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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、見捨てられる
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「クソッ!なんでだよ!」
カイン追放から二週間。冒険者ギルド内にある酒場に勇者リョーマの怒鳴り声が轟く。一度依頼を成功したらこの街を出ていく予定だったのだ。
しかし、この二週間で全く依頼を達成出来なかったのだ。
「なぜだ?なぜ、あの程度の依頼でこんなにも失敗するんだ?」
おかしい……おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい!!!!
なぜ、勇者である俺があんな雑魚どもに負けるんだ!
「お、落ち着けよ、な?」
「ガイ……何が落ち着けだァ?」
「「!!!」」
勇者パーティーは現在、四つのAランク依頼を連続失敗している。
今までは相手にすらならなかった、Aランクごときに負けただと?笑わせるな!
リョーマがテーブルを叩く音が酒場に響く。誰も見向きもしない。ギルド職員さえも。
リョーマは腐っても勇者。逆らえばどうなるか。
「お前の魔法の援護が遅いんだよ」
リョーマの怒りの矛先が仲間に向いた瞬間だった。
「え?で、でも……」
「違ぇのか?違くねぇだろ!俺は強ぇ!お前らが弱ぇからこんな結果になったんだろ?!」
リンは怯えることしか出来なかった。周囲の人間も他人事としてやり過ごすだけだった。
なんで、こいつらはいつも俺をムカつかせるんだよ!あいつを追放すれば解決したはずなんだ!
なのに、なんで何も上手く行かねぇんだよ!
「なぁ……リョーマ」
「あ”ぁ!俺は今イラついてんだよ!後にしやがれ!」
いつもならば怯え、怯むはずのガイ。しかし、今のガイはただただリョーマの目を見ていた。
「オレは、勇者パーティーを抜けさせてもらう」
「………ふざけんなよ。誰のおかげでここまで活動出来ていたと思っていやがる!」
「そうだな……確かにオレじゃない。でも……テメェのおかげでもねぇだろ。このクズ野郎」
ただただ冷静に言い放った。その言葉で場の雰囲気は凍った。
「はは……ハハハハハ!死にてぇみたいだな」
「昔はそんなんじゃなかっただろ?何がお前を変えたんだ?」
「うっせぇ!俺に逆らうやつは!殺すまでだ!」
リョーマはガイの胸ぐらを掴み顔に拳を振ろうとした時。
「わたしも、抜けさせていただきます」
「……次から次によォ」
この時のリョーマは一周回って冷静になっていた。
「チッ……好きにしやがれ。絶対に後悔させてやるよ、その判断」
「後悔なんてしない。するのは、お前だよ」
それだけを言い終えたリョーマは冒険者ギルドを出ていった。
リョーマが出ていって少しのあいだ、静けさが漂う。
「ガイ。これからどうするの?」
「さぁな。まぁ、気楽に生きるさ。お前もそうしろ」
周囲は酒場とは思えないほどの静けさに包まれていた。
「………………いい?」
「ん?」
「わたしはガイとならまた、パーティー組みたい。いい?」
「…………あぁ」
こうして、勇者パーティーは崩壊。
そして、ある転機の幕開けだった。
カイン追放から二週間。冒険者ギルド内にある酒場に勇者リョーマの怒鳴り声が轟く。一度依頼を成功したらこの街を出ていく予定だったのだ。
しかし、この二週間で全く依頼を達成出来なかったのだ。
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おかしい……おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい!!!!
なぜ、勇者である俺があんな雑魚どもに負けるんだ!
「お、落ち着けよ、な?」
「ガイ……何が落ち着けだァ?」
「「!!!」」
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今までは相手にすらならなかった、Aランクごときに負けただと?笑わせるな!
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「お前の魔法の援護が遅いんだよ」
リョーマの怒りの矛先が仲間に向いた瞬間だった。
「え?で、でも……」
「違ぇのか?違くねぇだろ!俺は強ぇ!お前らが弱ぇからこんな結果になったんだろ?!」
リンは怯えることしか出来なかった。周囲の人間も他人事としてやり過ごすだけだった。
なんで、こいつらはいつも俺をムカつかせるんだよ!あいつを追放すれば解決したはずなんだ!
なのに、なんで何も上手く行かねぇんだよ!
「なぁ……リョーマ」
「あ”ぁ!俺は今イラついてんだよ!後にしやがれ!」
いつもならば怯え、怯むはずのガイ。しかし、今のガイはただただリョーマの目を見ていた。
「オレは、勇者パーティーを抜けさせてもらう」
「………ふざけんなよ。誰のおかげでここまで活動出来ていたと思っていやがる!」
「そうだな……確かにオレじゃない。でも……テメェのおかげでもねぇだろ。このクズ野郎」
ただただ冷静に言い放った。その言葉で場の雰囲気は凍った。
「はは……ハハハハハ!死にてぇみたいだな」
「昔はそんなんじゃなかっただろ?何がお前を変えたんだ?」
「うっせぇ!俺に逆らうやつは!殺すまでだ!」
リョーマはガイの胸ぐらを掴み顔に拳を振ろうとした時。
「わたしも、抜けさせていただきます」
「……次から次によォ」
この時のリョーマは一周回って冷静になっていた。
「チッ……好きにしやがれ。絶対に後悔させてやるよ、その判断」
「後悔なんてしない。するのは、お前だよ」
それだけを言い終えたリョーマは冒険者ギルドを出ていった。
リョーマが出ていって少しのあいだ、静けさが漂う。
「ガイ。これからどうするの?」
「さぁな。まぁ、気楽に生きるさ。お前もそうしろ」
周囲は酒場とは思えないほどの静けさに包まれていた。
「………………いい?」
「ん?」
「わたしはガイとならまた、パーティー組みたい。いい?」
「…………あぁ」
こうして、勇者パーティーは崩壊。
そして、ある転機の幕開けだった。
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