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1章
1話 入団式(3)
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◇◆◇
一日が終わって、何だかどっと疲れた。
夕食も済ませ、部屋に戻って着替えてベッドの上。重く息を吐き出すが、ふと思い出すのは嬉しい事だ。
庇われるのは好きじゃない。見下されている気がする。見返りを、求められる事が常だった。まあ、これも何様だって気もするが、そういう経験が圧倒的に多かったんだ。
でもルークは違うと思う。下に見られているのはそうだろうが、プライドに引っかからない。何より圧倒的に実力が上だから見下すも何も事実だ。
そして、見返りなど求めていない。あの人の視線はずっと真っ直ぐに射貫くようなものだ。下卑たものは何もない。それが心地いいんだ。
「もっと早く、知り合ってみたかった」
もしも十歳の時分に出会えていたら……母を失い、寄る辺なく周囲を威嚇し続けていたあの頃に巡り会えていたら、こんな可愛げのない性格にはなっていなかっただろう。素直に人を見られる人間になっていただろう。
その点は少し、悔しくも思えた。
その時、ふとノックの音がした。既に多くの者が自室に籠もる時間で、外からの音もしていない。
クリスも寝ようと思っていた。こんな時間に訪ねてくる方がマナー違反で、対応しなくても咎められる謂われはない。
物理的な鍵はかかっている。だから無視して寝転んだクリスは……ガチャンという音に驚き体を起き上がらせた。
目の前でノブが動き、ドアが開く。部屋の鍵はその部屋を使う者にしか与えられない。この部屋の鍵を持っているのはクリスと……団長だけだ。
見知らぬ者が八人ばかり押し入ってくる。抵抗し声を上げたクリスだが、誰も助けにはきてくれない。新人は剣を部屋に持ち込む事も許されていない。
「離せ!」
そう声を上げた頬を硬い拳で殴られる。口の中に血の味が混じっていく。
嫌だ……まだこんなにままならないのか。数に勝てないというのか。強くなったと思ったのに、まだ蹂躙される側なのか。何も持っていないのに、体も心も何もかも差し出さなきゃいけないのか。
何がそんなに、罪だというんだ!
腕を掴まれ、腹を殴られ、背中も蹴られ……頭に布を被せられた瞬間のすえた臭いや息苦しさに手足をバタつかせて暴れたクリスの腹に重い一撃が入る。
グルンと目が回るような感覚と痛み、そして僅かな吐き気で意識が混濁し……やがて完全に暗転していった。
目が覚めた時、自分が何処にいるのか分からなかった。
薄い夜着では到底防げない寒さと、ジメッとした空気にかび臭さが混じる。床は冷たくゴツゴツとして、まともな建物の中ではないと分かった。明かりは周囲の者が持つランプのみ。
「よぉ、目が覚めたか妾腹」
そう、偉そうに見下しながら言うのは知っている顔だ。
「人数揃えないと喧嘩も売れないのか、クソッタレ」
睨みながら嘲笑するクリスの目の前にはパトリックがいる。他にも屈強そうな奴らが十数人……どれも武装している。新人のはずなのに。
そもそもここはどこだ? 今の宿舎は第一と第二騎士団が共用している一番大きな宿舎で、施設利用には団長の許可が必要だ。鍵も団長が管理している。
まあ、許可を出した奴の検討はついているが。
身をよじるが動けない。後ろ手でがっちりと縛られている。
芋虫のようになるしかないクリスを、パトリックは愉快そうに笑った。
「この状況でまだそんな事が言えるとは。相当、酷くされるのが好きと見える」
「っ!」
歪んだ笑みが、欲望を滾らせる視線が向けられて寒気がした。
顎をしゃくるパトリックに従って、うすのろそうな男が二人クリスを仰向けにして固定する。そして力任せに服を破いた。
裂けた服の合間から白い肌が露出する。それを、パトリックはなめるように見つめた。
「いい肌だな。これで何人の教授をたらし込んだんだ?」
「ふざけんな! そんな事、一度だってした事はない!」
ただ真っ当だった。権力でもなく、純粋に成績をみてくれた。成果を見てくれた。全てはその結果だったんだ。
だが目の前の男は顔を歪ませ拳を振り上げると、クリスの顔を思い切り殴り付ける。衝撃が脳にまで伝わって一瞬視界が揺れるくらいの力だった。
「言い訳するなよ! お前みたいな生まれながらのゴミが純粋に評価されたとでも思っているのか!」
「がっ!」
腹を踏みつけられて吐き気がする。そのままグリグリとめり込む足で痣が出来ていく。
興奮で顔を赤くし、息を荒くしたパトリックはぐったりとしたクリスを見て下卑た目を向ける。そして徐にズボンに手をかけると、そのまま引きずり下ろした。
「っ!」
「ほら、相手してやるから足開けよ」
据わった目に、冷たいものが流れた。ギュッと力を込めて閉じた足を、他の奴がよってたかって集まって開かせる。晒されて……悔しさに叫びたくなった。
「美人でもこっちはしっかり付いてるってのが気持ち悪いな」
「いっそちょん切れば綺麗になるんじゃないか?」
ゲラゲラ笑う声と、触られる感触に足をバタつかせるが押さえつけられ、殴られ蹴られる。見世物にされて……絶望と憎しみでグチャグチャになっていく。こんな辱めを受けるくらいならいっそ殺して欲しい。そうとすら思う。
どうして……どんな努力も報われないというのか。何をしてもこんな奴らに負けるのか。誰も、味方はいないのか。この声は、誰の耳にも届かないのか……。
「い……やだ……っ! 何でだよ! どうして俺はいつもこんな目に遭わなきゃならない! 俺が何をした! 俺は……ただ自由に生きたいだけなのに!」
声の限りに叫んだ声が虚しく消える。涙が込み上げる。それをあいつらはゲラゲラ馬鹿にして笑った。
だが、悪運は尽きていなかったらしい。
ガラガラ! という扉の開く音がして、月光が細く暗闇に差し込んでくる。
そこに、軍靴を鳴らし黒衣がはためいた。
「新人はとっくに寝る時間だが……随分楽しそうな事をしているようだな」
「あ……」
知っている声に、何処かほっとした。助かったと思ったんだ。
闇に光る紫眼が、冷たく細められた。
「軍法違反がいくつになるか……まぁ、面倒くさいな。お前等、覚悟あっての事だよな?」
「! 逃げろ!」
パトリックの声に十数人がルークへ向かい身構える。クリスも解放されて床に投げ出された。
数の優位があると思ったのだろう。武装もしている。前に立った五人が武器を構え、ルークへと斬りかかる。一方のルークは丸腰だというのに。
「ルーク団長!」
思わず声を上げた。だが、こちらの心配などおこがましいものだった。
最初に飛び出した巨体がくの字に曲がって崩おれる。硬い拳が鳩尾にめり込んだのか、男は一発で気絶していた。
「団長の俺が武器を使うと弱い者いじめだからな。さて、降参するなら今だぞ」
「っ! 全員でかかれ!」
後ろで命令するばかりのパトリックの金切り声に皆が尻込みしながらも飛び出していく。だが、まったく相手にすらならなかった。
「腰が引けてる!」
「ぐあ!」
「そっち、遅い!」
「ひぃぃ!」
足が、拳が、一撃で仕留めていく。それはとても華麗で、目が離せなくなった。憧れが目の前にある、その全てを取り込もうと熱心に見つめた。
かっこいい……。
知らず、鼓動が早まっていくのを感じる。目指した高みはここだったのかと、嬉しくて泣きたくなってくる。
そんな感動すら覚える光景に水を差したのはパトリックだ。クリスの髪を掴んだ奴はあろうことかその首筋に剣を押し当てたのだ。
「それ以上近付くな! こっ、こいつが」
言い切るよりもパトリックが顔面に蹴りを食らって後方に吹っ飛ぶ方が早かった。一足飛びに距離を詰めた人はまず剣をクリスとは反対方向へと蹴り飛ばし、続けざまに顔のど真ん中に蹴りを見舞ったのだ。
鼻がへしゃげ、前歯を数本撒き散らして吹っ飛んだパトリックが地面に派手に転がる。その様子すらも呆然と見たクリスは、不意に視線を感じてそちらを見た。
紫色の瞳がじっとこちらを見下ろしている。途端、自身の醜態を思い出して身を捩った。ズボンも履いていない、服も破られた姿が恥ずかしくてたまらないのだ。
だが、掛けられたのはもっと違う言葉だった。
「あぁ、こら! 暴れるな。今縄解くから」
そう言ってしゃがんだ人が腕の戒めを解いて、その体に自身が付けていた黒いマントを着せかけてくれる。重厚な布地がほぼ素肌の肩を柔らかく包んで、とても温かく感じる。ふわりと香る香りはどこか安心できて……涙が布地に染みた。
泣きたくなんてない、この人の前では。情けなさや弱さを見せるようで嫌なのに……どうしようもなく胸の奥がヒクつく。掛かるマントの前をギュッと手繰り寄せて身を震わせていると、不意に頭に温かな手が触れた。
ポンポンと頭を撫でる手の大きさが色んな感情を優しくしてくれる。大丈夫だと言われている気がする。この醜態も、この人を前にしては取り繕おうなんて思わない。
「よく耐えたな。お前は立派だ」
「情け、ない……」
「そう思う気持ちがあれば十分だ。力不足はさらなる鍛錬で補える。お前は十分に戦った。誇っていい」
もう……なんなんだよ。そういうの、止めてもらいたい。涙を止めたいのに、止められなくなるから。
彼はしばらくクリフが落ち着くまで待ってくれた。その間に何処からか人が来て、転がっている奴等を連行していく。その混乱の中、クリスはルークに支えられて外へと出たのだった。
一日が終わって、何だかどっと疲れた。
夕食も済ませ、部屋に戻って着替えてベッドの上。重く息を吐き出すが、ふと思い出すのは嬉しい事だ。
庇われるのは好きじゃない。見下されている気がする。見返りを、求められる事が常だった。まあ、これも何様だって気もするが、そういう経験が圧倒的に多かったんだ。
でもルークは違うと思う。下に見られているのはそうだろうが、プライドに引っかからない。何より圧倒的に実力が上だから見下すも何も事実だ。
そして、見返りなど求めていない。あの人の視線はずっと真っ直ぐに射貫くようなものだ。下卑たものは何もない。それが心地いいんだ。
「もっと早く、知り合ってみたかった」
もしも十歳の時分に出会えていたら……母を失い、寄る辺なく周囲を威嚇し続けていたあの頃に巡り会えていたら、こんな可愛げのない性格にはなっていなかっただろう。素直に人を見られる人間になっていただろう。
その点は少し、悔しくも思えた。
その時、ふとノックの音がした。既に多くの者が自室に籠もる時間で、外からの音もしていない。
クリスも寝ようと思っていた。こんな時間に訪ねてくる方がマナー違反で、対応しなくても咎められる謂われはない。
物理的な鍵はかかっている。だから無視して寝転んだクリスは……ガチャンという音に驚き体を起き上がらせた。
目の前でノブが動き、ドアが開く。部屋の鍵はその部屋を使う者にしか与えられない。この部屋の鍵を持っているのはクリスと……団長だけだ。
見知らぬ者が八人ばかり押し入ってくる。抵抗し声を上げたクリスだが、誰も助けにはきてくれない。新人は剣を部屋に持ち込む事も許されていない。
「離せ!」
そう声を上げた頬を硬い拳で殴られる。口の中に血の味が混じっていく。
嫌だ……まだこんなにままならないのか。数に勝てないというのか。強くなったと思ったのに、まだ蹂躙される側なのか。何も持っていないのに、体も心も何もかも差し出さなきゃいけないのか。
何がそんなに、罪だというんだ!
腕を掴まれ、腹を殴られ、背中も蹴られ……頭に布を被せられた瞬間のすえた臭いや息苦しさに手足をバタつかせて暴れたクリスの腹に重い一撃が入る。
グルンと目が回るような感覚と痛み、そして僅かな吐き気で意識が混濁し……やがて完全に暗転していった。
目が覚めた時、自分が何処にいるのか分からなかった。
薄い夜着では到底防げない寒さと、ジメッとした空気にかび臭さが混じる。床は冷たくゴツゴツとして、まともな建物の中ではないと分かった。明かりは周囲の者が持つランプのみ。
「よぉ、目が覚めたか妾腹」
そう、偉そうに見下しながら言うのは知っている顔だ。
「人数揃えないと喧嘩も売れないのか、クソッタレ」
睨みながら嘲笑するクリスの目の前にはパトリックがいる。他にも屈強そうな奴らが十数人……どれも武装している。新人のはずなのに。
そもそもここはどこだ? 今の宿舎は第一と第二騎士団が共用している一番大きな宿舎で、施設利用には団長の許可が必要だ。鍵も団長が管理している。
まあ、許可を出した奴の検討はついているが。
身をよじるが動けない。後ろ手でがっちりと縛られている。
芋虫のようになるしかないクリスを、パトリックは愉快そうに笑った。
「この状況でまだそんな事が言えるとは。相当、酷くされるのが好きと見える」
「っ!」
歪んだ笑みが、欲望を滾らせる視線が向けられて寒気がした。
顎をしゃくるパトリックに従って、うすのろそうな男が二人クリスを仰向けにして固定する。そして力任せに服を破いた。
裂けた服の合間から白い肌が露出する。それを、パトリックはなめるように見つめた。
「いい肌だな。これで何人の教授をたらし込んだんだ?」
「ふざけんな! そんな事、一度だってした事はない!」
ただ真っ当だった。権力でもなく、純粋に成績をみてくれた。成果を見てくれた。全てはその結果だったんだ。
だが目の前の男は顔を歪ませ拳を振り上げると、クリスの顔を思い切り殴り付ける。衝撃が脳にまで伝わって一瞬視界が揺れるくらいの力だった。
「言い訳するなよ! お前みたいな生まれながらのゴミが純粋に評価されたとでも思っているのか!」
「がっ!」
腹を踏みつけられて吐き気がする。そのままグリグリとめり込む足で痣が出来ていく。
興奮で顔を赤くし、息を荒くしたパトリックはぐったりとしたクリスを見て下卑た目を向ける。そして徐にズボンに手をかけると、そのまま引きずり下ろした。
「っ!」
「ほら、相手してやるから足開けよ」
据わった目に、冷たいものが流れた。ギュッと力を込めて閉じた足を、他の奴がよってたかって集まって開かせる。晒されて……悔しさに叫びたくなった。
「美人でもこっちはしっかり付いてるってのが気持ち悪いな」
「いっそちょん切れば綺麗になるんじゃないか?」
ゲラゲラ笑う声と、触られる感触に足をバタつかせるが押さえつけられ、殴られ蹴られる。見世物にされて……絶望と憎しみでグチャグチャになっていく。こんな辱めを受けるくらいならいっそ殺して欲しい。そうとすら思う。
どうして……どんな努力も報われないというのか。何をしてもこんな奴らに負けるのか。誰も、味方はいないのか。この声は、誰の耳にも届かないのか……。
「い……やだ……っ! 何でだよ! どうして俺はいつもこんな目に遭わなきゃならない! 俺が何をした! 俺は……ただ自由に生きたいだけなのに!」
声の限りに叫んだ声が虚しく消える。涙が込み上げる。それをあいつらはゲラゲラ馬鹿にして笑った。
だが、悪運は尽きていなかったらしい。
ガラガラ! という扉の開く音がして、月光が細く暗闇に差し込んでくる。
そこに、軍靴を鳴らし黒衣がはためいた。
「新人はとっくに寝る時間だが……随分楽しそうな事をしているようだな」
「あ……」
知っている声に、何処かほっとした。助かったと思ったんだ。
闇に光る紫眼が、冷たく細められた。
「軍法違反がいくつになるか……まぁ、面倒くさいな。お前等、覚悟あっての事だよな?」
「! 逃げろ!」
パトリックの声に十数人がルークへ向かい身構える。クリスも解放されて床に投げ出された。
数の優位があると思ったのだろう。武装もしている。前に立った五人が武器を構え、ルークへと斬りかかる。一方のルークは丸腰だというのに。
「ルーク団長!」
思わず声を上げた。だが、こちらの心配などおこがましいものだった。
最初に飛び出した巨体がくの字に曲がって崩おれる。硬い拳が鳩尾にめり込んだのか、男は一発で気絶していた。
「団長の俺が武器を使うと弱い者いじめだからな。さて、降参するなら今だぞ」
「っ! 全員でかかれ!」
後ろで命令するばかりのパトリックの金切り声に皆が尻込みしながらも飛び出していく。だが、まったく相手にすらならなかった。
「腰が引けてる!」
「ぐあ!」
「そっち、遅い!」
「ひぃぃ!」
足が、拳が、一撃で仕留めていく。それはとても華麗で、目が離せなくなった。憧れが目の前にある、その全てを取り込もうと熱心に見つめた。
かっこいい……。
知らず、鼓動が早まっていくのを感じる。目指した高みはここだったのかと、嬉しくて泣きたくなってくる。
そんな感動すら覚える光景に水を差したのはパトリックだ。クリスの髪を掴んだ奴はあろうことかその首筋に剣を押し当てたのだ。
「それ以上近付くな! こっ、こいつが」
言い切るよりもパトリックが顔面に蹴りを食らって後方に吹っ飛ぶ方が早かった。一足飛びに距離を詰めた人はまず剣をクリスとは反対方向へと蹴り飛ばし、続けざまに顔のど真ん中に蹴りを見舞ったのだ。
鼻がへしゃげ、前歯を数本撒き散らして吹っ飛んだパトリックが地面に派手に転がる。その様子すらも呆然と見たクリスは、不意に視線を感じてそちらを見た。
紫色の瞳がじっとこちらを見下ろしている。途端、自身の醜態を思い出して身を捩った。ズボンも履いていない、服も破られた姿が恥ずかしくてたまらないのだ。
だが、掛けられたのはもっと違う言葉だった。
「あぁ、こら! 暴れるな。今縄解くから」
そう言ってしゃがんだ人が腕の戒めを解いて、その体に自身が付けていた黒いマントを着せかけてくれる。重厚な布地がほぼ素肌の肩を柔らかく包んで、とても温かく感じる。ふわりと香る香りはどこか安心できて……涙が布地に染みた。
泣きたくなんてない、この人の前では。情けなさや弱さを見せるようで嫌なのに……どうしようもなく胸の奥がヒクつく。掛かるマントの前をギュッと手繰り寄せて身を震わせていると、不意に頭に温かな手が触れた。
ポンポンと頭を撫でる手の大きさが色んな感情を優しくしてくれる。大丈夫だと言われている気がする。この醜態も、この人を前にしては取り繕おうなんて思わない。
「よく耐えたな。お前は立派だ」
「情け、ない……」
「そう思う気持ちがあれば十分だ。力不足はさらなる鍛錬で補える。お前は十分に戦った。誇っていい」
もう……なんなんだよ。そういうの、止めてもらいたい。涙を止めたいのに、止められなくなるから。
彼はしばらくクリフが落ち着くまで待ってくれた。その間に何処からか人が来て、転がっている奴等を連行していく。その混乱の中、クリスはルークに支えられて外へと出たのだった。
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