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13章:瓦礫の囚人
6話:女の狂気(クラウル)
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暗い世界に、ぽつんと明かりが浮かび上がる。その上に、ゼロスが背を向けて立っていた。
「ゼロス」
思わぬ姿に心の底が揺らぎ、クラウルは走り出した。手を伸ばし、光の中で黙っているゼロスの腕を掴む。
その瞬間、ズルリと腕が落ちた。
「!」
『クラウル様、申し訳ありません』
そう呟いて振り向いたゼロスの額から、顔を染めるほどの血が流れ出ていた。
『すみません』
「ゼロス待て!」
腕を伸ばし胸に納めた体がズルリと落ちる。その腕の中で、ゼロスの体は重たくなっていった。
◇◆◇
バッと意識が戻り、飛び起きて息を吐いた。
辺りはすっかり暗くなり、体は痛い。とっくに限界がきていて執務室のソファーで眠ってしまっていたのだろう。背中の辺りがギシギシする。
頭が痛くて振った。そして、未だ痛いくらいの心臓に息が切れた。
とんでもない悪夢だった。ゼロスが死ぬ夢なんて縁起でもない。あいつはきっと生きている。そんな簡単に死ぬような奴じゃない。
信じている。その思いだけじゃ足りないのもまた、事実だった。
クラウルはそのまま部屋を出て、目の前にある修練場へと近づいていった。ここで、ゼロスの修練をしていた。
あいつは体も大きいから小回りがきかなかった。死角が多かった。それをクラウルがついて、自覚させていった。そうしたら覚えもよくてグングン伸びていった。
目に見える成果が出ると控えめだが嬉しそうな顔をしていた。普段大人びている奴が見せる一瞬の子供みたいな輝きを見るのが幸せだった。
思い出すのが辛くなって、膝を抱えて俯いた。けれど視界を切ると今度は思考の中のゼロスが現れてクラウルを離さない。それほど深く、彼の存在はクラウルの中にあるのだ。
どのくらいそうしていたのだろうか。不意にした足音に顔を上げたクラウルは、予想通りの人物が腰に手を当てて溜息をつきつつ、鋭い目で見下ろすのを見た。
「ファウスト」
「随分な顔をしているぞ、クラウル」
「だろうな。自覚がある」
「示しがつかん」
「……ゼロスが生きている確信が、持てない」
思わず出た弱音に、ファウストは綺麗な柳眉を上げる。それだけでこいつの表情はキツくなる。
「あいつを信じないのか」
「信じたい。だが……」
「お前が信じないで誰が信じる。今駆けずり回っている奴の努力を無駄にする様な事を言うな」
「分かっている! だが……」
夢の影響はあるだろう。ベアトリスの異様な日記も影響した。ゼロスに対する異常なほどの執着に狂気を感じている。
そんな奴がゼロスを攫ったんだ。今頃どうなっているか……いや、ゼロスは賢い奴だから無駄に刺激するような事はしないだろうが、それでも。
グチャグチャと考えていると、不意に腕を掴まれ無理矢理に立ち上がらせられる。そして引っ張られるように修練場のど真ん中に連れ出された。
「ファウスト!」
「お前のそんな顔は見るに堪えない。体を動かせば余計な考えも飛ぶだろう」
「冗談は止めろ! 第一、俺とお前がまともにぶつかったらどっちかが怪我しかねないぞ!」
「骨の一本くらいで勘弁してやる。嫌なら気合入れろ。本気のクラウル・ローゼンなら、無様に折られる事もない」
イライラしている中でこれは、正直カチンときた。
上着を脱いだクラウルを見て、ファウストは鋭い笑みを浮かべて上着を脱ぐ。そうして互いに向かい合い、ジリジリと間合いとタイミングを図り始めた。
相変わらず、隙が無い。普通にしていても気を張っている奴が改めて敵を前にするように構えると、本当にどこから切り込んでいいかが分からないくらいだ。
だが、それを崩すのがクラウルとファウストの、いつもの始まりだ。
軽く足元を整える。トントンと足元を慣らした次の瞬間、クラウルはファウストの前に走り出す。ただ、これはまだ半分も力を使っていない。にも関わらず、クラウルの初速はそこらの隊員よりもずっと早い。
構えるファウストがグッと腰を落として構えた。もう少しで奴の間合いに入る。手が届くだろう瞬間、クラウルは素早く身を低くしつつ左側へと飛んだ。そうして左腕の付け根、脇腹を狙って拳を放った。
だがこれは難なく受けられる。右手の平で流すように軌道を逸らしつつ、長い足が鞭の様にしなって横倒しにしようと狙ってくる。
無理などしない。流された方向へと逆に加速をつけて低く飛んだクラウルは修練場に手をついて両足と片手の三点で勢いのついている体を止めた。
「お前の瞬発力は相変わらずトリッキーだな」
「馬鹿力」
ファウストとの手合わせはいつも決着がつかない。つける前に周囲が止めるし、当人達も止まる。危険な怪我をする前にとセーブをかけがちなのだ。
だが、今日のファウストはやるつもりらしい。鋭い瞳に楽しそうな光を宿して、ギラギラとクラウルを見ている。
クラウルも止まる気はなかった。ファウストの気がそれたなら別だが、そうじゃないならやる気でいる。イライラしている中で暴れるなんて十代の子供みたいな感覚に、血が沸き立つようだ。
ファウストから動き、正面から鳩尾を狙う鋭い拳が突き刺さるように向けられる。これをまともに受けたら骨が砕ける。クラウルは拳に軽く手を添えて力を無理のない方向へと逃がしていく。
それも見越して今度は顔面狙い。半端に避けると裏拳が飛ぶのは当然。これも上手く軌道を逸らして力を逃がす。
拳による怒濤のラッシュを受けては流し、避けてという時間が続く。流石にそろそろ手が痺れてくる。コイツのこれに付き合っていると単純に体力を持って行かれるだけだし、コイツの体力切れなど待っていたら夜が明ける。
舌打ちをして、クラウルはグッと気合を入れた。そして、放たれる拳を腕で受けた。僅かにミシッと骨が鳴った気はするが、折れてはいないと確信がある。一番いい場所で受けられた。そして何よりコイツの動きが僅かだが止まった。
溜めていた手の甲を下から上へ胃の辺りを狙って打ち込んだ。手の平で強く、内部に衝撃はを打ち込むような打撃は表面的な痛みはない。だが、これは内臓を強く揺さぶる方法だ。
「ぐっ!」
後ろに間合いを取ったクラウルの前で、流石のファウストも打撃を受けた部分を押さえて膝をついた。苦しそうに咳き込む姿は珍しい。
だが、これで勝ちではない。コイツは回復も早い。出来ればもう一発顔面ぶん殴ってやればクラウルの勝ちでいいだろう。
後退から前進に。前に出て脇に構えた拳を前に出した。顔を狙ったそれは、だがファウストの無造作な手に掴み上げられた。
黒い瞳が飢えたように光ったのを見た次の瞬間、視界には一杯の星空と、強かに背を打った鈍い痛みが広がった。
「いっ! おい! 背中から落とすな!」
「頭打たないように配慮しただけ感謝しろ! お前こそ本気で打ち込んだな!」
片や修練場に転がり、片や膝をついて微妙に吐きそうになっている。まぁ、胃の辺りにしっかりダメージが届いた証拠だろう。
本当に、団長ともあろう者が何をしているのか。こんな青臭い事……
スッキリした。
「スッキリしたか?」
大の字になって転がったまま見上げたファウストが、苦笑して口元を拭う。そして、クラウルの側に腰を下ろした。
「したな」
「頭の中は多少冷めたか?」
「前よりましだ」
荒療治が過ぎるがな。
「鳩尾に入れておけばよかった」
「腕折るぞ」
「冗談だ」
でも、その位しても大丈夫だと思える相手はコイツだけだ。ゴタゴタした思考をぶった切るくらい強い奴は、ファウストくらいなんだ。
「大丈夫だ、クラウル。ゼロスは無事に連れ戻す。俺もあいつを柔には育てていない」
「分かっている」
分かっている。強いし、賢い。きっと何かあっても持てる力の全部で回避して、助けを待ってくれるはずだ。
応えられていないような気がして、焦っているのだ。
「……お前は、冷静だったんだな」
「ん?」
「ランバートが行方不明になった時」
「あぁ」
遠くを見る目には、僅かな痛みが見えるだろうか。横顔が酷く大人びて見える。同期で、どちらかといえばバカな事で今みたいな取っ組み合いをした相手のこういう顔は、妙に感慨深いものだ。
「冷静じゃなかったさ。頭の中はパニックだし、腹の中は煮えくりかえっていた。焦りもしたし、動けない事に苛立って仕方がなかった」
「よく動かずに我慢した」
「お前等が止めたんだろ。そうでなければ走り出していた。皆が動いてくれたおかげで、信じていられたんだ」
思えばファウストばかりではない。シウスも一時、ラウルを失って参っていた。
みな、平気であるはずがない。それでも相手と仲間を信じていた。
「クラウル、信じろ。皆で探している。お前は来るべき時に動けるようにしておけ。眠れないなら簡単な薬を出すと、エリオットが言っていた。シウスは明日の朝一で捜索令状が出るようにしている。そんな簡単にゼロスは死なない」
「あぁ」
信じる。こいつらはどんな時でも力を尽くしている。そして、仲間を見捨てるような奴等じゃない。
そしてゼロスも、簡単に諦める奴じゃない。
「いい顔になったな」
ニッと笑ったファウストが差し伸べる手を掴み、クラウルは起き上がる。そして、妙な気恥ずかしさに視線を逸らした。
「世話になったな」
「寝ろよ」
「あぁ」
お節介な友人に背を向けて、クラウルは部屋に戻る事にした。
明日こそは必ず見つける。それを深く自らに誓って。
▼リリアン
深夜、リリアンは従者一人を連れて家を抜け出した。
彼女の家は不動産を扱っている。だから、ゼロスを一時監禁するための場所を提供するのは簡単だった。
手には水の瓶と、パンが入っている。
今日の早朝に目を覚ました。鍵をかけて閉じ込めておいたあいつも、そろそろ大いに反省しただろう。自分を振った男はあいつが唯一だった。年下で生意気だけど、妙に心配してくれたりもした。そういう中途半端な優しさと甘さを持っていたあいつに、一時でも惹かれたのも確かだった。
サディストのモニカや、自己中なジャクリーンは知らないが、リリアンはただあいつの心からの詫びがあればそれで水に流すつもりだ。それ以上なんて今更いらない。
ただ、一つ懸念もある。ベアトリスのことだ。
どうして突然接触してきたのか。ゼロスに多少なりとも恨みを残す子を集めて、それぞれ協力しろなんて。
それに、あのお腹。食べ過ぎだなんて言っていたけれど、リリアンにはそうは見えなかった。あれはまるで……
人通りのない西地区は一人で歩くには心細い。廃墟も多い古い西地区の一角はこの世に一人取り残されたような錯覚すら覚える。もしくは廃墟群に迷い込んだ気分だ。
「ほんと、不気味だわ」
「でしたら、このような時間に来なくても……」
「仕方がないでしょ、流石にこれ以上は放置できないんだから」
食べてないのは何とか出来るらしいが、飲まないのはまずい。リリアンは心からの謝罪が望みであって、最初から殺すつもりはないのだ。勿論建物の取り壊しも嘘。それっぽい家を選んだだけで、そんな予定はない。
だが、ベアトリスには違う、本当に取り壊し予定の家を教えた。
何を考えているかは分からない。突然『ゼロスを取り壊し予定の屋敷に閉じ込めて』と言った時には異様なものを感じた。
それでも手を貸したのは、元彼の幸せな結婚の話を耳にして多少なりとも昔の恨みが再燃したからだろう。グレンはもういいが、ゼロスにはまだ言いたい事も恨みもたんまりあったのだ。
面を拝んで詫びさせたら拘束を解いて、それで終わりにしよう。リリアンはそのつもりで今夜こんな時間に、従者一人を伴って監禁場所に向かう途中だったのだ。
夜間はまだ冷え込む。暗い家の陰から何かがゆらりと現れてもおかしくはない。そんな事を思わせる夜、僅かに物陰が動いたのを見てリリアンはビクリと足を止めた。
まるで幽鬼のような登場だ。物陰から、多少明るい所にふらりと出てきた人物を見て、リリアンはいっそ幽霊の方がマシだったと顔を引きつらせて彼女を見ていた。
「リリアン」
「あら、ベアトリス。どうしたの?」
「……どうして、嘘をついたの?」
濃いめの茶の瞳に、明るい金色の髪。格好はいつもゆるふわとしている彼女だが、それも今では薄汚れている。そしてやっぱり、ほんの僅か下腹部がふっくらとしている。
まさかだ。だって、ゼロスと別れたのは何年も昔の話。あいつがベアトリスと今でも付き合っているとは考えられない。しかも子供仕込むなんて、どうしたってあり得ない。その辺、あいつは驚くくらい回避していた。
では、このお腹はなんなの? まさか他の男に強姦でもされて、元々ヤバかった頭がとうとう壊れた?
何にしても現状、危ないのはリリアンだ。
「嘘って何の事かしら?」
「誤魔化さないで。教えてもらった家に、ゼロス様はいなかった」
「あら、おかしいわね? そんなはずないわよ」
「……嘘よ。私全部探したもの。地下も」
そんなの嘘だ。彼女に教えていた家は本当に取り壊される。誰かが中に入らないように鍵をかけているはずで、それはリリアンが持っているのだ。
「鍵、掛かってたわよね?」
「壊したわ」
「壊し! ちょっと、いくら取り壊す予定の家だって乱暴な事!」
「ゼロス様をどこに隠したのよ!!」
ヒステリックな声が響き渡るが、これに目を覚ます者は周辺にない。そもそもの住人がいないのだ。
目が血走っている。ベアトリスが一歩進むごとに、リリアンは一歩後退した。異様な空気を纏うベアトリスが恐ろしく思えたのだ。
「あんた、おかしいわよ……」
「おかしくないわ。離ればなれになってしまった旦那様を迎えに行って、何がおかしいの?」
「旦那って! あんた達結婚なんてしないでしょ!」
「旦那様よ! 見て、このお腹。ゼロス様の子供よ。ようやく授かったの」
そう言って幸せそうに下腹部を撫でるベアトリスを見るリリアンは、周囲をひたすら見回した。
コイツのゼロスの本当の居場所を教えるわけにはいかない。もしも教えたらゼロスは殺されるかもしれない。頭おかしい。
「お別れしていたけれど、この子の事を知ったらきっと一緒にいてくれるわ。ゼロス様、子供すきそうだもの。結婚して、一緒に住むの。誰にも邪魔なんてさせないんだから」
ジロリと下から睨み上げるように見られ、リリアンはあまりの恐怖に来た道を戻りだした。こんなの普通じゃない!
従者も同じように走り出す。目指すのは人のいるだろう表通り。走れば十五分くらいだ。
人間、命がけと思えばこんなにも早く走れる。殺人鬼を目の前にしたように必至に走ったリリアンは、だが後ろからした奇声に振り向き、僅かに足を止めてしまった。
「!」
目に映るそれは、悪魔というよりはもっと醜い、幽鬼だった。
長い金髪を振り乱したベアトリスの手には銀に光るナイフが握られている。果物を切る為のそれは、僅かに錆びて刃もがたついている。
恐れに足が震えて歯の根も合わなくなったリリアンに飛びつくように、ベアトリスはナイフを振り下ろしていた。
「きゃぁぁぁぁ!」
悲鳴が夜闇に木霊して、リリアンは押し潰されるように道に転がる。腕に鈍い痛みが走り、ダクダクと血が溢れ出ている。にも関わらず痛みはよく分からないままだ。
リリアンの上に馬乗りになったベアトリスは大きくナイフを振りかぶる。そして今度はそれを、リリアンの大きな胸に突き落とした。
「ゼロス様を奪うなんて許さない! どこ! 何所にいるのよ!!」
「……」
スッと意識が遠のくような感覚に逆らえない。体も動かない。目の前の光景を呆然と見ているリリアンの視界は閉ざされようとしていた。
「お嬢様!!」
知っている男の声がして、体から重みが消えた。抱き起こされる僅かな浮遊感があった。だがそれは長く続かない。衝撃が走って投げ出されたその視界に、背中にナイフを突き立てられた従者が倒れてきた。
ただ、助けようとしてくれた人を巻き込んだ。バカな嫉妬や虚栄心で、とんでもない事をしたんだと、今更ながらのリリアンは後悔して涙を流した。
従者の背に刺さっていたナイフが抜かれて、それが自分に向けられる。多分この女の目にはもう、現実は映らないのだろう。
「ゼロス様の居場所はどこ」
助かりたいし、助けなければいけない。その思いで、動かない唇を動かして家の場所を伝えた。
幽鬼が幸せそうな笑みを浮かべて夜闇に消えていく。それで、安心に涙が溢れた。そしてそっと、渡さなかった家と地下室の鍵を握りしめたのだった。
「ゼロス」
思わぬ姿に心の底が揺らぎ、クラウルは走り出した。手を伸ばし、光の中で黙っているゼロスの腕を掴む。
その瞬間、ズルリと腕が落ちた。
「!」
『クラウル様、申し訳ありません』
そう呟いて振り向いたゼロスの額から、顔を染めるほどの血が流れ出ていた。
『すみません』
「ゼロス待て!」
腕を伸ばし胸に納めた体がズルリと落ちる。その腕の中で、ゼロスの体は重たくなっていった。
◇◆◇
バッと意識が戻り、飛び起きて息を吐いた。
辺りはすっかり暗くなり、体は痛い。とっくに限界がきていて執務室のソファーで眠ってしまっていたのだろう。背中の辺りがギシギシする。
頭が痛くて振った。そして、未だ痛いくらいの心臓に息が切れた。
とんでもない悪夢だった。ゼロスが死ぬ夢なんて縁起でもない。あいつはきっと生きている。そんな簡単に死ぬような奴じゃない。
信じている。その思いだけじゃ足りないのもまた、事実だった。
クラウルはそのまま部屋を出て、目の前にある修練場へと近づいていった。ここで、ゼロスの修練をしていた。
あいつは体も大きいから小回りがきかなかった。死角が多かった。それをクラウルがついて、自覚させていった。そうしたら覚えもよくてグングン伸びていった。
目に見える成果が出ると控えめだが嬉しそうな顔をしていた。普段大人びている奴が見せる一瞬の子供みたいな輝きを見るのが幸せだった。
思い出すのが辛くなって、膝を抱えて俯いた。けれど視界を切ると今度は思考の中のゼロスが現れてクラウルを離さない。それほど深く、彼の存在はクラウルの中にあるのだ。
どのくらいそうしていたのだろうか。不意にした足音に顔を上げたクラウルは、予想通りの人物が腰に手を当てて溜息をつきつつ、鋭い目で見下ろすのを見た。
「ファウスト」
「随分な顔をしているぞ、クラウル」
「だろうな。自覚がある」
「示しがつかん」
「……ゼロスが生きている確信が、持てない」
思わず出た弱音に、ファウストは綺麗な柳眉を上げる。それだけでこいつの表情はキツくなる。
「あいつを信じないのか」
「信じたい。だが……」
「お前が信じないで誰が信じる。今駆けずり回っている奴の努力を無駄にする様な事を言うな」
「分かっている! だが……」
夢の影響はあるだろう。ベアトリスの異様な日記も影響した。ゼロスに対する異常なほどの執着に狂気を感じている。
そんな奴がゼロスを攫ったんだ。今頃どうなっているか……いや、ゼロスは賢い奴だから無駄に刺激するような事はしないだろうが、それでも。
グチャグチャと考えていると、不意に腕を掴まれ無理矢理に立ち上がらせられる。そして引っ張られるように修練場のど真ん中に連れ出された。
「ファウスト!」
「お前のそんな顔は見るに堪えない。体を動かせば余計な考えも飛ぶだろう」
「冗談は止めろ! 第一、俺とお前がまともにぶつかったらどっちかが怪我しかねないぞ!」
「骨の一本くらいで勘弁してやる。嫌なら気合入れろ。本気のクラウル・ローゼンなら、無様に折られる事もない」
イライラしている中でこれは、正直カチンときた。
上着を脱いだクラウルを見て、ファウストは鋭い笑みを浮かべて上着を脱ぐ。そうして互いに向かい合い、ジリジリと間合いとタイミングを図り始めた。
相変わらず、隙が無い。普通にしていても気を張っている奴が改めて敵を前にするように構えると、本当にどこから切り込んでいいかが分からないくらいだ。
だが、それを崩すのがクラウルとファウストの、いつもの始まりだ。
軽く足元を整える。トントンと足元を慣らした次の瞬間、クラウルはファウストの前に走り出す。ただ、これはまだ半分も力を使っていない。にも関わらず、クラウルの初速はそこらの隊員よりもずっと早い。
構えるファウストがグッと腰を落として構えた。もう少しで奴の間合いに入る。手が届くだろう瞬間、クラウルは素早く身を低くしつつ左側へと飛んだ。そうして左腕の付け根、脇腹を狙って拳を放った。
だがこれは難なく受けられる。右手の平で流すように軌道を逸らしつつ、長い足が鞭の様にしなって横倒しにしようと狙ってくる。
無理などしない。流された方向へと逆に加速をつけて低く飛んだクラウルは修練場に手をついて両足と片手の三点で勢いのついている体を止めた。
「お前の瞬発力は相変わらずトリッキーだな」
「馬鹿力」
ファウストとの手合わせはいつも決着がつかない。つける前に周囲が止めるし、当人達も止まる。危険な怪我をする前にとセーブをかけがちなのだ。
だが、今日のファウストはやるつもりらしい。鋭い瞳に楽しそうな光を宿して、ギラギラとクラウルを見ている。
クラウルも止まる気はなかった。ファウストの気がそれたなら別だが、そうじゃないならやる気でいる。イライラしている中で暴れるなんて十代の子供みたいな感覚に、血が沸き立つようだ。
ファウストから動き、正面から鳩尾を狙う鋭い拳が突き刺さるように向けられる。これをまともに受けたら骨が砕ける。クラウルは拳に軽く手を添えて力を無理のない方向へと逃がしていく。
それも見越して今度は顔面狙い。半端に避けると裏拳が飛ぶのは当然。これも上手く軌道を逸らして力を逃がす。
拳による怒濤のラッシュを受けては流し、避けてという時間が続く。流石にそろそろ手が痺れてくる。コイツのこれに付き合っていると単純に体力を持って行かれるだけだし、コイツの体力切れなど待っていたら夜が明ける。
舌打ちをして、クラウルはグッと気合を入れた。そして、放たれる拳を腕で受けた。僅かにミシッと骨が鳴った気はするが、折れてはいないと確信がある。一番いい場所で受けられた。そして何よりコイツの動きが僅かだが止まった。
溜めていた手の甲を下から上へ胃の辺りを狙って打ち込んだ。手の平で強く、内部に衝撃はを打ち込むような打撃は表面的な痛みはない。だが、これは内臓を強く揺さぶる方法だ。
「ぐっ!」
後ろに間合いを取ったクラウルの前で、流石のファウストも打撃を受けた部分を押さえて膝をついた。苦しそうに咳き込む姿は珍しい。
だが、これで勝ちではない。コイツは回復も早い。出来ればもう一発顔面ぶん殴ってやればクラウルの勝ちでいいだろう。
後退から前進に。前に出て脇に構えた拳を前に出した。顔を狙ったそれは、だがファウストの無造作な手に掴み上げられた。
黒い瞳が飢えたように光ったのを見た次の瞬間、視界には一杯の星空と、強かに背を打った鈍い痛みが広がった。
「いっ! おい! 背中から落とすな!」
「頭打たないように配慮しただけ感謝しろ! お前こそ本気で打ち込んだな!」
片や修練場に転がり、片や膝をついて微妙に吐きそうになっている。まぁ、胃の辺りにしっかりダメージが届いた証拠だろう。
本当に、団長ともあろう者が何をしているのか。こんな青臭い事……
スッキリした。
「スッキリしたか?」
大の字になって転がったまま見上げたファウストが、苦笑して口元を拭う。そして、クラウルの側に腰を下ろした。
「したな」
「頭の中は多少冷めたか?」
「前よりましだ」
荒療治が過ぎるがな。
「鳩尾に入れておけばよかった」
「腕折るぞ」
「冗談だ」
でも、その位しても大丈夫だと思える相手はコイツだけだ。ゴタゴタした思考をぶった切るくらい強い奴は、ファウストくらいなんだ。
「大丈夫だ、クラウル。ゼロスは無事に連れ戻す。俺もあいつを柔には育てていない」
「分かっている」
分かっている。強いし、賢い。きっと何かあっても持てる力の全部で回避して、助けを待ってくれるはずだ。
応えられていないような気がして、焦っているのだ。
「……お前は、冷静だったんだな」
「ん?」
「ランバートが行方不明になった時」
「あぁ」
遠くを見る目には、僅かな痛みが見えるだろうか。横顔が酷く大人びて見える。同期で、どちらかといえばバカな事で今みたいな取っ組み合いをした相手のこういう顔は、妙に感慨深いものだ。
「冷静じゃなかったさ。頭の中はパニックだし、腹の中は煮えくりかえっていた。焦りもしたし、動けない事に苛立って仕方がなかった」
「よく動かずに我慢した」
「お前等が止めたんだろ。そうでなければ走り出していた。皆が動いてくれたおかげで、信じていられたんだ」
思えばファウストばかりではない。シウスも一時、ラウルを失って参っていた。
みな、平気であるはずがない。それでも相手と仲間を信じていた。
「クラウル、信じろ。皆で探している。お前は来るべき時に動けるようにしておけ。眠れないなら簡単な薬を出すと、エリオットが言っていた。シウスは明日の朝一で捜索令状が出るようにしている。そんな簡単にゼロスは死なない」
「あぁ」
信じる。こいつらはどんな時でも力を尽くしている。そして、仲間を見捨てるような奴等じゃない。
そしてゼロスも、簡単に諦める奴じゃない。
「いい顔になったな」
ニッと笑ったファウストが差し伸べる手を掴み、クラウルは起き上がる。そして、妙な気恥ずかしさに視線を逸らした。
「世話になったな」
「寝ろよ」
「あぁ」
お節介な友人に背を向けて、クラウルは部屋に戻る事にした。
明日こそは必ず見つける。それを深く自らに誓って。
▼リリアン
深夜、リリアンは従者一人を連れて家を抜け出した。
彼女の家は不動産を扱っている。だから、ゼロスを一時監禁するための場所を提供するのは簡単だった。
手には水の瓶と、パンが入っている。
今日の早朝に目を覚ました。鍵をかけて閉じ込めておいたあいつも、そろそろ大いに反省しただろう。自分を振った男はあいつが唯一だった。年下で生意気だけど、妙に心配してくれたりもした。そういう中途半端な優しさと甘さを持っていたあいつに、一時でも惹かれたのも確かだった。
サディストのモニカや、自己中なジャクリーンは知らないが、リリアンはただあいつの心からの詫びがあればそれで水に流すつもりだ。それ以上なんて今更いらない。
ただ、一つ懸念もある。ベアトリスのことだ。
どうして突然接触してきたのか。ゼロスに多少なりとも恨みを残す子を集めて、それぞれ協力しろなんて。
それに、あのお腹。食べ過ぎだなんて言っていたけれど、リリアンにはそうは見えなかった。あれはまるで……
人通りのない西地区は一人で歩くには心細い。廃墟も多い古い西地区の一角はこの世に一人取り残されたような錯覚すら覚える。もしくは廃墟群に迷い込んだ気分だ。
「ほんと、不気味だわ」
「でしたら、このような時間に来なくても……」
「仕方がないでしょ、流石にこれ以上は放置できないんだから」
食べてないのは何とか出来るらしいが、飲まないのはまずい。リリアンは心からの謝罪が望みであって、最初から殺すつもりはないのだ。勿論建物の取り壊しも嘘。それっぽい家を選んだだけで、そんな予定はない。
だが、ベアトリスには違う、本当に取り壊し予定の家を教えた。
何を考えているかは分からない。突然『ゼロスを取り壊し予定の屋敷に閉じ込めて』と言った時には異様なものを感じた。
それでも手を貸したのは、元彼の幸せな結婚の話を耳にして多少なりとも昔の恨みが再燃したからだろう。グレンはもういいが、ゼロスにはまだ言いたい事も恨みもたんまりあったのだ。
面を拝んで詫びさせたら拘束を解いて、それで終わりにしよう。リリアンはそのつもりで今夜こんな時間に、従者一人を伴って監禁場所に向かう途中だったのだ。
夜間はまだ冷え込む。暗い家の陰から何かがゆらりと現れてもおかしくはない。そんな事を思わせる夜、僅かに物陰が動いたのを見てリリアンはビクリと足を止めた。
まるで幽鬼のような登場だ。物陰から、多少明るい所にふらりと出てきた人物を見て、リリアンはいっそ幽霊の方がマシだったと顔を引きつらせて彼女を見ていた。
「リリアン」
「あら、ベアトリス。どうしたの?」
「……どうして、嘘をついたの?」
濃いめの茶の瞳に、明るい金色の髪。格好はいつもゆるふわとしている彼女だが、それも今では薄汚れている。そしてやっぱり、ほんの僅か下腹部がふっくらとしている。
まさかだ。だって、ゼロスと別れたのは何年も昔の話。あいつがベアトリスと今でも付き合っているとは考えられない。しかも子供仕込むなんて、どうしたってあり得ない。その辺、あいつは驚くくらい回避していた。
では、このお腹はなんなの? まさか他の男に強姦でもされて、元々ヤバかった頭がとうとう壊れた?
何にしても現状、危ないのはリリアンだ。
「嘘って何の事かしら?」
「誤魔化さないで。教えてもらった家に、ゼロス様はいなかった」
「あら、おかしいわね? そんなはずないわよ」
「……嘘よ。私全部探したもの。地下も」
そんなの嘘だ。彼女に教えていた家は本当に取り壊される。誰かが中に入らないように鍵をかけているはずで、それはリリアンが持っているのだ。
「鍵、掛かってたわよね?」
「壊したわ」
「壊し! ちょっと、いくら取り壊す予定の家だって乱暴な事!」
「ゼロス様をどこに隠したのよ!!」
ヒステリックな声が響き渡るが、これに目を覚ます者は周辺にない。そもそもの住人がいないのだ。
目が血走っている。ベアトリスが一歩進むごとに、リリアンは一歩後退した。異様な空気を纏うベアトリスが恐ろしく思えたのだ。
「あんた、おかしいわよ……」
「おかしくないわ。離ればなれになってしまった旦那様を迎えに行って、何がおかしいの?」
「旦那って! あんた達結婚なんてしないでしょ!」
「旦那様よ! 見て、このお腹。ゼロス様の子供よ。ようやく授かったの」
そう言って幸せそうに下腹部を撫でるベアトリスを見るリリアンは、周囲をひたすら見回した。
コイツのゼロスの本当の居場所を教えるわけにはいかない。もしも教えたらゼロスは殺されるかもしれない。頭おかしい。
「お別れしていたけれど、この子の事を知ったらきっと一緒にいてくれるわ。ゼロス様、子供すきそうだもの。結婚して、一緒に住むの。誰にも邪魔なんてさせないんだから」
ジロリと下から睨み上げるように見られ、リリアンはあまりの恐怖に来た道を戻りだした。こんなの普通じゃない!
従者も同じように走り出す。目指すのは人のいるだろう表通り。走れば十五分くらいだ。
人間、命がけと思えばこんなにも早く走れる。殺人鬼を目の前にしたように必至に走ったリリアンは、だが後ろからした奇声に振り向き、僅かに足を止めてしまった。
「!」
目に映るそれは、悪魔というよりはもっと醜い、幽鬼だった。
長い金髪を振り乱したベアトリスの手には銀に光るナイフが握られている。果物を切る為のそれは、僅かに錆びて刃もがたついている。
恐れに足が震えて歯の根も合わなくなったリリアンに飛びつくように、ベアトリスはナイフを振り下ろしていた。
「きゃぁぁぁぁ!」
悲鳴が夜闇に木霊して、リリアンは押し潰されるように道に転がる。腕に鈍い痛みが走り、ダクダクと血が溢れ出ている。にも関わらず痛みはよく分からないままだ。
リリアンの上に馬乗りになったベアトリスは大きくナイフを振りかぶる。そして今度はそれを、リリアンの大きな胸に突き落とした。
「ゼロス様を奪うなんて許さない! どこ! 何所にいるのよ!!」
「……」
スッと意識が遠のくような感覚に逆らえない。体も動かない。目の前の光景を呆然と見ているリリアンの視界は閉ざされようとしていた。
「お嬢様!!」
知っている男の声がして、体から重みが消えた。抱き起こされる僅かな浮遊感があった。だがそれは長く続かない。衝撃が走って投げ出されたその視界に、背中にナイフを突き立てられた従者が倒れてきた。
ただ、助けようとしてくれた人を巻き込んだ。バカな嫉妬や虚栄心で、とんでもない事をしたんだと、今更ながらのリリアンは後悔して涙を流した。
従者の背に刺さっていたナイフが抜かれて、それが自分に向けられる。多分この女の目にはもう、現実は映らないのだろう。
「ゼロス様の居場所はどこ」
助かりたいし、助けなければいけない。その思いで、動かない唇を動かして家の場所を伝えた。
幽鬼が幸せそうな笑みを浮かべて夜闇に消えていく。それで、安心に涙が溢れた。そしてそっと、渡さなかった家と地下室の鍵を握りしめたのだった。
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