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綺麗なものには毒がある
ちょっとだけ疲れた顔を見せるメルさんと、遅めの朝食の席に着いた。
あんな感じの来訪が頻繁に行われていたのだったら、私に助けを求めて来るのも頷ける。
今日は比較的早く帰ってもらえたのだろうし、私とあんな芝居をしなければ、門の前でもっと騒いでいた事だろう。
「この後、貴女が疲れていなかったら温室を案内しようと思っているのだが」
むしろ、疲れているのはメルさんの方だとは思うけど、
「メルキオールさんが大丈夫なら、お願いします。メルキオールさんがどんなお仕事をされているのか、興味はあります」
「本当か?」
そこで、パッと明るい表情になったメルさんは、身を乗り出すように説明を始めた。
「アシーナならいつでも僕の職場に来てくれて構わない。僕がいない時に温室に入りたい時は、助手に声をかけてもらえるかな。毒を持った植物も置かれているから、いつもは必ず鍵をかけているけど、だからキティが入らないようにも気をつけてもらいたい」
「わかりました」
それから、堰き止めていたものが溢れ出したかのように、しばらくメルさんの植物語りは続いた。
ロバートさんが止めるまで、お茶のおかわり三杯分は続いた。
一度食堂から連行されて行ったメルさんは、私が部屋に戻ってしばらくしてから迎えに来てくれた。
「では、改めて。ここが僕の職場でもある温室兼研究所だ」
屋敷から渡り廊下で繋がったドーム型の植物園は、三階建ての建物と同じくらいの高さがあった。
透明なガラス張りになっており、その隣にも大きな建物が併設されているから、そっちが研究所かな。
「アシーナに真っ先に見せたい花があったんだ。花が咲く時にだけ毒を宿すものなんだけど、その花が特別綺麗で」
扉を開けてくれたメルさんのエスコートで、ゆっくりと温室に足を踏み入れると、水気を多分に含んだ空気に包まれた。
「今は、湿度が高めだから、もし具合が悪くなりそうだったら教えて」
「はい」
「それでだ。これが世界最強の毒をもつ花で、毒を以て毒を制すと言う言葉がぴったりなんだ。他の毒を打ち消すほどの強力さで、でもこの花の解毒剤はあるから安心してくれ。綺麗なものには毒がある。こんな花の事を言うんだろうな」
メルさんが立ち止まったのは、奥まった所にあった、青い百合のような花の前でだった。
その花自体が青い光を放っているように見えて、不思議だ。
「この花はピオルネと言って、花弁に強力な毒をもっている。でも、とても綺麗なものだな。まるでサファイアのようだ。初めて見せる人がアシーナで、光栄だ」
メルさんが自慢したくなるのもわかる。
見れば見るほど、魅入られるような花だった。
私がキティを自慢したくなるような状態に、今のメルさんはなっているのだろう。
「す、すまない。またやらかしてしまった。植物の事になると、いつもしゃべりすぎるんだ。毒だ毒だと、物騒な話ばかりしても面白くないだろう」
「いえ。確かに、細かな事はあまりわかりませんが、メルキオールさんが楽しそうに話すのを見るのは、嫌じゃないですし、この花は本当に綺麗だと思います」
私がキティを褒められた時と同じような顔を、目の前に立つメルさんは見せていた。
あんな感じの来訪が頻繁に行われていたのだったら、私に助けを求めて来るのも頷ける。
今日は比較的早く帰ってもらえたのだろうし、私とあんな芝居をしなければ、門の前でもっと騒いでいた事だろう。
「この後、貴女が疲れていなかったら温室を案内しようと思っているのだが」
むしろ、疲れているのはメルさんの方だとは思うけど、
「メルキオールさんが大丈夫なら、お願いします。メルキオールさんがどんなお仕事をされているのか、興味はあります」
「本当か?」
そこで、パッと明るい表情になったメルさんは、身を乗り出すように説明を始めた。
「アシーナならいつでも僕の職場に来てくれて構わない。僕がいない時に温室に入りたい時は、助手に声をかけてもらえるかな。毒を持った植物も置かれているから、いつもは必ず鍵をかけているけど、だからキティが入らないようにも気をつけてもらいたい」
「わかりました」
それから、堰き止めていたものが溢れ出したかのように、しばらくメルさんの植物語りは続いた。
ロバートさんが止めるまで、お茶のおかわり三杯分は続いた。
一度食堂から連行されて行ったメルさんは、私が部屋に戻ってしばらくしてから迎えに来てくれた。
「では、改めて。ここが僕の職場でもある温室兼研究所だ」
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扉を開けてくれたメルさんのエスコートで、ゆっくりと温室に足を踏み入れると、水気を多分に含んだ空気に包まれた。
「今は、湿度が高めだから、もし具合が悪くなりそうだったら教えて」
「はい」
「それでだ。これが世界最強の毒をもつ花で、毒を以て毒を制すと言う言葉がぴったりなんだ。他の毒を打ち消すほどの強力さで、でもこの花の解毒剤はあるから安心してくれ。綺麗なものには毒がある。こんな花の事を言うんだろうな」
メルさんが立ち止まったのは、奥まった所にあった、青い百合のような花の前でだった。
その花自体が青い光を放っているように見えて、不思議だ。
「この花はピオルネと言って、花弁に強力な毒をもっている。でも、とても綺麗なものだな。まるでサファイアのようだ。初めて見せる人がアシーナで、光栄だ」
メルさんが自慢したくなるのもわかる。
見れば見るほど、魅入られるような花だった。
私がキティを自慢したくなるような状態に、今のメルさんはなっているのだろう。
「す、すまない。またやらかしてしまった。植物の事になると、いつもしゃべりすぎるんだ。毒だ毒だと、物騒な話ばかりしても面白くないだろう」
「いえ。確かに、細かな事はあまりわかりませんが、メルキオールさんが楽しそうに話すのを見るのは、嫌じゃないですし、この花は本当に綺麗だと思います」
私がキティを褒められた時と同じような顔を、目の前に立つメルさんは見せていた。
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