クズ勇者が伝説の英雄になるまで

パチ朗斗

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1章 クズ勇者の目標!?

クズ勇者、魔王と戦う

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『ゴフッ……』

  ハザマは自身の口を手で押えた。

  血まみれになった手を見たあと、前に視線を向けた。

  ゆっくりとこちらに近づくリョーマの姿は死神のようだった。

『魔王様、ご無事ですか?』

  膝をつき、今にも倒れそうな勢いだが、後ろにいるであろう魔王にそう聞いた。

『……あぁ。ハザマのおかげでな』

  申し訳なさそうに間を置いてそう言った。

『良かった。これで死ねるのであれば本望。出来ればここから離れていて欲しいのですがね』

「さて、残るゴミは四人か」

  魔王、側近のビランに幹部の一人。それにフィールも居た。ファニはと言うと、力無くずっと木の影で立ち尽くしていた。

  ここで行われる戦闘に全くの興味が無いように、ずっと地面を眺めていた。

『我、を、忘れ、るな!(削乱風)』

  手をリョーマの方にかざし、残る力の全てを放出した。

  この距離ではもう回避は不可能だろうと踏んでの一撃だった。だが、リョーマからすれば回避する必要すらなかった。

  リョーマはソウゾウの魔剣を何本か生成し、盾代わりに使い、その魔法を防いだ。

「言ったろ、俺は勇者だ。盾突く奴は誰であろうと、何がなんでも殺す。簡単には殺さねぇよ、テメェみたいに絶望してくれるのが一番嬉しいんだ、俺」

  優しく微笑むその顔は正しく狂気そのものだった。

  リョーマはあまりにも穏やかすぎた。周囲の魔族やフィールは恐怖すら覚えていた。

「まぁ、テメェじゃもう楽しめなさそうだし殺すけどな」

『待て!』

「あ"?ザコが口を挟むな」

『我を殺せ。元はと言えば我の責任。我が人間と対立したのが悪かった。だから今生きている奴らだけでも助けてくれ』

「そう言うのが一番うぜぇんだよ。だいたいテメェは何がしたい?」

  リョーマはハザマの方をチラッと見たあと、核を的確に刺し、ハザマは静かに息絶えた。

『ビラン、シビリア。こんな我を許してくれ』

『何を急におっしゃ……っ』

『何をしたんですかっ』

  二人は急に意識が無くなり、力無く地面に倒れた。体を支えるものが無くなり、魔王は少しふらついた。

  しかし、なんとか体勢を整えた。

「お前はさっきから何やってんだよ、フィール。結局何もせずに傍観か?」

「…………」

「はっ!まぁテメェが何をしようが俺には関係ない」

『我が死んでも貴様を殺す』

「それは大層なこったな」

  魔王と勇者の勝負。長引くと思えたその勝負は呆気なく幕を閉じた。

『まさか、これほどまでとはな』

  片腕と片足を切り落とされ、その場に倒れていた。

「魔王なだけはあるな」

  頬から血が垂れた。かすり傷だった。

『我は魔王だぞ?二回戦目といこう』

  魔王の体から眩しい光が漏れて、次の瞬間には今までの魔王はいなく、ガタイの良い魔族がいた。

『かなり短い時間だが、全盛期を凌ぐ力を感じる。我は魔王として悔いなどはもうない。さぁ、存分に闘い合おう殺り合おうか』

「そう来ねぇと面白くねぇよな!」

「………もうちょっとだから……待ってて」

  フィールは目を閉じ、胸元で両手を合わせ、祈りを捧げるかのような姿勢をとっていた。
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