ、それももうすぐ終わりだ。
前から辞めると話をしていたからだ。
夜の街には暗い要素がいくつもある。
表がどんなに明るく、白くても、中身も同じとは限らない。
白と黒が混在し合う街。
平和なんてこんなものだ。
寒い。
気温三度。
コンビニの店内で働く。
在庫を確かめ、レジで接客する。

「おっ、もう会えるとはね。おはよー、ソラ」

「こんばんは。モニカさん。おはよう?この時間に」

「そっちが起きる時間に合わせたのさ」

「まぁ、考え方は人それぞれだけど」

「君は肯定してばかりだなぁ。もう少し否定してもいいんだよ」

「いやいや、正しいと思える事があまり無いので」

「それはそうと、こんなとこでも働いてんだね」

「今日で終わりですけどね。ところで、何しに来たんです?」

「あー、ご飯でも買おうかなって。」

思い出して笑ってしまう。

「ちょっ、何笑うのさ!」

顔を赤くして彼女が話して来た。

「いや、生成術でも本人の腕前が反映されるんだなぁって」

「あの事件は忘れて!いいね?」

「アッハイ」

「いいじゃんさ。自分で作った飯を不味いって言ったって」

「まあまあ。あっ、三百六十円でーす」

「はい、三百六十円ね」

「毎度~」

「それコンビニでいうセリフ?」

「確かに」

「もう少しここで話してても良いかな?」

「人が来たらその人優先ですけど大丈夫です?」

「OKOK。今度一緒にどっか出かけない?」

「あー、基本大丈夫ですよ。もう今働いてるところは辞めるつもりなんで」

「金はどうすんのさ」

「小説とか、ピアノもギターも弾けるし…とにかく趣味を職にしようと思って」

そうして接客したり話したりしていたらもう朝五時だった。

「僕もうそろそろバイト終わりです」

「あっ、もうこんな時間か」

「色々なこと話しまくりましたね」

「それな」

「それじゃあ着替えて来まーす」

「はーい」

***

起きた。
スマホを見る。
12/14 月曜日 8:16
昨日はゆっくりして落ち着けた。
今日、モニカの友人に会う。
どんな人なのか楽しみだ。
優しいといいなぁ。

「待たせちゃった?」

モニカが来た。

「大丈夫、大丈夫」

「早速行こー!」

箒の後ろに座っている人がいた。

「ところで君の後ろに乗ってるのってだれ?彼氏?」

「そ、そんなわけないでしょ!友達!親友!」

「こんにちはー。ソラと言います。コウさんですよね。話は聞いてますよー」

「ほらほら、空飛べよ」

「はいはーい」

また事故が起こらない様にしないと。

「安全に空飛べるんです?」

「一度、事故が起きました…」

「あはは、やっぱり危ないですよね。僕は怖くて自分で飛べません」

「その割には箒で自由自在に飛んでますよね」

「箒は使い慣れてるんです。自分の魔法はあまり使えないので」

「それで、これからいく場所ってどこです?」

「うーん…先にご飯食べるか、先に会いにいくか。向こうはいつでも良いってい話してたから」

「場所って…」

「行ったことあるんじゃない?あの街だよ」

少し遠くに見える街を指している。

「あぁ…」

「もしあれなら、中華街の店に行ったら?君の弟さんが働いてたところ」

「僕はよくても…店長さんに合わせる顔がないから…」

「その店長さんが良ければ来てくださいね~って話してくださって」

「じゃあ先にそこに行きます?」

「はーい」

***

到着した。
もし起こってきたら、もし悲しんでいたらと思うと緊張する。

「そんな堅苦しい表情する必要はないと思うよ?事故だよ」

「はい…」

自分が気をつけて入れば起きなかった事故。
結局自分のせいだ。

「やっぱりお前、気遣いできて優しいなぁ」

「そうです?」

「絶対そう」

話していると店長がやってきた。

「おぉ。来てくれたんですか。どうぞ入ってください」

店の中に入る。
あの時の場所に座った。

「辛かったでしょうね…弟さんの事。少し、待っててくださいね」

そう言って店長は厨房の中に入っていった。
前にここでした会話を思い出す。
あの時はこんなことになるとは思いもしなかった。
店長が厨房から出てきた。

「この商品を試食して欲しくて。この冬の新商品として出そうと思ってまして」

そう言ってパンダの見た目をしたまんじゅうを持ってきた。

「パンダまんと言います。あなたの弟さんが考えて作ったものです」

美味しい。
どうやら中身の餡子にもこだわっている様で、砂糖の加減が上手く調整してあった。

「二年近く考えてましたよ。簡単に手に入る材料で安く、美味しく作る。これが大変だったらしいです」

涙が出てきた。
人前で泣かない方がいいんじゃ無いかと思い、涙が出そうなのをこらえる。

「男だから人前で泣くな。そんなことはないと思いますよ?泣きたくなったら泣きたいだけ泣けばいいじゃないですか。気が少し楽になるかもしれませんよ?」

店長が優しく励ましてくれた。

***

店を出た。
店長と仲良くなった。

「それじゃあ行くか」

駅に行き、電車で移動する。
二駅くらいして降り、歩く。
少しすると住宅街が見えてきた。
その中にあるそこそこ大きめな家に到着した。
インターホンを鳴らす。
はーいという声がして少しすると、女の人と白猫が出てきた。

「おお。来たんだな」

「久しぶり!ソラ!モニカ!ソラ、目元に隈があるよ。ちゃんと寝てる?」

白猫が話しかけていた。

「寝てるよ~」

「そんな見え見えな嘘ばっかり言って!何かあったらどうするの!」

「ごめんて」

「まぁまぁ。とりあえず入って話そう」

その家の中に入ると、喧嘩をしている人、逃げ回ってる人、それを追いかけ回す人、それを眺めて笑ってる人がいた。

「騒がしいが許してくれ」

「大丈夫です」

「もう少し落ち着けって。壁とか床とか壊すんじゃねぇぞ」

出迎えにきてくれた女の人が向こうにいる人達に声をかけた。
何かの比喩かと思った。
しかし、ドォンと音が鳴り、壁が壊れていた。

「言ったそばから壊すんじゃないよ」

「だ、だって宇宙人が…」

「り、リフォームだよ!リフォーム。ほら、壁が無くなって広くなったでしょ!」

「お前が投げなきゃこんなことにならなかったんじゃ!」

「いい加減喧嘩をやめろよ。どれだけ体が丈夫でも壁はそこまで丈夫じゃ無いんだから」

「大分騒がしい感じですね…」

「ごめんな。大体あいつらはあんな感じだよ」

「とりあえずそこの椅子にでも座って」

「あっ!料理下手な魔女とサブせんせーじゃん!久しぶり!」

小柄な子供が話していた。

「久しぶり~」

「料理下手をいじるな!」

「まぁまぁ。話そうじゃ無いか」

お茶を持ってきてもらった。

「私はリン。隣の猫が白ネコ」

「よろしくね!」

「んで、そこの逃げ回ってる人がユイ。通称は変態ロリコン。それを追いかけるのが、私の妹、レン。そしてソラと今話してるのが、アメ。さっきまでアメと喧嘩してた奴はテイル。そこでスマホ見てる奴がロス。一応メモが何か渡しとくか?」

「じゃあお願いします」

「はいよ」

・リン 人間 女
・レン 人間 女
・ユイ 人間 女
・アメ 神様 女 物理を狂わせる 
・テイル 宇宙人? 女 
・ロス 人間 女
・白ネコ ネコ

こうしてみると女性が多い。

「殆ど女だけどな。まぁいいじゃねえかハーレムだろ?」

「嫌じゃ無いけどさぁ」

「んで、ここに住むかどうかって話だったか。どうしたい?こっちは部屋数余裕あるけど」

「住んだ方がいいんじゃ無いかな。慣れれば楽しいかもだし、こんな状態から働き手を探すのは大変だろうし」

「居候って事ですか…」

「まぁ、そうなるね。でも、暴れる奴らの面倒見てくれるだけでありがたいからさ」

「とりあえず今日は止まって行ったら?」

「そうさせてもらおうかな」

「サブせんせー泊まってくれるの?」

「じゃあ泊まろうかな」

「やった!」

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