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商会にて
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3曲踊ったあと皆で汗を拭きながら、ダンスや剣の腕前を褒めあっているうち、マティアスがアグネスとエーファを商会に連れて行く話になった。すると、フレデリクも商会に行ってみたいと言い出す。
「エレオノーラの家にいると、今まで出来ないと思っていたことが、何でも可能な気がするんだよ。商会を覗いてみるなんて、視察以外で考えられなかったけれど。予定を聞かずに他家を訪問したことも今日が初めてだし、好きな人とのダンスなど一生無理かもしれないと思っていたのに、今日あっという間に夢が叶ってしまったなぁ。」
「私は兄と踊ったことしかなかったけど、フレデリク様は?」
「ダンスの先生とだけだよ。」
「ダンスの先生は綺麗な人だった?」
心配そうに上目遣いで聞くエレオノーラに、
「いや、えっと、」
フレデリクと一緒に美人教師からダンスを習ったカールが、会話に割って入った。
「フレデリク、またエレオノーラ殿のことしか見えてないようですよ。商会に公爵様がいきなり訪ねるのは向こうも困るでしょうから、今日は男爵家の使用人ということで伺いましょう。マティアスさん、手頃な服をお借りできませんか?」
「良いですよ、カール様の分もですよね。」
「僕も行きたい。」
とアルヌルフ。
「私も行くわ。私も商売がしたいの。」
とエレオノーラ。
皆で伯爵家の使用人の服を借りて、男爵家の使用人という設定で商会に歩いて出かけた。商会に着くと、
「あ、マティアス。その方が先日話していた男爵家のご令嬢かな?」
と、商会に勤めているマティアスの知り合いミハウが奥から出てきた。
「ミハウ、こちらがアグネス様とエーファさんだ。よろしく頼む。」
「ミハウさん、ローザン男爵家長女アグネス・プラデュスです。そしてこちらが王都での商取引を任せるエーファです。」
「エーファでございます。ミハウさん、どうぞお見知りおきを。」
「アグネス様、エーファさん、こちらこそよろしく。ここには20年ほど勤めています。食料品からリネン類、雑貨など、手広くやっていて、使い走りや人材の斡旋もできますよ。今後ともご贔屓に願います。それはそうと、男爵家の使用人の皆さんは立派な方ばかりですね。」
と、ミハウに感心されてしまった、フレデリクにカール、アルヌルフ、エレオノーラは少し身体を縮こませてお辞儀をする。ミハウは察して深くは触れずにエーファに向いて、
「それで、何を扱うんですか?」
「今日はティーカップや、ポットを持ってきました。」
とエーファが、見本を取り出して見せた。
「これはエスドート王国の物ですか?」
「いえ、それを真似てローザン男爵領で作った物です。」
「素晴らしい。これは売れるでしょう。エスドートのは見る分には面白いけれど、買われる物はこのような使いやすくて上品な物だと思います。他には?」
「他に何が売れますか?」
「トレイや燭台でこんな品のある物ありますか?」
「トレイはございます。燭台は作らせましょう。他に食品は?豆類や畜産物はよく売れますか?」
「そりゃ売れますよ、今や争奪戦です。豆と畜産物はそちらで余ってるの?」
「いえ、今、何を育てていくか、何が育つのか、模索しています。」
「なら、何でも食料になる物、麦、豆、芋に、豚、牛も、育てられるものを育てると良い。それで、私なら売らないですね。こっちは売って欲しいけど、ここだけの話、食料品はこれから先足りなくなる一方だと思います。」
「ミハウ、何か知ってるのか?」
とマティアスが会話に入って聞いた。
「ああ、商会でもちょこちょこあっちのこと探ってるんだけど、あっちは去年かなりの不作で、きな臭いんだよな。」
「なんか仕掛けてくるのか?」
「まだ何にも無いけど、俺の勘。」
「なんだよ、お前の勘だけかよ。」
「ま、食料はいつでもすぐ売れるから、作っとくに越したことはないだろ?反対に、こんなおしゃれな物は、作ったらすぐ売った方が良い。何か始まったらこういうのは誰も買わなくなる。」
「何か始まるって、お前の勘だけが言ってるんだよな。」
「うるさい。」
というミハウとマティアスのやり取りの後、ミハウとエーファの間で、『細かい商品の種類と価格は、その都度エーファが決め、実際に売るのは商会に任せる。』と決まった。
「では伯爵家のタウンハウスに商品が運び込まれたら、連絡ください。こっちから連絡する時はマティアスを通します。」
と、商会での打ち合わせは終わり、商会から伯爵家への帰り道。アルヌルフがエレオノーラに、
「エルの商売はどうなったの?」
と聞くと、
「うちの特産の豆を混ぜた焼き菓子をおしゃれに売ってみようと考えていたのだけど、やっぱり小麦も豆も備蓄することにしたわ。私は領地の皆に、もっと作物を生産してもらう方法を考える。どうやったらみんなもっとたくさん作物を育てたくなるかしら。」
と言うエレオノーラに、アグネスが、
「じゃあ女生徒向けの、制服に合う可愛い扇もやめるの?」
「あ、忘れてた。もういいわ。うちの領地で細工物を作るとしたら、かなり準備に時間がかかりそうなの。作るとしてもうちの領地では布製品くらいかな。」
「じゃあ学生向け扇のアイデアもらっていい?」
「もちろんよ、アグネス。もし作ったなら、私買うと思うわ。ローザン領の製品、好きだもの。」
「ありがとう、エレオノーラ。エーファ、扇を作りましょう。」
「良いですね。エレオノーラ様が買いたくなる扇をイメージすると、商品化しやすいです。数週間もかからず商品をご用意できると思います。」
「楽しみだわ。」
「そうね、今までいろいろ作って来たから、材料はもう全部あるわね。エレオノーラ、楽しみにしていて。」
「アグネス、お揃いで持つのも良いわよね。二人で流行らせましょうよ。ねえ、可愛いペンは?ノートも小さめのサイズが欲しい。」
「そうね、学院の外で持ち歩くのに、小さめがあれば便利ね。小さめと、もっと小さめのサイズのノートを考えてみる。」
「それ出来たら買うわ!試作品段階でも欲しい!」
エレオノーラとアグネスは、はしゃぎながら帰り道を歩いた。
「エレオノーラの家にいると、今まで出来ないと思っていたことが、何でも可能な気がするんだよ。商会を覗いてみるなんて、視察以外で考えられなかったけれど。予定を聞かずに他家を訪問したことも今日が初めてだし、好きな人とのダンスなど一生無理かもしれないと思っていたのに、今日あっという間に夢が叶ってしまったなぁ。」
「私は兄と踊ったことしかなかったけど、フレデリク様は?」
「ダンスの先生とだけだよ。」
「ダンスの先生は綺麗な人だった?」
心配そうに上目遣いで聞くエレオノーラに、
「いや、えっと、」
フレデリクと一緒に美人教師からダンスを習ったカールが、会話に割って入った。
「フレデリク、またエレオノーラ殿のことしか見えてないようですよ。商会に公爵様がいきなり訪ねるのは向こうも困るでしょうから、今日は男爵家の使用人ということで伺いましょう。マティアスさん、手頃な服をお借りできませんか?」
「良いですよ、カール様の分もですよね。」
「僕も行きたい。」
とアルヌルフ。
「私も行くわ。私も商売がしたいの。」
とエレオノーラ。
皆で伯爵家の使用人の服を借りて、男爵家の使用人という設定で商会に歩いて出かけた。商会に着くと、
「あ、マティアス。その方が先日話していた男爵家のご令嬢かな?」
と、商会に勤めているマティアスの知り合いミハウが奥から出てきた。
「ミハウ、こちらがアグネス様とエーファさんだ。よろしく頼む。」
「ミハウさん、ローザン男爵家長女アグネス・プラデュスです。そしてこちらが王都での商取引を任せるエーファです。」
「エーファでございます。ミハウさん、どうぞお見知りおきを。」
「アグネス様、エーファさん、こちらこそよろしく。ここには20年ほど勤めています。食料品からリネン類、雑貨など、手広くやっていて、使い走りや人材の斡旋もできますよ。今後ともご贔屓に願います。それはそうと、男爵家の使用人の皆さんは立派な方ばかりですね。」
と、ミハウに感心されてしまった、フレデリクにカール、アルヌルフ、エレオノーラは少し身体を縮こませてお辞儀をする。ミハウは察して深くは触れずにエーファに向いて、
「それで、何を扱うんですか?」
「今日はティーカップや、ポットを持ってきました。」
とエーファが、見本を取り出して見せた。
「これはエスドート王国の物ですか?」
「いえ、それを真似てローザン男爵領で作った物です。」
「素晴らしい。これは売れるでしょう。エスドートのは見る分には面白いけれど、買われる物はこのような使いやすくて上品な物だと思います。他には?」
「他に何が売れますか?」
「トレイや燭台でこんな品のある物ありますか?」
「トレイはございます。燭台は作らせましょう。他に食品は?豆類や畜産物はよく売れますか?」
「そりゃ売れますよ、今や争奪戦です。豆と畜産物はそちらで余ってるの?」
「いえ、今、何を育てていくか、何が育つのか、模索しています。」
「なら、何でも食料になる物、麦、豆、芋に、豚、牛も、育てられるものを育てると良い。それで、私なら売らないですね。こっちは売って欲しいけど、ここだけの話、食料品はこれから先足りなくなる一方だと思います。」
「ミハウ、何か知ってるのか?」
とマティアスが会話に入って聞いた。
「ああ、商会でもちょこちょこあっちのこと探ってるんだけど、あっちは去年かなりの不作で、きな臭いんだよな。」
「なんか仕掛けてくるのか?」
「まだ何にも無いけど、俺の勘。」
「なんだよ、お前の勘だけかよ。」
「ま、食料はいつでもすぐ売れるから、作っとくに越したことはないだろ?反対に、こんなおしゃれな物は、作ったらすぐ売った方が良い。何か始まったらこういうのは誰も買わなくなる。」
「何か始まるって、お前の勘だけが言ってるんだよな。」
「うるさい。」
というミハウとマティアスのやり取りの後、ミハウとエーファの間で、『細かい商品の種類と価格は、その都度エーファが決め、実際に売るのは商会に任せる。』と決まった。
「では伯爵家のタウンハウスに商品が運び込まれたら、連絡ください。こっちから連絡する時はマティアスを通します。」
と、商会での打ち合わせは終わり、商会から伯爵家への帰り道。アルヌルフがエレオノーラに、
「エルの商売はどうなったの?」
と聞くと、
「うちの特産の豆を混ぜた焼き菓子をおしゃれに売ってみようと考えていたのだけど、やっぱり小麦も豆も備蓄することにしたわ。私は領地の皆に、もっと作物を生産してもらう方法を考える。どうやったらみんなもっとたくさん作物を育てたくなるかしら。」
と言うエレオノーラに、アグネスが、
「じゃあ女生徒向けの、制服に合う可愛い扇もやめるの?」
「あ、忘れてた。もういいわ。うちの領地で細工物を作るとしたら、かなり準備に時間がかかりそうなの。作るとしてもうちの領地では布製品くらいかな。」
「じゃあ学生向け扇のアイデアもらっていい?」
「もちろんよ、アグネス。もし作ったなら、私買うと思うわ。ローザン領の製品、好きだもの。」
「ありがとう、エレオノーラ。エーファ、扇を作りましょう。」
「良いですね。エレオノーラ様が買いたくなる扇をイメージすると、商品化しやすいです。数週間もかからず商品をご用意できると思います。」
「楽しみだわ。」
「そうね、今までいろいろ作って来たから、材料はもう全部あるわね。エレオノーラ、楽しみにしていて。」
「アグネス、お揃いで持つのも良いわよね。二人で流行らせましょうよ。ねえ、可愛いペンは?ノートも小さめのサイズが欲しい。」
「そうね、学院の外で持ち歩くのに、小さめがあれば便利ね。小さめと、もっと小さめのサイズのノートを考えてみる。」
「それ出来たら買うわ!試作品段階でも欲しい!」
エレオノーラとアグネスは、はしゃぎながら帰り道を歩いた。
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