クズ勇者が伝説の英雄になるまで

パチ朗斗

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1章 クズ勇者の目標!?

クズ勇者、黒竜の話を聞く 2

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『問題は、熟練度が上がる時のステータス上昇に問題があるんです』

  熟練度が上がる時のステータス上昇は、基本的にランダムになっている。

  どれだけ修練したかで決まる。

『でも、勇者は関係ありません。ステータスの上昇は一定なのです、勇者は』

  上昇率が一定ということは、どれだけ努力しても強くならない。どれだけダラけても強くなれる。

  それが人類に希望を与える勇者の実態だ。

「その話は駄女神から聞いたことがあるが……本当だったんだな」

  俺の幼少期の努力はその話を聞いて、完全に無駄だったと感じた。

 こんな報われない存在だったんだ、勇者は。

「ま、俺には関係ねぇな。俺は勇者を超越し存在だからな」

  勇者の長所と一般人の長所。まさにいい所取りの存在がリョーマである。

『なので、多少の誤差はありますが、勇者に強いも弱いもないと言いたいのです。はい』

「なるほどな。あんなにグダグダ言ってて結局こいつが弱ぇ理由を聞いてねぇぞ」

「うんうん。この失礼な男にひと泡吹いて欲しいよ」

『まぁ、可能性は二つですかね』

『まず、熟練度が著しく低い。もしかしたら……三段階目ぐらいにしか到達していない可能性です』

「お前、どんぐらいだ?」

「………黙秘権を行使するよ」

「図星か?アハハハハハ!マジかよ!」

  その場で腹を抱えながら壮大に笑っていた。

「もぅ……それでもう一つは?」

『かなり低いと言うか……無いに等しいですが……あなたなら……あなただから可能性があると思うのです』

  今まで怯えた姿勢を見せ、どこかフワフワしていた雰囲気を纏っていた黒竜は、急に真剣なものとなった。

『フィール様は……体溜魔性障害だと』

「体溜魔性障害?なんだそれ?」

  リョーマはピンと来ていなかった。しかし、フィールの顔には影が掛かっていた。

「ん?なんか思い当たる節でもあんのか?」

「うん……まあ、ちょっとね」

  うっすらと笑みを浮かべ、周りを心配させまいと気丈に振る舞うその姿はまるで……。

「滑稽にも程があるな」

「え?」

「体溜かなんだか知らんがそれがなんだってんだ?」

「この病気はね……魔力が扱えなくなるの」

「魔力が?」

『これは……致命的なものです。魔力は体内でどんどん溜まります。しかし、放出口がないその魔力はいつか……』

「収まりきらなくなって……死んじゃうんだ」

  空気が急に重くなった。雰囲気も暗くどんよりとし、森もそれに合わせるかのように、薄暗くなっていた。

『はっきりと言って、戦えるだけでも凄いです。ふつうに生きてるのですら難しい病気ですから』

「はっ!どんな大層な理由かと思ったら所詮病気かよ」

 はぁ……。もっとスゲェ何かかと思ったが、そんな病気だとはな。

「病気を理由に弱いままで良いわけがねぇ。テメェは結局勇者の土俵にすら立ててねぇんだよ」

 それに、たかだか魔法が使えないだけで弱いとは剣士として恥だ。

 無能のそれだ。こいつに勇者は務まらない。

 人の希望を背負うだけの単純なもの。それすらもできない人間がいるとはな。

「お前みたいな腑抜け……初めて見たわ」

『そこまで言う必要はないんじゃないですか!この病気は魔法だって使えなくなり、体に魔力が溜まって死に至らしめるもの。何より……この病気は体を少しずつ蝕んでいき……体の筋力を衰退させるんです』

「じゃあ、まだそこまで行ってねぇんだろ?自分の足で立ってる。病気を理由に逃げてるだけなんだよ、この最弱勇者はよ!」

 思い通りにならねぇ……言うことを聞かねぇ……こんなにムカつくことがあって良いのか?いや、ダメだ。

 ザコなのに……吠えるだけしかできない無能で低能なゴミカスどもが。

「いいんだよ、ファブニ。彼の言う通りだ。私はまだ全然平気なのに、みんなが許してくれるから逃げてたんだ」

  その姿から元気は見られない。儚げに黒竜を見つめるその瞳には、どうも生気を感じられなかった。

「私の病気を詳しく知ってるならわかるでしょ?本当は立てないほど辛い病気なんだよ?だから大丈夫……」

「クソが……こんな世界、消滅しようが別に良いな」

「えっ?」

  フィールがリョーマに目線を合わせようと見上げた時、自分の目の前をなにか白く鋭いものが通った。

「この世界を守るテメェが邪魔だ」

「こ、これはどういうことかな」

  少し前までフィールの腰携帯されていた剣は、一瞬にして、フィール眼下……首元にあった。

「もう我慢する必要は無い。今解放してやるよ、その辛さから。俺は生命に対し、死を持って世界を救済する者………勇者だからな」
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