お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌

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猫は空気を読んだ

 僕達のやり直しの結婚式当日。


「ふんっ。私の見立てで間違いなかっただろう」

 祖父のことは好きだし、尊敬もしているが、勝ち誇って言われるのが腹立たしい。

「さっさと幸せを享受しなさい」

 僕達の幸せを願ってくれているのはわかるけど、腹立たしい。

 祖父が強引なところも、それでだいたいいつも上手くいくところも、わかっていても腹立たしい。

「はい。僕は幸せになりますし、アシーナのことも今度こそ幸せにしますので、お祖父様はご安心を!」

 両親の代わりに僕を送り出してくれたことには、たくさんの感謝をしていた。


 二度目の結婚式ということにはなるのだけど、療養のため式を挙げられなかった僕とアシーナが改めて、執り行うといった体で今日を迎えた。

 大聖堂の最前列の左手に、リゼの膝の上に座ったキティがいる。

 反対側の最前列にはアンディ王子が参列してくれている。

 祖父もそこにいる。

 王家からはとてつもない迷惑をかけたからと、たくさんのお祝いの品をいただいた。

 身に余る光栄だと思いながらも、隣に腕を組んで並ぶアシーナを見る。

 それ以上にこんなに綺麗な女性が僕のお嫁さんだなんて、本当に信じられない。

 式が進行し、初めての指輪の交換が終わると、彼女の薬指を見ていつまでもニヤニヤしてしまった。

 その日の夜は、アシーナの希望もあって披露宴は行わなかったから、いつも通りの時間に僕達は寝室を訪れていた。

 僕とアシーナの間には、いつも通りにキティがいてくれる。

 キティはベッドの真ん中で一度僕達を見上げて、交互に視線を向けてくると、音もなく床に降りて扉の方へと向かう。

 木製の扉の横に設置されたキティ用の出入り口から出て行くと、トコトコと廊下を歩いて行く。

 こんな時間にどこに行くのかとアシーナと追いかけると、

「あら、キティ。どうしたの?」

 リゼの足元にすりすりとしていた。

 リゼがこっちを見た。

「ああ。わかりました。貴女って、本当にとってもお利口さんなのね。キティ、今日は私と寝ましょう。こんな日のために特製クッションを用意していたの」

 ひょいとリゼに抱き上げられたキティは、僕達を残して去っていく。

 猫に気を使われたのかな?

 まさかとは思うけど、アシーナに視線を向ける。

 彼女はこれからのことを察したのか、俯いて耳まで赤くしていた。

 こんな彼女を見るのは何度目だろうか。

 今夜彼女を独占できることを、キティに感謝しなければならない。

「……戻ろうか」

「……はい」

 僕が左手を差し出すと、アシーナはその手を握ってきた。

 僕達二人は、手を繋いで部屋へと戻っていった。










 完。





 

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