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二章
12話 ここは異世界
サンの村を出発して2日目、今俺達は武器を持った一人の男と10人ほどの女に囲まれていた。
女達は道のど真ん中に陣取っていて俺達を呼び止めた。
そのまま女達は左右に別れて俺達を囲んで現在に至る。
「荷物を置いて行ってもらおうか。」
まさかとは思ったが野盗のようだ。野盗のリーダーはこの男らしい。
野盗といえば男のイメージだったので殆どの野盗が女だというこの光景はちょっとした衝撃だった。
野盗の武器は斧や剣など様々だ。
リーダーの男は斧と盾を持ったひげもじゃの男でまさに野盗といった風体である。
俺は剣を抜いてこれからどうするか確認するためジークを見る。
ジークは一歩前に出るとリーダーらしき男と話しだした。
「通してもらえないかな。僕らはアナンの村に行かなくちゃならないんだ。荷物を失ったらアナンの村まで行けなくなってしまう。」
「それは俺には関係ないな。早く武器をおいて……」
ひげもじゃ男が話してる途中でその首に矢が突きたった。
横を見ると矢筒から矢を取りだすジークが見える。そのままジークは矢尻を人差し指と中指で挟んで振りかぶって投げつける。
矢は隣の女の首に突きたった。
野盗達は呆けた顔をしている中、ジークが叫んだ。
「やるぞ!」
セツ、シオ、セリアの三人が武器を抜いてそれぞれ野盗に斬りかかった。
俺は遅れて後ろにいた野盗の方へ向かう。
セツは野盗が突き出して来た槍を紙一重で避けると姿勢を低くしたまま両足を斬り離す。
横から野盗が剣で斬りかかってくるがセツは剣で受け止めて鍔迫り合いになる。
野盗は剣を持つ手がセツより低い位置に構え、セツは出来るだけ腕を上にして鍔迫り合いに持ち込んでいる。
セツは左肘を上げて野盗の剣を支点に剣を返した。
セツの剣が野盗の剣を横にずらして野盗の頭を横から斬りつけた。
シオが槍を突き出すと野盗は反応できず喉を貫かれた。
他の野盗二人が武器を振り上げて走り寄ってくるがシオは二度腕を動かすと、野盗二人の首から血が吹き出た。
シオの突きが野盗には見えなかったようで何が起こったかわからないといった表情で倒れ伏す。
セリアは剣で野盗に斬りかかると野盗が武器を前に突き出して鍔迫り合いになる。
そのまましばらく鍔迫り合いになっていると、二人の野盗がセリアに襲いかかる。
その時、セリアの全身から炸裂魔法の赤い粒子が吹き出した。
赤い粒子の壁に走り寄っていた野盗は止まることができずぶつかってしまう。
赤い粒子の壁に突っ込んだ野盗は全身を爆発に巻き込まれ、セリアと逆方向に吹き飛んだ。
当然目の前で鍔迫り合いをしていた野盗にも赤い粒子が直撃して吹き飛んでいる。
俺は上段から渾身の力で振るった剣は一撃で野盗の防御につかった剣を弾き落とした。
俺は踏み込んだ右足と逆の左足を前に突き出して野盗の腹を蹴り飛ばす。
野盗は腹を抑えて膝を付き、俺は剣を首に添える。
だがそこまでだった。
セツ達はあっさりと人を殺してしまった。
俺はその光景にショックを受け、用意していたにも関わらず出遅れてしまった。
何とかパニックになる体を抑えこんで力任せの筋力差で何とか勝ちを拾った。
だが俺は彼女の生殺与奪権を握った瞬間動けなくなる。
剣が震え、歯がガチガチと音を立てる。
俺は人を殺すのか?それも女を?
「お願い!殺さないで!」
野盗が命乞いをしてくる。
それを聞いた俺は悟る、俺には殺す事はできないと。
「ミナト、殺すんだ。」
「え、でも…何も殺さなくても……」
「駄目だ。こいつを逃せばまた他の人間が襲われる。」
「何でもするから!お願い!」
女は鼻水を垂らしながら泣き叫んでいる。
「無理です…殺せません!」
俺はなおも食い下がる。別に殺さなくても牢屋にでも入れれば住む話だ。
「町まで行けば牢屋とか……」
俺は何とかジークを説得しようとする。
だが俺が剣を動かしていないにも関わらず、女の首が飛んだ。
俺は呆然として血が吹き出る頭のない女の体を見つめる。
女は膝から崩れ落ち地面に倒れた。
「野盗は衛兵に突き出しても死罪。」
そう言ったセツは剣に付いた血を振り払って鞘に収めた。
俺は呆然とする。当然のように人を殺してしまった。
どうやらまだ俺はここが異世界だと本当の意味で分かっていなかったようだ。
この世界の命はどうしようもなく軽い、俺は死にかけたというのにそれを全く分かっていなかった。
サンの村を出発して3日目俺達は町に到着した。
町の名前はマルツ、この辺りで最も栄えている交易の町だ。
街の周囲はレンガで作られた城壁に囲われていて根本には鋭く削られた木の杭が外側に向けて植えられている。
門の周辺には大きな荷物を背負っている人たちが集まっており、町の入口に向かう道の雪は人の往来により踏み固められている。
門番は女性がしており、特になにか検査することもなく人の往来を見守っている。
俺達が通る時もジークと俺の事を見てくるだけで何も言わずに通してくれた。
門をすぎると大通りがあり、道の両脇には商店が立ち並ぶ。
雪が降り積もるほど気温が低いにも関わらず、人が行き交い、活気に溢れている。
建物はレンガ造りで箱などの道具は木で作られていることが多い。
金属の道具もよく見かけるので鍛冶技術も発達しているのだろう。
行き交う人は殆ど女性だが、男もたまに見かける。
サンの村の戦士ほどではないが体を鍛えているようで皆ガタイがいい。
「この町の男も皆戦士になるんですか?」
「戦士として日頃から訓練しているのは20人くらいだね。幼い頃は皆訓練を受かるんだけどその中でも優秀なものが戦士として町を守る役割につく。
それ以外の男は女と同じように商売や鍛冶とかして生計を立てることが多い。
でも幼い頃は皆訓練をして育ったから殆どの男がいざという時は戦える。」
人が多いと男全員が戦士になる必要はないらしい。
門番のような女性の兵士もいるだろうし精鋭の20人がいれば事足りるということだろう。
大通りを脇にそれるとレンガの民家が立ち並ぶ。
小さな女の子が雪合戦してたり、女性が井戸端会議していたり、思い思いに生活している。
男が普通にいるとはいえやはり目立つのだろう。俺達が通ると皆がチラチラと見てくる。
小さな女の子に至ってはこちらを見ながらヒソヒソと何かを話してキャーと叫んでいた。
女性達の視線を集めながら歩いているとジークが、建物の中に入る。どうやらここが今日の宿のようだ。
宿の中入ると頬杖をついた若い娘が面倒さそうに店番をしている。
ドアが開いた音に顔を上げると目を見開きガン!っと音を立てながら立ち上がった。どうやら座っていた椅子を倒したらしい。
「い、いらっしゃいませ!」
「2部屋欲しいんだけど空いてるかい?」
「は、はい!空いてます!」
滅多に来ない男の客に緊張しているのだろう。宿屋の娘は声が上擦って矢鱈と大きい。
「一泊一人4000アルトです!」
「わかった2部屋頼むよ。」
今まで気にしてなかったがこの世界にも通貨はあるらしい。
早急に物の価値を覚える必要がありそうだ。
顔を赤くした宿屋の娘に鍵を貰って部屋に向かう。
「じゃあ今日は自由行動としようか。また明日の朝に会おう。」
ジークはそう言って扉の中にはいるとガチャっと鍵をかける。
ちなみに俺はまだ廊下に立っている。
「あれ?ジークさん俺まだ入ってないですよ!」
「ミナトさんは私達と一緒ですよぉ?」
「へ?」
「ジークは多分これから稼ぐからね。一緒の部屋にいるわけには行かないよ。」
「稼ぐ?」
セリアから同室だという事を伝えられる。ジークの稼ぎとはなんの事かはわからないがこの状況はよろしくない。
「あの…もう一部屋……」
「ほら入って入って。」
「あ、いや……」
「ミナトさんのベッドはここにしましょう。」
もう一部屋取ってもらおうと声を出すがシオに背中を押されて部屋に入ってしまった。
俺はセリアに荷物を奪われて二段ベッドが2つ並ぶうちの奥側に決められてしまう。そこで俺はもう逃げ場がないことを悟った。
「あっち向いてて。」
まあセツもいるし変なことにはならないかと諦めてベッドに腰をかけるとセツからの指示が来る。
俺はセツに従い、ベッドの上に上がって反対側を向く。
すると後ろからパサッと言う音が聞こえた。
しゅるしゅるという衣擦れの音が後ろの3箇所から聞こえてくる。
どうやら後ろで美少女3人が着替えているようだ。
俺は全神経を耳に集中させる。
この世界に来てから研ぎ澄ませ続けた五感をフルに発揮して少しでも情報を読み取る。
この音の軽さはセツだな。布が落ちる音がしたから下を脱いでるってことか。
こっちはセリアか?なにかに引っかかって取れたときのような布を弾く音がする。ま、まさか胸か?!そんなバカな?!
となるとこっちはシオだな。上からも下からも衣擦れの音がなったということは今下着姿ということか。素晴らしい。
俺は音から3人の状況を事細かに推測しているとokの声がかかった。
俺が振り向くと3匹の妖精がそこにいた。
白い毛皮でできたワンピースのような服を着ている。
全員似たような服だが、服には刺繍がされていてそれぞれ模様が違う。
セリアは花柄のシオは羊のセツは蝶の刺繍をしている。
今まで着ていた実用一辺倒の服ではなく、女の子がおしゃれするための服だということがわかる。
モコモコの位置やスカートが女性らしいデザインで、刺繍も可愛らしい。
「どうかな?僕達が自分で作ったんだ。」
「暖かかったらもっとかわいい服持ってきたんですけどねぇ。」
「似合う?」
どうやら町で遊ぶために服を作っていたらしく、自慢したくて仕方がなかったようだ。
セツでさえ似合うかどうか聞いてくる。
彼女達にこんな一面があるなんて知らなかった。今まで彼女達の武器を持った強い姿しか見たことがなく、お洒落とか普通の女の子が好きなような事とは無縁のなのかと思っていた。
だけど彼女達も年頃の娘らしく、普通にお洒落を楽しむために自分で服を作っていたようだ。
「…3人とも凄いかわいいです……」
「それだけ?僕達すごい頑張って作ったんだよ?」
「えっとシオさんは……」
俺はその後3人にどういう所がかわいいか一人一人に伝えて満足するまで褒め続けた。
3人とも嬉しいのかこだわった所を教えてくる。
セリアはイメージ的にわかるけどシオとセツの反応が意外だった。
セリアは俺が気に入った所を根掘り葉掘り聞いてくる。
シオはクルリとまわってどうかな?と聞いてくるし、セツは普段必要最低限のことしか話さないイメージだが、この場所が苦労したっと一生懸命作るときの話を伝えてくる。
俺は3人のそんな様子に癒やされながら相槌をうっていると満足したらしく外へ出ることになった。
露天や商店を回る。
女の子らしくアクセサリー類を見て回ったかと思ったら、鍛冶屋に入ってナイフや槍などを物色しはじめた。
お眼鏡に叶う武器はなかったらしく、結局何も買わなかった。
屋台で串に刺して焼いた鹿の肉が売っていたので皆で食べた。
ソースがかかっていて、非常に味が濃くてうまい。
セツの口にソースがついた姿を見て皆で笑う。
シオがハンカチを取り出してセツの口を拭ってあげる。
俺はお金を持っていないのでついていくだけだが、3人が嬉しそうにしているのを見ているとこっちまで楽しくなってくる。
3人は本当の姉妹のように仲が良くて微笑ましい。
人を平気で殺したとは思えない笑顔だ。
でもこの世界ではこれが普通なのだろう。俺はこの世界に馴染むことができるのだろうか。
ふと露天に並んでいるアクセサリーが目に入る。
雪の結晶の形をした蒼い髪飾りだ。
きっとセツに似合うだろう。もしセツにプレゼントしたら喜んでくれるだろうか。
そんな事を考えるが俺は無一文なので意味のない考えだ。
俺は離れてしまったセツ達を小走りで追いかける。
(いつか絶対プレゼントしよう。)
今の俺はまだ何者にもなれていない。
お金を稼ぐための技術は何もないし、狩人としても戦士としても半人前だ。
人を殺す事についてどうしたらいいかわからない。
ああ、悩んでいても仕方がない、兎に角今は戦士の試練を乗り越え、いつか胸を張ってセツにこの髪飾りをプレゼントしよう。
翌朝、部屋を出ると丁度隣のジークの部屋が開く。
だがジークの部屋から出てきたのはジークではなく女だった。ジークはその後ろにいる。
「またお願いね。」
「僕も楽しかったよ。こちらこそまた利用してね。」
女とジークがちゅっとキスをすると女は出口に向かっていった。
あのただならぬ雰囲気、ジークの言っていた稼ぐという言葉、恐らくそういう事だろう。
「よしじゃあ行こうか。」
「…ジークさんまじパないっす……」
「パ…何だって?」
「凄いってことです。」
子供な俺にはよくわからないが兎に角ジークさんは凄い。
女達は道のど真ん中に陣取っていて俺達を呼び止めた。
そのまま女達は左右に別れて俺達を囲んで現在に至る。
「荷物を置いて行ってもらおうか。」
まさかとは思ったが野盗のようだ。野盗のリーダーはこの男らしい。
野盗といえば男のイメージだったので殆どの野盗が女だというこの光景はちょっとした衝撃だった。
野盗の武器は斧や剣など様々だ。
リーダーの男は斧と盾を持ったひげもじゃの男でまさに野盗といった風体である。
俺は剣を抜いてこれからどうするか確認するためジークを見る。
ジークは一歩前に出るとリーダーらしき男と話しだした。
「通してもらえないかな。僕らはアナンの村に行かなくちゃならないんだ。荷物を失ったらアナンの村まで行けなくなってしまう。」
「それは俺には関係ないな。早く武器をおいて……」
ひげもじゃ男が話してる途中でその首に矢が突きたった。
横を見ると矢筒から矢を取りだすジークが見える。そのままジークは矢尻を人差し指と中指で挟んで振りかぶって投げつける。
矢は隣の女の首に突きたった。
野盗達は呆けた顔をしている中、ジークが叫んだ。
「やるぞ!」
セツ、シオ、セリアの三人が武器を抜いてそれぞれ野盗に斬りかかった。
俺は遅れて後ろにいた野盗の方へ向かう。
セツは野盗が突き出して来た槍を紙一重で避けると姿勢を低くしたまま両足を斬り離す。
横から野盗が剣で斬りかかってくるがセツは剣で受け止めて鍔迫り合いになる。
野盗は剣を持つ手がセツより低い位置に構え、セツは出来るだけ腕を上にして鍔迫り合いに持ち込んでいる。
セツは左肘を上げて野盗の剣を支点に剣を返した。
セツの剣が野盗の剣を横にずらして野盗の頭を横から斬りつけた。
シオが槍を突き出すと野盗は反応できず喉を貫かれた。
他の野盗二人が武器を振り上げて走り寄ってくるがシオは二度腕を動かすと、野盗二人の首から血が吹き出た。
シオの突きが野盗には見えなかったようで何が起こったかわからないといった表情で倒れ伏す。
セリアは剣で野盗に斬りかかると野盗が武器を前に突き出して鍔迫り合いになる。
そのまましばらく鍔迫り合いになっていると、二人の野盗がセリアに襲いかかる。
その時、セリアの全身から炸裂魔法の赤い粒子が吹き出した。
赤い粒子の壁に走り寄っていた野盗は止まることができずぶつかってしまう。
赤い粒子の壁に突っ込んだ野盗は全身を爆発に巻き込まれ、セリアと逆方向に吹き飛んだ。
当然目の前で鍔迫り合いをしていた野盗にも赤い粒子が直撃して吹き飛んでいる。
俺は上段から渾身の力で振るった剣は一撃で野盗の防御につかった剣を弾き落とした。
俺は踏み込んだ右足と逆の左足を前に突き出して野盗の腹を蹴り飛ばす。
野盗は腹を抑えて膝を付き、俺は剣を首に添える。
だがそこまでだった。
セツ達はあっさりと人を殺してしまった。
俺はその光景にショックを受け、用意していたにも関わらず出遅れてしまった。
何とかパニックになる体を抑えこんで力任せの筋力差で何とか勝ちを拾った。
だが俺は彼女の生殺与奪権を握った瞬間動けなくなる。
剣が震え、歯がガチガチと音を立てる。
俺は人を殺すのか?それも女を?
「お願い!殺さないで!」
野盗が命乞いをしてくる。
それを聞いた俺は悟る、俺には殺す事はできないと。
「ミナト、殺すんだ。」
「え、でも…何も殺さなくても……」
「駄目だ。こいつを逃せばまた他の人間が襲われる。」
「何でもするから!お願い!」
女は鼻水を垂らしながら泣き叫んでいる。
「無理です…殺せません!」
俺はなおも食い下がる。別に殺さなくても牢屋にでも入れれば住む話だ。
「町まで行けば牢屋とか……」
俺は何とかジークを説得しようとする。
だが俺が剣を動かしていないにも関わらず、女の首が飛んだ。
俺は呆然として血が吹き出る頭のない女の体を見つめる。
女は膝から崩れ落ち地面に倒れた。
「野盗は衛兵に突き出しても死罪。」
そう言ったセツは剣に付いた血を振り払って鞘に収めた。
俺は呆然とする。当然のように人を殺してしまった。
どうやらまだ俺はここが異世界だと本当の意味で分かっていなかったようだ。
この世界の命はどうしようもなく軽い、俺は死にかけたというのにそれを全く分かっていなかった。
サンの村を出発して3日目俺達は町に到着した。
町の名前はマルツ、この辺りで最も栄えている交易の町だ。
街の周囲はレンガで作られた城壁に囲われていて根本には鋭く削られた木の杭が外側に向けて植えられている。
門の周辺には大きな荷物を背負っている人たちが集まっており、町の入口に向かう道の雪は人の往来により踏み固められている。
門番は女性がしており、特になにか検査することもなく人の往来を見守っている。
俺達が通る時もジークと俺の事を見てくるだけで何も言わずに通してくれた。
門をすぎると大通りがあり、道の両脇には商店が立ち並ぶ。
雪が降り積もるほど気温が低いにも関わらず、人が行き交い、活気に溢れている。
建物はレンガ造りで箱などの道具は木で作られていることが多い。
金属の道具もよく見かけるので鍛冶技術も発達しているのだろう。
行き交う人は殆ど女性だが、男もたまに見かける。
サンの村の戦士ほどではないが体を鍛えているようで皆ガタイがいい。
「この町の男も皆戦士になるんですか?」
「戦士として日頃から訓練しているのは20人くらいだね。幼い頃は皆訓練を受かるんだけどその中でも優秀なものが戦士として町を守る役割につく。
それ以外の男は女と同じように商売や鍛冶とかして生計を立てることが多い。
でも幼い頃は皆訓練をして育ったから殆どの男がいざという時は戦える。」
人が多いと男全員が戦士になる必要はないらしい。
門番のような女性の兵士もいるだろうし精鋭の20人がいれば事足りるということだろう。
大通りを脇にそれるとレンガの民家が立ち並ぶ。
小さな女の子が雪合戦してたり、女性が井戸端会議していたり、思い思いに生活している。
男が普通にいるとはいえやはり目立つのだろう。俺達が通ると皆がチラチラと見てくる。
小さな女の子に至ってはこちらを見ながらヒソヒソと何かを話してキャーと叫んでいた。
女性達の視線を集めながら歩いているとジークが、建物の中に入る。どうやらここが今日の宿のようだ。
宿の中入ると頬杖をついた若い娘が面倒さそうに店番をしている。
ドアが開いた音に顔を上げると目を見開きガン!っと音を立てながら立ち上がった。どうやら座っていた椅子を倒したらしい。
「い、いらっしゃいませ!」
「2部屋欲しいんだけど空いてるかい?」
「は、はい!空いてます!」
滅多に来ない男の客に緊張しているのだろう。宿屋の娘は声が上擦って矢鱈と大きい。
「一泊一人4000アルトです!」
「わかった2部屋頼むよ。」
今まで気にしてなかったがこの世界にも通貨はあるらしい。
早急に物の価値を覚える必要がありそうだ。
顔を赤くした宿屋の娘に鍵を貰って部屋に向かう。
「じゃあ今日は自由行動としようか。また明日の朝に会おう。」
ジークはそう言って扉の中にはいるとガチャっと鍵をかける。
ちなみに俺はまだ廊下に立っている。
「あれ?ジークさん俺まだ入ってないですよ!」
「ミナトさんは私達と一緒ですよぉ?」
「へ?」
「ジークは多分これから稼ぐからね。一緒の部屋にいるわけには行かないよ。」
「稼ぐ?」
セリアから同室だという事を伝えられる。ジークの稼ぎとはなんの事かはわからないがこの状況はよろしくない。
「あの…もう一部屋……」
「ほら入って入って。」
「あ、いや……」
「ミナトさんのベッドはここにしましょう。」
もう一部屋取ってもらおうと声を出すがシオに背中を押されて部屋に入ってしまった。
俺はセリアに荷物を奪われて二段ベッドが2つ並ぶうちの奥側に決められてしまう。そこで俺はもう逃げ場がないことを悟った。
「あっち向いてて。」
まあセツもいるし変なことにはならないかと諦めてベッドに腰をかけるとセツからの指示が来る。
俺はセツに従い、ベッドの上に上がって反対側を向く。
すると後ろからパサッと言う音が聞こえた。
しゅるしゅるという衣擦れの音が後ろの3箇所から聞こえてくる。
どうやら後ろで美少女3人が着替えているようだ。
俺は全神経を耳に集中させる。
この世界に来てから研ぎ澄ませ続けた五感をフルに発揮して少しでも情報を読み取る。
この音の軽さはセツだな。布が落ちる音がしたから下を脱いでるってことか。
こっちはセリアか?なにかに引っかかって取れたときのような布を弾く音がする。ま、まさか胸か?!そんなバカな?!
となるとこっちはシオだな。上からも下からも衣擦れの音がなったということは今下着姿ということか。素晴らしい。
俺は音から3人の状況を事細かに推測しているとokの声がかかった。
俺が振り向くと3匹の妖精がそこにいた。
白い毛皮でできたワンピースのような服を着ている。
全員似たような服だが、服には刺繍がされていてそれぞれ模様が違う。
セリアは花柄のシオは羊のセツは蝶の刺繍をしている。
今まで着ていた実用一辺倒の服ではなく、女の子がおしゃれするための服だということがわかる。
モコモコの位置やスカートが女性らしいデザインで、刺繍も可愛らしい。
「どうかな?僕達が自分で作ったんだ。」
「暖かかったらもっとかわいい服持ってきたんですけどねぇ。」
「似合う?」
どうやら町で遊ぶために服を作っていたらしく、自慢したくて仕方がなかったようだ。
セツでさえ似合うかどうか聞いてくる。
彼女達にこんな一面があるなんて知らなかった。今まで彼女達の武器を持った強い姿しか見たことがなく、お洒落とか普通の女の子が好きなような事とは無縁のなのかと思っていた。
だけど彼女達も年頃の娘らしく、普通にお洒落を楽しむために自分で服を作っていたようだ。
「…3人とも凄いかわいいです……」
「それだけ?僕達すごい頑張って作ったんだよ?」
「えっとシオさんは……」
俺はその後3人にどういう所がかわいいか一人一人に伝えて満足するまで褒め続けた。
3人とも嬉しいのかこだわった所を教えてくる。
セリアはイメージ的にわかるけどシオとセツの反応が意外だった。
セリアは俺が気に入った所を根掘り葉掘り聞いてくる。
シオはクルリとまわってどうかな?と聞いてくるし、セツは普段必要最低限のことしか話さないイメージだが、この場所が苦労したっと一生懸命作るときの話を伝えてくる。
俺は3人のそんな様子に癒やされながら相槌をうっていると満足したらしく外へ出ることになった。
露天や商店を回る。
女の子らしくアクセサリー類を見て回ったかと思ったら、鍛冶屋に入ってナイフや槍などを物色しはじめた。
お眼鏡に叶う武器はなかったらしく、結局何も買わなかった。
屋台で串に刺して焼いた鹿の肉が売っていたので皆で食べた。
ソースがかかっていて、非常に味が濃くてうまい。
セツの口にソースがついた姿を見て皆で笑う。
シオがハンカチを取り出してセツの口を拭ってあげる。
俺はお金を持っていないのでついていくだけだが、3人が嬉しそうにしているのを見ているとこっちまで楽しくなってくる。
3人は本当の姉妹のように仲が良くて微笑ましい。
人を平気で殺したとは思えない笑顔だ。
でもこの世界ではこれが普通なのだろう。俺はこの世界に馴染むことができるのだろうか。
ふと露天に並んでいるアクセサリーが目に入る。
雪の結晶の形をした蒼い髪飾りだ。
きっとセツに似合うだろう。もしセツにプレゼントしたら喜んでくれるだろうか。
そんな事を考えるが俺は無一文なので意味のない考えだ。
俺は離れてしまったセツ達を小走りで追いかける。
(いつか絶対プレゼントしよう。)
今の俺はまだ何者にもなれていない。
お金を稼ぐための技術は何もないし、狩人としても戦士としても半人前だ。
人を殺す事についてどうしたらいいかわからない。
ああ、悩んでいても仕方がない、兎に角今は戦士の試練を乗り越え、いつか胸を張ってセツにこの髪飾りをプレゼントしよう。
翌朝、部屋を出ると丁度隣のジークの部屋が開く。
だがジークの部屋から出てきたのはジークではなく女だった。ジークはその後ろにいる。
「またお願いね。」
「僕も楽しかったよ。こちらこそまた利用してね。」
女とジークがちゅっとキスをすると女は出口に向かっていった。
あのただならぬ雰囲気、ジークの言っていた稼ぐという言葉、恐らくそういう事だろう。
「よしじゃあ行こうか。」
「…ジークさんまじパないっす……」
「パ…何だって?」
「凄いってことです。」
子供な俺にはよくわからないが兎に角ジークさんは凄い。
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そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編