恋愛騎士物語4~孤独な騎士のヴァージンロード~

凪瀬夜霧

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最終章:最強騎士に愛されて

9話:ウェディングベルの続き(宿舎)

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 披露宴も終わって着替えて、家族を送り出してたまには帰る約束もして、宿舎に戻ってきた。
 まだ日は高いが、少し疲れた。あと、やっぱり寂しい。夢の終わりを感じるといつもこんな気分になる。夫婦の部屋となった居心地のいい柔らかなラグの上に座ってぼんやりしていると、その後ろにファウストが割り込んで抱き込むように座った。

「疲れたか?」
「ん、そうかも。朝から賑やかだったからな」
「確かにな」

 背中に感じる体がくつくつと笑う。その心地よい振動が伝わってきて、胸に頭を預けた。

「寂しく思うんだ。賑やかで楽しいと特に。忙しかったけれど、今日はずっと楽しくて」
「そうだな」
「始りがあれば終わりがある。分かっているんだけどな」

 それでも終わって欲しくないと思うのは、子供っぽく我が儘なんだろうか。

 不意に大きな手が頭を撫でる。見上げるファウストは柔らかく微笑んでいる。大きく包むような雰囲気に、ランバートはずっと甘えていたくなる。彼といると子供のようだ。

 彼の左手がランバートの左手に触れ、持ち上げる。指輪のはまる手に、同じように指輪をはめた手を重ねてくる。ランバートは自分の意志でファウストの手に並ぶように自分の手を持ち上げた。
 シルバーの指輪が並ぶ。真新しいそれがキラキラと光って見える。大きな手に自分を重ね、絡めていく。

「俺たちの暮らしは、これからだろ?」
「うん」
「今日から始りだ。何十年も先まで、一緒だ」
「! うん、そうだね」
「今日の日を、これから何回も特別な日にして祝っていこう」
「そういえば、俺の誕生日に重ねたの?」
「自分の記念日は忘れても、二人の記念日なら忘れないだろ?」
「うん、そうだね」

 こんな大切な日、忘れるわけがないよ。とても大事な日を、きっとこれからは指折り数えて待ち遠しい気持ちになるんだ。

「少し休むか。腹も空いてないしな」
「昼寝なんて、贅沢だね」
「その分夜は寝かせる気はないぞ」
「分かってる。俺も、そんな気ないよ」

 これまでも何度も体を重ねた。大抵の事はしてきた。でも、今日はきっと特別だ。ランバートだって待ち遠しい。
 でもその前に休息は大事だろう。誘われるまま二人でベッドに入って互いに抱き寄せる。ファウストの腕の中にすっぽりと収まり、彼の匂いとムスクの匂い、そして温かな体に包まれて眠るのは心地いい。
 疲れていたのか、案外あっさりと眠りは落ちてくる。そのまま、ゆるゆるとランバートは眠りに落ちた。

◆◇◆

 目が覚めた時、辺りはすっかり暗くなっていた。誰かが部屋のドアを叩いている。目を擦り、部屋の明かりをつけて戸口へと行くと、ゼロスが苦笑して立っていた。

「悪い、寝てたか?」
「いや、少し寝すぎた感じだから助かった。どうした?」
「夕飯に誘いにきたんだ」
「あー、そうだな……」

 あまりお腹は空いていないが、だからといって食べないと変な時間にお腹が空くやつだ。大人しく少しでも腹に入れておくほうがいい。

「ファウスト起こして行くわ」
「分かった、ゆっくりでいいからこいよ」
「有り難う」

 伝えて、一度ドアを閉める。ファウストも流石に起きたのだろう、ベッドに上半身を起こしていた。

「おはよう」
「あぁ。少し寝すぎたな。今のはゼロスか?」
「んっ、夕飯のお誘い。あまり腹も空いてないけれど、食べないと変な時間に腹が減るだろ?」
「あー、そうだな。軽く食べて、なんなら厨房に伝えて夜食用に余ったのを取り置きしてもらうか」
「いいね、ワインはあるし」

 何にしても行くことになって、格好を整える。そうして二人で下へと降りていって、ランバートもファウストも目を丸くした。

 中庭に出されたテーブルに並ぶ料理は普段よりも豪勢で、そこには普段は並ばない酒も並んでいる。明かりが灯り、多くの隊員が待ち構えるようにそこにいた。

「え?」
「は?」
「ファウスト様、ランバート! ご結婚、おめでとうございます!!」

 野太い声が重なって、シャンパンの祝砲が上げられる。呆然とするその背中を、クラウルがポンと叩いた。

「流石にこっちまでは想像していなかったか?」
「クラウル!」
「サプライズってね」
「オスカル!」
「式に出席できぬ者も祝いたいと言ってな。こうしてひっそりと準備されていたのだよ」
「シウス!」

 ファウストは目を丸くしたまま。ちょっと目元が熱いランバートの側にはエリオットとラウルがついて、頭に月桂樹の冠が乗せられた。

「今日はまだ少し残っておりますよ、ランバート」
「豪勢なお祝いじゃないけれど、楽しいよ」
「エリオット様、ラウル……有り難う、凄く嬉しい!」

 本当に、嬉しい。隣のファウストもまた、苦笑しながら頷いた。

 ファウストと少し離れて会場に出てみる。それにしても凄い料理だ。披露宴のように見た目重視とかではないけれど、普段並ぶものとは違う。それによく見れば披露宴で振る舞われた料理も多少ある。

「凄い、こんなに……」
「実は、有志による寄付が思いのほか集まったんだ」

 声の方を見ればトレヴァーと並ぶキアランがいる。その側にはレイバンとジェイクだ。

「圧倒的に騎兵府が多いここでファウスト様の結婚祝いをしないというのは無理がある。が、騎士団の予算は使えない。そこでお前の誕生日にとこいつらが募っていた募金に、こちらが乗っかる事にしたんだが……。思いのほか集まってな」
「そうなんですか? 俺、とても素敵なバレッタを頂きましたが」
「そんなもんじゃない。あくまで有志ということで強制もなかったが、師団長クラスはそこそこ出したし、団長達は言わずもがな。他、隊員達もちらほらと持ってきてな。一人が金貨一枚を寄付してもこの人数だ。三百枚以上になった」
「な! えぇ!!」
「まぁ、お陰で料理府は歓喜に沸いたがな。俺も久しぶりに存分に腕を振えて楽しかったよ」
「ジェイクさんには披露宴の料理も手がけてもらい、有り難うございます。とても美味しかったです」
「あぁ、そう言ってもらえるなら良かった。普段レイバンが世話になっているからな、こんな事くらいしかしてやれないが」
「いえ、とんでもない!」

 何より嬉しい限りだ。

「ランバート」
「ベリアンスさん、アルフォンスさん」

 控え目に近づいてきたベリアンスと、その少し後ろから穏やかに近づいてくるアルフォンス。その手には小さな包みがある。とても穏やかに笑うベリアンスからは一時の悲壮感はもうない。最近では事務方の仕事を手伝っているらしく、騎士団の一員としてより馴染んだ感じがある。

「おめでとう、ランバート。これは俺とアルフォンスから、大したものではないが」
「そんな! あの、有り難うございます」

 小さなそれは箱に入っている。綺麗な包装もされ、受け取ったランバートはそのまま仕舞おうとしたのだが、何故かベリアンスは寂しそうな顔をした。

「え」
「開けないのか?」
「え、ここで開けていいんですか?」
「あぁ」

 この人もちょっと特殊な感情表現というか、面白い所がある。なんでも体を動かすか本を読むかで、自分にない事は本から学ぶ事が多かったらしい。そのせいか、恋人を得て色んな感情が芽生え始めて困惑するらしいのだ。
 シウスの飲み会にちょこちょこ参加する人はまったく包み隠さず恋愛相談という名の暴露をして場を驚かせるが、最近ではそれも見慣れた光景となり、主にランバートやゼロス、エリオットなどが相談に乗っている。
 まぁ、そういう縁もあってのお祝いなのだろう。そして、ジェームダルでの悲劇を思えばこの回復はとても嬉しいものだ。あの国での一連の悲劇のあと、この人はどうなってしまうのか。それがとても心配ではあったから。

「ランバート、開けてやってくれるか? 誰かに特別な贈り物をするのは苦手らしくてな、随分悩んだんだ。だが、普段相談に乗ってくれる君への贈り物だからと真剣に選んだものだ。これが正解か、分からなくて今も不安がっている」
「そうなんですか?」

 贈り物というのはその気持ちだけでも有り難いのに。
 見ればほんの少しプルプルしている気がする。小型犬のようだ。実際はもの凄く強い人なのだが。

 失礼をして、側のテーブルで中身を開けさせてもらった。丁寧な黒い箱の中から出て来たのは、揃いのフォークとスプーン。ちゃんとランバートとファウストの分が入っている。質のいい銀器はそれなりに値が張るはずだ。驚いて見たら、余計に不安そうな目をされた。

「これで、正解だろうか? 揃いのカップなどはあると聞いたから、アルと相談して選んだつもりなんだが」
「有り難うございます! あの、とても立派で驚いてしまって。まだお仕事を始めたばかりなのに、こんな高価な物」
「構わない、祝いの品を選ぶのは楽しかった」
「迷ったかいがあったというものだ。俺たち二人から、ランバートとファウスト様に……って、ファウスト様はすっかり囲まれているな」

 見ればファウストは他の隊員から囲まれて大変そうだ。それを見るとなんだか面白くて、ランバートは笑ってしまった。

「本当に、有り難うございます。お二人のお祝いには、俺も何かを選びますね」
「俺たちの祝い?」
「お二人もお付き合いをしていて、いい感じなのですよね? いずれは、と考えていないのですか?」
「え?」
「俺たちの結婚式にはお礼がしたい、という意味だよベリアンス」
「! え、だが俺はこの国の人間では」
「でも、今は騎士団預かりですし、申請が通れば」
「そう……なのか?」
「はい、多分」

 途端、ベリアンスの白い肌が薄く色付いた。

「あ、えっと……考えていなかった。そうか、俺もこんな日が来る可能性があるのか」

 見る間に赤くなるベリアンスを見て、ランバートもアルフォンスも笑う。とても可愛らしく、そして素直な人だ。

「ランバート!」
「チェスター! リカルド先生!」

 ベリアンス達が去ったあと、待ち構えていたのだろうチェスターが大きく手を振る。その手には既に酒があり、隣を歩くリカルドが苦笑している。

「おめでとう!」
「有り難う。お前、もう結構飲んでるな」
「祝い酒は美味しいしな」
「少し控えなさいと言っているのに、まったく」

 困り顔のリカルドだが、そう強く咎めるわけではないらしい。穏やかな瞳はランバートへと向けられた。

「おめでとう、ランバート。いつもチェスターがお世話になっています」
「いえ、そんな! 俺のほうこそ、先生にお世話になっています」
「あまりお世話にならないようにお願いします。貴方は特に自己管理が甘い事がありますよ。無理を無理と認識していただかないと、倒れてからでは遅いのです」
「あっ、えっと……」
「先生、怒りにきたわけじゃないでしょ?」
「あっ、そうですね」

 チェスターに取りなされて、リカルドは申し訳なく口を噤む。だが次にはとても柔らかい笑みを浮かべた。

 この人も変わった。最初はとても硬く、他人を寄せ付けないイメージがあった。その理由はチェスターからも聞いて納得した。
 他人の死が見える。忌み嫌われる能力は彼のエルとしての力だ。それをずっと隠し、それ故に他人を拒んできたこの人を今のように柔らかくしたのは間違いなくチェスターなのだろう。犬のようなチェスターが連れ出す世界を、リカルドは少しずつでも受け入れていく。今では表情も雰囲気も柔らかくなった。

「あの、これを」
「え?」

 リカルドから手渡されたのは小さな包みだ。ただ、贈り物という様子はあまりない。どちらかといえば、処方薬のような。

「瓶に入っているのが栄養剤です。軟膏壺は擦過傷などに使えるもので粘膜なども大丈夫です。粉の薬は鎮痛薬で……」
「うわぁぁ! あの、ご心配おかけして申し訳ありません!」
「今夜は大変かもしれませんが、体には気をつけてください。ケアは大事ですよ」
「……はい」

 まさかこんな所で親切下ネタかまされるとは……いや、これもリカルドの心遣いだし、実は一番使うものでもあるのだが。

「先生、やっぱりちょっと下世話だって」
「だって、後で改めて取りに来るのは恥ずかしいでしょうし、そういう治療は自分でするかお相手にしてもらうほうがいいかと思いまして」
「あぁ、いや、確かに助かる。多分今日早速出番があるし」

 今日は初夜、ということになるんだ。これまで体調を気遣って同室になってもそういうことはしなかったんだ。今日が解禁日、ということになる。

「では、お大事になさってくださいね」
「はい」

 去って行くリカルドを見送っていると、不意に側に気配を感じた。よく知っているものだ。

「何かまた増えているな」
「ファウスト、もういいの?」
「あぁ、これ以上飲むと夜が心配だしな。それは?」
「リカルド先生から、お薬セット。あとこっちはベリアンスさんとアルフォンスさんから、フォークとスプーンのセット、お揃いで」
「気を遣わせてしまったな」

 苦笑するファウストが隣について、やんのやんのとしている会場の中を歩いていく。その間に飲まされ、食べ物を勧められ。終わりの寂しさはいつしか消えてなくなっていた。

「それでは、ここで二人の結婚を祝しまして、我等一同より軍歌を贈りたいと思います!」
「またそれか!」

 呆れ顔のファウストなど知ったこっちゃなく、酔いどれな男達による野太い軍歌が朗々と響く。いつもの雰囲気、いつもの騎士団。笑い、手を叩いてランバートも一緒に歌って、そのうち流行の歌に囃し立てる声と手拍子が入り、踊りたい者は踊り。
 それを見るここが、ランバートの大好きな場所なんだ。

◆◇◆

 『新婚さんはこの辺で退場でーす! 皆さんは楽しんでね』というオスカルの言葉でランバート達は返された。そして今なら団長用の浴室が貸しきりだと念も押された。ゲスい顔をしている自覚があるのだろうか、あの人は。
 何にしてもわりといい時間になっている。ファウストと連れだって浴室にゆくと、浴室は仄かにいい香りがしていた。

「なんだろう?」

 見て、驚きだ。浴槽には白や赤のバラの花びらが浮いている。いやらしくない量だからこそ、いい匂いがしていたのだ。

「あいつら、ここまでしなくても……」
「鏡の前に手紙がありますね」

 見るとそれはオスカルの文字で『披露宴の飾りの花が勿体なかったので、サプライズです。僕達も楽しむからそのままで!』と書いてある。
 それを見て、二人で顔を見合わせて笑った。

 綺麗に体を流して洗って湯船に浸かれば体に染み渡る熱が心地よく感じる。そして鼻腔を擽るいい香りだ。

「贅沢だな」
「本当に」
「まさか、あいつらにも祝ってもらえるとは思わなかったな」
「本当だね」

 隣でのんびりと湯に浸かるファウストを見て、ふと思い出す事がある。騎士団にきて最初の事件の事だ。

「そういえば、ファウストと一緒に初めて風呂に入った時って散々だったな」
「ん?」
「だって、まだ恋人でもなかったのに後ろに指つっこまれてさ。流石に恥ずかしかった」
「ほぉ? お前はあの時自分で処理できたのか?」
「……出来ませんでした」
「翌日腹を壊すのが分かりきっているのに、放置はないだろ。そもそもアレは俺が不甲斐なかったんだ」

 言って、ファウストは少し痛そうな顔をする。こちらも思い出したんだろう。難しい顔をする、そのこめかみにランバートはキスをした。

「もう済んだこと。それにあの時は俺、ファウストの背中守ってたよ」
「あぁ、確かにな。足癖の悪さが遺憾なく発揮されていた」
「華麗な足技って言ってくれよ」

 言って、たまらず笑い合う。二人分の声が浴室に木霊している。

「もうあんな風にはさせない」
「俺もする気はないよ。ファウストだけって思ってるんだから」
「違えるなよ」
「軍神の怒りなんて買いたくないしね」

 くりくりっと頭を撫でられて、ふわりと笑うファウストを見て、この人が自分の唯一だと疑いもなく思えている幸せを噛みしめる。

「さて、上がるか。あいつら、この調子だと部屋にも何か仕込んでそうだな」
「鍵掛ける習慣があまりないからね」
「バカな事はしてないと信じてるがな」
「俺の最初の誕生日の時みたいに、可愛く飾り付けられてたらどうする?」
「あれは本当に片付けが大変だったんだぞ。しかもオスカルとシウスは酔い潰れて寝るし。結局俺とクラウルで片付けだ」
「お疲れ様。俺はいい思い出になったよ」

 さて、次はどんな驚きが待っているのか。それはそれで楽しみなような、怖いような。でも笑えるから、結局は楽しみなんだろう。

 風呂から上がって、互いに髪を乾かしあって部屋へと向かう。他の隊員は料理や酒がなくなるまで騒ぐつもりらしい。それでも明日に響かないように調整はしているのだろう。もしくは明日も休みのランバート達に代わって業務を行う師団長達が、明日は少し甘くしてくれるのか。

 そのまま三階の部屋まで上がり、少しだけ気合いを入れてドアを開ける。室内は柔らかな蝋燭とアロマの匂い、そして揃いのシャンパングラスと冷えたシャンパン、そして冊子が一つ置かれているだけだった。

「入られたが、大人しいな」
「なんだろう、この冊子」

 一応装丁はされているが、そこに題はない。中を開けて、思わぬものにランバートは息を飲んだ。
 それは真っ白いページに騎士団の面々がメッセージを書いてくれた寄せ書きだった。一言という様子だが、時には小さなイラストがあったり、色んな人が色々書いていてくれたりだ。

「寄せ書きか」
「どうしよう、俺泣きそう」
「どうせなら飲みながら見るか。まったく、あいつらいつから企画してたんだ?」

 本当に、こんなにするなんて時間がかかっただろう。もしかしたら一ヶ月とか二ヶ月前から用意していたんじゃないのか?
 思うと、こみ上げるものがあるのだ。

 ファウストが栓を抜いて、グラスに注いでいく。片方をランバートへと渡し、慣れたように後ろからランバートを抱え込むように座る。長い足の間にちんまりと座る形は最近のこの人のお気に入りだ。

 シュワシュワとした口当たりに華やかな香り、口当たりはライトだ。
 それらを飲み込みながら寄せ書きを一枚ずつめくっていく。第一師団と書かれた数ページには「おめでとうございます」「良かったです」「お幸せに」という言葉が多い。真面目な彼等らしい言葉だ。
 第二師団はもう少しライトだ。「ランバート先輩、流石です!」「今度訓練つけてください」「いつまでもお幸せに」と、小さなイラストもついて賑やかで明るい。
 第三師団からは短い言葉が多い印象だ。「お幸せに」「船上パーティーもいいですよ」「ファウスト様が羨ましい」という、ちょっと茶化したものもある。
 第四師団はおっとり部隊らしく、可愛らしいメッセージが多い。「幸せそうなランバート様とファウスト様を見ていると、僕も恋がしてみたくなります」なんてメッセージには二人で笑った。
 第五師団はとにかく勢いと圧が凄い。「お祝いに組み手お願いします!」「ファウスト様に投げられたい!」「俺達の大将ファウスト様に栄光あれ!」って、もう一体どういう心情なんだよ。

 でも、この中にない名前がある。めくっていって、それは気のせいではないのだと知った。寄せ合うように書いていたのとは明らかに違う感じで、紙の半分ずつにコマを割ったそこには友人達、そして師団長、そして団長達が書いてくれていた。

『ランバート、ファウスト様、結婚おめでとうございます。
 ランバート、お前とも思えば長いな。いい仲間、そして友人を得られて嬉しい。
 ハリーとの事でも色々と気を回してもらってすまない。お陰でこちらも少し話が進みそうだ。
 これからも良き友人、よき仲間として側にいさせてくれ。そして、時々は俺達とも遊んでくれると嬉しい。愚痴も聞くから、バカをやろう。
コンラッド』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 まさか俺が、天下のヒッテルスバッハのご子息と。なんて、実は最初は思っていたんだ。どうせ次元の違う、話も合わない相手だろうって。
 でも、いい意味で裏切られて俺は嬉しいよ。俺がどんなことしても、ランバートは逃げないしね。でも、あまり付き合う必要はないよ。趣味はないでしょ?
 俺も、少し自分の未来ってものを考えている。そしてその未来をたぐり寄せる出会いは、きっとランバートと出会った事から始まっているように思う。
 有り難う。道や、いる場所は違ってきても俺はランバートを友達だと思っている。ランバートも、そう思っていてくれると嬉しいかな。
ボリス』

『ランバート、ファウスト様、結婚おめでとうございます!
 ランバート、たまには第二の訓練顔見せてくれよ。俺は今でもお前が相棒って思ってるんだからさ。それに、ウェイン様もちょっと寂しそうなんだよな。
 お前とは任務で組む事も多かったよな。大変な任務も多かったけど、でも今思えば全部いい思い出というか、忘れられないんだよ。それくらい、俺の騎士人生にはお前は不可欠だってことなんだろうな。
 また今度飲みに誘ってくれよ! あっ、でも少し酒を控えろって先生に言われてるんだった。飯ならいいよな! あと、訓練こいよ! 約束だからな!
チェスター』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 ランバート、いつも俺の心配してくれて有り難うな。まぁ、何とか毎日頑張ってる。
 改めてさ、お前の強さを思い知った感じがする。お前、凄いよ。ファウスト様の右腕なんて俺は絶対務まらない。自信なくて、失敗したらどうしようって不安で、かじり付くように頑張っても空回りしてて。そんな時、お前は凄い奴だって感じる。
 誇らしいよな、同期で友達にこんな凄い奴がいるんだって! 俺、そう思うと頑張れる。
 これからもお前目標に頑張るから、お前も頑張ってくれよ!
トレヴァー』

『ランバート、ファウスト様、結婚おめでとうございます。
 思えばロッカーナでの出会いが、俺の人生変えたよな。なんて、今改めて思ってるんだ。
 最初はさ、王都から来た珍しいお客さんって感じで話が聞きたかったんだけど、あの時の体験とランバートの強さに、俺は濁り始めていた希望ってものがまた透き通っていくのを感じたんだ。
 今はまだ、俺は全然頑張れてない。同期のトレヴァーなんて凄いし、トビーも器用で凄い。でも、この間は帆の補正俺が一番だったんだ。
 やれる事はまだ少ない。ランバートの所はとても遠い。でも、追いついて見せるから。これからも、よろしくな。
ピアース』

『ランバート、ファウスト様、おめでとうございます。
 なんていうかさ、たまに俺はお前の友達でいいのか? という気がしないでもないんだよな。本当は派手な任務とか参加したいんだけど、第三ってそういうのじゃないだろ?
 羨ましいというか。なんか、悔しいと言うかさ。
 でも俺、案外海とか船が好きみたいだ。認めたくねーけど、トレヴァーは強くなってるし頑張ってると思うしな。
 って、祝いの言葉ってどう書いたらいいんだ? 正直こんな事って今までなかったからさっぱり分からん!
 えっと、とにかくだ! 幸せになれよ! お前が笑ってないと隊全体がなんかギクシャクするんだ。だから、お前はとにかくファウスト様に幸せにしてもらって、笑ってればいいと俺は思う!
トビー』

『ランバート、ファウスト様。ご結婚、おめでとうございます。
 僕はランバートに一生の恩があるよ。君がいなかったら今頃、僕は死んでいたんだと思う。それだけじゃない、ルイーズ様も死んでいたかもしれない。今僕が幸せに笑えるのは、あの時ランバートやファウスト様が助けてくれたからなんだ。
 そんな君の幸せを、僕は心から願っている。危険な事も怖がらずに立ち向かえるランバートの強さは凄いと思うけれど、あまり無茶はしないでね。
コナン』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 ランバート、覚えてる? スノーネルで二人で捕まっていた時。あの時本当はとても不安だったんだ。俺の身内が起こしたことで申し訳ないし、ランバートにおかしな事されないかって気が気じゃなかった。
 その後の事も、疲れているのに手を回してくれて有り難う。俺がここに居られるのは、ランバートを含めて仲間のお陰なんだ。
 今でも大好きだよ。だから、無茶しないでね。これ、勿論友達としての大好きだからファウスト様勘違いしないでください!
 たまには一緒にバカやって遊んでね。
ハリー』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 ランバート、沢山有り難う。ロッカーナでランバートに出会えなかったら、僕は今も小さく縮こまったまま、怖い事が通り過ぎるのを待つ弱虫のままだった。
 貴方に会って、強くなりたいと思った。守る人になりたいと思った。今の僕は、そうなれているかな? 騎士としての強さは今もないけれど、心の強さは手に入れられたと思っているんだよ。
 そんなランバートだからこそ、今日の日は僕にとっても嬉しいんだ。幸せになってね。喧嘩しちゃだめだよ? 困った事があったら、こっそり相談に乗るからね。
クリフ』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 ケーキ、凄かっただろ? お前が驚く顔を想像すると、今からワクワクするんだ。悪戯成功はかならず、嬉しそうなびっくり顔じゃないとさ。
 一緒にバカやって、任務もやって。こんなに長く付き合える仲間や友人ができるなんて、俺はここに入った時は想像もしていなかった。そこに大貴族が入ってるなんて、誰が想像できる? 俺の人生の中でも五指に入る驚きだよ!
 でもさ、そういうのは関係なくて俺はお前が好きだよ。だからこれからも、一緒にバカやろうな。
レイバン』

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます!
 寂しくなるな、お前も結婚か……。なんか、遠くに行っちまうようでさ。
 俺、お前にはちょっと感謝してるんだ。昇格試験、俺は正直全員雑魚だと思ってた。上級の先輩やうちの大将には勝てなくても、同期の中では最強だって思ってたんだ。
 だけどお前が俺のそんな鼻っ柱をたたき折ってくれた。悔しかったし、痛いし、訳わかんなかった。でも俺はあの時、それ以上に嬉しかったんだ。俺より強い同期がいる。見た目じゃない強い奴がいるんだってさ!
 お前には情けない姿も見せてるけどよ、あんまうかうかしてると追い抜くからな! 訓練サボるなよ。体動かすならいつでも付き合うからな!
ドゥーガルド』

 同期達が思い思いに書いているそれを読むうちに、目には沢山涙がたまっていく。ドゥーガルドなんてきっと、書きながら泣いてたんだ。インクが所々滲んでいる。

「いい友を得たな」
「うん」
「だが、黒幕がまだだな」

 それが誰を指しているのかなんて明白だ。師団長、団長達のページも読んで、ファウストがなんとも言えない顔をしたりして、それを笑って。
 そして黒幕は黒幕らしく、一番最後のページに書き込んでいた。

『ランバート、ファウスト様、ご結婚おめでとうございます。
 やっとここまできたか、長かったな。俺の親友は大胆なくせに妙な所で手が出ないからな。
 なんて、人の事は言えないか。
 俺も、クラウル様との事を進めて行く予定だ。まだ正直恥ずかしいし、立場的には俺が嫁というのも違和感しかない。俺が嫁だぞ? 恐ろしい事実だ。
 だがまぁ、笑って受け入れる事もできるんだろう。そんな気がしているよ。
 長い付き合いで、お前と一緒に動く事はとにかく多くて、その度に頭の良さや決断の早さ、強さを見てきた。お前は凄いよ、お世辞抜きで。ただ、それを心配にも思う。多分ファウスト様も不安に思っている。
 無茶をするなよ、ランバート。お前の旦那は、お前に何かあって平気でいられるほど強くはない。よく、エリオット様やラウルと話すあれは、俺を含めて念頭に置かなければいけない。一分でも、一秒でもいいから相手よりも長生きしなければいけない。お前は特に気をつけろよ。
 なんて、祝いの言葉に書くのも妙だよな。誰かさんの心配性が感染ったのかもな。
 まぁ、何にしてもおめでとう。これを読んでお前が泣いて笑ってくれていたら、俺達の思惑は大成功だ。
 そうなっていることを願う。
 たまには俺達とも遊んでくれ。お互い、旦那には言えない愚痴も多いだろう。過保護で心配性で溺愛なあの人達抜きで語らうのも悪くないものさ。
 最後に、ここまでよく頑張った。お前は、凄い奴だよ。
ゼロス』

「本当に黒幕かよ、あいつ」

 言いながら涙と笑みが一緒なのは癪だが、心の中は温かい。
 ランバートの方こそ彼等には沢山お礼が言いたい。全員がかけがえのない仲間で、友達だ。

 背後のファウストがポンポンと頭を撫でて、寄せ書きの冊子を閉じてくれる。ランバートはくるりと振り向いてその胸に顔を押し当てた。

「お互い、二人だけじゃここに辿り着けていないからな」
「勿論だよ」
「今度、お礼を返そうか」
「何がいいかな」
「ここにチャペルを建てるなんてどうだ?」
「…………ん?」

 チャペル?

 目が点になって見上げると、ファウストは実に楽しそうな顔をしている。そして冗談ではなさそうだ。

「騎士団専用のチャペルだ。あまり大きくはないが」
「え? それ、具体的に進んでるの?」
「親父に今日相談してみた。土地は裏の訓練用の森を少し切り開けば出来そうだし、そこで出た木材も使える。陛下にも申請を出してみようと思う」

 具体的に話が進んでいる。

「若いのは結婚式を挙げたいと言っても、費用面が工面できないからな」
「あ……」

 レイバンやコナンが言っていた。やっぱり外でとなるとお金がかかる。会場を押さえて、衣装も、人も、神父もとなると大変な事になる。指輪だってそれなりにかかるんだ。そうなると、式を挙げない人も多いだろう。
 でもアレはできればやったほうがいいと思った。多くの人に祝われて、幸せな気持ちと一緒に「今日からこの人の伴侶になるんだ」という自覚が生まれる。
 騎士団は実家と縁が切れてしまった人も多い。そうなると余計に式を挙げないという選択をするだろう。

「いいと思う。費用、どうする?」
「まずは陛下に許しを得なければならないから、そこだな。建築費用については土地が決まって親父に話を出さなければ見積もりが立たない。だが、基本は隊員の寄付かな」
「そっか。じゃあ、俺もそれに貢献する」
「あぁ、そうしよう」

 ここにチャペルができたら、そこで式を挙げる隊員も増えるのだろうか。絆が増えて、強く結びついて、決して切れない強いものになっていく。そうなると、いいな。
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「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

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