余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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86話 5日目

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「……………あっ!!」

  カーテンから漏れる光で目が覚めた。そこからある事を思い出し意識が一気に覚醒する。

  急に動いたせいで頭に一瞬痛みが走るが、そんな事を気にしている暇は無い。俺は体をベッドから起こすと同時に部屋の時計を見る。

  時計は既に十時前を指している。今日の予定が崩れた。

「はぁ………」

  昨日、楽しくて はしゃぎすぎたかもしれない。

  昨日の電車で今日の予定について話した結果、本来ならば少し遠出をしてピクニックという予定だった。昼食も一緒に作ろうと話していたのに。

「はぁ………」

  溜め息が再び無意識に出る。俺は罪悪感に苛まれながら部屋を出る。リビングからは微かにテレビの音が聞こえる。何を見ているかは分からないが、俺のせいでこんな状況になったのは事実だ。最低限、ちゃんと謝らないと。

「瑠魅……おはよ」

「あ、蓮翔。おはよう」

「…………」

「ん?どうかした?」

「あ、いや……」

  謝ろうという思いと共にリビングに入ったはずなのに、俺の口から謝罪の言葉が出ずに詰まった。

  普段の瑠魅なら既に準備を終えていると思っていた。何もかも終えて俺を待っているのかと思った。

  でも、目の前でソファに座る瑠魅に俺は驚きを隠せなかった。

  普段の様子からは想像も出来ないくらいだらしなくソファに寝そべっている。服もパジャマのままだ。

  その様子が俺の思考をおかしくした。どこか遠くに感じていた瑠魅を身近に感じれた。

  もちろん、瑠魅がこんな姿だからと言って寝坊したことに関する謝罪をしなくて良いなんてことは無い。でも、なんでかそれが口から言葉として出てこない。

「ボォッとしてどうしたの?」

「あっ……その、ごめん。俺、寝坊して……」

  反射的に言い訳じみた謝罪をした。何となく瑠魅の顔が見ずらい。

「ううん。私もさっき起きたんだ。寝坊しちゃっと思ったんだけどね、蓮翔は起きてなかったからテレビ見てたの」

「そっか」

  俺はとりあえずソファに座る。瑠魅が見ていたのは最近始まったドラマのようだ。俺はドラマに関心がないから分からないが、瑠魅がこのドラマの事を好きなのは顔を見れば簡単にわかった。

  話の内容はイマイチ掴めないが、恋愛ドラマだと思う。

  そんな事を頭の片隅で思いながらも俺はこの後のことについて考えていた。焦りに近い何かを感じながら脳をフル回転させる。

「今日はさ、ゆっくりしない?」

「……えっ?」

  俺の思考を突き破るようにして放たれた一言。瑠魅はいつの間にか俺の方を見ていた。 その無防備さに思わず胸がドキリと高鳴った。

「こんなも楽しいと思わない?蓮翔と何かするのも楽しいけど、こう言う何気ないのも私は好きだよ」

「っ…………!」

  その言い方は反則だろ。そんな事言われたら今にも変なことを口走りそうになる。

「蓮翔はどう?」

「………そうだね。こんな日があっても良いよね」

  俺は平常心で居られた事に安堵しながら、目の前に流れるドラマに視線を向ける。未だにそのドラマがどんな内容でどんな展開なのか理解できないが、瑠魅と一緒に見ていると思うだけでそのドラマに無性に惹かれた。
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