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1章 超能力者の存在

4話 再会

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「よっ。久々だな」

「いや、お前誰だよ?」

  超能力者との一件はあったものの、その後は何事もなく無事に学校に着いた京雅きょうがは、自分のクラスを確認し、静かに自分の席に座っていた。

  何もすることがなく、席に座って居ると、目の前に知り合いの姿が見に入り、つい声をかけてしまった。

  だが容姿が変わってしまった京雅に気づける訳もなく、声をかけられた男は不審者を見るような目を京雅へ向ける。

「そこ、俺の友達の席なんだが?」

「その友達ってのが俺だよ」

「いや、マジで誰だよ。俺の友達にこんなイケメン居ねぇぞ」

  一応説得しようと試みるも、一向に信じてもらえそうにない。

  さすがに母親のようにはいかないか、と京雅は思い、別の方法を試す。

「名前は京條きょうじょう れい。好きな食べ物は肉全般。嫌いな食べ物はトウモロコシ。タイプの女性は年上。性癖は──」

「黙れ、キョーガ!お前の性癖を校内放送すっぞ!」

「やってみやがれ。どうやるか考えた上でな」

  京雅が黎の性癖をバラそうとした時、黎はその事に被せるように言葉を発した。

  京雅も挑発的な笑みを向けながら更に黎を煽っていく。京雅の冷静で余裕のある雰囲気により一層鋭い目で睨み付ける黎。

  二人が少しの間睨み合っていると、一つの人影が京雅たちの方へ近付いてきた。

「どったの黎?」

  そう話しかけて来たのは、茶髪でオカッパの中性的な顔立ちの人物だ。

  大きな茶色の瞳にスッと通った鼻筋で小顔という可愛らしい顔立ちだ。

  接し方からして、どうやら二人は面識があるようで、それは京雅も一緒なのか、嬉しそうにその人物の方を見ていた。

「久しぶりだな、しょう

「…………キョーガ、なの?」

  蒋と呼ばれたその人物は首をコテンとし聞き返した。

  京雅はその質問に無言で頷いた。

  蒋は少し疑うような目で京雅を見つめる。

「…………うん。分かんないや」

  じっくりと京雅を見つめたあと、蒋はそんな間の抜けたことを言った。

  その一言で京雅と黎は顔を見合せてため息をついた。

「まぁ、蒋だしな」

「そうだな。さすがは自称天才なだけある」

「あれ?僕もしかしてディスられてる?」

  二人は呆れたような仕草をワザとやりながら蒋へ視線を向ける。

  その状況についていけてないのか、蒋はその場でアタフタしていた。

  その姿を見て二人は笑っていた。

「お前、ホントに京雅だな」

  笑いすぎで目尻に出てきた涙を、指で拭き取りながら京雅の方へ視線を向ける。京雅も黎の視線に気づき視線を向けた。

「だから言ってるだろ」

「そうだな。疑って悪かっな」

  黎が京雅の方へ手を伸ばした。

  それに応えるように京雅も手を差し伸ばして黎の手を握り、握手を交わす。

「二人だけずるいよ。僕も僕も」

「しょうがねぇな、蒋は」

  京雅は蒋の方へ手を向ける。その手を握ろうと蒋が手を出した時、教室の扉からドアが開く音がした。

「まさか、同じクラスだとはね君」

  息が絶え絶えになりながらもそうハッキリと京雅の方を向いて話しかける、外国人のような容姿のイケメン……朝出会った超能力者がそこには居た。

「わぁ、イケメンだ」

  呑気にそんな事を漏らす蒋。対照的に京雅は顔を顰めてあからさまに最悪だという雰囲気を醸し出している。

  クラスの視線は自然と京雅とその男に向けられる。

「ちょっと話をしようか。さっきの話の続きをね」

  有無を言わせぬ圧力を放ちながら京雅に挑発的な視線を向ける男に、京雅はため息を吐きながら一言言い放った。

「今日ぐらいは『静かに席に着いてろ』」

「っ………!!」

  その一言で、その男は大人しくなり、まるでかのように静かに自分の席へと向かって行く。

  そして無言のまま自分の席に座ると、机に伏せてしまった。

「えっと……何があったん?」

  黎がそんな疑問を口に出すものの、京雅は一切口を開かず、冷たく二人向かって口を開く。

「そろそろ時間だし、座った方が良いよ」

  蒋と黎は顔を見合せて不思議そうな顔をするも、「また後で」とだけ言い残して、素直に京雅の席から離れて行った。

  二人が京雅の席を去ったあと、京雅も自分の机に伏せ、ある事について後悔していた。

  その後悔というのは、自分がこの世界で人に向かって能力を使ってしまった、という事についてだった。

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