余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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63話 進展 3

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「あぁ、なんかすっごく緊張する」

  駅に近づくにつれて亮の顔色が強ばってきてる気がする。もしかしたら亮にデートは早かったのかもしれないな。

  電車の到着時刻的にあと十分程度で調子を戻してもらいたいところだけど……。

 陽斗たちも複雑そうな顔をしてるし。

  あの話をするのも時期尚早だったか。俺に残ってる時間が少ない分、結構焦ってしまっている。

~~~~

「お、出てきたぞ」

  駅付近で適当に時間を潰してるうちに那乃たちの姿が見えた。

「行くぞ。亮のカバーは二人に任せた」

「うぃ」

「あぁ」

  さり気なさを演じるんだ。あたかも偶然たまたまこの場で会った感じを醸し出す。

  俺らが那乃たちの方へ歩き出すと、それにいち早く気が付いた那乃がコッチの方へ二人を誘導するように歩き始めた。

「あれ、蓮翔くんじゃん」

「ん?あぁ、冬華か」

  俺から声を掛けようと思ってたが、まさかアッチから声を掛けてくれるとはな。

  ここまで来ればあとは自然な感じで冬華たちの話題に繋げるだけだ。そうすれば不自然な事無くデートの流れを作れるはずだ。

「まったく、いつも同じメンバーなんだね」

「まぁな。冬華たちも映画か?」

「そそ。那乃が行きたいって言うからね。それでせっかくだから瑠魅ちゃんも誘って三人でね」

  亮が陽斗の後ろに隠れちまってるな。照れ臭さがあるのは何となくわかるけど……そこまでいくと失礼な気もするぞ。まぁ、そのおかげで話題も出せそうだし、今回はありがたい。

「そういえば、亮と晴れて付き合ったんだってな」

「うん。ごめんね、亮くん盗っちゃって」

「いや、むしろ感謝してるさ」

  陽斗たちの方もあるし、そろそろデートの話題を出すか。たぶん、冬華が断るとは思わないけど、断られた時はどうにかしてこのメンバーで遊ぶようにするしか無くなる。

  陽斗たちのこともあるから出来るだけその結果は避けたいところだけど。

「せっかくだし、デートでもしたらどうだ?」

「で、でででデート!?」

「そんなに慌てることか?カップルだろ?」

  失礼な話になるけど、冬華が積極的に亮に関わってくれないとこのカップルはそう長く持たないと思う。このままだと少しずつ疎遠になって自然消滅とか……そういうのはやめて欲しい。

「頼む。実はさっき亮と話してたんだ。どうすれば冬華とデートできるかって」

「え、そうなの?」

「あぁ。結局妙案は思い浮かばなかったが、タイミング良く冬華が現れたからさ。亮とデート、お願いできるか?」

「………ふふっ、そっか。亮くん、私とデートしに行こっか!」

「え、あ、うん!」

  やっと出てきたか。この分ならこっちはどうにかできたと思って良いだろう。あとの問題は陽斗たちなんだよなぁ。

「そういうことだからさ、ごめんね。今日は亮くんと遊ぶから」

「ううん、気にしないで。存分に楽しんでね」

「あとでデートの話、聞かせてね」

  あれで良かったのかな。ホントは人様の恋愛事情に一々口出ししたり干渉するのは良くないこと、だろうもんな。

「じゃあ、俺らも一緒にどっか行こっか」

「そうだな。映画は……亮たちと被るだろうから、近くのゲーセンにでも行こうぜ」

「良いね。けど、わたしと蓮くんは別行動で良いかな?」

「ん?なんでだ?」

「蓮くんと先約があるからさ」

  那乃の奴……。まぁ、そう切り出された方がやりやすいから良いけど。

「そうだよな。でも、瑠魅もいるだろ?だからさすがに、な?俺と那乃と瑠魅でも良いけど、そうなるとコイツらが可哀想だし」

「あぁ………そっかぁ」

  すまない、那乃。この埋め合わせはいつかするから。今はとにかく陽斗と那乃を二人にしたい。

「俺、蓮と話したいことあるからよ。陽斗と姫乃、瑠魅ちゃんで遊んできたらどうだ?」

「海斗……」

  ナイスフォローだが、話したいことって……あの時のやつか?

  だとしたらどんなだけ引っ張るんだよ……まぁ、俺もいつまでも言い訳は出来るとは思ってなかった。そろそろ海斗には秘密を言わないとな。

  瑠魅と遊べはしなかったが、今回は仕方がないと割り切ろう。

「そうだな。申し訳ないけど、今回はそうしよっか。陽斗、二人に変なことするなよ?」

「分かってるわ!何言ってんだよ!」

「あとで埋め合わせしてね?」

「あぁ。ホントにごめん。またな。瑠魅も楽しんで」

「うん。また」

  予想通り、とまでは行かないけど理想に最も近い結果にすることは出来た。あとは海斗の相手だけか。

「じゃ、俺らは俺らでな」

「お手柔らかに頼むぞ」
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