クズ勇者が伝説の英雄になるまで

パチ朗斗

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1章 クズ勇者の目標!?

クズ勇者、魔王に挑む 1

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「テメェ、逃げようとしてんのか?」

  誰、とは言わなかった。が、魔族はリョーマが誰に対して言ったのかを理解した。

  静かに殺気をリョーマへと向けた。

  空を見上げたままのリョーマは更に口を開いた。

「体が弱いからって、戦いたくないからって逃げんのか?テメェの状況が違っててもこうなったのか?」

『………我に言ってるのだろう?確かにそなたの言い分は分かる。だが、人間と魔族、平和に過ごせるなら……』

  魔王の言葉をリョーマは遮り、なおも喋り始める。

「テメェに力があっても同じ結果になったのか?魔族に何の被害もなく人間を蹂躙できる力があっても……」

  そう言い切ると目線を下げ、魔王を睨んだ。

『我には分からぬな。もし、リギルが死なずに済んだのなら……我に力があれば変わったかもしれぬな』

  リョーマは木にもたれ掛かるのを止め、静かに魔王の方に向かった。

  が、それを拒むように、後ろに居た魔族たちが魔王とリョーマの間に割って入った。

『貴様、魔王様に無礼を働きすぎだ。下手に出ればそうも傲慢な態度を取るなど、万死に値するぞ』

「テメェらは四天王の下についてる幹部だろ?」

『そうだ。我々は高貴なる四天王様の直々の配下。本来ならば貴様は既に死んでいてもおかしくないのだぞ』

「はっ!笑わせるな。テメェらごときに何が出来る?」

『本当に死にたいようだな?』

  口調も纏う雰囲気も冷静を装う魔族。だが、幹部や四天王はすぐにでもリョーマコイツを殺してやりたいという思いでいっぱいだった。

『りょ、リョーマ様。もう止めましょ?争う必要もないじゃないですか。なんでそんなに敵対視するのですか?』

「はっ?テメェの脳ミソは見せかけか?俺からすれば人間も魔族も、テメェ全員敵なんだよ、永遠にな。平和だかなんだか知らねぇが、俺はそんなのに従う気はねぇよ」

『それは宣戦布告か?』

  魔族たちが戦闘態勢に入った。

『リョーマ、と言ったか?なぜそこまでして他者を嫌うのだ?』

「話す義理はねぇ」

 たった一人の人間に負けるクソザコな魔族も、クズでゴミカスな空気が読めねぇ人間も、敵だ。

 俺の師匠だって人間の味方をするならば殺すまでだ。あんな事を言って、俺の敵になるならば、俺の憧れのままの師匠のまま殺してやる。

「リョーマ。いい加減にしてよ。何がしたいの?誰もが願っている平和が訪れようとしてるのに、なんで邪魔するの?」

  フィールの瞳には涙ぐんでいた。訴えるような眼差しにリョーマは耐えきれずに視線を逸らした。

 はっ。結局はあいつも人間だったって訳か。

 失望なんてしないさ。そもそもあいつに期待なんてしてなかった。

 自分の夢のために他人を平気で蹴落とすゴミ。

 俺が心を開いたところであいつらは変わらない。根本的な部分は人間ゴミなんだ。

 俺の周りにはいつも敵ばっかりだ。殺したくて手がうずくな。

 何よりも、ここで平和になっちまっては俺が勇者になれねぇ……合法的に敵を殺せなくなるんだよ。それはこの上なく困る。

「偽善ぶってねぇで本性を見せろよ?俺を殺したいんだろ?なぁ?」

『そうだな。だが、魔王様は人間との共存を望んでいるのだ。我々はそのご意志に沿うのみだ』

「そうかい。御託をどうも」

  リョーマは更に魔族たちとの距離を詰めた。

「俺に出来ないことなんてねぇんだよ」

 再確認した。フィールもファニも俺の敵だ。敵は殺さなければならない。

 二度と殺し損ねる事がないようにしなければな。

「陳腐な名前だが、お前らにはお似合いだ。『千剣の天泣』」

  この場に居る魔族たちの視界を埋めつくし、空を覆い尽くした魔剣。

  それらの刃は下を向き、落ちてきたらひとたまりもないであろう。

「最初からこうしていれば良かったな」

 これなら、簡単にフィールもファニも魔族も人間も殺せた。

 俺はもう人間にも魔族にも感情が移ることは無い。

 どうせ俺を見捨てるなら、俺は最初から何にも期待しない。

「さぁ、最初の一歩だ」

  リョーマは空に向け上にあげていた手を思い切り下にへと振り下ろし、それに合わせて空に浮かぶ魔剣は動きだした。


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