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拗ねるホシコ
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「筋力上昇やべぇ……」
「アンッ」
翌日、俺とホシコは川近くにある岩場に来ていた。
豚討伐の時に得たスキルの効果を試そうと思ったのだが……
―――――――――――――――――――――――
『槌術(小)』
槍の扱いや技に補正がかかる。
『筋力上昇(小)』
筋力に補正がかかる。
『急所攻撃』
相手の急所に攻撃が当たるとダメージに補正がかかる。
―――――――――――――――――――――――
「大岩が発泡スチロールみてぇだ……」
手頃な石から持ち上げていき、ついには自分の体の倍ほどもある岩を軽々と持ち上げていたのである。
そういえば豚の体だってこの岩より大きかったんだ……興奮してて全く気づかなかった。
ステータスを確認したところ筋力の伸びが凄まじかった。単純に『筋力上昇(小)』の効果だろうと思っていたが、スキルを意識して岩を持ち上げるとさらに力が上がっていた。
「どういう事だ?」
気になり『万物視』を発動しながら自分の体を眺めてみる。すると、魔素が体の中をグルグルと回って腕に集中しているではないか。
「なるほど、体の内の摩素はこういう使い方が出来るのか……」
以前『自己回復』を獲得した時、俺は魔素を体内で循環させていた……スキルを獲得した時は意味がわからなかったが、これを見れば納得できる。
つまり、体の内側の魔素は循環させて肉体の一部へ集中させると強化出来る様になるんだろう……腕に集中すれば腕力、足に集中させれば脚力という風に使い分けられれば今よりもさらに強くなれるかもしれない……
「これは練習する価値があるな……」
この森を探索するにあたって、単純な身体能力の強化は戦うにしろ逃げるにしろ、何かと役に立つ。これから修行していけば、いずれゴリラが持っていた『筋力増強』まで行けるのか?そうなれば奴に一泡吹かせてやれるかもしれない……
「今度は俺がバルナの皮を顔面に投げてやる!」
あわよくば『急所攻撃』が発動しますようにと願って……
意外に執念深い京である。
そしてニヤリと笑い、岩を置くとホシコに向かってポージングをしだした。
「見てみろホシコ! これから俺は筋肉モリモリになるぞ!」
「……ァン」
京がサイドチェストをしながにじり寄る。それを見て少し後ずさりをしながら何とも言えない返事をするホシコであった――
ひとしきりポージングを終えて、さぁ帰ろうと思った時、ふと結界の外の川に光る何かが目に入った。
「ん? なんだ? ホシコ、ちょっと見てきてもいいか?」
「アン」
そう断りを入れると俺は気配を消しながら川へと入った。ジャブジャブと進み、膝下ぐらいの深さまで行くと、足元に日に反射して光る何かがある。それを掴み勢いよく引っこ抜く。すると錆びた何かが出てきた。
――――――――――――――――――――――
《朽ちた鋼鉄の剣》
鋼鉄の剣が長年雨風に晒されて錆びたもの。耐久力が弱くなっており、まともに剣としては使えない。
――――――――――――――――――――――
「剣だ! ホシコ! 剣があった!」
「ァン!」
急いでホシコの所まで戻ると、手に持っている剣をホシコに見せる。
「なんでこんな所に剣があるんだ?誰かがいたのか?」
いや……そんな事より大事な事がある……この剣があるということはやっぱり人はいるんだ! この森には狩りにでも来て落としたのかな? 森を抜けられればもしかしたら人里があるかもしれない!
「そろそろ犬だけじゃなく、人とも話してみたいしな……」
「……ゥアン」
ホシコが寂しそうに返事をする。
「っ! 違うんだ! ホシコが嫌とかそんなんじゃないぞ!」
「……」
「ほ、ほら持ってきた干し肉でも食べるか?」
「…………」
「無視!?」
なんだこの付き合いたてのカップルの男が他の女性を褒めた時の様な反応は!?
せめて人間の女性ならば微笑ましい一幕なのに……
いや、ホシコは犬といっても聖獣だ。言動も感情も人間のそれとなんら変わりない。少し配慮がたりなかったか……
ここはご機嫌を取るに限る。
「か、帰ったらまた焼肉パーティだ!肉はまだまだあるからな!」
「……」
「おーい、ホシコさーん、おーい!」
びちゃびちゃな体に中腰で干し肉を振りながら愛玩動物に媚びる。その姿は、それはそれは気持ち悪いものだった。
「アンッ」
翌日、俺とホシコは川近くにある岩場に来ていた。
豚討伐の時に得たスキルの効果を試そうと思ったのだが……
―――――――――――――――――――――――
『槌術(小)』
槍の扱いや技に補正がかかる。
『筋力上昇(小)』
筋力に補正がかかる。
『急所攻撃』
相手の急所に攻撃が当たるとダメージに補正がかかる。
―――――――――――――――――――――――
「大岩が発泡スチロールみてぇだ……」
手頃な石から持ち上げていき、ついには自分の体の倍ほどもある岩を軽々と持ち上げていたのである。
そういえば豚の体だってこの岩より大きかったんだ……興奮してて全く気づかなかった。
ステータスを確認したところ筋力の伸びが凄まじかった。単純に『筋力上昇(小)』の効果だろうと思っていたが、スキルを意識して岩を持ち上げるとさらに力が上がっていた。
「どういう事だ?」
気になり『万物視』を発動しながら自分の体を眺めてみる。すると、魔素が体の中をグルグルと回って腕に集中しているではないか。
「なるほど、体の内の摩素はこういう使い方が出来るのか……」
以前『自己回復』を獲得した時、俺は魔素を体内で循環させていた……スキルを獲得した時は意味がわからなかったが、これを見れば納得できる。
つまり、体の内側の魔素は循環させて肉体の一部へ集中させると強化出来る様になるんだろう……腕に集中すれば腕力、足に集中させれば脚力という風に使い分けられれば今よりもさらに強くなれるかもしれない……
「これは練習する価値があるな……」
この森を探索するにあたって、単純な身体能力の強化は戦うにしろ逃げるにしろ、何かと役に立つ。これから修行していけば、いずれゴリラが持っていた『筋力増強』まで行けるのか?そうなれば奴に一泡吹かせてやれるかもしれない……
「今度は俺がバルナの皮を顔面に投げてやる!」
あわよくば『急所攻撃』が発動しますようにと願って……
意外に執念深い京である。
そしてニヤリと笑い、岩を置くとホシコに向かってポージングをしだした。
「見てみろホシコ! これから俺は筋肉モリモリになるぞ!」
「……ァン」
京がサイドチェストをしながにじり寄る。それを見て少し後ずさりをしながら何とも言えない返事をするホシコであった――
ひとしきりポージングを終えて、さぁ帰ろうと思った時、ふと結界の外の川に光る何かが目に入った。
「ん? なんだ? ホシコ、ちょっと見てきてもいいか?」
「アン」
そう断りを入れると俺は気配を消しながら川へと入った。ジャブジャブと進み、膝下ぐらいの深さまで行くと、足元に日に反射して光る何かがある。それを掴み勢いよく引っこ抜く。すると錆びた何かが出てきた。
――――――――――――――――――――――
《朽ちた鋼鉄の剣》
鋼鉄の剣が長年雨風に晒されて錆びたもの。耐久力が弱くなっており、まともに剣としては使えない。
――――――――――――――――――――――
「剣だ! ホシコ! 剣があった!」
「ァン!」
急いでホシコの所まで戻ると、手に持っている剣をホシコに見せる。
「なんでこんな所に剣があるんだ?誰かがいたのか?」
いや……そんな事より大事な事がある……この剣があるということはやっぱり人はいるんだ! この森には狩りにでも来て落としたのかな? 森を抜けられればもしかしたら人里があるかもしれない!
「そろそろ犬だけじゃなく、人とも話してみたいしな……」
「……ゥアン」
ホシコが寂しそうに返事をする。
「っ! 違うんだ! ホシコが嫌とかそんなんじゃないぞ!」
「……」
「ほ、ほら持ってきた干し肉でも食べるか?」
「…………」
「無視!?」
なんだこの付き合いたてのカップルの男が他の女性を褒めた時の様な反応は!?
せめて人間の女性ならば微笑ましい一幕なのに……
いや、ホシコは犬といっても聖獣だ。言動も感情も人間のそれとなんら変わりない。少し配慮がたりなかったか……
ここはご機嫌を取るに限る。
「か、帰ったらまた焼肉パーティだ!肉はまだまだあるからな!」
「……」
「おーい、ホシコさーん、おーい!」
びちゃびちゃな体に中腰で干し肉を振りながら愛玩動物に媚びる。その姿は、それはそれは気持ち悪いものだった。
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