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1:同窓会のおさそい
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「御社を希望致しましたのは私が大学時代に培った経済知識を活かせると考え応募いたしました。御社は銀行を始め、保険、証券、クレジットと様々な金融分野を網羅しておりグループでのシナジー効果も…」
初夏の暑い中でも無理してスーツ着て面接に臨む俺かっけぇ…
携帯電話のバイブが鳴る
今まではゲームやSNS関連の通知がメインだったが最近は大体不採用通知の「お祈りメール」が多い
「落ちたの何社目だろう…」
売り手市場にもかかわらず書類選考、筆記試験で落ちたのを入れると既に40社を超えるか?
最近は会社のランクも落としたおかげか面接までは行きつくようになったがまるで結果が出ない
大学の知り合いは何社も内定をもらっている事を考えると俺の何かがそうさせているのだろうか?
来年は卒業、親からも「内定は出たのか?来年4月からは家賃出さんぞ」と脅される始末
前門の企業後門の親とはよく言ったものだ、逃げ場がない
東京都内ともなれば大学入学と同時に借りた築40年のボロアパートですら親の援助が無ければ払っていくのはキツイ
このままだと来年からはレッツフリーターになってしまう
最近は親からの連絡が何度も入ってくるので憂鬱だ…
「帰ってまたエントリーする企業探すか、大学の紹介はほぼ全滅だし最後は教授のコネで中小企業行きになるのは避けたい」
もし次東日本大震災並みの地震が東京に来たら確実に倒壊するであろうアパートは正直出たいがフリーターになってしまうと難しい話
でも就職が決まらなければアパートも出られないと何もかも就活が悪い
アパートの郵便受けはいつもポスティングチラシが入れたい放題で1週間もほっておくと満杯になるが最近は企業からのお祈り封筒も来るので2~3日で取り出すようにしている
大半がチラシや電気、ガス、水道の検針が多いが見慣れない封筒があった
何故か母親が差出人である
「電話してくりゃいいのに…って最近俺が出ないからか…だから何か送ったのか?」
中をビリビリや破るとまた封筒が入っていて宛名は俺、差出人は「竹久 瞳(たけひさ ひとみ)」となっていた
「竹久瞳?えーっと…」
何か聞き覚えのある凄く懐かしい名前のようなのに思い出せない
とにかく中身を見ようと今度は封筒を丁寧にカッターで開ける
「5年2組同窓会のお知らせ 8月15日 18時 場所 洋風居酒屋サンブーカ 住所:〇〇町」
同窓会の案内だ
しかも5年2組って
これを見て昔の記憶も竹久瞳についても一気に甦る
俺は2歳から小学校5年生まで九州の田舎の方にいた
6年生からは父親の転勤で東京に引っ越してしまったが俺の性格や考え方などを形成してくれた時期だと思う
東京に来てすぐクラスに馴染む前に担任が私用で休みとなり一日中クラスの自主学習日があったのだが、その日与えられた宿題をこなさず遊ぶ輩が数人いた
最初は数人だったが段々そいつらに触発され、男子の大半が最後の方は教室の机を某アドベンチャー番組のステージに見立てて連続で飛んでいく遊びにまで発展していた
次の日俺はクラス朝礼で誇らしげに教師にその様を訴え、首謀者だった数人はこっぴどく怒られることになった
九州にいたころは「悪いことをしたら親や教師に言う」これは極々当たり前で、むしろ悪いことを発見し報告したものは褒められさえした
”チクリマン”
次の日から俺のあだ名がそうなった
幸いいじめ的なものは起きず、拾う神(友人)もあったので特にいやなエピソードにならなかったが、自分がやったことは間違っていないと思えたし、九州時代に培われた自身の根底にある真面目さを形成してくれたとむしろ感謝している
そんなわけでこの同窓会のお誘いはかなり嬉しかった
東京には高校3年生まで家族でいたが再び父親は転勤
俺は既に大学が決まっており、弟は中学3年生だったので一人暮らしで今に至る
流石に一人暮らし先の住所まで探すのは難しいだろうから親もとへ招待状を送ったのだろう
それにしても普通同窓会は卒業生年次が多いから5年生とは珍しいとは思いつつ竹久瞳は俺の初恋に近い女の子なのでかなり、、、いやミラクル嬉しい
元々家が近く母親のパート先が同じだった頃もあり何度かお互いの家を行き来したこともある
当時は肩ぐらいまでの髪に猫のようなパッチリした目が印象的でクラスの他の女の子と違い田舎臭さの無い綺麗な女の子だったのを覚えている
小学生なので好きだとか付き合うとかは考えたことは無かったが一度だけバレンタインチョコを貰ったことがあり淡い恋心を抱いていた
あれから10年?か…相当いやミラクル綺麗になっているに違いないだろうな
正直名前や顔をすっかり忘れてしまったクラスメイトもいるが特に中の良かった面々は覚えている
村野大輔(むらのだいすけ)
脇田 明(わきたあきら)
山田 宋(やまだそう)
この3人が特に仲が良かった
大ちゃんは学年1足が速く、身長も大きく顔だちも良い正にリーダー的存在だった
ワッキーは本当に優しくて、小学生なのに気遣いが出来てて彼に性格面は凄く影響を受けたと思う
そうちゃんは母子家庭で今思えば大変だろうにお母さんも彼も常に明るくて元気にさせられた
他にも小暮(こぐれ)&小隈(こぐま)のコグリン、コグマリンコンビやドッチボールが強かったミッチーこと三矢(みつや)
なぜか俺につきまとっていた女子の吉持さんや小学生女子なのに身長が既に170近くあって大人っぽかった雨川さんなど思い出せるだけでクラスの半分くらいはいる
「うっわ~楽しみだ~、それに竹久さんとかめっちゃ会いたい!もしかしたらワンチャン恋の芽生えとか…」
思わず期待に胸が高鳴ってしまう
バレンタインチョコくれたぐらいだから当時の俺の印象は悪くないはずだ!
俺はさっそく親へ電話をして夏は実家に帰らず九州へ行くことを告げる
さすがに就職も決まってない手前小言はいわれたが、手紙を送った時点で何かしら察してはいたのだろう
まだ同窓会には一か月ほど余裕があるので俺はバイトを長めに入れ軍資金を貯めようと思った
それからは不思議なものだ就活の面接にもハリが出たのか?1次を突破したり、内定になりそうなところがチラホラ出始めた
初夏の暑い中でも無理してスーツ着て面接に臨む俺かっけぇ…
携帯電話のバイブが鳴る
今まではゲームやSNS関連の通知がメインだったが最近は大体不採用通知の「お祈りメール」が多い
「落ちたの何社目だろう…」
売り手市場にもかかわらず書類選考、筆記試験で落ちたのを入れると既に40社を超えるか?
最近は会社のランクも落としたおかげか面接までは行きつくようになったがまるで結果が出ない
大学の知り合いは何社も内定をもらっている事を考えると俺の何かがそうさせているのだろうか?
来年は卒業、親からも「内定は出たのか?来年4月からは家賃出さんぞ」と脅される始末
前門の企業後門の親とはよく言ったものだ、逃げ場がない
東京都内ともなれば大学入学と同時に借りた築40年のボロアパートですら親の援助が無ければ払っていくのはキツイ
このままだと来年からはレッツフリーターになってしまう
最近は親からの連絡が何度も入ってくるので憂鬱だ…
「帰ってまたエントリーする企業探すか、大学の紹介はほぼ全滅だし最後は教授のコネで中小企業行きになるのは避けたい」
もし次東日本大震災並みの地震が東京に来たら確実に倒壊するであろうアパートは正直出たいがフリーターになってしまうと難しい話
でも就職が決まらなければアパートも出られないと何もかも就活が悪い
アパートの郵便受けはいつもポスティングチラシが入れたい放題で1週間もほっておくと満杯になるが最近は企業からのお祈り封筒も来るので2~3日で取り出すようにしている
大半がチラシや電気、ガス、水道の検針が多いが見慣れない封筒があった
何故か母親が差出人である
「電話してくりゃいいのに…って最近俺が出ないからか…だから何か送ったのか?」
中をビリビリや破るとまた封筒が入っていて宛名は俺、差出人は「竹久 瞳(たけひさ ひとみ)」となっていた
「竹久瞳?えーっと…」
何か聞き覚えのある凄く懐かしい名前のようなのに思い出せない
とにかく中身を見ようと今度は封筒を丁寧にカッターで開ける
「5年2組同窓会のお知らせ 8月15日 18時 場所 洋風居酒屋サンブーカ 住所:〇〇町」
同窓会の案内だ
しかも5年2組って
これを見て昔の記憶も竹久瞳についても一気に甦る
俺は2歳から小学校5年生まで九州の田舎の方にいた
6年生からは父親の転勤で東京に引っ越してしまったが俺の性格や考え方などを形成してくれた時期だと思う
東京に来てすぐクラスに馴染む前に担任が私用で休みとなり一日中クラスの自主学習日があったのだが、その日与えられた宿題をこなさず遊ぶ輩が数人いた
最初は数人だったが段々そいつらに触発され、男子の大半が最後の方は教室の机を某アドベンチャー番組のステージに見立てて連続で飛んでいく遊びにまで発展していた
次の日俺はクラス朝礼で誇らしげに教師にその様を訴え、首謀者だった数人はこっぴどく怒られることになった
九州にいたころは「悪いことをしたら親や教師に言う」これは極々当たり前で、むしろ悪いことを発見し報告したものは褒められさえした
”チクリマン”
次の日から俺のあだ名がそうなった
幸いいじめ的なものは起きず、拾う神(友人)もあったので特にいやなエピソードにならなかったが、自分がやったことは間違っていないと思えたし、九州時代に培われた自身の根底にある真面目さを形成してくれたとむしろ感謝している
そんなわけでこの同窓会のお誘いはかなり嬉しかった
東京には高校3年生まで家族でいたが再び父親は転勤
俺は既に大学が決まっており、弟は中学3年生だったので一人暮らしで今に至る
流石に一人暮らし先の住所まで探すのは難しいだろうから親もとへ招待状を送ったのだろう
それにしても普通同窓会は卒業生年次が多いから5年生とは珍しいとは思いつつ竹久瞳は俺の初恋に近い女の子なのでかなり、、、いやミラクル嬉しい
元々家が近く母親のパート先が同じだった頃もあり何度かお互いの家を行き来したこともある
当時は肩ぐらいまでの髪に猫のようなパッチリした目が印象的でクラスの他の女の子と違い田舎臭さの無い綺麗な女の子だったのを覚えている
小学生なので好きだとか付き合うとかは考えたことは無かったが一度だけバレンタインチョコを貰ったことがあり淡い恋心を抱いていた
あれから10年?か…相当いやミラクル綺麗になっているに違いないだろうな
正直名前や顔をすっかり忘れてしまったクラスメイトもいるが特に中の良かった面々は覚えている
村野大輔(むらのだいすけ)
脇田 明(わきたあきら)
山田 宋(やまだそう)
この3人が特に仲が良かった
大ちゃんは学年1足が速く、身長も大きく顔だちも良い正にリーダー的存在だった
ワッキーは本当に優しくて、小学生なのに気遣いが出来てて彼に性格面は凄く影響を受けたと思う
そうちゃんは母子家庭で今思えば大変だろうにお母さんも彼も常に明るくて元気にさせられた
他にも小暮(こぐれ)&小隈(こぐま)のコグリン、コグマリンコンビやドッチボールが強かったミッチーこと三矢(みつや)
なぜか俺につきまとっていた女子の吉持さんや小学生女子なのに身長が既に170近くあって大人っぽかった雨川さんなど思い出せるだけでクラスの半分くらいはいる
「うっわ~楽しみだ~、それに竹久さんとかめっちゃ会いたい!もしかしたらワンチャン恋の芽生えとか…」
思わず期待に胸が高鳴ってしまう
バレンタインチョコくれたぐらいだから当時の俺の印象は悪くないはずだ!
俺はさっそく親へ電話をして夏は実家に帰らず九州へ行くことを告げる
さすがに就職も決まってない手前小言はいわれたが、手紙を送った時点で何かしら察してはいたのだろう
まだ同窓会には一か月ほど余裕があるので俺はバイトを長めに入れ軍資金を貯めようと思った
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