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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、苦戦する
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「チッ。面倒な野郎だな」
魔法と接近戦を巧みに使い、リョーマは防戦一択を強いられていた。
なんとか、現状を打開しなければな。魔力の残量はまだ半分程度。多少の無理はできるな。
「『魔術領域』」
半透明の半球がリョーマと魔王の周りを囲った。
「『魔素操作·多重雷閃鳴動』」
地面に両手を付けながら、リョーマは唱えた。
半透明の半球内に無数の魔法陣が浮かぶ。その魔法陣の一つから轟音をたてながら目に追えぬほど素早い攻撃が飛ぶ。
魔王の頬を掠め、血が垂れた。
『まともに受けたら風穴で体が原形を保てないな』
「消えろ」
その言葉を合図に魔法陣から轟音を響かせ無数の光の線が飛び交った。
リョーマも自身の周りに結界を張りその攻撃を凌いだ。
一発当たるだけで結界は割れるため、何重にも張った。
「お前はどのくらい持つかな」
『貴様こそ。この量の魔法と空間の魔素の操作、そしてこの空間自体の維持に相当魔力を消費してるのではないか?』
魔王も周りに結界を張り、難を逃れていた。
「まだ全然余裕だ」
リョーマは手を前に突き出し、魔法陣を構築した。
「『削乱風』『極縮火炎球群』『黒装魔槍』」
『っ………それはまさか!』
手のひらには削乱風。頭の後ろの方には数多くの極縮火炎球群。そして、肩のあたりにはソウゾウの魔剣ほどの大きさで、本来よりも小さめの黒装魔槍。
「これで死ねるなら本望だろ?」
かなりキツイな。意識が遠のいていく感覚だ。魔力を一気に使いすぎた。
このままだとゴミ共を処分する前に倒れちまう。
リョーマから三つの魔法が同時に放たれる。
雷閃鳴動を防ぐのがやっとの状態での追加攻撃。容赦の欠片もない追い打ちだ。
『(魔術反転)』
魔王が指を鳴らすとリョーマから放たれた三つの魔法は動かなくなり、消滅した。
「…………」
どうなってる?なぜ魔法が消えた?こんなまほう聞いたことがないぞ。
『これで自由に動ける』
半透明の球体は残っているが、周囲を覆っていた魔法陣は消えていた。
なぜ消えない魔法もあるんだ。俺の魔剣も形を保てないでいる。
『貴様の魔法は我を、我々を愚弄しているのだ。その罪は重いぞ』
「……なるほどな」
リョーマは何かに納得した様子だった。
「まさか魔族の魔法を使えなくするとはな」
『貴様は我の仲間の力に頼りすぎていたのだ。それが最大の弱点とも知らずにな』
魔王は魔剣を生成し、一気にリョーマとの距離を詰める。
「残念だが……弱点にはならねぇよ」
『くっ……!』
リョーマの手に握られているのは、木の枝だった。
「持ち歩いてて良かったぜ」
『そんな棒きれで我の攻撃を止めるだと……!!』
「テメェもさっさと死んでくれよ」
『我が死のうとも貴様は殺す』
(残り一分二分程度しか持たぬ。だが、良い時間稼ぎは出来ただろう。我の魔王としてすべきことは全てやった。後悔はない)
魔剣と木の枝が激しく何度も打ち合った。
「もっと俺を楽しませくれよ!」
リョーマは木の枝を器用に持ち替えながら魔王に連撃を浴びせる。
『我を……舐めるな!』
より一層の魔王の振る一撃一撃に力が入った。
魔法と接近戦を巧みに使い、リョーマは防戦一択を強いられていた。
なんとか、現状を打開しなければな。魔力の残量はまだ半分程度。多少の無理はできるな。
「『魔術領域』」
半透明の半球がリョーマと魔王の周りを囲った。
「『魔素操作·多重雷閃鳴動』」
地面に両手を付けながら、リョーマは唱えた。
半透明の半球内に無数の魔法陣が浮かぶ。その魔法陣の一つから轟音をたてながら目に追えぬほど素早い攻撃が飛ぶ。
魔王の頬を掠め、血が垂れた。
『まともに受けたら風穴で体が原形を保てないな』
「消えろ」
その言葉を合図に魔法陣から轟音を響かせ無数の光の線が飛び交った。
リョーマも自身の周りに結界を張りその攻撃を凌いだ。
一発当たるだけで結界は割れるため、何重にも張った。
「お前はどのくらい持つかな」
『貴様こそ。この量の魔法と空間の魔素の操作、そしてこの空間自体の維持に相当魔力を消費してるのではないか?』
魔王も周りに結界を張り、難を逃れていた。
「まだ全然余裕だ」
リョーマは手を前に突き出し、魔法陣を構築した。
「『削乱風』『極縮火炎球群』『黒装魔槍』」
『っ………それはまさか!』
手のひらには削乱風。頭の後ろの方には数多くの極縮火炎球群。そして、肩のあたりにはソウゾウの魔剣ほどの大きさで、本来よりも小さめの黒装魔槍。
「これで死ねるなら本望だろ?」
かなりキツイな。意識が遠のいていく感覚だ。魔力を一気に使いすぎた。
このままだとゴミ共を処分する前に倒れちまう。
リョーマから三つの魔法が同時に放たれる。
雷閃鳴動を防ぐのがやっとの状態での追加攻撃。容赦の欠片もない追い打ちだ。
『(魔術反転)』
魔王が指を鳴らすとリョーマから放たれた三つの魔法は動かなくなり、消滅した。
「…………」
どうなってる?なぜ魔法が消えた?こんなまほう聞いたことがないぞ。
『これで自由に動ける』
半透明の球体は残っているが、周囲を覆っていた魔法陣は消えていた。
なぜ消えない魔法もあるんだ。俺の魔剣も形を保てないでいる。
『貴様の魔法は我を、我々を愚弄しているのだ。その罪は重いぞ』
「……なるほどな」
リョーマは何かに納得した様子だった。
「まさか魔族の魔法を使えなくするとはな」
『貴様は我の仲間の力に頼りすぎていたのだ。それが最大の弱点とも知らずにな』
魔王は魔剣を生成し、一気にリョーマとの距離を詰める。
「残念だが……弱点にはならねぇよ」
『くっ……!』
リョーマの手に握られているのは、木の枝だった。
「持ち歩いてて良かったぜ」
『そんな棒きれで我の攻撃を止めるだと……!!』
「テメェもさっさと死んでくれよ」
『我が死のうとも貴様は殺す』
(残り一分二分程度しか持たぬ。だが、良い時間稼ぎは出来ただろう。我の魔王としてすべきことは全てやった。後悔はない)
魔剣と木の枝が激しく何度も打ち合った。
「もっと俺を楽しませくれよ!」
リョーマは木の枝を器用に持ち替えながら魔王に連撃を浴びせる。
『我を……舐めるな!』
より一層の魔王の振る一撃一撃に力が入った。
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