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最終章:最強騎士に愛されて
3話:外野はあれこれ仰います
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無事に籍が入って数日後、仕事も綺麗に片付けて午後から2人で休みを貰いシュトライザーの家にお邪魔する事になった。一応の報告というものだ。
「やっっっと! 入籍したんだね兄さん達」
ニコニコと嬉しそうに言うルカだが、絶対に裏では「さっさとしろ」という気持ちがある。彼とも長い付き合いで、笑顔の裏が分かるようになってきた。
「時間かかってごめん、ルカさん」
「ランバートさんはいいんだよ、逆にごめんね。うちの兄さんが踏ん切りつかないわ、家のゴタゴタに巻き込んじゃうわで」
「申し訳ない」
「申し訳ない」
ファウストとアーサーが顔を見合わせ、二人揃って頭を下げる。その様子が面白くて思わず笑ってしまうランバートと、にっこり笑って「以後気をつけて」と言うルカ。そして、そんな様子を笑うアリアがいる。
「もう、僕はけっこう長い付き合いだけど、兄さんからランバートさんを紹介されてから五年くらいたってるし。兄さん迷惑かけっぱなしだし」
「そんな。俺だってかなりファウストには迷惑かけちゃったよ」
「兄さんには迷惑かけていいよ? だって、大事な人くらい守らないとね」
「ルカ、お前俺にだけ当たりが強くないか?」
「兄さんは頑張らないとダメだと思う」
いや、流石に可哀想だ。ファウストはすっかりしょげてしまっていて、ランバートは隣でトントンと肩を叩いて励ましている。それがまた面白いのか、ルカがカラカラと笑った。
「まぁ、冗談は置いといて」
「冗談だったのかよ」
「ランバートさん、兄の事をよろしくお願いします。色々と面倒な所もあるけれど、多分一途だからさ」
今度こそ毒のない様子で頭を下げられて、ランバートも改めて頭を下げた。
「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします」
アーサーも、アリアも、ルカも穏やかに微笑んで迎え入れてくれる。それが嬉しいと、正直に言えた。
その時玄関ドアが開く音が聞こえ、大きな声が聞こえた。その足音はズンズンとランバート達がいる談話室へと近づいてきて、次にはノックもなくドアが開いた。
「おう、来ておったか!」
「リーヴァイ様!」
相変わらず老齢にも関わらず筋肉質な体躯に白髪の豪快な老人が、ランバートとファウストを見て笑いかける。隣には赤ん坊を抱えたメロディもいて、とても楽しそうにクスクス笑っている。
「いらっしゃいませ、ランバートさん」
「メロディさんも、お邪魔してます」
腕の中の甥っ子がこちらへと手を伸ばしてくるのを見て、ランバートは近づいて小さな手に自分の指を近づける。ギュッと握られる指は思いのほか強い力だ。
「まぁ、この子ったら」
「ほぉ、子に好かれるとはなかなかやるわい」
「リーヴァイ様は声が大きいから驚いてしまうのですよ」
「うむ、反省はするが直らんからな」
それでもひ孫にデレデレなのは分かる。なんとも締まりのない顔は見ているこちらも少し幸せだ。
「祖父様、随分早い到着だったな」
一応知らせは聞いていたファウストも近づいてきて、リーヴァイを気遣っている。それにリーヴァイがニッと笑った。
「孫の大事な婚礼じゃ、遅参は厳禁であろ?」
「とはいえ、式は一週間は先だぞ?」
「なーに、たった一週間だ」
そう、式は一週間後。明日には部屋を引っ越す予定で、また半日ランバートは休みだ。結婚式のあれこれがあるからと皆が仕事を代わってくれる。大いに感謝だ。
「して、今日はどうした?」
「入籍の報告に来たんだ。昨日、無事に書類が受理された」
「そうか! いやぁ、めでたいめでたい!」
そう言いながら笑うリーヴァイだが、不意にその目に涙が浮かんでランバートもファウストも驚いてしまった。それはアーサーやルカ、アリアも同じだったのだろう。皆が腰を浮かせた。
「祖父様」
「いや、悪いな。そうか、お前もようやく思い合う者と結ばれたのか。マリアもきっと祝福しているだろうな」
この人の中にある感情は、きっと複雑なのだろう。一人娘が残した大切な孫。沢山の辛い事があって、それでも生き延びたファウストを特別気に掛けていたに違いない。
「ランバート」
「はい」
「ファウストを、よろしく頼む。なに、二人で幸せであってもらえばいいんだ。老い先短い老いぼれの最後の頼みと思って」
「そんな、老い先短いだなんて! それに、アリアちゃんの結婚式まで見なければ」
「え!」
頭を下げて小さくなるリーヴァイを励ますように言ったランバートだが、突然話を振られたアリアは途端に小さく頬を染める。恥ずかしそうだけれど、幸せそうだ。
「そうだったな。アリア、その後チャートンの小僧とはどうなんだ?」
「あの、良くしてもらっています。会えなくてもお手紙を下さったり、会える時はお互い話をしたり。お花見も行きました」
「そうかそうか!」
「まぁ、第三が今戦々恐々としているがな。あいつ、本気を出すと容赦がない」
「そうなんですか! あの、以前トレヴァーさんと仰る方が厳しい訓練で倒れられたと聞いたのですが」
「あぁ。今も毎日終業時間には地面に這いつくばっているな。ウルバスの操船技術や潮を読む才能は王国時代を通じても随一だ。それを短期間で叩き込まれているからな」
「そんな! あの、お手柔らかにとお伝えください」
「ははっ、分かっている」
まぁ、実際は笑い事じゃない。
トレヴァーは元来明るく前向きで、少し空気を読まない部分がある。気のいい真面目な男なのだが、そのせいで今は根を詰めている。この間昼に会ったときは目が死んでいた。聞けば、海図の読みが甘いと言われて宿題を出されたらしい。
それでも休日はしっかり休みを確保し、恋人のキアランに甘やかされているとか。あと、時間外がなくなった。
なんせここ数ヶ月で腕と足の筋肉の張りがより一層だ。ドーピングかと思う状態である。
「そうさな、アリアの花嫁衣装も見なければ死ねんな」
「そっ、そうですわよ! 私、もっと沢山勉強してお家を継いでみせます。結婚も……もう少し先かもしれませんがしますわ。お祖父様には元気でいてもらわなければ」
「はは、そうだの!」
やっとらしい笑顔を浮かべたリーヴァイに、全員がどこかほっとしたのだった。
◆◇◆
その日の夕刻、ランバート達は同じくヒッテルスバッハの家にも立ち寄った。この時間になったのはジョシュアの帰宅時間に合わせて。だが、夕食は帰って食べる事を事前に伝えてある。
入って直ぐに出迎えてくれたのはシルヴィアで、もの凄く満面の笑みだ。わざわざエントランスで待っていたのだ。
「おかえり、息子達」
「お邪魔いたします、シルヴィア様」
「もう、ファウストも硬いのね。お母様って呼んでちょうだい」
「あの、流石に勘弁してください」
困り顔のファウストを見るランバートは笑い、シルヴィアも気にした風もなく笑った。
「とりあえず、談話室に行きましょうか。今日はエレノアは欠席なの、ごめんなさいね」
アレクシスの妻エレノアも今日の報告には参加したいと言っていたのだが、何かあったのだろうか?
疑問を埋める前に談話室へと到着し、中ではアレクシスが優雅にお茶を飲んでいる。ランバートとファウストを穏やかな笑みで迎えた人は、ちょっと困った顔をしていた。
「やぁ、二人ともいらっしゃい」
「ただいま、アレク兄上。エレノアさん、具合でも悪いのか?」
「そのことなんだが、場合によってはお前達の結婚式も参加できないかもしれない」
「え?」
それは流石に心配だ。別に結婚式への不参加は構わないのだが、それほどまでの具合が悪いのだろうか。どこか病気なのか。
だが一緒に入ってきたシルヴィアは心配した様子がない。むしろ嬉しそうだ。
「実は、昨日から少し体調が思わしくなくてな。熱はないが怠いらしく、食欲も落ちてあまり食べ付けない」
「それは心配だね。医者は?」
「風邪などの所見は見当たらないとハムレットが今朝言っていたんだが」
あの兄が今の所病気を見つけられないのなら、分からないのだろう。
だが何故かシルヴィアは知った顔だ。
「母上、心当たりがあるね?」
「まぁね。ヒッテルスバッハ家は安泰かもしれないわよ」
「? それは…………あ!」
思い当たり、パッとアレクシスを見ると妙に視線を逸らされる。ちょっとした悪戯が露見して、それをとぼけるみたいだ。
「良かったじゃないか、兄上!」
「いや、まだそれと決まったわけじゃないんだ! まぁ、可能性はあるとあいつにも言われたが」
「だって、二ヶ月も月のものがきてないし。これ、悪阻じゃない?」
「だからまだ判断が難しいんだろ?」
「もう、恥ずかしい事はないじゃない。ちゃんと夫婦なんだし、いい頃合いよ。ランバートも結婚するし、我が家はお祝いラッシュね!」
嬉しそうなシルヴィアはもう確信があるのだろうか。医者が分からない段階での妊娠の兆候だが、女性の方が鋭いのも確か。特にこの母は鋭そうだ。
ファウストとも視線が合う。そして二人とも、嬉しく笑みを浮かべた。
「そういうことなら体が大事だよ、兄上。エレノアさんにも気にしないでと伝えてくれ」
「あぁ、すまないな」
「もし本当に子供が出来たなら喜ばしい事じゃないか。抱きに行くからな」
「あぁ、勿論。ファウストも、すまない」
「お気遣いなく、アレクシス様。奥方についてあげてください」
二人で穏やかに伝えると、アレクシスは珍しく毒気のない様子で笑った。
席について少しすると、がやがやとハムレットとチェルルも入ってくる。チェルルは少し髪が伸びたかもしれない。顔色も良く、表情も明るい。大きな黒い目がこちらを見て、素直な笑みを浮かべた。
「ランバート、おめでとう。元気?」
「有り難う、チェルル。毎日が大忙しだよ」
「あはは、そうだろうね。でも、幸せいっぱい?」
「まぁね」
一時は命を削り合って戦った相手。憎い事も、怒りを覚えた事もあった。だが今ではそんな感情は湧かない。彼らの事情をちゃんと知り、彼の人柄と思いと決意を知った。今は純粋に幸せを願う相手だ。
「ランバート~」
「うわ! ハム兄上!」
「ねぇ、ハム言うの止めてよ。僕、食べられないし」
「毒でもありそうだな、兄上は」
「酷いな~」
珍しくランバートに飛び込み、首に抱きついたハムレットをいなすが最近ではこれも珍しくなった。
ランバート大好きが過ぎていっそ狂気すらも感じたハムレットは、チェルルと出会って少しずつ変わっていった。元々ランバートに対してはいつまでも小さな弟を可愛がる様子で恋愛感情なんてものはないと知っていたが、チェルルを得てこの人は誰かを愛する事を知ったらしい。
今では距離感も程よく、過剰な接触もしなくなった。会えば互いの話をするし、ハムレットの惚気も聞く。だが、以前はみられた抱きつきなどはなくなっていたんだ。
驚いているが、頭を撫でる手は昔とは意味合いが違う気がする。大切に、愛情を込めて撫でられるのはくすぐったい。
「ハムレット兄上?」
「幸せになるんだよ。怪我、気をつけてよね。バカな無茶をしないように。僕はずっとランバートのお兄ちゃんだからね。体の事で心配な事があったら相談するんだよ」
「なにさ、それ」
「ファウストを含めて二人とも、怪我が多すぎるから心配なの。結婚するんだもん、長く一緒にいられるように無茶をしないでよ」
「……ん」
兄なりに、心配をしてくれているんだ。思えば有り難く、ランバートは素直にハムレットの背中に手を回した。
「ファウストも、ランバート泣かせるような事するなよな。怪我とか気をつけろよ。あんた、本当に無茶が過ぎる。人間、絶対はないぞ」
「あぁ、肝に銘じておく」
ファウストも穏やかに頷く。そこで解放されたランバートの前に、ハムレットは綺麗な小瓶を差し出した。中には透明な液体が入っている。
「これは?」
「媚薬」
「…………は?」
「これ一滴で大の男が性欲ムラムラで野獣と化し、ちんこギンギン! 目もギンギンで頭の中はブチ犯す事しか考えられなくなるくらい強力なの作っといた。これで新婚初夜はばっちり決まる! 一晩中絶対寝かせないぜ! が実現する素敵なアイテム」
「いるかこんなもん!」
それでなくてもファウストの性欲は強いし、こんな物なくても一晩中寝かせないなんてあることだ。それが更に増すだと? 殺されるわ!
「ってのは冗談で、アロマオイル」
「え?」
「リラックスと不眠、疲れに効くラベンダーをベースに、精神を落ち着かせるサンダルウッド、ほんの少しレモンも混ぜてある。水を張った小さめの皿に一滴垂らすだけで効果があるから使って。ただし、沢山入れたらそれだけ匂いきついし逆効果だから一滴ね」
渡されて、コルクの栓を抜いて匂いを確かめると確かにそのような匂いがする。ハムレットを見ると、彼はちょっと恥ずかしそうな顔をした。
「結婚祝い何にしたらいいか、分からなくてさ。大抵の物は持ってるだろうし、引っ越ししなきゃいけないのにかさばる物はいらないだろ? それなら、ファウストも一緒に使える物がいいって猫くんに言われて」
「これ切っ掛けで最近、先生はアロマオイル作りにはまっちゃったんだよ。俺としては色んな臭いが混ざってちょっと困るんだけど」
「ごめんね。地下でやるから許して」
「いいよ、先生楽しそうだし、患者さんも喜んでるしさ。でも俺が一番安心するのは先生の匂いなんだから、たまにはそういうの感じたいな」
「うん、分かった! 猫くんがそういうなら程ほどにする」
途端、ぱっと表情を明るくするハムレットがチェルルを抱き込んでいる。ここも変われば変わるものだ。
「おや? チェルルもとうとう結婚式するのかい?」
「違うよジョシュアパパ!」
このタイミングで帰ってきたらしいジョシュアが、熱い抱擁を交わすハムレットとチェルルを見て笑う。その表情はとても穏やかだ。この人も最近幸せボケか、あまり毒気がなくなった。
「お邪魔しています、ジョシュア様」
「ただいま、父上」
「ランバート、ファウスト、よく来たね」
取るものも取りあえず席についたジョシュアがこちらへと視線を向ける。隣にはシルヴィアが座り、他の兄弟も近くの席に座る。その中で、ランバートは結婚の報告をした。
「父上、母上、昨日無事に婚姻届が受理されました。俺は一応はシュトライザーの末席に入る事となりました」
「あぁ、話していた通りだね。おめでとう、ランバート」
「ジョシュア様、ここまでの間俺たちを見守り、諭してくれたこと、感謝いたします。これからはお二人に代わり、俺がランバートを守って行きます」
「あぁ、頼むよファウスト。だが、そう気張る事もない。困った事があればおいで」
「有り難うございます」
深く頭を下げるファウストの隣で、ランバートはシルヴィアへと視線を向ける。明るく気丈な母は珍しく静かで、ちょっとだけ涙を浮かべていた。
「母上」
「どうしたの?」
「俺は、母上にとても感謝している。母上の言葉がなければ俺は、今も根無し草のままだった。俺を案じて騎士団を勧めてくれなかったら、俺は今も大事なものを得られなかった」
全てはこの人の一言から始まった。
『ねぇ、ランバート。私、綺麗な息子が欲しいわ』
母のこの一言が、ランバートの運命を変えたのだ。
シルヴィアは驚いたように目を丸くして、次には涙を指で拭う。そして珍しく母の顔で笑った。
「貴方が幸せなら、母も幸せです」
その言葉は何よりも、ランバートの中で響いていた。
「やっっっと! 入籍したんだね兄さん達」
ニコニコと嬉しそうに言うルカだが、絶対に裏では「さっさとしろ」という気持ちがある。彼とも長い付き合いで、笑顔の裏が分かるようになってきた。
「時間かかってごめん、ルカさん」
「ランバートさんはいいんだよ、逆にごめんね。うちの兄さんが踏ん切りつかないわ、家のゴタゴタに巻き込んじゃうわで」
「申し訳ない」
「申し訳ない」
ファウストとアーサーが顔を見合わせ、二人揃って頭を下げる。その様子が面白くて思わず笑ってしまうランバートと、にっこり笑って「以後気をつけて」と言うルカ。そして、そんな様子を笑うアリアがいる。
「もう、僕はけっこう長い付き合いだけど、兄さんからランバートさんを紹介されてから五年くらいたってるし。兄さん迷惑かけっぱなしだし」
「そんな。俺だってかなりファウストには迷惑かけちゃったよ」
「兄さんには迷惑かけていいよ? だって、大事な人くらい守らないとね」
「ルカ、お前俺にだけ当たりが強くないか?」
「兄さんは頑張らないとダメだと思う」
いや、流石に可哀想だ。ファウストはすっかりしょげてしまっていて、ランバートは隣でトントンと肩を叩いて励ましている。それがまた面白いのか、ルカがカラカラと笑った。
「まぁ、冗談は置いといて」
「冗談だったのかよ」
「ランバートさん、兄の事をよろしくお願いします。色々と面倒な所もあるけれど、多分一途だからさ」
今度こそ毒のない様子で頭を下げられて、ランバートも改めて頭を下げた。
「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします」
アーサーも、アリアも、ルカも穏やかに微笑んで迎え入れてくれる。それが嬉しいと、正直に言えた。
その時玄関ドアが開く音が聞こえ、大きな声が聞こえた。その足音はズンズンとランバート達がいる談話室へと近づいてきて、次にはノックもなくドアが開いた。
「おう、来ておったか!」
「リーヴァイ様!」
相変わらず老齢にも関わらず筋肉質な体躯に白髪の豪快な老人が、ランバートとファウストを見て笑いかける。隣には赤ん坊を抱えたメロディもいて、とても楽しそうにクスクス笑っている。
「いらっしゃいませ、ランバートさん」
「メロディさんも、お邪魔してます」
腕の中の甥っ子がこちらへと手を伸ばしてくるのを見て、ランバートは近づいて小さな手に自分の指を近づける。ギュッと握られる指は思いのほか強い力だ。
「まぁ、この子ったら」
「ほぉ、子に好かれるとはなかなかやるわい」
「リーヴァイ様は声が大きいから驚いてしまうのですよ」
「うむ、反省はするが直らんからな」
それでもひ孫にデレデレなのは分かる。なんとも締まりのない顔は見ているこちらも少し幸せだ。
「祖父様、随分早い到着だったな」
一応知らせは聞いていたファウストも近づいてきて、リーヴァイを気遣っている。それにリーヴァイがニッと笑った。
「孫の大事な婚礼じゃ、遅参は厳禁であろ?」
「とはいえ、式は一週間は先だぞ?」
「なーに、たった一週間だ」
そう、式は一週間後。明日には部屋を引っ越す予定で、また半日ランバートは休みだ。結婚式のあれこれがあるからと皆が仕事を代わってくれる。大いに感謝だ。
「して、今日はどうした?」
「入籍の報告に来たんだ。昨日、無事に書類が受理された」
「そうか! いやぁ、めでたいめでたい!」
そう言いながら笑うリーヴァイだが、不意にその目に涙が浮かんでランバートもファウストも驚いてしまった。それはアーサーやルカ、アリアも同じだったのだろう。皆が腰を浮かせた。
「祖父様」
「いや、悪いな。そうか、お前もようやく思い合う者と結ばれたのか。マリアもきっと祝福しているだろうな」
この人の中にある感情は、きっと複雑なのだろう。一人娘が残した大切な孫。沢山の辛い事があって、それでも生き延びたファウストを特別気に掛けていたに違いない。
「ランバート」
「はい」
「ファウストを、よろしく頼む。なに、二人で幸せであってもらえばいいんだ。老い先短い老いぼれの最後の頼みと思って」
「そんな、老い先短いだなんて! それに、アリアちゃんの結婚式まで見なければ」
「え!」
頭を下げて小さくなるリーヴァイを励ますように言ったランバートだが、突然話を振られたアリアは途端に小さく頬を染める。恥ずかしそうだけれど、幸せそうだ。
「そうだったな。アリア、その後チャートンの小僧とはどうなんだ?」
「あの、良くしてもらっています。会えなくてもお手紙を下さったり、会える時はお互い話をしたり。お花見も行きました」
「そうかそうか!」
「まぁ、第三が今戦々恐々としているがな。あいつ、本気を出すと容赦がない」
「そうなんですか! あの、以前トレヴァーさんと仰る方が厳しい訓練で倒れられたと聞いたのですが」
「あぁ。今も毎日終業時間には地面に這いつくばっているな。ウルバスの操船技術や潮を読む才能は王国時代を通じても随一だ。それを短期間で叩き込まれているからな」
「そんな! あの、お手柔らかにとお伝えください」
「ははっ、分かっている」
まぁ、実際は笑い事じゃない。
トレヴァーは元来明るく前向きで、少し空気を読まない部分がある。気のいい真面目な男なのだが、そのせいで今は根を詰めている。この間昼に会ったときは目が死んでいた。聞けば、海図の読みが甘いと言われて宿題を出されたらしい。
それでも休日はしっかり休みを確保し、恋人のキアランに甘やかされているとか。あと、時間外がなくなった。
なんせここ数ヶ月で腕と足の筋肉の張りがより一層だ。ドーピングかと思う状態である。
「そうさな、アリアの花嫁衣装も見なければ死ねんな」
「そっ、そうですわよ! 私、もっと沢山勉強してお家を継いでみせます。結婚も……もう少し先かもしれませんがしますわ。お祖父様には元気でいてもらわなければ」
「はは、そうだの!」
やっとらしい笑顔を浮かべたリーヴァイに、全員がどこかほっとしたのだった。
◆◇◆
その日の夕刻、ランバート達は同じくヒッテルスバッハの家にも立ち寄った。この時間になったのはジョシュアの帰宅時間に合わせて。だが、夕食は帰って食べる事を事前に伝えてある。
入って直ぐに出迎えてくれたのはシルヴィアで、もの凄く満面の笑みだ。わざわざエントランスで待っていたのだ。
「おかえり、息子達」
「お邪魔いたします、シルヴィア様」
「もう、ファウストも硬いのね。お母様って呼んでちょうだい」
「あの、流石に勘弁してください」
困り顔のファウストを見るランバートは笑い、シルヴィアも気にした風もなく笑った。
「とりあえず、談話室に行きましょうか。今日はエレノアは欠席なの、ごめんなさいね」
アレクシスの妻エレノアも今日の報告には参加したいと言っていたのだが、何かあったのだろうか?
疑問を埋める前に談話室へと到着し、中ではアレクシスが優雅にお茶を飲んでいる。ランバートとファウストを穏やかな笑みで迎えた人は、ちょっと困った顔をしていた。
「やぁ、二人ともいらっしゃい」
「ただいま、アレク兄上。エレノアさん、具合でも悪いのか?」
「そのことなんだが、場合によってはお前達の結婚式も参加できないかもしれない」
「え?」
それは流石に心配だ。別に結婚式への不参加は構わないのだが、それほどまでの具合が悪いのだろうか。どこか病気なのか。
だが一緒に入ってきたシルヴィアは心配した様子がない。むしろ嬉しそうだ。
「実は、昨日から少し体調が思わしくなくてな。熱はないが怠いらしく、食欲も落ちてあまり食べ付けない」
「それは心配だね。医者は?」
「風邪などの所見は見当たらないとハムレットが今朝言っていたんだが」
あの兄が今の所病気を見つけられないのなら、分からないのだろう。
だが何故かシルヴィアは知った顔だ。
「母上、心当たりがあるね?」
「まぁね。ヒッテルスバッハ家は安泰かもしれないわよ」
「? それは…………あ!」
思い当たり、パッとアレクシスを見ると妙に視線を逸らされる。ちょっとした悪戯が露見して、それをとぼけるみたいだ。
「良かったじゃないか、兄上!」
「いや、まだそれと決まったわけじゃないんだ! まぁ、可能性はあるとあいつにも言われたが」
「だって、二ヶ月も月のものがきてないし。これ、悪阻じゃない?」
「だからまだ判断が難しいんだろ?」
「もう、恥ずかしい事はないじゃない。ちゃんと夫婦なんだし、いい頃合いよ。ランバートも結婚するし、我が家はお祝いラッシュね!」
嬉しそうなシルヴィアはもう確信があるのだろうか。医者が分からない段階での妊娠の兆候だが、女性の方が鋭いのも確か。特にこの母は鋭そうだ。
ファウストとも視線が合う。そして二人とも、嬉しく笑みを浮かべた。
「そういうことなら体が大事だよ、兄上。エレノアさんにも気にしないでと伝えてくれ」
「あぁ、すまないな」
「もし本当に子供が出来たなら喜ばしい事じゃないか。抱きに行くからな」
「あぁ、勿論。ファウストも、すまない」
「お気遣いなく、アレクシス様。奥方についてあげてください」
二人で穏やかに伝えると、アレクシスは珍しく毒気のない様子で笑った。
席について少しすると、がやがやとハムレットとチェルルも入ってくる。チェルルは少し髪が伸びたかもしれない。顔色も良く、表情も明るい。大きな黒い目がこちらを見て、素直な笑みを浮かべた。
「ランバート、おめでとう。元気?」
「有り難う、チェルル。毎日が大忙しだよ」
「あはは、そうだろうね。でも、幸せいっぱい?」
「まぁね」
一時は命を削り合って戦った相手。憎い事も、怒りを覚えた事もあった。だが今ではそんな感情は湧かない。彼らの事情をちゃんと知り、彼の人柄と思いと決意を知った。今は純粋に幸せを願う相手だ。
「ランバート~」
「うわ! ハム兄上!」
「ねぇ、ハム言うの止めてよ。僕、食べられないし」
「毒でもありそうだな、兄上は」
「酷いな~」
珍しくランバートに飛び込み、首に抱きついたハムレットをいなすが最近ではこれも珍しくなった。
ランバート大好きが過ぎていっそ狂気すらも感じたハムレットは、チェルルと出会って少しずつ変わっていった。元々ランバートに対してはいつまでも小さな弟を可愛がる様子で恋愛感情なんてものはないと知っていたが、チェルルを得てこの人は誰かを愛する事を知ったらしい。
今では距離感も程よく、過剰な接触もしなくなった。会えば互いの話をするし、ハムレットの惚気も聞く。だが、以前はみられた抱きつきなどはなくなっていたんだ。
驚いているが、頭を撫でる手は昔とは意味合いが違う気がする。大切に、愛情を込めて撫でられるのはくすぐったい。
「ハムレット兄上?」
「幸せになるんだよ。怪我、気をつけてよね。バカな無茶をしないように。僕はずっとランバートのお兄ちゃんだからね。体の事で心配な事があったら相談するんだよ」
「なにさ、それ」
「ファウストを含めて二人とも、怪我が多すぎるから心配なの。結婚するんだもん、長く一緒にいられるように無茶をしないでよ」
「……ん」
兄なりに、心配をしてくれているんだ。思えば有り難く、ランバートは素直にハムレットの背中に手を回した。
「ファウストも、ランバート泣かせるような事するなよな。怪我とか気をつけろよ。あんた、本当に無茶が過ぎる。人間、絶対はないぞ」
「あぁ、肝に銘じておく」
ファウストも穏やかに頷く。そこで解放されたランバートの前に、ハムレットは綺麗な小瓶を差し出した。中には透明な液体が入っている。
「これは?」
「媚薬」
「…………は?」
「これ一滴で大の男が性欲ムラムラで野獣と化し、ちんこギンギン! 目もギンギンで頭の中はブチ犯す事しか考えられなくなるくらい強力なの作っといた。これで新婚初夜はばっちり決まる! 一晩中絶対寝かせないぜ! が実現する素敵なアイテム」
「いるかこんなもん!」
それでなくてもファウストの性欲は強いし、こんな物なくても一晩中寝かせないなんてあることだ。それが更に増すだと? 殺されるわ!
「ってのは冗談で、アロマオイル」
「え?」
「リラックスと不眠、疲れに効くラベンダーをベースに、精神を落ち着かせるサンダルウッド、ほんの少しレモンも混ぜてある。水を張った小さめの皿に一滴垂らすだけで効果があるから使って。ただし、沢山入れたらそれだけ匂いきついし逆効果だから一滴ね」
渡されて、コルクの栓を抜いて匂いを確かめると確かにそのような匂いがする。ハムレットを見ると、彼はちょっと恥ずかしそうな顔をした。
「結婚祝い何にしたらいいか、分からなくてさ。大抵の物は持ってるだろうし、引っ越ししなきゃいけないのにかさばる物はいらないだろ? それなら、ファウストも一緒に使える物がいいって猫くんに言われて」
「これ切っ掛けで最近、先生はアロマオイル作りにはまっちゃったんだよ。俺としては色んな臭いが混ざってちょっと困るんだけど」
「ごめんね。地下でやるから許して」
「いいよ、先生楽しそうだし、患者さんも喜んでるしさ。でも俺が一番安心するのは先生の匂いなんだから、たまにはそういうの感じたいな」
「うん、分かった! 猫くんがそういうなら程ほどにする」
途端、ぱっと表情を明るくするハムレットがチェルルを抱き込んでいる。ここも変われば変わるものだ。
「おや? チェルルもとうとう結婚式するのかい?」
「違うよジョシュアパパ!」
このタイミングで帰ってきたらしいジョシュアが、熱い抱擁を交わすハムレットとチェルルを見て笑う。その表情はとても穏やかだ。この人も最近幸せボケか、あまり毒気がなくなった。
「お邪魔しています、ジョシュア様」
「ただいま、父上」
「ランバート、ファウスト、よく来たね」
取るものも取りあえず席についたジョシュアがこちらへと視線を向ける。隣にはシルヴィアが座り、他の兄弟も近くの席に座る。その中で、ランバートは結婚の報告をした。
「父上、母上、昨日無事に婚姻届が受理されました。俺は一応はシュトライザーの末席に入る事となりました」
「あぁ、話していた通りだね。おめでとう、ランバート」
「ジョシュア様、ここまでの間俺たちを見守り、諭してくれたこと、感謝いたします。これからはお二人に代わり、俺がランバートを守って行きます」
「あぁ、頼むよファウスト。だが、そう気張る事もない。困った事があればおいで」
「有り難うございます」
深く頭を下げるファウストの隣で、ランバートはシルヴィアへと視線を向ける。明るく気丈な母は珍しく静かで、ちょっとだけ涙を浮かべていた。
「母上」
「どうしたの?」
「俺は、母上にとても感謝している。母上の言葉がなければ俺は、今も根無し草のままだった。俺を案じて騎士団を勧めてくれなかったら、俺は今も大事なものを得られなかった」
全てはこの人の一言から始まった。
『ねぇ、ランバート。私、綺麗な息子が欲しいわ』
母のこの一言が、ランバートの運命を変えたのだ。
シルヴィアは驚いたように目を丸くして、次には涙を指で拭う。そして珍しく母の顔で笑った。
「貴方が幸せなら、母も幸せです」
その言葉は何よりも、ランバートの中で響いていた。
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「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
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※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
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