上 下
3 / 4

しおりを挟む
 「ねえ、いくつ?ご両親の名前は?」
赤毛のツインテールが色々質問してくる。

 うおおおお。

 まだしつこくカツアゲ二人組に付きまとわれてる。

 なんなの?

 「年は16です。両親はジョンとメアリーです」

 雑貨屋のご夫婦の名を告げた。

 「それはこちらの店の持ち主かしら?」

 「はい。そうです」

 「養子?」
う、青毛のハーフアップが鋭い。

 「はい……」

 渋々答える。お貴族様相手に黙秘ってヤバイかなぁ。もう買わないんなら帰ってくれー。

 難しい顔で二人組は何やら16 年前の国内情勢を話し合っている。

 ちょっと見直した。
 
 赤毛のツインテールが質問を重ねる。

 「ねえ、本当の御両親は?」

 「それはお答え出来ません」

 きっぱりと断った。異世界なんて言えるかっての。

 俺の言葉に二人は時を止める、そして瞠目した。

 「「そうよね……」」

 
 気を取り直して話が変わる。

 「学校は?一日中、店番だけなのかしら?」
赤毛が問う。

 「そうです。俺、平民用の読み書き計算なら出来るので、学校は行ってないんです」

 「学校に行きたくない?」
青毛も問う。

 「簡単すぎて平民用は必要ないですね」

 この国の平民用の学校ってさ、小学校二年生レベル止まりなんだよね。

 欲を言えば地理と歴史をやりたいけど貴族用なんだよな。平民に知識を与えないよう情報統制されているみたいなんだよね。

 取り敢えず話を変えよう。

 「あの、リボンとか花の小物とかいかがですか」

 「え?ああ。そうね、折角だから全部頂くわ」

 「あ、え?全部?」

 「「全部」」

 「だからお喋りに付き合いなさい!」
赤毛に睨まれた。

 ヒイィやぶ蛇。。

 「勉強はどこまで終わったの?政治は?地理は?歴史は?古語は?魔法は?数学は?音楽?」

 「それは全然……」

 矢継ぎ早やの質問に目を白黒させ困惑してしまう。

 二人組は目配せをする。赤毛が切り出した。

 「じゃあ、私達の学校にいらっしゃいよ。お金の心配なら要らないわ、私の家が出すから」

 「いや……?両親に相談しないと……」

 「分かったわ。私のお父様から貴方のお父様に話させてもらうわ」

 「お二人の学校って貴族用ですよね?何で俺が?」

 にっこり綺麗な笑顔で言い切った。

 「子供の仕事は勉強する事よ」って。

 めっちゃ美人でめっちゃ押しの強い二人組に初めて出会った日、この日を切っ掛けに俺の学校生活が始まった。



 

 
 

 
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

もちもちの冒険者 - お餅から生まれた素材の奇跡

O.K
エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

惰眠と堕落と下心と

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

神は気まぐれ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

人類滅亡7日間のビジョン

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...