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9章:攻め達の妄想初夢
4話:理想は持ってもいいじゃないか!(グリフィス)
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新年三日の休みを使って温泉に行こう。
そう言い出したのはリッツからだった。
「見て見てグリフィス! 浴衣って着やすくてオシャレだな!」
宿にある浴衣を着てはしゃぐリッツはクルクルと回ってはご機嫌にしている。
「温泉じゃ浴衣は今は普通だな。脱ぎやすくて着やすくて、通気性もいいからな」
「俺、こういう温泉街って来た事がないから知らなかったわ」
騎士は怪我も多いから、休みを利用して温泉というのは結構ある。グリフィスは若い頃、特に傷が多かった。そのせいで温泉マニアかってくらい温泉は行きまくっていた。
リッツは白と青の女物の浴衣がどうしても着たいとダダを捏ねて、宿の人にお願いしてグリフィスが着せた。小柄だから似合う。
一方のグリフィスは黒地にグレーの模様が不規則に入った男物の浴衣だ。股がスカスカなのが少し心許ないが、他は快適だ。
「温泉、あちこち回るんだろ?」
「あぁ」
「それじゃ、行こうか」
鼻歌でも歌いそうな軽い足取り。浴衣だけじゃ寒いからと羽織を着せて、二人は宿泊先の宿から出た。
温泉街には土産屋やカフェがつきもの。店先をひやかすリッツはとても楽しそうにグリフィスの少し先を行く。
「ねぇ、これ美味しそう! えっと……マンジュウ?」
「あぁ、東国の甘い菓子だ。美味いぞ」
手の平に乗るくらいの温泉饅頭は、まだほこほこと湯気を上げている。二つ買ったグリフィスはその一つをリッツに渡し、自分は大きく半分位を食べた。
「甘いの?」
「甘い。でも、クリームとかとは違うな。あんこだ」
「あ、それは俺も食べたことある。王都でも店があるし」
中身を聞いて安心したのか、リッツはパクンと饅頭を口にする。そして、明るいキャラメル色の瞳をパッと輝かせた。
「美味い!」
「だろ?」
「これ、王都で売れないかな?」
饅頭を見つつ仕事の顔も見せるリッツを見て、グリフィスは苦笑して頭をワシワシと撫でた。
「わぁぁ!」
「こーら、リッツ。俺と旅行してるってのに仕事の事考えるんじゃねーよ」
キョトッとした瞳が見上げる。そして次にはちょっと申し訳なさそうに瞳を緩めて笑うリッツがいた。
「うん、ごめん。そうだよな」
やけに聞き分けがいいリッツは饅頭を更に二つ買って持ち歩きにしてもらい、更に先へと歩き出す。
そうして到着したのは、誰もが入れる足湯だった。
「うわぁ、ぽかぽかだ。気持ちいいな」
「あぁ」
浴衣の足元を軽く上げて湯に足をつける。これだけで体が温まってぽかぽかしてくる。
それにしてもリッツの足は細い。隣りにグリフィスがいるからだが、折れてしまいそうだ。
「もぉ、俺の足ばかりみて。そんなに色っぽい?」
「言ってろよ」
「あっ、酷いな。そんなこと言うと、させてやらないんだからな」
上目遣いで睨む瞳がちょっと拗ねている。湯で温まってほんのりと色付く頬。ちょっと扇情的で可愛く見える。
「それでお前は耐えられるのか?」
ほんの少し手を伸ばして内股に触れると、ヒクンとリッツの体が揺れる。そして股座も少し持ち上がった。
「お前、それは……」
「グリフィスが触るからじゃないか! 俺、今はそんなつもりなかったのに。うぅ、恥ずかしいなぁ」
人がいても欲望をあまり隠さないリッツが、とても恥ずかしそうに頬を染める。潤んだ瞳を反らし、口を尖らせて。
これは、何か悪い事の前兆なのか? リッツが恥じらいなんて!
でも、こういうのは以外とくる。思わず大きくなったグリフィスの股間を見て、リッツはギョッとしたあと、可笑しそうに笑った。
「グリフィスもじゃないか」
「あぁ、いやぁ、これは……」
なんというか、格好がつかなくてたまらない。恥じ隠しに頭をかくと、リッツは妙に嬉しそうな顔をした。
「もう少し、外風呂楽しみたい。宿に戻ってご飯食べたら、沢山サービスしてあげるからね」
「……おう」
人目のないところでしようとか、今すぐ宿に戻ろうというのではない。恥じらいや控えめな態度とか、そういうものが新鮮だ。
くすくす笑うリッツの楽しげで、ちょっと子供っぽい笑顔がとても眩しく思えるグリフィスは、そっとリッツの前髪を上げてそこにキスをした。
◇◆◇
目が覚めると、外は薄ぼんやりと明るくなり始めていた。だがまだ、日の出前だろう。
辺りを見回すと宿舎のラウンジの床で、あちこちに無残な隊員が転がっている。
「あぁ、そっか。あの後飲み過ぎて沈んだか……」
軽く頭を振って昨日を思い出す。年末パーティーで盛り上がり、その後年が明けても飲み続けた奴等がここに転がっている。
リッツとの温泉旅行は、今日の朝出発だ。
それにしても、悪くない夢だった。仕事からも離れ、少し控えめに旅行を楽しむリッツは子供っぽい顔もしてよかった。あれだと純粋に旅行も楽しいし、日中溜めたムラムラを夜に一気に出せそうだ。
「……ありだな」
今日の旅行で提案してみよう。旅行は旅行で楽しみ、夜宿に戻ったら眠らせないほど抱く。メリハリもあるし、きっと楽しい。買い食いして、はしゃいで、足湯もやっぱりいい。
室内露天なら背中を流し合うのも悪くない。
「よっしゃ、軽く酒抜いてからだな」
立ち上がり、足取り軽くラウンジを後にするグリフィスは今日これからをとても楽しみにするのだった。
そう言い出したのはリッツからだった。
「見て見てグリフィス! 浴衣って着やすくてオシャレだな!」
宿にある浴衣を着てはしゃぐリッツはクルクルと回ってはご機嫌にしている。
「温泉じゃ浴衣は今は普通だな。脱ぎやすくて着やすくて、通気性もいいからな」
「俺、こういう温泉街って来た事がないから知らなかったわ」
騎士は怪我も多いから、休みを利用して温泉というのは結構ある。グリフィスは若い頃、特に傷が多かった。そのせいで温泉マニアかってくらい温泉は行きまくっていた。
リッツは白と青の女物の浴衣がどうしても着たいとダダを捏ねて、宿の人にお願いしてグリフィスが着せた。小柄だから似合う。
一方のグリフィスは黒地にグレーの模様が不規則に入った男物の浴衣だ。股がスカスカなのが少し心許ないが、他は快適だ。
「温泉、あちこち回るんだろ?」
「あぁ」
「それじゃ、行こうか」
鼻歌でも歌いそうな軽い足取り。浴衣だけじゃ寒いからと羽織を着せて、二人は宿泊先の宿から出た。
温泉街には土産屋やカフェがつきもの。店先をひやかすリッツはとても楽しそうにグリフィスの少し先を行く。
「ねぇ、これ美味しそう! えっと……マンジュウ?」
「あぁ、東国の甘い菓子だ。美味いぞ」
手の平に乗るくらいの温泉饅頭は、まだほこほこと湯気を上げている。二つ買ったグリフィスはその一つをリッツに渡し、自分は大きく半分位を食べた。
「甘いの?」
「甘い。でも、クリームとかとは違うな。あんこだ」
「あ、それは俺も食べたことある。王都でも店があるし」
中身を聞いて安心したのか、リッツはパクンと饅頭を口にする。そして、明るいキャラメル色の瞳をパッと輝かせた。
「美味い!」
「だろ?」
「これ、王都で売れないかな?」
饅頭を見つつ仕事の顔も見せるリッツを見て、グリフィスは苦笑して頭をワシワシと撫でた。
「わぁぁ!」
「こーら、リッツ。俺と旅行してるってのに仕事の事考えるんじゃねーよ」
キョトッとした瞳が見上げる。そして次にはちょっと申し訳なさそうに瞳を緩めて笑うリッツがいた。
「うん、ごめん。そうだよな」
やけに聞き分けがいいリッツは饅頭を更に二つ買って持ち歩きにしてもらい、更に先へと歩き出す。
そうして到着したのは、誰もが入れる足湯だった。
「うわぁ、ぽかぽかだ。気持ちいいな」
「あぁ」
浴衣の足元を軽く上げて湯に足をつける。これだけで体が温まってぽかぽかしてくる。
それにしてもリッツの足は細い。隣りにグリフィスがいるからだが、折れてしまいそうだ。
「もぉ、俺の足ばかりみて。そんなに色っぽい?」
「言ってろよ」
「あっ、酷いな。そんなこと言うと、させてやらないんだからな」
上目遣いで睨む瞳がちょっと拗ねている。湯で温まってほんのりと色付く頬。ちょっと扇情的で可愛く見える。
「それでお前は耐えられるのか?」
ほんの少し手を伸ばして内股に触れると、ヒクンとリッツの体が揺れる。そして股座も少し持ち上がった。
「お前、それは……」
「グリフィスが触るからじゃないか! 俺、今はそんなつもりなかったのに。うぅ、恥ずかしいなぁ」
人がいても欲望をあまり隠さないリッツが、とても恥ずかしそうに頬を染める。潤んだ瞳を反らし、口を尖らせて。
これは、何か悪い事の前兆なのか? リッツが恥じらいなんて!
でも、こういうのは以外とくる。思わず大きくなったグリフィスの股間を見て、リッツはギョッとしたあと、可笑しそうに笑った。
「グリフィスもじゃないか」
「あぁ、いやぁ、これは……」
なんというか、格好がつかなくてたまらない。恥じ隠しに頭をかくと、リッツは妙に嬉しそうな顔をした。
「もう少し、外風呂楽しみたい。宿に戻ってご飯食べたら、沢山サービスしてあげるからね」
「……おう」
人目のないところでしようとか、今すぐ宿に戻ろうというのではない。恥じらいや控えめな態度とか、そういうものが新鮮だ。
くすくす笑うリッツの楽しげで、ちょっと子供っぽい笑顔がとても眩しく思えるグリフィスは、そっとリッツの前髪を上げてそこにキスをした。
◇◆◇
目が覚めると、外は薄ぼんやりと明るくなり始めていた。だがまだ、日の出前だろう。
辺りを見回すと宿舎のラウンジの床で、あちこちに無残な隊員が転がっている。
「あぁ、そっか。あの後飲み過ぎて沈んだか……」
軽く頭を振って昨日を思い出す。年末パーティーで盛り上がり、その後年が明けても飲み続けた奴等がここに転がっている。
リッツとの温泉旅行は、今日の朝出発だ。
それにしても、悪くない夢だった。仕事からも離れ、少し控えめに旅行を楽しむリッツは子供っぽい顔もしてよかった。あれだと純粋に旅行も楽しいし、日中溜めたムラムラを夜に一気に出せそうだ。
「……ありだな」
今日の旅行で提案してみよう。旅行は旅行で楽しみ、夜宿に戻ったら眠らせないほど抱く。メリハリもあるし、きっと楽しい。買い食いして、はしゃいで、足湯もやっぱりいい。
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