月は夜に抱かれて

凪瀬夜霧

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資料集

人物紹介(タニス王国・メイン)

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【ユリエル・アデラ・ハーディング】
 タニス王国の王太子ではあるが、母が第二王妃である事と潔癖な性格から家臣や実父に疎まれる不遇の青年。長く軍籍に身を置いている事もあり、軍からの信頼は厚い。
 幼い頃から王となるべく学び、疎まれた後も王として国と民の為にどうすべきかを考えてきた高潔な人物でもある。そして現状、一部の家臣や貴族が民を蔑ろにし国を牛耳る状況を憎んでいる。
 個人としては争いよりもゆっくりと本を読む事や旅をすることを好む。たまに変装し、「リューヌ」と名乗って詩人の真似事をしたりもしている。
 背中の中ほどまである白い髪に、切れ長のジェードの瞳を持っている。顔立ちは中性的な美しさがあり、見る者を圧倒し呆けさせる程整っている。
 母違いの弟シリルとの個人的な関係は良好。いつか彼に王の座を譲りたいと思っている。


【シリル・エルザ・ハーディング】
 タニス王国の第二王子で、ユリエルの異母兄弟。母が正妃である事から、彼を次の王へと推す声もあるが、全てにユリエルよりも御しやすいという事に尽きる。現宰相の甥でもある。
 素直で優しく争い事を嫌う性格ではあるが、一方で努力家で頑固。決めた事を途中で投げ出す事をせず、その為の辛い事にはとことん耐える忍耐力もある。今のところシリルのこの性格を理解しているのはユリエルだけである。
 周囲はシリルを建ててユリエルを遠ざけるが、二人の兄弟仲は実に良好。ユリエルはシリルを可愛い弟と思っているし、シリルはユリエルに憧れている。
 短い栗色の髪にくるみ型の大きな同色の瞳。小柄で少年らしい愛くるしい見た目をしている。
 後に騎士のレヴィンと深い関係を築くようになり覚醒していく。


【グリフィス・エラ・ヒューイット】
 タニス王国第一騎士団を預かる若い騎士。軍神と呼ばれる武の持ち主であり、敵からは死神と恐れられている。
 ユリエルとは懇意にしている。師が同じで、ユリエルは弟弟子にあたる。元から面倒見が良く世話好きな性分もあり、不遇な彼を助けてきた。だが同時に苦労人で良心的で常識人の為、周囲の非常識人間に振り回される事が多い。一部の人間からハゲを心配されているとか。
 短い黒髪に切れ長の黒い瞳の美丈夫。顔立ちは精悍。
 親友クレメンスとは悪友であり同期。今も良き酒の友である。


【クレメンス・ベル・デューリー】
 タニス王国の騎士であり、元聖ローレンス砦首座。元々はローレンス砦のある一帯を治める領主の息子で貴族だったのだが、貴族社会が肌に合わず出奔。騎士となった変わり者。
 面白いことや胸躍る事が好き。また、そういう巡り合わせも好き。知識欲が強く自らの思う作戦を実行に移せるのが理想、他はいらないというくらい変人。また、諜報や用兵に長けている。
 グリフィスとは騎士時代の同期で友人。どちらかと言えば悪友に近い。互いに気の置けない関係である。
 肩にかかるくらいの薄い金髪に青い目の青年。顔立ちは整い知的な雰囲気もあるのだが、周囲からは「偏屈そう」と言われる。


【ファルハード】
 遊牧民族シャスタ族の若き族長。かつては義賊を名乗っていたが、後にユリエルお抱えの傭兵団となる。
 明るく男気がある気持ちのいい性格で、表情も声も大きい。また、潔い性格でもある。頭の方は少々足りないが、その分仲間の信頼と覚悟がある。
 幼馴染みのアルクースを参謀に生き抜いてきた。
 長くザンバラな緋色の髪を白い布で邪魔にならないように巻き、同じく緋色の大きく鋭い目をしている。背はグリフィスに負けない程大きく、胸板や腹筋、上腕が特に鍛えられている。日に焼けた肌に、右目の下に青い三角形の刺青がある。


【アルクース】
 遊牧民族シャスタ族の参謀で予言者だった青年。土地を追われて流れる中でファルハードを支え一族を導いてきた。
 慎重でありながら大胆。行けると思えば躊躇いなく動く俊敏さがある。単純なファルハードに呆れながらも、その明るさに救われている部分もある。案外心配性。
 薬師としての才能もあり、あらゆる方面でユリエルを助ける事になる。
 黒髪に黒い瞳の見目のいい青年。顔立ちは整い、とても盗賊とは思えない中性的な容姿。額には予言者を示す刺青がある。


【ヴィオ・ヴァル・マコーリー】
 海賊「バルカロール」の副船長。元はタニスの大貴族の子息だったが、当時下男だったグリオンの裏切りで家族と家を失い、自身も奴隷として売られた経験がある。
 同じバルカロールの仲間と、唯一生き残った姉のフィノーラが大切。表情が乏しく普段の内面は幼く素直だが、大事なものを守る時には年相応の雰囲気に戻る。本人的には普段の少しぼーっとした感じが楽らしい。
 義理堅く、仲間と思えばとても素直な感情を見せてくれる。
 短い白髪に透けるような青い瞳の青年で顔立ちはいい。表情筋がやや死んでいる。


【フィノーラ・ヴァル・マコーリー】
 海賊「バルカロール」の船長であり、ヴィオの姉。大商人マコーリー家の長女として育った事もあり、場の取り仕切りや敵と味方の判断、状況把握に優れた女性。
 仲間は勿論大切だが、弟のヴィオが実家の事件以来表情が乏しくなり、内面も幼さが目立つようで心配している。今の状況も望んだものではないが、それなりに生きるためにやれている。
 実家の事件で右足に機能障害が残るくらいの火傷を負っている。その為足を出すような服装を嫌って船でも丈の長いドレスを着ている。武器は鞭。
 長い白髪に透けるような青い瞳の美少女で、取り澄ましていれば人形のよう。上品でもある。


【ロアール・メイリー】
 タニス国軍の軍医であり、元第一部隊の部隊長だった男。ユリエルの剣の師匠であり、グリフィスの元上司だった。今では優秀な軍医なのだが、勤務態度はどこか怠惰にも感じる。
 その昔は「戦場の舞姫」と呼ばれた正確無比な剣技の使い手で、ユリエルはその剣をよく継いでいる。情のある性格でもあり、弱い者を守る事に使命感を得ていた。だからこそ現実を知るほどに嫌気が差して騎士をやめてしまった。
 弟がおり、現在第三部隊の副隊長としてラインバールに駐留している。
 明るいオレンジ色の髪を無造作に後ろで一括りにした無精髭のおっさん。同じく明るいオレンジの下がり目で、ちょっと眠そうにも見える。昔はもう少しシャンとしていた。


【ダレン・キム・ミレット】
 タニス王家に長年仕えていた忠臣であり、レヴィンの養父でもある。若い頃は内部監査の任についており、宮中の臣や貴族の不正を暴いていた。
 ユリエル不在時の内政、調整を請け負ってくれる縁の下の力持ち。また、昔の人脈を使って今も諜報の仕事をしてくれる一人でもある。
 黒と白の混じるグレーの髪を撫でつけた執事のような初老の人物。堅物そうで、あまり笑っている顔を見たことがない。
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