ブラックファング

藤丸

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第1章

迫り来る異形

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まだ納得はしきれていないが、異形が近づいているという藤田の発言に生徒達は2人の指示に従い、まずは第一避難場所の職員室まで向かおうという事で意見が固まり移動を開始しようとしていた…
「仙道、窓際どう?」
「……今んとこ、いない」
「藤田君と仙道君って仲良さそうというか、喋ってたなって印象だったんだけど、もしかして?」
「うん、同じウィザーブとして学校に通ってるけど全然馴染もうとしないから俺が話しかけてたんだよ」
あははと笑いつつも前をしっかりと向き、時々横を確認したり廊下の角では自ら進んで確認したりとその姿はいつもの藤田とは違いとても頼もしく
「う、後ろは大丈夫なのか?」
「以外と心配性なんだね?来道君は、ガタイいいのに」
「う、うっせーよ!」
「大声禁止ー。後ろは仙道がいるから大丈夫。あいつもSランクの仲でもトップクラスだ。それに今は君達の護衛、みんなを危険にするような勝手な行動はしないでしょ。」
ウィザーブについて、一通りの説明は受けていた。彼ら2人はSランクという、ウィザーブの中でも1番の実力を持っているという
「それで、君達以外のウィザーブって何人いるんだい?」
「さぁ?具体的な人数ははっきり言って知らされてないけど少なくとも5人以上いるよ。教師にもいたしね」
磯貝はこの状況、地獄のような状況にすでに適応しているのか、それとも学級委員長だから皆を不安にさせないように強がっているのかは分からないが、冷静に前を向いており
「その、ウィザーブってのは俺達もなれるのか…?」
「あぁ、無事に生き残れて、希望するのならなれるさ。昔と違って失敗する事もないし。磯貝君ならB以上は確定みたいなもんですぐ適応出来そうだし」
「そうなのか?」
「そうそう…っ、仙道!」
「………」
藤田は急に後ろを振り向いて仙道と叫ぶよりも早く、仙道は後ろから迫ってきていた異形、丸い形なためDランクだろうか。が3体せまってきており
「ひっ!ま、前からも!」
「ゴホーー!!!」
前からはCランクが2体猛スピードで迫り挟み討ちにされ
「仙道!そっちは分かってるな!?」
「…当然…!」
すると2人は確実自身の腰に下げた刀、童子切安綱、一期一振を引き抜くと一瞬で距離を詰め、仙道は豪快に、腰を沈めた太刀で三体を一気に切り裂き、藤田は踊るように宙返りをしながら2体の上を抜けるように背後に着地すると横薙ぎの要領で切り裂き真っ二つにして。
「………無事か」
「ふぅ、以外と早い追っ手だな」
各自こう述べると再び生存した生徒を前と後ろで守るようにつき
「あ、ありがとう。仙道君…」
「………」
「………?」
「……どう、いたしまして…」
「う、うん…」
「ちゃんとお礼の言葉返してやれよ仙道ー」
といった寸劇をしつつも着実に職員室に向かっていった。


そして職員室前の角の廊下まで来ると先頭に立っていた藤田は急に立ち止まり静止させると
「待った。誰かいる。人か?」
「え、人?仲間なのか?」
「…人?人がいるの!?やった!私達以外にも生きてる人が!」
「うん!行こう奈々ちゃん!」
後ろで怯えるように手を握り合っていた女子生徒2人が前にいる藤田と磯貝の会話を聞いていたのか、2人を押しのけるように職員室前の角を曲がっていき
「なっ…!?ダメだ二人共!俺より前に出たら!」
「戻ってくれ佐藤さん!太田さん!」
2人が懸命に手を出し前の2人の肩を掴もうとしたが、それも虚しく掴む事は出来ず2人は職員室前にいる人の気配の元へ走っていきそして
血しぶきが、職員室前の廊下から吹き出た。それは何故なのか?考える必要もない、前に出てしまった佐藤と太田の血液だろう
「クソッ、やられた!」
「あ、あぁ…そんな…佐藤さん、太田さん」
「嘆くのは後だよ磯貝!早くみんなを後ろに下げさせてくれ、仙道!」
「だ、駄目藤田君!う、後ろにも!」
声を上げたのは仙道の事が個人的に好きなんだなと思っている桜木結菜の声だった。そして自身も後ろを確認すると、仙道と2人だけなら他愛もないが、この生存者数名の護衛という意味では絶句して
「マジか…以外と多いらしいな。」
「く、クソッタレ!囲まれてんじゃねぇかよ!」
「せ、戦場において囲まれるというのは正に絶体絶命という状態なわけで…」
「ど、どうする?藤田…」
「いやー、1人死んじゃうかもしれないけどまぁ…う~ん」
判断に迷っている間にも後ろの異形達は迫ってきており、職員室前の異形も姿を現してきて
「ウッフッフ~、人間共がいっぱ~い」
言語を喋る異形。だがCランクよりも人間に近い姿という特徴でBクラス異形だろう。
「Bクラスも来たか…」
「………あんた、もっと近寄れ」
「え、あ、うん」
仙道は自身の背後に結菜を更に近づけさせておき、刀を引き抜くと
「………仙道、やるぞ」
「そりゃやるけど、犠牲者出るぜ?これ」
「………構わないだろ…それで死んだらそれまでだ」
藤田も刀を引き抜き臨戦態勢を取る
「ウフ、抵抗する気?ふふふっ、面白いわー…え?」
Bランク異形の胸から、槍が貫通していた。そしてその槍は異形の頭まで切り裂きながら上がっていき、そして切り上げられた。
「コフー、コフー?」
恐らくBランク異形に統率されていたのだろう。Cランク異形は行進を止め、Bランク異形はすでに絶命していたのか何も喋らずに前のめりに倒れ
「みんな無事!?良かったぁ。仙道君!今回の任務は殲滅じゃなくて救助よ!見捨てたりしない!」
そう発言したのは、Bランク異形を背後から槍で突き刺し、殺した人物だった。同時にその人物は、生徒全員がしっている人物だった…
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