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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、鬱憤を晴らす 1
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「なっ!冒険者ですら無いやつが居たって無駄死にするだけだ!」
「ザコどもは下がってろ。この俺がカタを付ける……と言いたいが、少し時間をくれ。準備がある」
「いくらでもくれてやる!だから、逃げろ!これ以上怪我人を出す訳にはいかない!」
ガントとローブマンが話している間も一人ずつ、無力化されていった。僕はその間、相手の動きを注視していた。そして、ついに……。
「少し一人でやらせてください」
「なっ!?無茶だ!お前も見ただろ!」
「……僕には見えるんです。だから、任せてください。危ない時はすぐに引きます」
「…………分かった」
ありがとうございます。こんな無茶を聞いていただいて。
なんでか分からないけれど、今の僕はさっきまでよりも更に強くなった気がする。
怒りを動力にしていたカインの力が今、その力が少しずつ馴染み始てきていた。
宙に砂ぼこりが起こり、その次の瞬間には剣が打ち合う音が森に響く。
「……とんだルーキーだぜ。あの亜魔人と闘り合うなんてな……」
皆、黙って見てることしか出来なかった。このスピードに付いていくことなど不可能だったからだ。
互角に見えた勝負。しかし、少しずつカインの体には一つ、また一つと傷が増えていった。
このままじゃダメだ。スピードは互角。相手に致命傷を与えるためには、多少大きいダメージは許容しなければ……。
このままじゃ、僕は負ける。
「くぅ……」
一撃が重く速い。あんなのを受けて僕は反撃する余力が残るだろうか……。
頭では分かっていても、どうしても一歩が踏み出せない。
なんの危険もなく大きい一撃を与えるためには、どうすれば良いんだ。
「おらぁ!」
一旦距離を……怯んでるのか?
亜魔人と距離を置くために振り払っただけだった。
しかし、亜魔人の体勢は崩れているように見えた。
これは最高の隙だ。やるしかない!
地に強く踏み込み、空いた距離を一気に詰めた。
「やれぇ!!」
しかし、カインの一撃は空を切った。
「えっ?」
反射的に見上げた先には亜魔人が居た。
最大の隙はカインにあったのだ。
「そ、そんな……」
こんなところで僕は死ぬのか?まだ、まだ何も出来ていないのに?
そんなの……そんなの嫌だ!!
「くそぉ!」
ギリギリで抑えた亜魔人の剣をなぎ払い、体勢の崩れた亜魔人との距離を詰めた。
今度は冷静に……でも確実に仕留めるという殺意を込めて。
「…………」
しかし、亜魔人はその攻撃すらも空中で体を捻り避けた。
だが、亜魔人の右肩に触れた刃はその勢いのまま腕を切り飛ばした。
「はぁ……はぁ……クソ。外したか」
でも、でも、一矢報いることは出来た。この勢いのまま……。
絶望を希望に変えることは難しい。しかし、希望が絶望に変わるのは容易いものだ。
たった一瞬で希望は絶望に変わるのだ。
「な、なんで……」
勝てる、という希望は亜魔人が腕の再生をしたことにより絶望へと変わった。
あぁ……。もうダメだ。どれだけやっても勝てない。僕の攻撃では奴を仕留めることは出来ない。
そんな無力感から、カインの体から力が抜けてしゃがみ込んでしまう。しかし亜魔人とは言え魔物は魔物。そこに慈悲など存在しない。
最大の好機とみた亜魔人はゆっくりとカインとの距離を詰めて行った。
恐怖と無力感に包まれた周囲の冒険者は動くことすら出来なかった。
「まだだ!」
「………ガントさん」
割って入ってきたガントの大剣を構え亜魔人を睨むその姿はお粗末なものだった。
カインを守るかのように、倒れたカインの前に立ち、ひたすらに呼吸を整えている。
致死量のダメージを受けてなお立ち上がるガント。
もう立つことすらままならないこの状況でも立ち上がれる理由とは……。
「俺が……俺が倒れたら面目ねぇだろうが。守りたいのがあるのは……カインだけじゃねぇんだ」
「!!!」
そう発破を掛けて震える体を必死に鼓舞し続ける。その姿を見た亜魔人はその場に立ち止まってガントを見つめる。
少しの沈黙のあと、亜魔人は片腕を前へと伸ばす。
「ハハッ……ま、魔法なんて……アリかよ」
圧倒的スピードと剣術を見せつけた上で魔法すら使えることを証明した。その事実はここに居る冒険者の心を破壊するには充分すぎた。
「あぁ……あぁぁぁあああ……!!」
みな反応は違えど、心はとうに破壊されつつあった。もう正常な人間など居ないとさえ思える。それほどまでに、ガントたちの前に立ちはだかる亜魔人の存在は恐ろしく、巨大だった。
「………っ!!」
ガントとカインに向けて放たれる魔法。
ガントは観念からか、目を閉じてじっとその場に立ち尽くし、カインもその場で現実逃避するように目を背けている。
しかし、いつになっても魔法は二人には届かなかった。
「えっ?」
二人の前には黒色のフードを被ったロングローブを羽織った男……Fランク予定の見習い冒険者が立っていた。
「そんなゴミ魔法で高貴な俺を倒そうってか?Aランク依頼を四回連続失敗したからって舐めてんじゃねぇぞ?」
「ザコどもは下がってろ。この俺がカタを付ける……と言いたいが、少し時間をくれ。準備がある」
「いくらでもくれてやる!だから、逃げろ!これ以上怪我人を出す訳にはいかない!」
ガントとローブマンが話している間も一人ずつ、無力化されていった。僕はその間、相手の動きを注視していた。そして、ついに……。
「少し一人でやらせてください」
「なっ!?無茶だ!お前も見ただろ!」
「……僕には見えるんです。だから、任せてください。危ない時はすぐに引きます」
「…………分かった」
ありがとうございます。こんな無茶を聞いていただいて。
なんでか分からないけれど、今の僕はさっきまでよりも更に強くなった気がする。
怒りを動力にしていたカインの力が今、その力が少しずつ馴染み始てきていた。
宙に砂ぼこりが起こり、その次の瞬間には剣が打ち合う音が森に響く。
「……とんだルーキーだぜ。あの亜魔人と闘り合うなんてな……」
皆、黙って見てることしか出来なかった。このスピードに付いていくことなど不可能だったからだ。
互角に見えた勝負。しかし、少しずつカインの体には一つ、また一つと傷が増えていった。
このままじゃダメだ。スピードは互角。相手に致命傷を与えるためには、多少大きいダメージは許容しなければ……。
このままじゃ、僕は負ける。
「くぅ……」
一撃が重く速い。あんなのを受けて僕は反撃する余力が残るだろうか……。
頭では分かっていても、どうしても一歩が踏み出せない。
なんの危険もなく大きい一撃を与えるためには、どうすれば良いんだ。
「おらぁ!」
一旦距離を……怯んでるのか?
亜魔人と距離を置くために振り払っただけだった。
しかし、亜魔人の体勢は崩れているように見えた。
これは最高の隙だ。やるしかない!
地に強く踏み込み、空いた距離を一気に詰めた。
「やれぇ!!」
しかし、カインの一撃は空を切った。
「えっ?」
反射的に見上げた先には亜魔人が居た。
最大の隙はカインにあったのだ。
「そ、そんな……」
こんなところで僕は死ぬのか?まだ、まだ何も出来ていないのに?
そんなの……そんなの嫌だ!!
「くそぉ!」
ギリギリで抑えた亜魔人の剣をなぎ払い、体勢の崩れた亜魔人との距離を詰めた。
今度は冷静に……でも確実に仕留めるという殺意を込めて。
「…………」
しかし、亜魔人はその攻撃すらも空中で体を捻り避けた。
だが、亜魔人の右肩に触れた刃はその勢いのまま腕を切り飛ばした。
「はぁ……はぁ……クソ。外したか」
でも、でも、一矢報いることは出来た。この勢いのまま……。
絶望を希望に変えることは難しい。しかし、希望が絶望に変わるのは容易いものだ。
たった一瞬で希望は絶望に変わるのだ。
「な、なんで……」
勝てる、という希望は亜魔人が腕の再生をしたことにより絶望へと変わった。
あぁ……。もうダメだ。どれだけやっても勝てない。僕の攻撃では奴を仕留めることは出来ない。
そんな無力感から、カインの体から力が抜けてしゃがみ込んでしまう。しかし亜魔人とは言え魔物は魔物。そこに慈悲など存在しない。
最大の好機とみた亜魔人はゆっくりとカインとの距離を詰めて行った。
恐怖と無力感に包まれた周囲の冒険者は動くことすら出来なかった。
「まだだ!」
「………ガントさん」
割って入ってきたガントの大剣を構え亜魔人を睨むその姿はお粗末なものだった。
カインを守るかのように、倒れたカインの前に立ち、ひたすらに呼吸を整えている。
致死量のダメージを受けてなお立ち上がるガント。
もう立つことすらままならないこの状況でも立ち上がれる理由とは……。
「俺が……俺が倒れたら面目ねぇだろうが。守りたいのがあるのは……カインだけじゃねぇんだ」
「!!!」
そう発破を掛けて震える体を必死に鼓舞し続ける。その姿を見た亜魔人はその場に立ち止まってガントを見つめる。
少しの沈黙のあと、亜魔人は片腕を前へと伸ばす。
「ハハッ……ま、魔法なんて……アリかよ」
圧倒的スピードと剣術を見せつけた上で魔法すら使えることを証明した。その事実はここに居る冒険者の心を破壊するには充分すぎた。
「あぁ……あぁぁぁあああ……!!」
みな反応は違えど、心はとうに破壊されつつあった。もう正常な人間など居ないとさえ思える。それほどまでに、ガントたちの前に立ちはだかる亜魔人の存在は恐ろしく、巨大だった。
「………っ!!」
ガントとカインに向けて放たれる魔法。
ガントは観念からか、目を閉じてじっとその場に立ち尽くし、カインもその場で現実逃避するように目を背けている。
しかし、いつになっても魔法は二人には届かなかった。
「えっ?」
二人の前には黒色のフードを被ったロングローブを羽織った男……Fランク予定の見習い冒険者が立っていた。
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