余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

文字の大きさ
36 / 91

35話 ともだち

しおりを挟む
「蓮にあんな特技があるとは思わなかったぞ」

  体育が終わって教室に向かう途中、俺の隣を歩く海斗がそんな事を言ってきた。

  俺、そんなに運動音痴に見えるか?

「そうか?まぁ、ジャンプサーブしか出来ないけどな」

「いや、謙遜する必要は無いよ。蓮翔君はかなり上手だよ」

  そう言って俺と海斗との間から福田が現れた。なぁ……マジで、福田の距離がバグってないか?そう思うのは俺だけか?

  とりあえず、福田はコミュ力が高いとか、そう言う次元じゃないのだけは確かだ………たぶん。

「そ、そうか?」

  俺は不覚にもどもってしまった。まさか、こんなところで持病のコミュ障が発症するとは思わなかった……悲しいな、全くよ。

「というか、二人の息がピッタリすぎてビックリしたよ」

「だろ?なんて言ったって俺らは最高のコンビだからな」

「恥ずくねぇの、そんなこと言ってよ?」

  俺は海斗の言葉に対して、トゲのある言葉を吐いたが、内心は驚きと安堵、嬉しさなどの感情が込み上げてきていた。

  そんな風に俺の事を思ってくれていたと思うと、ちょっとだけ自信がつく。

  いつか、こんな本音が言えると良いのだが……今は無理だな。恥ずすぎる。

「でも、ホントに不思議な人だね、蓮翔君って」

「はっ?俺が不思議?」

  急に福田が変な事を言い出すもんだから、俺は反射的に素っ頓狂な声を出してしまった。

「そうだな。たしかに蓮は不思議だよな」

  すると、福田の奥からも、その言葉に同調するような声がした。その声の主はもちろんのこと海斗だ。

  俺は唖然とするほかなかった。今まで自分が不思議な人間だなんて思ったことも、思われたこともなかったからだ。

「君はなんだか、人を惹きつける何かがあるんだよね」

「え……?はっ?どゆこと?」

  福田は妙にスッキリしたような顔をしながら、笑顔でそう言ってきた。

  自分の心の中にあるモヤモヤしたものをちゃんと言語化できてスッキリしてるんだろう……たぶん。

  まぁ、そうだとしたら尚更納得は出来ないんだけど。なに、俺には人を惹きつける何かがあるの?なら、なんでこんな生活送ってるん?

  そんなのがあるならもっと友達多くて良くないか?出来れば彼女も欲しいな。

  ───なんて事を考えてると、海斗も何かを思い付いたのか俺の方を見てきた。

「それだよ、それ。蓮って特段イケメンってワケでも話上手ってワケでもないけど、一緒に居て安心?みたいのがあんだよなぁ」

  若干失礼な言葉の羅列はあったが、だいたいは褒め言葉だった……よな?

  まぁ、海斗野郎に安心感を感じられてもなんとも思えんけど。

「どうだろう、良ければ僕と友達にならない?」

「えっ?」

  一瞬、脳がその言葉を理解出来ずにいた。言ってくる相手も相手だが、言葉もまた言葉だ。え、なに?友達になろうだって?

  現実でそんな事を言うやつ初めて見たぞ。あぁ言うのって二次元だけじゃないのか……。

  と、他人事のように思っていると、福田が不安そうな顔を浮かべているのが視界に入った。

  そこでやっと俺は現実に戻って来ることが出来た。海斗がこんな顔をしてもちょっとぐらいしか良心が痛まないが、福田とかがそんな顔をすると、さすがにな……って思う。

「…………えぇとな。俺的にはもう福田のことは友達だと思ってたぞ?だから、まぁ……えと、よろしく、みたいな?」

  なんかこんな事を言うのが気恥ずかしくて、福田の方を見ながら話せなかった。けど、言いたいことはちゃんと言えた。

  もちろん、それがちゃんと伝わってるかは分からんが。

「………そっか。ありがと、

「っ………あ、あぁ。よろしくな……えと、裕一ゆういち

  俺らしくもなく沢山吃ったが、まぁ、悪くなかったと思えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは

紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。 真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。 婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。 白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。

処理中です...