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中庭にて
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婚約交渉成立の翌日、エレオノーラはフレデリクに会いたくて中庭で本を読んでいた。そこにカールが、
「あ、いたいた、エレオノーラ殿。」
と声をかけ、続いてフレデリクが不安そうに聞く。
「エレオノーラ殿、ご機嫌いかがですか?昨日はいささか強引に結婚を申し込みましたが、気が変わっておられないか、心配で探しに来ました。」
「フレデリク様、私には夢のような嬉しいお話です。それに、フレデリク様は、破産しそうな貴族が娘との婚約を申し込んで来られた時に、領地経営コンサルタントをその家に派遣して、その家を救ったというお話を、昨日あの後聞きましたの。私、フレデリク様が素晴らしい方だと昨夜改めて思っていました。」
フレデリクは破顔した。カールが、
「そうです、それは何度かありました。経済的援助を狙った貴族家が娘との結婚を持ちかけて来たのですが、自分が断っても、すぐに他の金持ちに娘を売りに行くだろうと考えたフレデリクが、領地経営コンサルタントを派遣したのです。その貴族の家が黒字化に成功すると、だんだん噂が広まり、あちこちからお呼びがかかりました。まだフレデリクの父上の前公爵様がご存命の時でしたが、全てフレデリクの考えです。そのことで国王陛下にもお褒めいただきましたよね、フレデリク。」
「そうだった。陛下は、国ができないことをやってくれたと、私に言ってくださいました。あんなことが、エレオノーラ殿を喜ばせるんですね。」
「はい、さすがフレデリク様だと思いました。でも私、フレデリク様のお母様が、国王陛下の妹君だと昨日初めて知ったのです。そんなことも知らなかった私が、公爵夫人になれるとはとても思えなくて。」
「そんなこと、自分より上だけ覚えておけば良いんですから簡単ですよ。幸いにも、我が家は公爵家の筆頭ですから、上から国王陛下、王妃殿下、王太子殿下。王弟殿下、王弟妃殿下。王弟殿下にお子様はいらっしゃらないので、以上です。」
「ルドヴィク国王陛下、ベアトリクス王妃殿下、フェルディナンド王太子殿下、エルンスト王弟殿下、リルディス王弟妃殿下ですね。」
「そうです、完璧じゃないですか。」
「なんとかなる気がしてきました。」
「では、本当に私と形だけ結婚してもらえますか。」
と念押しするフレデリクに、カールが
「フレデリク、あまり何回も聞かなくても良いのでは。エレオノーラ殿に迷いが生まれます。」
エレオノーラは、
「大丈夫です、迷いません。フレデリク様、カール様。私は、私にとって最高の条件を出してくださったフレデリク様との結婚を望んでいます。」
と、きっぱりと満面の笑みで言う。
「エレオノーラ殿、受けてくださってありがとう。条件はあれだけでよろしいですか?二人で契約の条件を考えて、書面に残しておきましょう。」
「フレデリク様、嬉しいです!」
エレオノーラはたまたま持っていた授業で使っているノートを開いて、
「フレデリクとエレオノーラの結婚の条件とします?」
と聞くと、フレデリクは、
「いえ、エレオノーラとフレデリクの契約結婚の条件にしませんか?」
と言う。エレオノーラは『フレデリク様は私のこと対等に見ているのか?!』と驚きながら言われた通り通りに書いた。
「第一に、エレオノーラとフレデリクは生涯の友として仲良くする。というのは?」
とフレデリクが言うと、エレオノーラは、
「素敵ですね。」
とつぶやき、フレデリクをうっとり見てから書き足す。
「次に、エレオノーラは好きなだけ実家の伯爵領のために働いて良い。と書きますか?」
「フレデリク様、最高です。」
とエレオノーラはフレデリクをまた見つめてから、その通り書く。全身でガッツポーズをしたい気分だ。フレデリクは、照れながら、
「エレオノーラからだけ相手に触れる。と言うのも書いておいてください。」
と頼む。エレオノーラが、
「なんですか、それは?」
と聞くと、フレデリクが、
「昨日もうっかり手を取ってキスをしてしまいましたし、今も至近距離で見つめられると触れたくなります。いざ結婚して、酔っ払いでもしたら、自信が持てません。」
と恥ずかしそうに言った。エレオノーラは、そんなものか?と考えつつ、ノートに、『エレオノーラからだけ相手に触れる。』と書いて、書いたものを眺めていたら、『この人、本当に私のこと理解しようとして、大切にしようとしてる、私はものすごく大きな獲物を釣っちゃった?!』と思えてきた。そして、いたずら心でフレデリクを抱きしめた。
「エレオノーラ!」
と、フレデリクがびっくりすると、
「私からなら良いんでしょう?」
とエレオノーラは笑いながら、
「はい、次行きましょう。ベルク先生の講義聞き放題ですよ、フレデリク様?」
と耳から首から真っ赤になりながら、フレデリクを促す。
「エレオノーラは好きなだけ、ベルク先生の講義を受けることができると書いてください。」
と適当に言いながらデレデレするフレデリク。カールの存在はすっかり忘れてている二人。
「他に何かありませんか、エレオノーラ?あ、失礼、エレオノーラ殿、いや、エレオノーラ?」
「ふふ、今なんだか頭がふわふわしていて、何も考えられなくて」
「では、思いついた時に条件を追加しましょう。今日はここまでで、署名、日付も。」
と、フレデリクが日付と署名を書き入れ、エレオノーラも日付と署名。
「証人要るかな。あ、カール、頼んでも良い?」
「私の存在を思い出してくださってありがとうございます。」
と、カールは嫌味を吐いたが、
「どういたしまして。」
とニコニコしている二人に、嫌味は通じないのであった。
「あ、いたいた、エレオノーラ殿。」
と声をかけ、続いてフレデリクが不安そうに聞く。
「エレオノーラ殿、ご機嫌いかがですか?昨日はいささか強引に結婚を申し込みましたが、気が変わっておられないか、心配で探しに来ました。」
「フレデリク様、私には夢のような嬉しいお話です。それに、フレデリク様は、破産しそうな貴族が娘との婚約を申し込んで来られた時に、領地経営コンサルタントをその家に派遣して、その家を救ったというお話を、昨日あの後聞きましたの。私、フレデリク様が素晴らしい方だと昨夜改めて思っていました。」
フレデリクは破顔した。カールが、
「そうです、それは何度かありました。経済的援助を狙った貴族家が娘との結婚を持ちかけて来たのですが、自分が断っても、すぐに他の金持ちに娘を売りに行くだろうと考えたフレデリクが、領地経営コンサルタントを派遣したのです。その貴族の家が黒字化に成功すると、だんだん噂が広まり、あちこちからお呼びがかかりました。まだフレデリクの父上の前公爵様がご存命の時でしたが、全てフレデリクの考えです。そのことで国王陛下にもお褒めいただきましたよね、フレデリク。」
「そうだった。陛下は、国ができないことをやってくれたと、私に言ってくださいました。あんなことが、エレオノーラ殿を喜ばせるんですね。」
「はい、さすがフレデリク様だと思いました。でも私、フレデリク様のお母様が、国王陛下の妹君だと昨日初めて知ったのです。そんなことも知らなかった私が、公爵夫人になれるとはとても思えなくて。」
「そんなこと、自分より上だけ覚えておけば良いんですから簡単ですよ。幸いにも、我が家は公爵家の筆頭ですから、上から国王陛下、王妃殿下、王太子殿下。王弟殿下、王弟妃殿下。王弟殿下にお子様はいらっしゃらないので、以上です。」
「ルドヴィク国王陛下、ベアトリクス王妃殿下、フェルディナンド王太子殿下、エルンスト王弟殿下、リルディス王弟妃殿下ですね。」
「そうです、完璧じゃないですか。」
「なんとかなる気がしてきました。」
「では、本当に私と形だけ結婚してもらえますか。」
と念押しするフレデリクに、カールが
「フレデリク、あまり何回も聞かなくても良いのでは。エレオノーラ殿に迷いが生まれます。」
エレオノーラは、
「大丈夫です、迷いません。フレデリク様、カール様。私は、私にとって最高の条件を出してくださったフレデリク様との結婚を望んでいます。」
と、きっぱりと満面の笑みで言う。
「エレオノーラ殿、受けてくださってありがとう。条件はあれだけでよろしいですか?二人で契約の条件を考えて、書面に残しておきましょう。」
「フレデリク様、嬉しいです!」
エレオノーラはたまたま持っていた授業で使っているノートを開いて、
「フレデリクとエレオノーラの結婚の条件とします?」
と聞くと、フレデリクは、
「いえ、エレオノーラとフレデリクの契約結婚の条件にしませんか?」
と言う。エレオノーラは『フレデリク様は私のこと対等に見ているのか?!』と驚きながら言われた通り通りに書いた。
「第一に、エレオノーラとフレデリクは生涯の友として仲良くする。というのは?」
とフレデリクが言うと、エレオノーラは、
「素敵ですね。」
とつぶやき、フレデリクをうっとり見てから書き足す。
「次に、エレオノーラは好きなだけ実家の伯爵領のために働いて良い。と書きますか?」
「フレデリク様、最高です。」
とエレオノーラはフレデリクをまた見つめてから、その通り書く。全身でガッツポーズをしたい気分だ。フレデリクは、照れながら、
「エレオノーラからだけ相手に触れる。と言うのも書いておいてください。」
と頼む。エレオノーラが、
「なんですか、それは?」
と聞くと、フレデリクが、
「昨日もうっかり手を取ってキスをしてしまいましたし、今も至近距離で見つめられると触れたくなります。いざ結婚して、酔っ払いでもしたら、自信が持てません。」
と恥ずかしそうに言った。エレオノーラは、そんなものか?と考えつつ、ノートに、『エレオノーラからだけ相手に触れる。』と書いて、書いたものを眺めていたら、『この人、本当に私のこと理解しようとして、大切にしようとしてる、私はものすごく大きな獲物を釣っちゃった?!』と思えてきた。そして、いたずら心でフレデリクを抱きしめた。
「エレオノーラ!」
と、フレデリクがびっくりすると、
「私からなら良いんでしょう?」
とエレオノーラは笑いながら、
「はい、次行きましょう。ベルク先生の講義聞き放題ですよ、フレデリク様?」
と耳から首から真っ赤になりながら、フレデリクを促す。
「エレオノーラは好きなだけ、ベルク先生の講義を受けることができると書いてください。」
と適当に言いながらデレデレするフレデリク。カールの存在はすっかり忘れてている二人。
「他に何かありませんか、エレオノーラ?あ、失礼、エレオノーラ殿、いや、エレオノーラ?」
「ふふ、今なんだか頭がふわふわしていて、何も考えられなくて」
「では、思いついた時に条件を追加しましょう。今日はここまでで、署名、日付も。」
と、フレデリクが日付と署名を書き入れ、エレオノーラも日付と署名。
「証人要るかな。あ、カール、頼んでも良い?」
「私の存在を思い出してくださってありがとうございます。」
と、カールは嫌味を吐いたが、
「どういたしまして。」
とニコニコしている二人に、嫌味は通じないのであった。
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