~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭

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新たなる道

【迷宮】続き

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 「ソラ君は、戦闘に入ると人格が変わるんですか?」

 モンスターも人も、生き物の気配が全くない迷宮85層で俺とアローラは横に並んで歩いている。

 「別にそういうわけ――」

 「じゃない」と否定する言葉が口から出るを内なる自分が防ぐ。

 「――でもなくもないかもしれなくもないかもしれない」

 ……なんか、早口言葉みたいになったな。

 「結局それはどっちなんですか?」

 その謎の呪文をアローラは既に解読するのを諦めていた。

 「分からないって事だよ」

 実際それが真実だ。ああいう風に狂人になる事だってあるし、相手が相手なら真面目にやる事だってある。
 つまり……適材適所だ。臨機応変だ。

 「ああ、そうそう」

 思い出した様に声をあげる。いや、実際思い出したんだけど……言い忘れた事を。

 「なんですか?」

 「迷宮の案内はすべてアローラ任せだから」

 「え?」

 「アローラはただ足を止めずにずっと次なる階層を目指して歩いて。モンスター出てきても決して足を止めないで」

 「う~ん……よく分かりませんが分かりました♪」

 一瞬考えアローラはそう答えを導きだした。

 86階層に行くと、早速モンスターが襲って来た。

 「足を止めるな!」

 モンスターを見て足を止めそうになったアローラに強く言った。

 無数に迫って来るモンスターに対して俺は戦闘を開始する。

 さっき作った投げナイフをモンスターむ向かって投げる。これは本当だたっら最初の戦闘で使う予定だったのだが、思いのほか数が多くて使うのを忘れてしまった。無属性魔法で作った物は常に大気から魔力を吸われている。だから手元から離れたら直ぐに消えてしまう。直ぐと言ってもその物を生成するのに使った魔力の量によるが。

 無数の投げナイフは全てモンスターの心臓部である魔石がある所に向かう。それは人間でも同じ重要な部分。左胸だ。人間の左胸には心臓がある。モンスターもそれと同じように左胸に心臓の役割をしている魔石がある。

 ドシュッ

 そんな効果音と共にナイフが貫通する。モンスターをその数秒後に黒い靄となって消えていく。そしてそこには綺麗に真っ二つになった魔石だけが残る。

 「さて、ここからが本番だ」

 落ちている魔石を素早く回収する。そして次の行動に移る。それは――

 「え!? ちょ、ソラ君、なにやってるんですか!? 」

 アローラは俺の行動を見て目を見開いて驚いている。

 ――迷宮内にある壁を全て踏み台にし、高速でアローラの周りを巡回だ。

 もちろん、これは遊びだ。アローラに襲いかかるモンスターを、俺が扇風機の羽の様に切り刻むのだ。

 アローラを中心に半径2メートルの範囲を守備している。

 「アローラは気にせず、足を動かしてくれ。モンスターが近づいてきても、足を動かし続けるんだぞ」

 その半径2メートルを越えたモンスターは微塵切りの刑だ。

 86階層にもなると、やはりモンスターの出現は高い。最初のモンスターを倒してからまだ1分も経っていないのに、もう結構な量が来ている。

 「さてと、楽しく狩りをさせて頂きますか」

 アイスソードを作りアローラに向かってくるモンスターを倒す。因に、向かってくるモンスターの中で俺を襲おうとしてくる奴はいない。当然だ。見えていない物を認識して攻撃するのは不可能なのだから。

 今の俺の速さはこの程度のレベルのモンスターがついてこれるレベルじゃない。認識すら出来ない速さ。つまり今、モンスターの目に移ってるのは迷宮86階層を歩いてるか弱そうな少女、ただ1人だけだ。

 アローラに襲いかかるモンスターは次々と殺られる。まるで見えないバリアがある様に。何十匹か殺られた所で逃げるモンスターも現れてくる。しかし、その面が本当に面白い。まるであり得ない化け物でも見たように、目を見開いて驚いたあとに、瞬時に方向転換し血相をかいて逃げていく。

 アローラも最初は目の前のモンスターがいきなり消える事に驚いてビクビクしながら歩いていたが、数分経つとまるでピクニックに行くような軽い足取りで前進しだした。

 「フッフ~ン♪ 」

余裕持ちすぎだろ……。

そう思ったが決して口には出さなかった。
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