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新たなる道
隣街
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休憩なしで走る事、30分。流石に疲れた。まるで部活の外周だ。ただ平、均持続は40キロちょいのハイペースだが。
「少し休憩」
俺は木陰に座り込む。そこで少し周りに誰かいないか気配を探ってみるが、誰も引っ掛からなかった。
ちゃんと振り切ったようだ。あの赤目の少女を。
「ッ!」
俺は痛みに耐える声を漏らす。痛みがする所を見ると、そこには歯形とダラダラと流れている血があった。
「たく、あのヤロー噛みやがって」
俺はラウラの顔を思い出しながら言う。
ゴブリン亜種の首を飛ばした後、直ぐにこれに気づいた。最初はゴブリンかと思ったが、歯形が付いている腕を見てそれは違うと分かった。
もし、ゴブリンが俺に一矢報いて俺の腕に噛みついたなら歯形は右腕に付いているはず。しかし歯形は左腕に付いている。 左腕に傷を負う時があっと言えばそれは、ラウラがしがみついてた時だ。しかし俺はその時全く痛みを感じなかった。なら違うじゃないかと、思うだろうけど歯形を再度見たとき、2本の離れた歯形が周りよりくっきり残ってる事に気づいて、ラウラだと確信した。
「助けてやった奴の腕を食うなんて、なんて奴だ」
思わずそんな恩着せがましい言葉が出てしまう。
「さて、あんまり休んでいても追い付かれるかもしれないから先に行こう」
全然全く休んでいないのに、自然とそんな言葉が口から漏れる。
腰を上げて今度はゆっくりのんびり歩いた。口には出していても、実際には全く警戒していない。ラウラの気配がいっさいがっさい感じないから。
そこから歩く事20分ほどで街についた。
モンスターを狩りながら行く予定だったのに、クソガキのせいで予定がずれてしまった。
「…………換金するために街に寄ったんだけど、換金するほど魔石がたまってねぇんだよな」
俺は空を見て今の時刻を推測する。
「昼前か?」
太陽は真上の少し手前にある。
「……一狩りしてから飯にしようかな。……いや、面倒だからいいや」
マラソンで疲れたから狩りに行くのはやめにした。
「しょうがない、ギルドにでも行って換金しよう」
俺は道行く人にギルドの場所を教えて貰い無事ギルドに到着したのだが……。
「すいません。魔石の換金は本ギルド登録者のみで、お客様の様に他のギルドに登録されてる方はちょっと……」
受付の人が言葉を濁す。
ギルドに入り、受けつけで魔石を換金しに来たと言ったら、冒険者カードの掲示を求められ、そして出したらそう言われた。
「そう……知らなかったわ。じゃあいいや」
俺のそのやり取りを見ていた1人の冒険者が口を開ける。
「ハッハハ!! あんちゃん災難だったな! それにしてもそんな常識を知らないなんてビギナーか?」
イエス、アイアム。
「昨日登録したばっかなんでな」
「そうか。なら俺が特別に買ってやろうか? 登録したばっかだと大変だろぅ?」
……気前がいいな。まあ、何かやられたらやり返せばいいか。
周りにいる冒険者の目や動きでこのおっさんが何かしようとしてるのは分かってる。
目をそらす奴もいればニヤニヤと面白がってる奴もいる。
「ああ、悪いな。こんだけだ」
俺はサックバックに手を突っ込み、今ある全ての魔石をその男がいるテーブルに出した。
ゴブリン亜種の魔石が約100個。
「おお、よくもまぁ、こんな弱小モンスターの魔石を集めたもんだな。尊敬するぜ」
「そりゃあどうも」
うっせぁなぁカスが。さっさと金を寄越せ。じゃねぇと脳みそ吹っ飛ばすぞ。
「そうだぁ~……全部で1000ってところだな」
「ああ?」
その額の低さに思わず不満の声が漏れる。
「ん? んだぁ? 文句あんのかよ? こっちはわざわざ買い取ってやるって言ってるんだぜぇ」
「……なら――」
「ならいい、なんて言うなよ。商品を出した時点でお前はこれを売ったんだ。魔石は俺が貰う。ほら代金だ」
そう言い男は魔石を全部自分のバックに詰め込み、そしてお札を財布から1枚だし机に置く。
「…………」
俺はその札を手に取り―――
「フガッ!!」
―――男の口に突っ込んだ。
男はすぐさまそれを吐き出す。
「調子乗るんじゃねぇぞビギナーが!!」
そして俺の胸ぐらを片手で掴みあげる。俺の両足は地面から離れた。俺は不適に頬を緩めるのであった。
「少し休憩」
俺は木陰に座り込む。そこで少し周りに誰かいないか気配を探ってみるが、誰も引っ掛からなかった。
ちゃんと振り切ったようだ。あの赤目の少女を。
「ッ!」
俺は痛みに耐える声を漏らす。痛みがする所を見ると、そこには歯形とダラダラと流れている血があった。
「たく、あのヤロー噛みやがって」
俺はラウラの顔を思い出しながら言う。
ゴブリン亜種の首を飛ばした後、直ぐにこれに気づいた。最初はゴブリンかと思ったが、歯形が付いている腕を見てそれは違うと分かった。
もし、ゴブリンが俺に一矢報いて俺の腕に噛みついたなら歯形は右腕に付いているはず。しかし歯形は左腕に付いている。 左腕に傷を負う時があっと言えばそれは、ラウラがしがみついてた時だ。しかし俺はその時全く痛みを感じなかった。なら違うじゃないかと、思うだろうけど歯形を再度見たとき、2本の離れた歯形が周りよりくっきり残ってる事に気づいて、ラウラだと確信した。
「助けてやった奴の腕を食うなんて、なんて奴だ」
思わずそんな恩着せがましい言葉が出てしまう。
「さて、あんまり休んでいても追い付かれるかもしれないから先に行こう」
全然全く休んでいないのに、自然とそんな言葉が口から漏れる。
腰を上げて今度はゆっくりのんびり歩いた。口には出していても、実際には全く警戒していない。ラウラの気配がいっさいがっさい感じないから。
そこから歩く事20分ほどで街についた。
モンスターを狩りながら行く予定だったのに、クソガキのせいで予定がずれてしまった。
「…………換金するために街に寄ったんだけど、換金するほど魔石がたまってねぇんだよな」
俺は空を見て今の時刻を推測する。
「昼前か?」
太陽は真上の少し手前にある。
「……一狩りしてから飯にしようかな。……いや、面倒だからいいや」
マラソンで疲れたから狩りに行くのはやめにした。
「しょうがない、ギルドにでも行って換金しよう」
俺は道行く人にギルドの場所を教えて貰い無事ギルドに到着したのだが……。
「すいません。魔石の換金は本ギルド登録者のみで、お客様の様に他のギルドに登録されてる方はちょっと……」
受付の人が言葉を濁す。
ギルドに入り、受けつけで魔石を換金しに来たと言ったら、冒険者カードの掲示を求められ、そして出したらそう言われた。
「そう……知らなかったわ。じゃあいいや」
俺のそのやり取りを見ていた1人の冒険者が口を開ける。
「ハッハハ!! あんちゃん災難だったな! それにしてもそんな常識を知らないなんてビギナーか?」
イエス、アイアム。
「昨日登録したばっかなんでな」
「そうか。なら俺が特別に買ってやろうか? 登録したばっかだと大変だろぅ?」
……気前がいいな。まあ、何かやられたらやり返せばいいか。
周りにいる冒険者の目や動きでこのおっさんが何かしようとしてるのは分かってる。
目をそらす奴もいればニヤニヤと面白がってる奴もいる。
「ああ、悪いな。こんだけだ」
俺はサックバックに手を突っ込み、今ある全ての魔石をその男がいるテーブルに出した。
ゴブリン亜種の魔石が約100個。
「おお、よくもまぁ、こんな弱小モンスターの魔石を集めたもんだな。尊敬するぜ」
「そりゃあどうも」
うっせぁなぁカスが。さっさと金を寄越せ。じゃねぇと脳みそ吹っ飛ばすぞ。
「そうだぁ~……全部で1000ってところだな」
「ああ?」
その額の低さに思わず不満の声が漏れる。
「ん? んだぁ? 文句あんのかよ? こっちはわざわざ買い取ってやるって言ってるんだぜぇ」
「……なら――」
「ならいい、なんて言うなよ。商品を出した時点でお前はこれを売ったんだ。魔石は俺が貰う。ほら代金だ」
そう言い男は魔石を全部自分のバックに詰め込み、そしてお札を財布から1枚だし机に置く。
「…………」
俺はその札を手に取り―――
「フガッ!!」
―――男の口に突っ込んだ。
男はすぐさまそれを吐き出す。
「調子乗るんじゃねぇぞビギナーが!!」
そして俺の胸ぐらを片手で掴みあげる。俺の両足は地面から離れた。俺は不適に頬を緩めるのであった。
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