10 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、鬱憤を晴らす 2
しおりを挟む
「す、スゲェ」
ローブマンと亜魔人が戦闘を開始し、まだ五分も経っていない。しかし、この時点でローブマンの力量を測るには充分だった。
それほどまでにローブマンの実力を圧倒的だった。
「おらおらぁ!再生すんだろ!もっと俺を楽しませろやぁ!」
僕が必死に戦っていたのがバカみたいじゃないか。こんなのを見せられちゃあさ。
誰が見ても分かった。あのローブマンはまだ実力を出していないと。
「あえて……あえて再生させているのか?なんで……なんでッ!」
あれだけの力を持ちながら、なぜ殺さないんだ。みんなアイツを倒すのに……近付くことすら出来なかったアイツをやっと倒せる兆しが出てきたんだ。それなのに、なんで……。
「俺らに……自分の力を誇示しているのだろうな」
「ガントさん……なぜそう思ったのですか?」
「俺はあいつがFランクだからって否定した。だから、あいつは自分の力で証明しようとしてるんだ」
実際のところ、そんな考えは一切なかった。ローブマンはただ自分の鬱憤を晴らすためだけに戦っていたのだ。
そして、戦闘が始まりついに十分経とうと言う時、急にローブマンの動きが止まった。
「いくら強くてもFランクか。もう戦える余力が……体力が無くなってきてるんだ」
「えっ?じゃあ、どうすれば……!」
唯一の希望だったのに……。僕もガントさんも……周りの冒険者だってかなりの傷を負っている。
周囲が焦りや恐怖を顕わにする中、ローブマンはこの場に似つかわしくないほどの物凄い幸福感に包まれていた。
「いやぁ……お前、良いな。是非ともサンドバッグに欲しいな」
『!!!!!!!』
この亜魔人は今だかつて感じたことの無い感情に襲われた。その感情とは……そう、恐怖だ。
今まで恐怖を与える側だった亜魔人は人生で初めて恐怖を知った。
亜魔人から見たローブマンはもう、悪魔以外の何者でもなかった。
「なっ!逃がすかよ!」
亜魔人は残る全ての力を出して森の中へと逃げた。出来るだけ遠くに行くように……。
しかし、既に目の前に居たのだ、悪魔が。
「はっ。亜魔人と言えどこの程度か。テメェみたいな腑抜けは用無しだな……死ね」
再生が追いつかぬ程の速さで亜魔人の体を切り刻んだ。
今の亜魔人ならば、たとえカインの弱々しい一太刀だったとしても、倒されていたことであろう。。
なぜなら、亜魔人は心から願っていた、切実に懇願していたのだ………この悪魔から解放してくれ、と。
こうして、呆気なく街の、そして冒険者たちの危機は去った。
ローブマンは懐に何かを隠すように入れると、すぐさまその場を離れるように去ろうとしたその時、ガントが口を開いた。
「先程はすまなかった」
深々と頭を下げた。先輩という意地よりももっと大切なものだと感じたからだった。
「ムカつくな。テメェ、冒険者辞めろや」
「…………」
「肩書きだけで他人を見るような薄情な野郎がよ」
「……………」
何も守れない、肩書きと口しか無い冒険者め。
こんなクズを見てるとさっき晴れたはずの鬱憤がぶり返さられる。
はぁ……クソが。こんな小物ごときにこの俺がなめられたままなら、いっそ死んだ方がマシだな。
こういう野郎には現実ってもんをしっかり教えてやらなきゃな。
俺の気を逆撫でした事を悔い改めやがれ、クズどもが。
リョーマは一歩、ガントの方へと足を踏み出す。
ローブマンは顔を隠すためのフードによって出来た影の中から鋭い眼光がガントたちを睨む。
「……テメェは一生経っても実力者にゃなれん」
「………」
「本質を見抜く力が必要なんだよ。テメェみてぇのは早死にするだけの量産型のカスだ。大人しく街の中にでも引っ込んでろ」
「………ッ」
リョーマは切り捨てるようにそう告げたのだ。その言葉は暗に、冒険者に向いてない事を表すものだった。
そして、リョーマは次にガントから視線を外してカインの方を見た。
「そして、お前だ。一番の問題はお前だよ、カイン」
「ぼ、僕?!」
カインは今回、出来ることは全てやったと、全て出し切って亜魔人と戦ったと自負していた。それは他の人から見ても明確だった。
「大切な者を守りたいと言いながら、蔑ろにしたのは誰だ?………テメェ自身だよな、嘘吐きがよ」
その言葉でカインの脳裏にはシルが、倒れていく冒険者が浮かび上がった。
そして、周りを見渡したとき、カインは絶句した。
周囲に倒れていたはずのシルや冒険者が居なかったのだ。
「みんなをどうした!」
ローブマンの胸ぐらを掴んで威圧的な眼で睨みつけた。しかし、身長の差があり、そこまで効果はないように見える。
「チッ。なんだ、その態度?ぶっ殺すぞ?」
「早く言え!みんなをッ!シルをッ!どこにやった!」
カインの鋭い視線がローブマンのに刺さり続ける。
ローブマンは一度ため息をついてから、口を開く。
「………総勢百三十四人。その内の四十人が死にかけてた。もし、お前がもっと早く状況を理解していたら負傷者はもっと少なかったはずだ。この場に俺が来てなければ、死人すら出ていた」
「……ッ!お前に何がわかる……僕は今生きてる人を守るために身を挺して!」
「……そうだ。カインは良くやった。責めるなら俺を責めろ」
カインの背後からガントが顔を出した。怪我のせいでまだ辛そうにしているが、先程よりは幾分もマシに見える。
だが、そんなガントをリョーマは一瞥して再びカインの方へ視線を向けた。
「薄情者の上貧弱だな。そんな言い訳をしなきゃシルを守れなかった理由を正当化出来ないなんて」
「ッ……!!!シ、シルは大丈夫なのかッ!?生きてるのか!?」
そんなカインの様子を見たリョーマはカインの言葉に何を返す訳でも無く、横を通った。
「…………お前は力はあるが、強くない。結局、お前らは自分の身が一番大切だったんだよ。冒険者って……クソゴミカス共の集まりだな」
そのリョーマの言葉は特定の誰かに向けたものでも、誰かに言おうとしたものでもなかった。だが、その言葉はその場に居たもの全てに聞こえていた。
ローブマンと亜魔人が戦闘を開始し、まだ五分も経っていない。しかし、この時点でローブマンの力量を測るには充分だった。
それほどまでにローブマンの実力を圧倒的だった。
「おらおらぁ!再生すんだろ!もっと俺を楽しませろやぁ!」
僕が必死に戦っていたのがバカみたいじゃないか。こんなのを見せられちゃあさ。
誰が見ても分かった。あのローブマンはまだ実力を出していないと。
「あえて……あえて再生させているのか?なんで……なんでッ!」
あれだけの力を持ちながら、なぜ殺さないんだ。みんなアイツを倒すのに……近付くことすら出来なかったアイツをやっと倒せる兆しが出てきたんだ。それなのに、なんで……。
「俺らに……自分の力を誇示しているのだろうな」
「ガントさん……なぜそう思ったのですか?」
「俺はあいつがFランクだからって否定した。だから、あいつは自分の力で証明しようとしてるんだ」
実際のところ、そんな考えは一切なかった。ローブマンはただ自分の鬱憤を晴らすためだけに戦っていたのだ。
そして、戦闘が始まりついに十分経とうと言う時、急にローブマンの動きが止まった。
「いくら強くてもFランクか。もう戦える余力が……体力が無くなってきてるんだ」
「えっ?じゃあ、どうすれば……!」
唯一の希望だったのに……。僕もガントさんも……周りの冒険者だってかなりの傷を負っている。
周囲が焦りや恐怖を顕わにする中、ローブマンはこの場に似つかわしくないほどの物凄い幸福感に包まれていた。
「いやぁ……お前、良いな。是非ともサンドバッグに欲しいな」
『!!!!!!!』
この亜魔人は今だかつて感じたことの無い感情に襲われた。その感情とは……そう、恐怖だ。
今まで恐怖を与える側だった亜魔人は人生で初めて恐怖を知った。
亜魔人から見たローブマンはもう、悪魔以外の何者でもなかった。
「なっ!逃がすかよ!」
亜魔人は残る全ての力を出して森の中へと逃げた。出来るだけ遠くに行くように……。
しかし、既に目の前に居たのだ、悪魔が。
「はっ。亜魔人と言えどこの程度か。テメェみたいな腑抜けは用無しだな……死ね」
再生が追いつかぬ程の速さで亜魔人の体を切り刻んだ。
今の亜魔人ならば、たとえカインの弱々しい一太刀だったとしても、倒されていたことであろう。。
なぜなら、亜魔人は心から願っていた、切実に懇願していたのだ………この悪魔から解放してくれ、と。
こうして、呆気なく街の、そして冒険者たちの危機は去った。
ローブマンは懐に何かを隠すように入れると、すぐさまその場を離れるように去ろうとしたその時、ガントが口を開いた。
「先程はすまなかった」
深々と頭を下げた。先輩という意地よりももっと大切なものだと感じたからだった。
「ムカつくな。テメェ、冒険者辞めろや」
「…………」
「肩書きだけで他人を見るような薄情な野郎がよ」
「……………」
何も守れない、肩書きと口しか無い冒険者め。
こんなクズを見てるとさっき晴れたはずの鬱憤がぶり返さられる。
はぁ……クソが。こんな小物ごときにこの俺がなめられたままなら、いっそ死んだ方がマシだな。
こういう野郎には現実ってもんをしっかり教えてやらなきゃな。
俺の気を逆撫でした事を悔い改めやがれ、クズどもが。
リョーマは一歩、ガントの方へと足を踏み出す。
ローブマンは顔を隠すためのフードによって出来た影の中から鋭い眼光がガントたちを睨む。
「……テメェは一生経っても実力者にゃなれん」
「………」
「本質を見抜く力が必要なんだよ。テメェみてぇのは早死にするだけの量産型のカスだ。大人しく街の中にでも引っ込んでろ」
「………ッ」
リョーマは切り捨てるようにそう告げたのだ。その言葉は暗に、冒険者に向いてない事を表すものだった。
そして、リョーマは次にガントから視線を外してカインの方を見た。
「そして、お前だ。一番の問題はお前だよ、カイン」
「ぼ、僕?!」
カインは今回、出来ることは全てやったと、全て出し切って亜魔人と戦ったと自負していた。それは他の人から見ても明確だった。
「大切な者を守りたいと言いながら、蔑ろにしたのは誰だ?………テメェ自身だよな、嘘吐きがよ」
その言葉でカインの脳裏にはシルが、倒れていく冒険者が浮かび上がった。
そして、周りを見渡したとき、カインは絶句した。
周囲に倒れていたはずのシルや冒険者が居なかったのだ。
「みんなをどうした!」
ローブマンの胸ぐらを掴んで威圧的な眼で睨みつけた。しかし、身長の差があり、そこまで効果はないように見える。
「チッ。なんだ、その態度?ぶっ殺すぞ?」
「早く言え!みんなをッ!シルをッ!どこにやった!」
カインの鋭い視線がローブマンのに刺さり続ける。
ローブマンは一度ため息をついてから、口を開く。
「………総勢百三十四人。その内の四十人が死にかけてた。もし、お前がもっと早く状況を理解していたら負傷者はもっと少なかったはずだ。この場に俺が来てなければ、死人すら出ていた」
「……ッ!お前に何がわかる……僕は今生きてる人を守るために身を挺して!」
「……そうだ。カインは良くやった。責めるなら俺を責めろ」
カインの背後からガントが顔を出した。怪我のせいでまだ辛そうにしているが、先程よりは幾分もマシに見える。
だが、そんなガントをリョーマは一瞥して再びカインの方へ視線を向けた。
「薄情者の上貧弱だな。そんな言い訳をしなきゃシルを守れなかった理由を正当化出来ないなんて」
「ッ……!!!シ、シルは大丈夫なのかッ!?生きてるのか!?」
そんなカインの様子を見たリョーマはカインの言葉に何を返す訳でも無く、横を通った。
「…………お前は力はあるが、強くない。結局、お前らは自分の身が一番大切だったんだよ。冒険者って……クソゴミカス共の集まりだな」
そのリョーマの言葉は特定の誰かに向けたものでも、誰かに言おうとしたものでもなかった。だが、その言葉はその場に居たもの全てに聞こえていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる