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1章
2話 クリスの新生活(1)
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無事、第三騎士団への入隊を果たしたクリスであったが、想定外は初日から始まった。
「ルーク団長、いい加減起きないと訓練遅刻しますよ!」
そう言いながら同室者の布団を引っぺがし、それでも眠りこける人のシーツに手をかけてこれも引っぺがす。流石に転がり床に投げ出された人は不機嫌そのままにこちらを睨んだ。
「クリス……優しく起こせないのか」
「起こしてもらえるだけありがたく思ってください。そもそも、最初は優しく起こしていますよ、記憶にないだけで。最終手段を使わせる貴方が悪い」
ちなみに、引っぺがしたシーツはこのまま回収してランドリー行きだ。
床に投げ出された人は癖のついた髪をガシガシ掻きながらも立ち上がる。その肉体を、クリスは恨めしくも見てしまうのだ。
一八八センチという恵まれた体躯はきっちりと鍛えられている。
細い割に引き締まった腕の筋肉に胸筋、見事な腹筋。これらを惜しげもなくさらしている。この人、寝る時上は着ない派だった。
「お湯、そこにあるので使ってください」
溜息一つ。ついでに昨日つるして皺も伸ばしておいた制服と真新しいシャツをクローゼットから取りだしておく。
そして、自分に宛がわれたベッドからもシーツを剥がしてランドリーへと向かった。
そもそもなんでこうなったのか。これは宿舎の部屋割り的なものだった。
「悪い、部屋の準備ができない」
事件の夜は一応医務室のベッドで寝たクリスだが、翌日早々にこう言われて呆然とした。
曰く、第三騎士団は総勢五十人程度。うち、団長のルークは一人部屋、副団長二名は同室。他の隊員も二名で一室らしいのだが、現状空室がないそうなのだ。
そりゃ、共同宿舎ほど大きくないのは分かっていたけれど!
「物置を改装するにも、仕事が忙しく入りそうでな。しばらく手もつけられない」
「じゃあ、俺は何処で寝起きするんですか」
やや責めるように問い詰めると、ルークは何でもない顔で自分を指した。
「俺の部屋のベッドが余っているから、部屋がどうにかなるまで一緒に使うぞ」
「……は?」
この人、何言ってんだ?
団長と同室って、周囲の目とか考えろよ。という気持ちが半分以上。この人それでいいのか? という気持ちも少々。身の危険は……プライスレスで。
だが現状、これ以外は方法がないので同意せざるを得ず、現在に至っている。
こうして始まった同居生活だが、あの夜の憧れが木っ端微塵に粉砕される程度には呆れている。それというのもあの人、私生活がだらしなかった。
「散らかっている」と言って案内された部屋は最初、酷い有様だった。
脱ぎ散らかした服、飲み終わった酒瓶が転がる部屋はクリスの目からは汚部屋。朝起きたままのグチャグチャのベッドもそうだし、換気いつした? と言いたくなる空気の淀み。
とりあえず急いで窓を開けて瓶を拾って服をランドリーにぶち込み、寝具一式を取り替え掃き掃除、拭き掃除を開始したクリスを、ルークは「おぉ」という感心の目で見ていたので、「あんたもやれ!」と一喝していた。
この一喝、廊下にいた他の隊員にも筒抜けになっていたらしく、しかもルークもクリスの気迫に負けて「おっ、おう」と掃除を始めてしまったことから、瞬く間に「団長の嫁」という不名誉な噂が流れた。
現在、クリスは「団長を従える最強新人(嫁)」と呼ばれている。
ランドリーから新しいシーツを二人分持って部屋に戻ると、流石に着替えまできっちり終えていた。寝癖が直っていないのがルークらしいが。
溜息をついてシーツを椅子の上に置き、近付いて跳ねている後ろ毛を整えるとルークが「お前細かいな」と呟く。
「立場のある方が見た目だらしないのはいけません。外に出るときはちゃんとしてください」
「ガイスのおっさんは着崩してるぞ」
「あの方は筋肉が発達しすぎて前が締まらないだけですよ」
第二騎士団団長はそれほどまでの筋肉なのである。
そもそも系統が違う。あの人はあれで小綺麗にはしているし、似合う。同じことをルークがしても似合わないし、だらしなく見えるだろう。
「そもそも、俺はもう新人教育に行く気がないんだが」
「日程に組み込まれている枠に穴を開ける事は許しません。その穴を埋めるのは副団長のハロルド様やフェリックス様です。自分の仕事を他人に押しつけるなど、言語道断ですよ」
「お前、新人のくせに随分言うようになったな」
苦々しくはあるが苦言ではない物言いのルークに、クリスはキリッとした顔をする。
「王太子殿下からも、貴方のサボり癖を矯正するよう言われておりますし、フェリックス様も助かるとの事ですので」
「お前を同室にしたのは間違いだったか」
「今更ですね。はい、できました。今日も格好いいので頑張ってください」
きっちりと衣服を整えて背中を押すと、彼は僅かにムッとした顔をする。一方のクリスはパッキリとした真新しいシーツを手にしている。今のうちに敷いてしまおうと思い振り向くと、予想よりも近い所にルークの顔があって、驚いて止まった。
「仕事はする。そのかわり、昼はお前の作った弁当が食べたい」
「はぁ? 宿舎でちゃんとしたご飯が出るでしょう」
共同宿舎の食堂はちゃんとしている。味もバランスもいいものだ。素人の家庭料理など足元にも及ばないと思うのだが、この人は何故かクリスの料理を食べたがる。前に一度夜食を作ったのが切っ掛けだ。
「約束するなら仕事をする」
「子供ですか、まったく。……分かりました。でも、サンドイッチくらいですよ?」
「それでいい」
満足したらしい人は見惚れるような鋭く綺麗な笑みを浮かべ、ポンと一つ頭を撫でて部屋を出て行く。その背中を呆然と見送って、クリスは溜息をついた。何故か頬が僅かに熱くて困る。
「子供扱いするな、バカ野郎」
誰が聞くわけでもない恨み言を呟いて気を取り直し、朝の仕事をしてしまうクリスだった。
一仕事終えて向かうのは宿舎の食堂だ。
共同宿舎よりは規模も小さいが、立派な食堂がある。そこでは料理人三名が朝、昼、夜と分担して美味しい食事を提供してくれる。
今朝はロールパンにほうれん草とベーコンのキッシュ、牛乳とサラダだ。
これらを持って席を探していると、不意に手を上げている人を見つけた。
「クリスこっち!」
そう名指しされたのでは行かないわけにはいかない。正直、少々気後れもするのだが。
「ハロルド先輩、おはようございます」
「うん、おはよう」
そう笑顔で迎えてくれたのは副団長のハロルドだ。少し長めのオレンジ色の髪に同色の瞳で、明るい性格そのままの表情が多い。
事件の夜、クリスに回復魔法を掛けてくれた人でもある。
「この時間にご飯ってことは、団長今日もちゃんと行ったの?」
「はい」
「うわぁ、優秀! そう思うよね、フェリックス?」
不意に影が差してそちらを見ると、白髪に眼鏡の人物が同じように朝食を手にしてきたところだった。
この人がもう一人の団長のフェリックス。肩を過ぎる白髪に眼鏡で、やや神経質そうな人だ。部隊では参謀もしている。
「クリスの有能さには、正直助かっている。あの人が真面目に仕事に行くなど奇跡に近い」
「槍降ったりして~」
溜息交じりのフェリックスに茶化すハロルド。そんな二人を見て、クリスは溜息だ。
「そもそも、立場のある人が仕事をサボるのを当然と思っている部分に頭が痛いのですが」
「同感だ。また、それが許される現状もどうかと思う」
フェリックスもまた深く溜息をつく。立場が違うが、ここは互いに似た匂いを感じている。主に真面目で苦労性だ。
「今年はこれ以上新人入れるつもりないみたいだからね~。余計に面倒臭いんでしょ」
「だからといって新人への訓練をサボるのは話が別です。ガイス様にほぼ全てを丸投げしているのも申し訳ありません。それでなくても第一騎士団があの状況なのに」
第一騎士団については自業自得と思う部分が無い訳じゃないが、今割を食っているのは真面目にやってきた人達だ。上司が阿保であるのが罪だと言われても、部下が責任を負わなければならないいわれはないだろうに。
「ハーマンのやりようは内部では有名だったが、手を出せなかったからな。ようやくまともになる」
「酷いよね~。新人食いものにして、飽きたりヤバかったら理由付けて切り捨ててさ。騎士道って知ってるのかな?」
「おおよそ、ご存じないかと思われます。俺にも貴族社会のなんたるかを、騎士団で説いた方ですから。おそらく、ご自分の立場がいまいちお分かりにならない残念な方だったのでしょう」
「うわぁ、辛辣~」
知った事か、あんなクズ。正直、もう一度顔が見られるなら鼻がめり込むほど殴りたい。
ハーマンが捕まった事で、彼から何かしらを融通されていた者も捕まった。副団長二名に、平は数十人。違法な薬品の持ち込み、不適切な行い、いじめの隠蔽などだ。
大変混乱したが、事件の翌日に王族直属の刑務官が乗り込み素早く捕縛した事で取り逃がしはしなかった。
現在第一騎士団は残った中で一番まともそうな人物を仮の団長として立て直しが図られているが、とても訓練を行える状況にはなかった。
「この件は色々と根が深そうだと、王太子殿下も仰っていた。また、何か動かなければならないかもな」
「うちの大将も今回は積極的に動くみたいなんだよね。普段は人間相手のゴタゴタは城の刑務官に丸投げするのに」
「何故、今回は積極的なのでしょう?」
ここ数日で分かったが、あの人は面倒な事は本当にやりたがらない。ずぼらなんだ。仕事への意識も「興味があるか」が主軸なんだから。
そんな人が、普段は面倒な仕事をやる理由はなんなんだろうか。これは純粋な興味だ。
顔を上げたクリスに二名の上官は目を丸くし、顔を見合わせる。
そして二人共が可笑しそうに笑って「なんだろうな」と言う。これは「教えない」とも取れてちょっとムッとすると更に笑われる。
本当に、なんだっていうんだ。
「ルーク団長、いい加減起きないと訓練遅刻しますよ!」
そう言いながら同室者の布団を引っぺがし、それでも眠りこける人のシーツに手をかけてこれも引っぺがす。流石に転がり床に投げ出された人は不機嫌そのままにこちらを睨んだ。
「クリス……優しく起こせないのか」
「起こしてもらえるだけありがたく思ってください。そもそも、最初は優しく起こしていますよ、記憶にないだけで。最終手段を使わせる貴方が悪い」
ちなみに、引っぺがしたシーツはこのまま回収してランドリー行きだ。
床に投げ出された人は癖のついた髪をガシガシ掻きながらも立ち上がる。その肉体を、クリスは恨めしくも見てしまうのだ。
一八八センチという恵まれた体躯はきっちりと鍛えられている。
細い割に引き締まった腕の筋肉に胸筋、見事な腹筋。これらを惜しげもなくさらしている。この人、寝る時上は着ない派だった。
「お湯、そこにあるので使ってください」
溜息一つ。ついでに昨日つるして皺も伸ばしておいた制服と真新しいシャツをクローゼットから取りだしておく。
そして、自分に宛がわれたベッドからもシーツを剥がしてランドリーへと向かった。
そもそもなんでこうなったのか。これは宿舎の部屋割り的なものだった。
「悪い、部屋の準備ができない」
事件の夜は一応医務室のベッドで寝たクリスだが、翌日早々にこう言われて呆然とした。
曰く、第三騎士団は総勢五十人程度。うち、団長のルークは一人部屋、副団長二名は同室。他の隊員も二名で一室らしいのだが、現状空室がないそうなのだ。
そりゃ、共同宿舎ほど大きくないのは分かっていたけれど!
「物置を改装するにも、仕事が忙しく入りそうでな。しばらく手もつけられない」
「じゃあ、俺は何処で寝起きするんですか」
やや責めるように問い詰めると、ルークは何でもない顔で自分を指した。
「俺の部屋のベッドが余っているから、部屋がどうにかなるまで一緒に使うぞ」
「……は?」
この人、何言ってんだ?
団長と同室って、周囲の目とか考えろよ。という気持ちが半分以上。この人それでいいのか? という気持ちも少々。身の危険は……プライスレスで。
だが現状、これ以外は方法がないので同意せざるを得ず、現在に至っている。
こうして始まった同居生活だが、あの夜の憧れが木っ端微塵に粉砕される程度には呆れている。それというのもあの人、私生活がだらしなかった。
「散らかっている」と言って案内された部屋は最初、酷い有様だった。
脱ぎ散らかした服、飲み終わった酒瓶が転がる部屋はクリスの目からは汚部屋。朝起きたままのグチャグチャのベッドもそうだし、換気いつした? と言いたくなる空気の淀み。
とりあえず急いで窓を開けて瓶を拾って服をランドリーにぶち込み、寝具一式を取り替え掃き掃除、拭き掃除を開始したクリスを、ルークは「おぉ」という感心の目で見ていたので、「あんたもやれ!」と一喝していた。
この一喝、廊下にいた他の隊員にも筒抜けになっていたらしく、しかもルークもクリスの気迫に負けて「おっ、おう」と掃除を始めてしまったことから、瞬く間に「団長の嫁」という不名誉な噂が流れた。
現在、クリスは「団長を従える最強新人(嫁)」と呼ばれている。
ランドリーから新しいシーツを二人分持って部屋に戻ると、流石に着替えまできっちり終えていた。寝癖が直っていないのがルークらしいが。
溜息をついてシーツを椅子の上に置き、近付いて跳ねている後ろ毛を整えるとルークが「お前細かいな」と呟く。
「立場のある方が見た目だらしないのはいけません。外に出るときはちゃんとしてください」
「ガイスのおっさんは着崩してるぞ」
「あの方は筋肉が発達しすぎて前が締まらないだけですよ」
第二騎士団団長はそれほどまでの筋肉なのである。
そもそも系統が違う。あの人はあれで小綺麗にはしているし、似合う。同じことをルークがしても似合わないし、だらしなく見えるだろう。
「そもそも、俺はもう新人教育に行く気がないんだが」
「日程に組み込まれている枠に穴を開ける事は許しません。その穴を埋めるのは副団長のハロルド様やフェリックス様です。自分の仕事を他人に押しつけるなど、言語道断ですよ」
「お前、新人のくせに随分言うようになったな」
苦々しくはあるが苦言ではない物言いのルークに、クリスはキリッとした顔をする。
「王太子殿下からも、貴方のサボり癖を矯正するよう言われておりますし、フェリックス様も助かるとの事ですので」
「お前を同室にしたのは間違いだったか」
「今更ですね。はい、できました。今日も格好いいので頑張ってください」
きっちりと衣服を整えて背中を押すと、彼は僅かにムッとした顔をする。一方のクリスはパッキリとした真新しいシーツを手にしている。今のうちに敷いてしまおうと思い振り向くと、予想よりも近い所にルークの顔があって、驚いて止まった。
「仕事はする。そのかわり、昼はお前の作った弁当が食べたい」
「はぁ? 宿舎でちゃんとしたご飯が出るでしょう」
共同宿舎の食堂はちゃんとしている。味もバランスもいいものだ。素人の家庭料理など足元にも及ばないと思うのだが、この人は何故かクリスの料理を食べたがる。前に一度夜食を作ったのが切っ掛けだ。
「約束するなら仕事をする」
「子供ですか、まったく。……分かりました。でも、サンドイッチくらいですよ?」
「それでいい」
満足したらしい人は見惚れるような鋭く綺麗な笑みを浮かべ、ポンと一つ頭を撫でて部屋を出て行く。その背中を呆然と見送って、クリスは溜息をついた。何故か頬が僅かに熱くて困る。
「子供扱いするな、バカ野郎」
誰が聞くわけでもない恨み言を呟いて気を取り直し、朝の仕事をしてしまうクリスだった。
一仕事終えて向かうのは宿舎の食堂だ。
共同宿舎よりは規模も小さいが、立派な食堂がある。そこでは料理人三名が朝、昼、夜と分担して美味しい食事を提供してくれる。
今朝はロールパンにほうれん草とベーコンのキッシュ、牛乳とサラダだ。
これらを持って席を探していると、不意に手を上げている人を見つけた。
「クリスこっち!」
そう名指しされたのでは行かないわけにはいかない。正直、少々気後れもするのだが。
「ハロルド先輩、おはようございます」
「うん、おはよう」
そう笑顔で迎えてくれたのは副団長のハロルドだ。少し長めのオレンジ色の髪に同色の瞳で、明るい性格そのままの表情が多い。
事件の夜、クリスに回復魔法を掛けてくれた人でもある。
「この時間にご飯ってことは、団長今日もちゃんと行ったの?」
「はい」
「うわぁ、優秀! そう思うよね、フェリックス?」
不意に影が差してそちらを見ると、白髪に眼鏡の人物が同じように朝食を手にしてきたところだった。
この人がもう一人の団長のフェリックス。肩を過ぎる白髪に眼鏡で、やや神経質そうな人だ。部隊では参謀もしている。
「クリスの有能さには、正直助かっている。あの人が真面目に仕事に行くなど奇跡に近い」
「槍降ったりして~」
溜息交じりのフェリックスに茶化すハロルド。そんな二人を見て、クリスは溜息だ。
「そもそも、立場のある人が仕事をサボるのを当然と思っている部分に頭が痛いのですが」
「同感だ。また、それが許される現状もどうかと思う」
フェリックスもまた深く溜息をつく。立場が違うが、ここは互いに似た匂いを感じている。主に真面目で苦労性だ。
「今年はこれ以上新人入れるつもりないみたいだからね~。余計に面倒臭いんでしょ」
「だからといって新人への訓練をサボるのは話が別です。ガイス様にほぼ全てを丸投げしているのも申し訳ありません。それでなくても第一騎士団があの状況なのに」
第一騎士団については自業自得と思う部分が無い訳じゃないが、今割を食っているのは真面目にやってきた人達だ。上司が阿保であるのが罪だと言われても、部下が責任を負わなければならないいわれはないだろうに。
「ハーマンのやりようは内部では有名だったが、手を出せなかったからな。ようやくまともになる」
「酷いよね~。新人食いものにして、飽きたりヤバかったら理由付けて切り捨ててさ。騎士道って知ってるのかな?」
「おおよそ、ご存じないかと思われます。俺にも貴族社会のなんたるかを、騎士団で説いた方ですから。おそらく、ご自分の立場がいまいちお分かりにならない残念な方だったのでしょう」
「うわぁ、辛辣~」
知った事か、あんなクズ。正直、もう一度顔が見られるなら鼻がめり込むほど殴りたい。
ハーマンが捕まった事で、彼から何かしらを融通されていた者も捕まった。副団長二名に、平は数十人。違法な薬品の持ち込み、不適切な行い、いじめの隠蔽などだ。
大変混乱したが、事件の翌日に王族直属の刑務官が乗り込み素早く捕縛した事で取り逃がしはしなかった。
現在第一騎士団は残った中で一番まともそうな人物を仮の団長として立て直しが図られているが、とても訓練を行える状況にはなかった。
「この件は色々と根が深そうだと、王太子殿下も仰っていた。また、何か動かなければならないかもな」
「うちの大将も今回は積極的に動くみたいなんだよね。普段は人間相手のゴタゴタは城の刑務官に丸投げするのに」
「何故、今回は積極的なのでしょう?」
ここ数日で分かったが、あの人は面倒な事は本当にやりたがらない。ずぼらなんだ。仕事への意識も「興味があるか」が主軸なんだから。
そんな人が、普段は面倒な仕事をやる理由はなんなんだろうか。これは純粋な興味だ。
顔を上げたクリスに二名の上官は目を丸くし、顔を見合わせる。
そして二人共が可笑しそうに笑って「なんだろうな」と言う。これは「教えない」とも取れてちょっとムッとすると更に笑われる。
本当に、なんだっていうんだ。
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