14 / 66
1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、黒竜の話を聞く 1
しおりを挟む
「『えっ?リファマニ?』」
「なんだよ?」
おかしい。魔王の名前はリファマニのはず。駄女神からもそう聞いている。
「いつの魔王の話をしてるのか分からないんだけど?」
「はぁ?勇者ともあろう者が魔王の名前を知らねぇだと?」
リョーマたちはファブニを倒した森の近くに面している峡谷を抜けようと、亜魔人たちが出てきた森の方へと向かっていた。
「今の魔王の名前はリザドラだよ?」
「リザドラ?」
リザドラってたしか……。いや、そんなはずがない。こんなこと、認められるわけが無い。
「お前、名前は?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「早く言え」
もし、もし俺の予想が正しければ、こいつの名前は……。
「フィールだよ」
フィールだ。
「!!!!」
予想通りとはな。つまり、俺は、二世代前の世界に来たことになる。
駄女神から歴代の勇者の名前を聞いていた。こいつ、フィールは特に変わり者でたまたま覚えていただけだが……。
まさか、女だったとはな。予想外だ。
「はぁ……よりによってお前かよ」
「なにが?」
こいつは変わり者だ。それだけなら良い。だが、こいつは最大の欠点を持ってる。
「歴代最弱勇者、フィール」
「………………」
「通りで勇者の割にクソザコなわけか」
俺はあの劣悪の最低最悪の環境で育った影響か、他の奴らよりも強いことは知っている。
あのガキの頃のことがこんな風に役に立つとはな……皮肉なものだな。
「女だからって舐めてもらっちゃ困るよ?」
はぁ……自分の弱さを認め、改善することも立派な強さだ。
『あ、あのぉ……ちょっとよろしいでしょうか?』
「どうした、木偶の坊?」
『竜に対して木偶の坊ですか?!じゃあもういいです!』
「はぁ?テメェ如きに黙秘権が適応されてると勘違いしてんのか?」
『ひぃ……!わ、分かりました!言わせてもらいます!』
フィールの腰に携帯されていた剣の柄に手を添えた瞬間、ファブニはさっきの対応とは打って変わって、丁寧に腰を低くした。
『そもそも、勇者は強い存在であって、力のある存在ではないんです』
「はぁ?どういう意味だ?」
『かなり長くなりますが、お聞きになるでしょうか?』
「別に良いからさっさと話せ」
勿体ぶりやがって。そういうのが俺を腹立たせるんだよ。
ジワジワとリョーマの怒りという名の殺気が周囲に充満して来ていた。
『まず、勇者というのは勇気があれば、誰でもなれるものなのです』
ゆっくりとリョーマの顔色を伺いながら、黒竜はオドオドとしながら、口を開いた。
『しかし、無条件に勇気を持つなんて不可能。そのため、神は人間に神の加護を与えたのです』
神の加護。魔族と相対し、抗う者に与えられる一種の称号。
『人間を例えるならば無です。何者でもなく、何者にでもなれる者』
魔族を邪として、エルフや竜族を他とするとき、人間族は無になる。
『普通の人間は魔族に抗うことは出来ません。魔族の邪の影響を受けやすいためです』
無の存在では、有の存在である他の種族に対して、抗うことができない。
影響……受けるダメージが大きく、与えるダメージが軽減させる感覚に似ている。
『神の加護は聖です。唯一の魔族特攻の力です』
「つまり、神に勇者として認められれば、魔族に抗う力を手に入れられる。けど、それが勇者だからと強くない理由にはならねぇだろ?」
「そうだね。私もそう思うよ。それだけならば、人々に勇気を与える存在として、何か欠落してるよ」
『お二人はステータスを知っていますか?』
「「すてーたす?」」
ステータス。それは五段階に分かれる熟練度の具合で決まるもの。
一から五まであり、五は一般人が到達できる最大。しかし勇者は、この熟練度が七段階に分かれており、一般人よりも遥かに強くなれる、ということだ。
「なんだよ?」
おかしい。魔王の名前はリファマニのはず。駄女神からもそう聞いている。
「いつの魔王の話をしてるのか分からないんだけど?」
「はぁ?勇者ともあろう者が魔王の名前を知らねぇだと?」
リョーマたちはファブニを倒した森の近くに面している峡谷を抜けようと、亜魔人たちが出てきた森の方へと向かっていた。
「今の魔王の名前はリザドラだよ?」
「リザドラ?」
リザドラってたしか……。いや、そんなはずがない。こんなこと、認められるわけが無い。
「お前、名前は?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「早く言え」
もし、もし俺の予想が正しければ、こいつの名前は……。
「フィールだよ」
フィールだ。
「!!!!」
予想通りとはな。つまり、俺は、二世代前の世界に来たことになる。
駄女神から歴代の勇者の名前を聞いていた。こいつ、フィールは特に変わり者でたまたま覚えていただけだが……。
まさか、女だったとはな。予想外だ。
「はぁ……よりによってお前かよ」
「なにが?」
こいつは変わり者だ。それだけなら良い。だが、こいつは最大の欠点を持ってる。
「歴代最弱勇者、フィール」
「………………」
「通りで勇者の割にクソザコなわけか」
俺はあの劣悪の最低最悪の環境で育った影響か、他の奴らよりも強いことは知っている。
あのガキの頃のことがこんな風に役に立つとはな……皮肉なものだな。
「女だからって舐めてもらっちゃ困るよ?」
はぁ……自分の弱さを認め、改善することも立派な強さだ。
『あ、あのぉ……ちょっとよろしいでしょうか?』
「どうした、木偶の坊?」
『竜に対して木偶の坊ですか?!じゃあもういいです!』
「はぁ?テメェ如きに黙秘権が適応されてると勘違いしてんのか?」
『ひぃ……!わ、分かりました!言わせてもらいます!』
フィールの腰に携帯されていた剣の柄に手を添えた瞬間、ファブニはさっきの対応とは打って変わって、丁寧に腰を低くした。
『そもそも、勇者は強い存在であって、力のある存在ではないんです』
「はぁ?どういう意味だ?」
『かなり長くなりますが、お聞きになるでしょうか?』
「別に良いからさっさと話せ」
勿体ぶりやがって。そういうのが俺を腹立たせるんだよ。
ジワジワとリョーマの怒りという名の殺気が周囲に充満して来ていた。
『まず、勇者というのは勇気があれば、誰でもなれるものなのです』
ゆっくりとリョーマの顔色を伺いながら、黒竜はオドオドとしながら、口を開いた。
『しかし、無条件に勇気を持つなんて不可能。そのため、神は人間に神の加護を与えたのです』
神の加護。魔族と相対し、抗う者に与えられる一種の称号。
『人間を例えるならば無です。何者でもなく、何者にでもなれる者』
魔族を邪として、エルフや竜族を他とするとき、人間族は無になる。
『普通の人間は魔族に抗うことは出来ません。魔族の邪の影響を受けやすいためです』
無の存在では、有の存在である他の種族に対して、抗うことができない。
影響……受けるダメージが大きく、与えるダメージが軽減させる感覚に似ている。
『神の加護は聖です。唯一の魔族特攻の力です』
「つまり、神に勇者として認められれば、魔族に抗う力を手に入れられる。けど、それが勇者だからと強くない理由にはならねぇだろ?」
「そうだね。私もそう思うよ。それだけならば、人々に勇気を与える存在として、何か欠落してるよ」
『お二人はステータスを知っていますか?』
「「すてーたす?」」
ステータス。それは五段階に分かれる熟練度の具合で決まるもの。
一から五まであり、五は一般人が到達できる最大。しかし勇者は、この熟練度が七段階に分かれており、一般人よりも遥かに強くなれる、ということだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる