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7章:邪神教連続誘拐殺人事件
8話:再会
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オーウェンが信者の男に尋問という名の拷問を行っていた頃、ランバートは自身の部屋にエリオットと二人でいた。
「本当に、大丈夫ですか?」
心配そうなエリオットを見たランバートは、硬い表情で頷く。布団の上で握られた手は僅かに震えていたけれど、逃げる気持ちはなかった。
「お願いします」
丁寧に頭を下げたランバートに、エリオットはフッと一度息を吐いて「分かりました」と言ってくれた。
振り子の揺れるそれを見つめる。漂う香りに気持ちが落ち着く。徐々に眠りに落ちる前のように思考が鈍り、ボーッとしてくる。
三つ、カウントされて落ちたのは途切れた記憶の、少し前だった。
◇◆◇
冷たく痛い石の床。後ろに押し当てられた幼い昂ぶり。それは確かに恐怖だった。
けれど、前のように飲まれていない。「怖い。止めて」と叫ぶ自分の更に奥に、冷静な自分がいる。
それでも当時の自分の感情は伝わってくる。恐怖。けれどその奥にあるのは混乱だ。信じていた、大好きだ。だからこそ、怖いと叫んでも止めてくれないこの行為に戸惑い、悲しい気持ちがある。
でもやっぱり恨みなんてない。憎しみなんてない。これは明らかな強姦なのに、俺はこの人の事を嫌いだなんて思っていない。
押し当てられたものが、グッと力を込めてこじ開けようとする。走る痛みは裂けてしまいそうなものだった。
ダメだ、叫ぶな。今声を上げたら大変な事になる。我慢しろ。我慢しなければならないのに!
言いようのない焦りが俺の中にはあるのに、記憶は変わらない。痛みに耐えられない。悲鳴を上げたその声に、ドアが開いて人が雪崩れ込んでくる。
「何をしている!」
入って来た男が無理矢理――兄ちゃんを引き離そうとしている。けれど兄ちゃんはそれを拒んだ。俺の中にある熱が締めつけに大きく育つ。
「この、クソガキ!」
「っ!」
棒を持った濃紺のローブを着た男が――兄ちゃんの頭を殴って、俺の顔に血が散る。倒れ込んだ兄ちゃんを受け止めた俺は、中にほんの僅か熱いものが流れたのが分かった。
「畜生、上物の生け贄が二つとも台無しだ!」
ぐったりと気を失っている兄ちゃんを乱暴に引き離した男が怒鳴る。抜け落ちたそこから、放たれたものがほんの少し流れ出て、それがとても不快に思えた。お漏らしみたいだ。
「まさか男の処女を奪うなんて、頭の回るガキだ」
「どっちにしても穢れた。これでは神にささげられない」
神に捧げる? 穢れた? 生け贄?
過去の俺の中で、色んなものが繋がった。――兄ちゃんは、助けようとしてくれた。生け贄として殺される筈だった俺を、助けてくれた。なのに俺が叫んだから、兄ちゃんは……
「こいつらどうする」
「ここで血を流すわけにはいかない。森で」
「俺がやろう」
そう言って進み出たのは、まだ若い声の男だった。濃紺のローブを纏った男が脇に――兄ちゃんを抱え、もう片方の手を俺に伸ばしてくる。
「いや……やめろ!」
叫んでも非力すぎる。俺はもう片方の脇に抱えられて石造りの牢を出て、更に屋敷を出された。外は肌寒く、とても暗い。
男はズンズンと森の中を進んで、建物もすっかり見えなくなった。それでもまだ男は進んで、どこかも分からないような場所で俺を放り投げ、――兄ちゃんも乱暴に落とした。
「さーて、お楽しみだ。今日は随分上物にありつけたぜ」
「え……?」
男がローブのフードを脱ぐ。そこから現れたのはまだ若い男だった。口元には残酷な笑みが浮かんでいて、細く顔色もいいとは言えない。
それが余計に怖かった。
「まずはお前からか? 綺麗なガキだ。どんな声で泣き叫んでくれるか、今から楽しみだ」
何を言われているのか分からない。けれど体の芯が冷たく震えて体が動かない。へたり込んだまま目を一杯に開いて見上げている俺は、その男の体が突然横に倒れたのを見た。
「ランバート、逃げよう!」
「兄ちゃん!」
頭から血を流したままの兄ちゃんが手を差し伸べる。俺もその手に掴まろうとした。
けれどそれよりも前に、倒された男が兄ちゃんを蹴り飛ばしてしまった。
「いっってぇなクソガキ!」
「やっ……止めてぇぇ!」
倒れた兄ちゃんの元に行った男が兄ちゃんを容赦なく蹴りつける。ボールみたいに地を転がる兄ちゃんの目が、段々虚ろになっていく。口元が、僅かに動いた。「にげろ」と、伝えてくる。
動けない。腰が抜けて、震えて動けない。小さくなって震えているのが精々だ。
「俺はなぁ、神なんざどーっでもいいのさ。お前等みたいなガキを切り刻めるってんでいるだけだ。今日は存分に悲鳴を聞けるってんで機嫌がよかったのになぁ。もう優しくしてやれねぇなぁ」
男の口元に残酷な笑みが浮かんでいる。その様子だけでも、最初から残酷に殺すつもりだったのが分かる。
兄ちゃんは散々に蹴られて動けなくなっていた。ピクピクと動いているけれど、抵抗なんてできない。
その兄ちゃんの襟首を掴んだ男が、兄ちゃんの顔にグッと自分の顔を寄せる。真っ赤な舌でペロリと唇を濡らした男は、とても楽しそうな顔をした。
「お前、綺麗な目をしてるな。これまで散々ガキの目玉をくり抜いてきたが、お前のは一番だ」
動けないけれど、兄ちゃんは目を僅かに開けて睨んでいた。男はそんな兄ちゃんの目の前に、ナイフを出して見せた。
「俺コレクションに加えてやろうか。仲のいいガキ二人、並べて置いておいてやるよ」
「あ……や、め……」
男がナイフを兄ちゃんの右目の縁に当てる。兄ちゃんは目を大きく見開いて、それを見ていた。
「なーに、安心しろって。これでも俺は慣れてるんだ」
「あ……うぁ……うあぁぁぁぁぁ!」
「っ!!」
差し込まれ、グルンとナイフが一周する。兄ちゃんの悲鳴に驚いた鳥が鳴いて森を去り、コロンとまだ繋がった丸い目玉が溢れ落ちる。
俺は怖くて、目が離せなかった。ジワッとズボンが熱く濡れる。震えが止まらない。
兄ちゃんはそのまま今度こそ気絶した。力の抜けた兄ちゃんの目玉と繋がった部分を切り離した男は、用済みのナイフを適当に放り投げる。そしてたまらないという様子で、自身の下半身を露出した。
男の昂ぶりは興奮しきって凶器のように大きく育っていた。ニッと口の端を上げた男はそのまま兄ちゃんのズボンも降ろしてしまう。そして兄ちゃんが俺にしたように、尻の奥の窄まりにいきなりそれを突き入れた。
「がはっ! あっ、あが……」
「やっぱ切れたな。あぁ、気持ちいいぜクソガキ。血で濡れて滑りがいいやぁなぁ」
遠慮無く揺さぶり、動かない兄ちゃんをいいようにしている男が手を首にかける。そしてそこに力を入れた。
「くくっ、締まる締まる。苦しいかがきんちょ。首絞めっとよぉ、ココが締まって具合がいいんだよ。これがやめらんねぇ」
ころ、される……
動けない俺は震えているままだ。このままじゃ殺される。兄ちゃんが殺される。自分もあんなふうに殺される。
『怖い助けて』『タスケナンテコナイ』
『嫌だ死にたくない』『オレモコロサレル』
『兄ちゃんが殺される』『オレノセイデコロサレル』
『誰か助けて』『ダレカナンテコナイ』
『死にたくない』『オレガワルイ』
『誰か、誰か助けて!』『ダレモタスケナイ』
『死にたくない!』『ジャアドウスル』
――殺サレル前ニアイツヲ殺セ!
手に触れた尖った枝を俺は握った。そして、何も考えずただがむしゃらに走った。
男は気付いていた。けれど兄ちゃんの首を絞めながら腰を振っていたから、動けなかった。
脇に枝を構えたまま体当たりした瞬間、手が熱く濡れた。鶏皮をフォークで刺したみたいな一瞬の抵抗と、突き抜けた柔らかい感触が手に生々しく伝わってくる。
男が俺を見た。その目は大きく見開かれて、憎悪と怒りがない交ぜになっていた。
「何しやがるクソガキぃ!!」
「ぐっ!」
容赦ない拳が俺の頬を殴りつけて、俺はちょっと飛ばされた。痛くて痛くて、口の中に血の味が溢れてくる。
男が兄ちゃんを離して、俺の方にきた。血走った目と、口の端を伝う血と。
殺される。殺される!
必死で手を伸ばして、俺は光る物を握った。そして、飛びかかる男に無我夢中で手にした物を突き出した。
「がぁ……あが……」
それは、兄ちゃんの目を抉ったナイフだった。それが男の胸に根元まで埋まった。男は俺に覆い被さるように倒れて、数度痙攣する。
動けない重さに押し潰される体が、赤いもので濡れていく。体温を思わせる熱い液体が全身を染めていく。
怖い、気持ち悪い、助けて、誰か!!
空が僅かに明るくなろうとしていた。俺は声が出なくて、事切れた男に押し倒されて空を見上げている。
その耳に、犬の声が聞こえた。
野犬かもしれない。結局俺もここで死ぬんだ。
諦めのような気持ちでいると、一匹の猟犬が俺をみつけて、その頬を舐める。そうして次には吠えるのだ。ここに俺達がいると教えるように。
「なんだ?!」
「おい、人が倒れてるぞ!」
猟銃を構えた数人の男の声が近づいてくる。そうして俺を覗き込んだ人が、男をどかして俺を抱えた。
「おい、これって街で行方不明になってるって騒いでた」
「かもしんねぇ。おい、大丈夫か坊主! もう大丈夫だからな!」
「こっちゃ酷ぇ。おい、大丈夫か!」
側で兄ちゃんを抱き上げる男が声をかけている。右目から血を流し、ぐったりとした兄ちゃんの姿が見える。
優しい亜麻色の髪に、ふんわりした顔。緑色の、優しくて綺麗な目をしていたんだ。
俺が、全部悪い。俺が我が儘を言わなければ、オーウェン兄ちゃんはこんな目に合わなかった。
俺があの時声を我慢できたら、オーウェン兄ちゃんは逃げられたかもしれない。
俺さえいなければ、こんな事にならなかった。
耐えられなかったんだ、事の大きさに。人を殺した、その重みに。俺は逃げたんだ。俺を守ってくれたオーウェン兄ちゃんを忘れて、この記憶を封じて、なかったことにした。逃げていいわけないのに、大事な人を消してのうのうと今まで生きてしまったんだ。
◇◆◇
目が覚めた時、部屋は明るかったけれど窓の外は暗かった。
覗き込むようにしていたエリオットの顔に安堵の表情が浮かぶ。その後ろには心配そうなファウストもいた。
頭痛がする。でも、スッキリと全部を理解した。ランバートは体を起こし、軽く頭を振る。そして、ファウストとエリオットを見た。
「心配しました。なかなか目を覚まさないので」
「すみません、もう大丈夫です」
心臓が早くなって、少し苦しい。何度か深呼吸をして落ち着くと、ファウストが水を差しだしてくれた。
「有り難う」
「……思いだしたのか?」
「……うん」
ファウストの気遣わしい表情を見上げ、ランバートは重く頷く。水を飲み込むと、また少し落ち着けた。
「俺が、全部の原因だった。俺が我が儘を言わなければ、オーウェン兄ちゃんは右目を失う事もなかったんだ。全部の原因のくせに俺、全部忘れてなかったことにした。本当に、最低だ」
落ち着いたと思ったけれど、思い出すと涙が出てくる。悲しいからでも、怖いからでもない。ただただ取り返しの付かない事をしてしまった自分に対する罪の意識と、オーウェンに対する懺悔の気持ちだった。
ファウストがベッドに腰を下ろし、正面から抱きとめてくれる。その腕の中が温かくて、ランバートは子供みたいに泣いていた。
暫くそうして心のままに泣いたら、スッキリとした。背を撫でる手の心地よい動きに甘えて、そうして次には体を離して、ファウストを正面から見た。
「俺、オーウェン兄ちゃんに謝らないと」
「大丈夫か?」
「うん」
王都で会ったのは、大人びていたけれどオーウェンだった。それなら何処かにいるはずだ。許してもらえないだろうけれど、謝らないといけない。謝罪なんかじゃ足りないけれど。
ファウストは数度背中をトントンと叩いた後で立ち上がり、手を差し伸べてくれる。首を傾げて見上げると、困った笑みを返してくれた。
「あいつの居場所を知っている。案内する」
「知ってるって……」
どうして? そう問おうとしたけれど、止めた。自分が倒れた事でファウストが探したのかもしれない。そう思ったから。
伸べられた手を取って、立ち上がる。スッキリと立つ事が出来て、ほっとした。
「エリオット、いいな?」
「……仕方がありませんね。そのかわり、ちゃんと帰ってくることです」
溜息をついたエリオットの許可も出て、ファウストの背を追った。
やっぱり、これがいい。一人の時間、何もできなくて色んなものが抜け落ちてしまったみたいだった。皆が忙しいのに自分だけ何もできなくて、それも苦しかった。
フリムファクシに跨がったファウストが手を差し伸べ、ランバートを上げてくれる。そうして向かったのは、郊外の森の中だった。
夜の森は記憶の中に似ていた。暗く深く、色んなものを飲み込んで隠してしまいそうだ。
「……ファウストは、俺の事知ってたのか?」
倒れてもあまり焦らなかったファウストを、今思えば不自然に感じる。何も知らなければきっと大焦りなんじゃないかと思う。風邪で倒れても大騒ぎなんだから。
ファウストはバツの悪い顔で、道中事の次第を話してくれた。事件の事、そこでオーウェン会って話をしたこと。
自分も知らなかった事をファウストは知っていて、見守っていた。話してくれればよかったのにと思う反面、自分で取りもどさなきゃいけなかったんだとも思う。それに、ファウストがしっかりと構えていてくれた事で安心したのも確かだ。
「悪かった」
「ううん。こっちこそ沢山迷惑かけてごめん」
申し訳無く謝るファウストを見上げ、ランバートは緩く笑った。
そうしている間に、騒がしい現場に到着した。数十人の人がロープで腕を拘束されて引き立てられていく。その更に奥、古めかしい屋敷の前にゼロスやレイバン、ボリスと一緒に見慣れない白いローブ姿の人を見た。
「ランバート!」
「え?」
ゼロスが気付いて声を上げ、それにつられて白ローブの人物がこちらを見る。
綺麗な緑色の瞳に、柔らかい顔立ち。綺麗な亜麻色の髪の……
こみ上げる感情は複雑であまりに多い。そしてまるで濁流のようだった。
こちらを見て逃げるように背を向けて走る人を、ランバートはフリムから飛び降りて追った。そしてその背中に縋るように抱きついて、ようやく止める事ができた。
「ごめん、兄ちゃん! ごめん、俺……俺が!」
「!」
俺が悪かった。俺が……
心の中を一杯に埋める後悔と懺悔。それをただ「ごめん」としか出せなくて苦しい。後ろから抱きついたまま肩に顔を埋めたランバートは人前にも関わらず泣いていた。そして必死に必死に、謝罪を繰り返した。
「あぁ、神よ……」
震えた声がオーウェンから漏れる。僅かに顔を上げたランバートの目に、光る滴が見えた。
「貴方に心から感謝する日が来るとは、思いませんでした。全ての非礼と不信心をお詫びし、以後貴方の教えに沿うよう努めます」
そう呟いたオーウェンが振り向き、ランバートを抱き寄せる。驚いて凝視したランバートに、オーウェンはとても幸せそうな笑みを浮かべた。
「謝らなくていいんだよ、ランバート。謝罪なんて……この瞬間にもうどうでもいい事なんだ。僕を思い出してくれたのかい? 僕がしたことを、君は許してくれるのかい?」
「許すって……! あれは俺を助けようとしたことで、許すも何もない! 俺こそ声を上げて! それ以前に我が儘を言わなければその目」
右目には綺麗な緑色の瞳がある。けれど確かにあの時、この目は失われた。転がり出たそれを、その瞬間を今でも覚えている。
オーウェンは柔らかく微笑み、そっと瞳を閉じる。そして昔となんら変わらない様子で頭を撫でてくれた。
「ごめんね、助けてあげられなくて。酷く傷つけてしまったよね。ランバート、僕は嬉しい。また、君とこうして話が出来て嬉しいんだ。思いだしてくれて嬉しいんだ」
「兄ちゃん……」
「僕の小さな弟くん。僕は君の事が大好きだよ。君が幸せで良かった。笑っていてくれて良かった。ただそれだけで、僕は心から救われるんだ」
背中を撫でる手が昔と変わらず優しくあやす。そうして二人で顔をグチャグチャに濡らしたまま、最後には笑う事ができたのだった。
「本当に、大丈夫ですか?」
心配そうなエリオットを見たランバートは、硬い表情で頷く。布団の上で握られた手は僅かに震えていたけれど、逃げる気持ちはなかった。
「お願いします」
丁寧に頭を下げたランバートに、エリオットはフッと一度息を吐いて「分かりました」と言ってくれた。
振り子の揺れるそれを見つめる。漂う香りに気持ちが落ち着く。徐々に眠りに落ちる前のように思考が鈍り、ボーッとしてくる。
三つ、カウントされて落ちたのは途切れた記憶の、少し前だった。
◇◆◇
冷たく痛い石の床。後ろに押し当てられた幼い昂ぶり。それは確かに恐怖だった。
けれど、前のように飲まれていない。「怖い。止めて」と叫ぶ自分の更に奥に、冷静な自分がいる。
それでも当時の自分の感情は伝わってくる。恐怖。けれどその奥にあるのは混乱だ。信じていた、大好きだ。だからこそ、怖いと叫んでも止めてくれないこの行為に戸惑い、悲しい気持ちがある。
でもやっぱり恨みなんてない。憎しみなんてない。これは明らかな強姦なのに、俺はこの人の事を嫌いだなんて思っていない。
押し当てられたものが、グッと力を込めてこじ開けようとする。走る痛みは裂けてしまいそうなものだった。
ダメだ、叫ぶな。今声を上げたら大変な事になる。我慢しろ。我慢しなければならないのに!
言いようのない焦りが俺の中にはあるのに、記憶は変わらない。痛みに耐えられない。悲鳴を上げたその声に、ドアが開いて人が雪崩れ込んでくる。
「何をしている!」
入って来た男が無理矢理――兄ちゃんを引き離そうとしている。けれど兄ちゃんはそれを拒んだ。俺の中にある熱が締めつけに大きく育つ。
「この、クソガキ!」
「っ!」
棒を持った濃紺のローブを着た男が――兄ちゃんの頭を殴って、俺の顔に血が散る。倒れ込んだ兄ちゃんを受け止めた俺は、中にほんの僅か熱いものが流れたのが分かった。
「畜生、上物の生け贄が二つとも台無しだ!」
ぐったりと気を失っている兄ちゃんを乱暴に引き離した男が怒鳴る。抜け落ちたそこから、放たれたものがほんの少し流れ出て、それがとても不快に思えた。お漏らしみたいだ。
「まさか男の処女を奪うなんて、頭の回るガキだ」
「どっちにしても穢れた。これでは神にささげられない」
神に捧げる? 穢れた? 生け贄?
過去の俺の中で、色んなものが繋がった。――兄ちゃんは、助けようとしてくれた。生け贄として殺される筈だった俺を、助けてくれた。なのに俺が叫んだから、兄ちゃんは……
「こいつらどうする」
「ここで血を流すわけにはいかない。森で」
「俺がやろう」
そう言って進み出たのは、まだ若い声の男だった。濃紺のローブを纏った男が脇に――兄ちゃんを抱え、もう片方の手を俺に伸ばしてくる。
「いや……やめろ!」
叫んでも非力すぎる。俺はもう片方の脇に抱えられて石造りの牢を出て、更に屋敷を出された。外は肌寒く、とても暗い。
男はズンズンと森の中を進んで、建物もすっかり見えなくなった。それでもまだ男は進んで、どこかも分からないような場所で俺を放り投げ、――兄ちゃんも乱暴に落とした。
「さーて、お楽しみだ。今日は随分上物にありつけたぜ」
「え……?」
男がローブのフードを脱ぐ。そこから現れたのはまだ若い男だった。口元には残酷な笑みが浮かんでいて、細く顔色もいいとは言えない。
それが余計に怖かった。
「まずはお前からか? 綺麗なガキだ。どんな声で泣き叫んでくれるか、今から楽しみだ」
何を言われているのか分からない。けれど体の芯が冷たく震えて体が動かない。へたり込んだまま目を一杯に開いて見上げている俺は、その男の体が突然横に倒れたのを見た。
「ランバート、逃げよう!」
「兄ちゃん!」
頭から血を流したままの兄ちゃんが手を差し伸べる。俺もその手に掴まろうとした。
けれどそれよりも前に、倒された男が兄ちゃんを蹴り飛ばしてしまった。
「いっってぇなクソガキ!」
「やっ……止めてぇぇ!」
倒れた兄ちゃんの元に行った男が兄ちゃんを容赦なく蹴りつける。ボールみたいに地を転がる兄ちゃんの目が、段々虚ろになっていく。口元が、僅かに動いた。「にげろ」と、伝えてくる。
動けない。腰が抜けて、震えて動けない。小さくなって震えているのが精々だ。
「俺はなぁ、神なんざどーっでもいいのさ。お前等みたいなガキを切り刻めるってんでいるだけだ。今日は存分に悲鳴を聞けるってんで機嫌がよかったのになぁ。もう優しくしてやれねぇなぁ」
男の口元に残酷な笑みが浮かんでいる。その様子だけでも、最初から残酷に殺すつもりだったのが分かる。
兄ちゃんは散々に蹴られて動けなくなっていた。ピクピクと動いているけれど、抵抗なんてできない。
その兄ちゃんの襟首を掴んだ男が、兄ちゃんの顔にグッと自分の顔を寄せる。真っ赤な舌でペロリと唇を濡らした男は、とても楽しそうな顔をした。
「お前、綺麗な目をしてるな。これまで散々ガキの目玉をくり抜いてきたが、お前のは一番だ」
動けないけれど、兄ちゃんは目を僅かに開けて睨んでいた。男はそんな兄ちゃんの目の前に、ナイフを出して見せた。
「俺コレクションに加えてやろうか。仲のいいガキ二人、並べて置いておいてやるよ」
「あ……や、め……」
男がナイフを兄ちゃんの右目の縁に当てる。兄ちゃんは目を大きく見開いて、それを見ていた。
「なーに、安心しろって。これでも俺は慣れてるんだ」
「あ……うぁ……うあぁぁぁぁぁ!」
「っ!!」
差し込まれ、グルンとナイフが一周する。兄ちゃんの悲鳴に驚いた鳥が鳴いて森を去り、コロンとまだ繋がった丸い目玉が溢れ落ちる。
俺は怖くて、目が離せなかった。ジワッとズボンが熱く濡れる。震えが止まらない。
兄ちゃんはそのまま今度こそ気絶した。力の抜けた兄ちゃんの目玉と繋がった部分を切り離した男は、用済みのナイフを適当に放り投げる。そしてたまらないという様子で、自身の下半身を露出した。
男の昂ぶりは興奮しきって凶器のように大きく育っていた。ニッと口の端を上げた男はそのまま兄ちゃんのズボンも降ろしてしまう。そして兄ちゃんが俺にしたように、尻の奥の窄まりにいきなりそれを突き入れた。
「がはっ! あっ、あが……」
「やっぱ切れたな。あぁ、気持ちいいぜクソガキ。血で濡れて滑りがいいやぁなぁ」
遠慮無く揺さぶり、動かない兄ちゃんをいいようにしている男が手を首にかける。そしてそこに力を入れた。
「くくっ、締まる締まる。苦しいかがきんちょ。首絞めっとよぉ、ココが締まって具合がいいんだよ。これがやめらんねぇ」
ころ、される……
動けない俺は震えているままだ。このままじゃ殺される。兄ちゃんが殺される。自分もあんなふうに殺される。
『怖い助けて』『タスケナンテコナイ』
『嫌だ死にたくない』『オレモコロサレル』
『兄ちゃんが殺される』『オレノセイデコロサレル』
『誰か助けて』『ダレカナンテコナイ』
『死にたくない』『オレガワルイ』
『誰か、誰か助けて!』『ダレモタスケナイ』
『死にたくない!』『ジャアドウスル』
――殺サレル前ニアイツヲ殺セ!
手に触れた尖った枝を俺は握った。そして、何も考えずただがむしゃらに走った。
男は気付いていた。けれど兄ちゃんの首を絞めながら腰を振っていたから、動けなかった。
脇に枝を構えたまま体当たりした瞬間、手が熱く濡れた。鶏皮をフォークで刺したみたいな一瞬の抵抗と、突き抜けた柔らかい感触が手に生々しく伝わってくる。
男が俺を見た。その目は大きく見開かれて、憎悪と怒りがない交ぜになっていた。
「何しやがるクソガキぃ!!」
「ぐっ!」
容赦ない拳が俺の頬を殴りつけて、俺はちょっと飛ばされた。痛くて痛くて、口の中に血の味が溢れてくる。
男が兄ちゃんを離して、俺の方にきた。血走った目と、口の端を伝う血と。
殺される。殺される!
必死で手を伸ばして、俺は光る物を握った。そして、飛びかかる男に無我夢中で手にした物を突き出した。
「がぁ……あが……」
それは、兄ちゃんの目を抉ったナイフだった。それが男の胸に根元まで埋まった。男は俺に覆い被さるように倒れて、数度痙攣する。
動けない重さに押し潰される体が、赤いもので濡れていく。体温を思わせる熱い液体が全身を染めていく。
怖い、気持ち悪い、助けて、誰か!!
空が僅かに明るくなろうとしていた。俺は声が出なくて、事切れた男に押し倒されて空を見上げている。
その耳に、犬の声が聞こえた。
野犬かもしれない。結局俺もここで死ぬんだ。
諦めのような気持ちでいると、一匹の猟犬が俺をみつけて、その頬を舐める。そうして次には吠えるのだ。ここに俺達がいると教えるように。
「なんだ?!」
「おい、人が倒れてるぞ!」
猟銃を構えた数人の男の声が近づいてくる。そうして俺を覗き込んだ人が、男をどかして俺を抱えた。
「おい、これって街で行方不明になってるって騒いでた」
「かもしんねぇ。おい、大丈夫か坊主! もう大丈夫だからな!」
「こっちゃ酷ぇ。おい、大丈夫か!」
側で兄ちゃんを抱き上げる男が声をかけている。右目から血を流し、ぐったりとした兄ちゃんの姿が見える。
優しい亜麻色の髪に、ふんわりした顔。緑色の、優しくて綺麗な目をしていたんだ。
俺が、全部悪い。俺が我が儘を言わなければ、オーウェン兄ちゃんはこんな目に合わなかった。
俺があの時声を我慢できたら、オーウェン兄ちゃんは逃げられたかもしれない。
俺さえいなければ、こんな事にならなかった。
耐えられなかったんだ、事の大きさに。人を殺した、その重みに。俺は逃げたんだ。俺を守ってくれたオーウェン兄ちゃんを忘れて、この記憶を封じて、なかったことにした。逃げていいわけないのに、大事な人を消してのうのうと今まで生きてしまったんだ。
◇◆◇
目が覚めた時、部屋は明るかったけれど窓の外は暗かった。
覗き込むようにしていたエリオットの顔に安堵の表情が浮かぶ。その後ろには心配そうなファウストもいた。
頭痛がする。でも、スッキリと全部を理解した。ランバートは体を起こし、軽く頭を振る。そして、ファウストとエリオットを見た。
「心配しました。なかなか目を覚まさないので」
「すみません、もう大丈夫です」
心臓が早くなって、少し苦しい。何度か深呼吸をして落ち着くと、ファウストが水を差しだしてくれた。
「有り難う」
「……思いだしたのか?」
「……うん」
ファウストの気遣わしい表情を見上げ、ランバートは重く頷く。水を飲み込むと、また少し落ち着けた。
「俺が、全部の原因だった。俺が我が儘を言わなければ、オーウェン兄ちゃんは右目を失う事もなかったんだ。全部の原因のくせに俺、全部忘れてなかったことにした。本当に、最低だ」
落ち着いたと思ったけれど、思い出すと涙が出てくる。悲しいからでも、怖いからでもない。ただただ取り返しの付かない事をしてしまった自分に対する罪の意識と、オーウェンに対する懺悔の気持ちだった。
ファウストがベッドに腰を下ろし、正面から抱きとめてくれる。その腕の中が温かくて、ランバートは子供みたいに泣いていた。
暫くそうして心のままに泣いたら、スッキリとした。背を撫でる手の心地よい動きに甘えて、そうして次には体を離して、ファウストを正面から見た。
「俺、オーウェン兄ちゃんに謝らないと」
「大丈夫か?」
「うん」
王都で会ったのは、大人びていたけれどオーウェンだった。それなら何処かにいるはずだ。許してもらえないだろうけれど、謝らないといけない。謝罪なんかじゃ足りないけれど。
ファウストは数度背中をトントンと叩いた後で立ち上がり、手を差し伸べてくれる。首を傾げて見上げると、困った笑みを返してくれた。
「あいつの居場所を知っている。案内する」
「知ってるって……」
どうして? そう問おうとしたけれど、止めた。自分が倒れた事でファウストが探したのかもしれない。そう思ったから。
伸べられた手を取って、立ち上がる。スッキリと立つ事が出来て、ほっとした。
「エリオット、いいな?」
「……仕方がありませんね。そのかわり、ちゃんと帰ってくることです」
溜息をついたエリオットの許可も出て、ファウストの背を追った。
やっぱり、これがいい。一人の時間、何もできなくて色んなものが抜け落ちてしまったみたいだった。皆が忙しいのに自分だけ何もできなくて、それも苦しかった。
フリムファクシに跨がったファウストが手を差し伸べ、ランバートを上げてくれる。そうして向かったのは、郊外の森の中だった。
夜の森は記憶の中に似ていた。暗く深く、色んなものを飲み込んで隠してしまいそうだ。
「……ファウストは、俺の事知ってたのか?」
倒れてもあまり焦らなかったファウストを、今思えば不自然に感じる。何も知らなければきっと大焦りなんじゃないかと思う。風邪で倒れても大騒ぎなんだから。
ファウストはバツの悪い顔で、道中事の次第を話してくれた。事件の事、そこでオーウェン会って話をしたこと。
自分も知らなかった事をファウストは知っていて、見守っていた。話してくれればよかったのにと思う反面、自分で取りもどさなきゃいけなかったんだとも思う。それに、ファウストがしっかりと構えていてくれた事で安心したのも確かだ。
「悪かった」
「ううん。こっちこそ沢山迷惑かけてごめん」
申し訳無く謝るファウストを見上げ、ランバートは緩く笑った。
そうしている間に、騒がしい現場に到着した。数十人の人がロープで腕を拘束されて引き立てられていく。その更に奥、古めかしい屋敷の前にゼロスやレイバン、ボリスと一緒に見慣れない白いローブ姿の人を見た。
「ランバート!」
「え?」
ゼロスが気付いて声を上げ、それにつられて白ローブの人物がこちらを見る。
綺麗な緑色の瞳に、柔らかい顔立ち。綺麗な亜麻色の髪の……
こみ上げる感情は複雑であまりに多い。そしてまるで濁流のようだった。
こちらを見て逃げるように背を向けて走る人を、ランバートはフリムから飛び降りて追った。そしてその背中に縋るように抱きついて、ようやく止める事ができた。
「ごめん、兄ちゃん! ごめん、俺……俺が!」
「!」
俺が悪かった。俺が……
心の中を一杯に埋める後悔と懺悔。それをただ「ごめん」としか出せなくて苦しい。後ろから抱きついたまま肩に顔を埋めたランバートは人前にも関わらず泣いていた。そして必死に必死に、謝罪を繰り返した。
「あぁ、神よ……」
震えた声がオーウェンから漏れる。僅かに顔を上げたランバートの目に、光る滴が見えた。
「貴方に心から感謝する日が来るとは、思いませんでした。全ての非礼と不信心をお詫びし、以後貴方の教えに沿うよう努めます」
そう呟いたオーウェンが振り向き、ランバートを抱き寄せる。驚いて凝視したランバートに、オーウェンはとても幸せそうな笑みを浮かべた。
「謝らなくていいんだよ、ランバート。謝罪なんて……この瞬間にもうどうでもいい事なんだ。僕を思い出してくれたのかい? 僕がしたことを、君は許してくれるのかい?」
「許すって……! あれは俺を助けようとしたことで、許すも何もない! 俺こそ声を上げて! それ以前に我が儘を言わなければその目」
右目には綺麗な緑色の瞳がある。けれど確かにあの時、この目は失われた。転がり出たそれを、その瞬間を今でも覚えている。
オーウェンは柔らかく微笑み、そっと瞳を閉じる。そして昔となんら変わらない様子で頭を撫でてくれた。
「ごめんね、助けてあげられなくて。酷く傷つけてしまったよね。ランバート、僕は嬉しい。また、君とこうして話が出来て嬉しいんだ。思いだしてくれて嬉しいんだ」
「兄ちゃん……」
「僕の小さな弟くん。僕は君の事が大好きだよ。君が幸せで良かった。笑っていてくれて良かった。ただそれだけで、僕は心から救われるんだ」
背中を撫でる手が昔と変わらず優しくあやす。そうして二人で顔をグチャグチャに濡らしたまま、最後には笑う事ができたのだった。
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