余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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31話 話し合い 1

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「えぇ、そのためこの問題の答えは……」

  今は六校時目の数学だ。いつもは寝てる生徒が必ず居る時間だが、今回はみんな起きて授業を受けている。

  この授業が終わるまであと二十分ほどあるが、クラスの雰囲気は次の時間……ロングホームルームへの期待やワクワク感でいっぱいだった。

  みんなの意識は既にこの授業にはなくロングホームルームへと向いている。先生も生徒の集中力が散漫してる事とその原因を知ってるので特に気に止める様子もなく、いつも通りの授業が行われていく。

  ここで本題に入るが、次のロングホームルームでやる事と言うのは七月の……夏休み前の三日間を使って行われる毎年恒例の球技大会についての話し合いだ。

  種目決めが主だが、他にも諸々とやることがあるのだ。なんて言ったって三日間もあるのだからな。

  去年の球技大会はかなりの盛り上がりだったと担任の先生が言っていた。なんでも俺らの代は球技に強い人が多かったらしく、所謂いわゆる下克上だな。異例の一年優勝に学校中が湧いてた。

  まぁ、何となく気付くだろうが俺は風邪で休んでて球技大会はやってないから、これらは全て人伝ひとづてで聞いたものだ。なので俺は休みとともにに夏休みに入ったってワケだ。

  宿題とかは三者面談の時に渡されて若干絶望してた。

「まぁ、ちょっと早いが進めすぎるのも良くないし、今日はこの辺で終わるぞ。号令」

起立きりぃつ。ありがとうございました」

  ホームルーム長の少しげだるげな声で早めに授業が終わった。

  教室内では早速仲の良い友達と集まって球技大会の話をしている様子が伺える。

  俺もさすがにボッチで過ごしたくは無いので、海斗友達の元へ向かうとするか。

  そう思った矢先に横から声がした。

「お前は何にするんだ?」

「海斗か」

  どうやら海斗の方から俺のところへ来てくれたようだ。基本的に海斗が俺の席に来てくれるのだが、それが少し申し訳ない気もする。

  これだとまるで俺が海斗のことをあまり好いてないような奴だと思われるかもしれない。

  最近、色々とあって今まで考えたことの無いような事まで考えてるようになった。特に人間関係については敏感になってしまっている。

「俺は去年と同じくバレーだな。唯一出来るスポーツだからな」

  海斗はドヤ顔でそんなことを言った。俺からすれば海斗がバレーで活躍したというのはおとぎ話みたいなものだ。

  あの運動神経が壊滅的な海斗が率先して出たい競技があるとは、正直言って驚きが隠せない。

「じゃあ俺もバレーで良いかな」

  どうせやるなら楽しみたいしな。友達がやるというのならそれに合わせた方が楽しいだろう。もとより俺は別段出来ない競技はないから海斗に合わせる予定だったから海斗が率先してやりたい競技があったのは良かった。

「俺のスパイクを見たらきっと度肝抜かすぜ」

「そりゃ楽しみだ」

  そこで話に一区切りついた。そのタイミングを伺ってか分からないが、身知った女性陣が俺らの方へ向かってきた。

「二人ともバレー出るの?」

「俺は特にないからな。で、姫乃たちは?」

  俺らの方に来たのは姫乃、冬華、瑠魅の三人だ。この三人は基本的にずっと一緒に居る。俺からすれば瑠魅が特定の誰かと仲良くなれてるのは嬉しいと感じる。まるで瑠魅の父親になったような気分だ。

「私と瑠魅はバスケだよ」

  そう言って瑠魅と肩組みをする冬華。瑠魅がやると言ったのだから俺に止める権利はないが、どうか怪我だけはして欲しくない。

  でも、瑠魅は今までまともな運動をしてない気がするんだが……。強いて言えば体育で女子がやったソフトボールぐらいじゃないか?なんか急に不安になってきたぞ。

「それで、姫乃は何にするんだ?」

  海斗が姫乃に話しかけた。そういえば姫乃はバスケに出ないのか。去年はバスケで凄い活躍をしたって海斗から聞いたんだが……。

「わ、私も……その、バレーやろっかなって」

「お、マジ?一緒に頑張ろうぜ」

  バレーはほとんど人との接触がないから男女混合で行われる。つまり、人数オーバーさえしなければ姫乃と海斗と一緒にバレーになるって訳だ。

  ぶっちゃけ言って六人制のバレーで、そのうちの二人が海斗と姫乃なら案外楽勝じゃないかと思う。

  海斗はなんでか得意らしいし姫乃は球技だけは昔から得意だったし。何よりも気心の知れた二人が一緒なら勝てる気がする。

「う、うん。頑張ろっ!」

  俺は笑顔でハイタッチを求めた。姫乃もはにかみ笑いをしながらハイタッチに応えてくれた。

  出来れば冬華と瑠魅にも参戦して欲しいけど、やっぱり楽しむのが一番だからな。

  俺も性に合わず、今から球技大会が楽しみになってきてるし。

「私も……バレーやってみたい」
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