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1章
7話 貴方を過ごす朝を越えて
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温かなものに包まれて心地よくて、このままもう少し眠っていたい。
ゆるく覚醒を始める意識を「もう少し」と引き延ばしたくて、クリスはモゾモゾと身を寄せる。
安心する香りと、包まれる安堵感。体の奥では温かなものが根付いている気がする。混ざって、包まれている感じがする。
不意に髪を梳く手を感じ、薄らと目を開けたクリスは目の前に逞しい体がある事にゆるく疑問を持った。
「起きたのか?」
柔く掠れた声がして、顔を上げると柔らかい眼差しとぶつかる。愛おしいと、空気から伝わってくる。
そして徐々に記憶が戻って……飛び起きた。
「わぁ!」
「おい!」
瞬間的に羞恥心が爆発し、思わず大きな声が出てしまう。それに片耳を抑えながらも睨むルークに、クリスは真っ赤なままワタワタした。
「あの、昨日のあれは、あの!」
「おい、落ち着け」
「落ち着いてます!」
いや、無理があるだろう……。
溜息をついたルークが腕を引いて、強制的にベッドの中に戻ってくる。動く事を許さない強い力だ抱きしめられて心拍数が上がってくる。
でもそれも最初のうちで、徐々に落ち着いてくると居心地が良くなってしまった。
「昨日の、忘れてください」
「嫌だ」
「恥ずかしい」
「ばーか、最高に可愛いの間違いだろう」
そうなのか? かなりの醜態を晒したと思う。それも、途中からグチャグチャになって曖昧なんだが。
背中を撫でる手が優しくて、甘やかされる事に安堵を感じて。もう起きる時間なのに、今もこうして甘えている。
「クリス」
「はい」
「俺はお前を滅茶苦茶鍛える」
「……はい?」
なんか今、この甘い朝に似つかわしくない死刑宣告を聞いた気がするのだが……気のせいか?
「そして、俺は今まで以上に自分を鍛える」
「いや、何を目指すんです?」
この人、武の極みにでも立とうというのか?
「魔族だとか、魔王だとか、魔王の欠片だとか。訳も分からないが明らかに強いものがこれから襲ってくるだろう。それでもお前を守れるように、お前が自分を守れるように俺は戦う」
「あ……」
それを、失念していた。
ルークの胸には未だに魔王だった人の魔石が入っている。今はもう聖石らしいが。
そしてクリスの中には女神が加護と同時に楔を残した。彼女達が今後もクリスを通じてこの世界に干渉できるようにするためだ。
どちらにしても、今後激しい戦いの中心に立たされる事は間違いない。だからこそ、この人は更なる強さを求めるのだろう。
「だが、まぁ。今日はまだ休みだ。のんびりと、お前と一緒にいたい」
そう言って二度寝を決めようとする人を見つめて、今日だけはと同じように寄り添っている。
やがて心地よくすよすよと寝息が聞こえる室内に、夏の風が一つ吹き込んだ。
END
ゆるく覚醒を始める意識を「もう少し」と引き延ばしたくて、クリスはモゾモゾと身を寄せる。
安心する香りと、包まれる安堵感。体の奥では温かなものが根付いている気がする。混ざって、包まれている感じがする。
不意に髪を梳く手を感じ、薄らと目を開けたクリスは目の前に逞しい体がある事にゆるく疑問を持った。
「起きたのか?」
柔く掠れた声がして、顔を上げると柔らかい眼差しとぶつかる。愛おしいと、空気から伝わってくる。
そして徐々に記憶が戻って……飛び起きた。
「わぁ!」
「おい!」
瞬間的に羞恥心が爆発し、思わず大きな声が出てしまう。それに片耳を抑えながらも睨むルークに、クリスは真っ赤なままワタワタした。
「あの、昨日のあれは、あの!」
「おい、落ち着け」
「落ち着いてます!」
いや、無理があるだろう……。
溜息をついたルークが腕を引いて、強制的にベッドの中に戻ってくる。動く事を許さない強い力だ抱きしめられて心拍数が上がってくる。
でもそれも最初のうちで、徐々に落ち着いてくると居心地が良くなってしまった。
「昨日の、忘れてください」
「嫌だ」
「恥ずかしい」
「ばーか、最高に可愛いの間違いだろう」
そうなのか? かなりの醜態を晒したと思う。それも、途中からグチャグチャになって曖昧なんだが。
背中を撫でる手が優しくて、甘やかされる事に安堵を感じて。もう起きる時間なのに、今もこうして甘えている。
「クリス」
「はい」
「俺はお前を滅茶苦茶鍛える」
「……はい?」
なんか今、この甘い朝に似つかわしくない死刑宣告を聞いた気がするのだが……気のせいか?
「そして、俺は今まで以上に自分を鍛える」
「いや、何を目指すんです?」
この人、武の極みにでも立とうというのか?
「魔族だとか、魔王だとか、魔王の欠片だとか。訳も分からないが明らかに強いものがこれから襲ってくるだろう。それでもお前を守れるように、お前が自分を守れるように俺は戦う」
「あ……」
それを、失念していた。
ルークの胸には未だに魔王だった人の魔石が入っている。今はもう聖石らしいが。
そしてクリスの中には女神が加護と同時に楔を残した。彼女達が今後もクリスを通じてこの世界に干渉できるようにするためだ。
どちらにしても、今後激しい戦いの中心に立たされる事は間違いない。だからこそ、この人は更なる強さを求めるのだろう。
「だが、まぁ。今日はまだ休みだ。のんびりと、お前と一緒にいたい」
そう言って二度寝を決めようとする人を見つめて、今日だけはと同じように寄り添っている。
やがて心地よくすよすよと寝息が聞こえる室内に、夏の風が一つ吹き込んだ。
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