恋愛騎士物語2~愛しい騎士の隣にいる為~

凪瀬夜霧

文字の大きさ
121 / 233
16章:カール4世のお妃騒動

4話:王都見物

しおりを挟む
 デイジーの頑張りには、教育係の二人も賞賛すべきものがあった。
 元々の教養もあるのだろう、早々と座学は終わり所作も身につけた。
 そしてダンスも、最初の頃から考えると信じられないくらいに上達をした。ルイーズなどちょっと泣きそうになったくらいだ。
 舞踏会を三日後に控え、多少余裕ができたのだった。


「王都見学、ですか?」

 お茶の時間、それとなくデイジーから希望を伝えられた二人は互いの顔を見合わせた。
 レッスンを頑張るデイジーに何か息抜きをと思ったのだが、これは予想外だったのだ。

「あの、いけませんか?」

 すごすごと聞いてくる彼女に、ルイーズは正直難しい顔をする。一応この場の責任者はルイーズとなっているから、迂闊な許可を出せないのだろう。

「なぜ、王都見学をしたいのですか?」

 ランバートが問えば、デイジーは少し俯きそうになってハッとして顔を上げる。これも、この数日で頑張った彼女の努力だ。

「直接、この国を見たいのです」

 何かを飲み込んで、強い意思でデイジーは伝える。その瞳に揺らぎはなくて、とても真っ直ぐに発する言葉は強いものだった。

「沢山のお話を聞きました。でも、言葉では伝わらないものもあるのだろうと思っています。私は、この国の一員として今のうちに見たいのです」

 デイジーの気持ちにランバートもルイーズも真剣になる。荒削りだが正直な気持ちは、何よりも強く伝わってくるように思えた。

「今回は初めて陛下とお会いする場。でもそのうちに、私はこの国を自由に見る事が叶わなくなってしまうでしょう。輿入れなどになったら余計にその機会を失ってしまいます。ですから、今のうちに。まだ私がただの娘であるうちに、見たいと思ったのです」

 そう言うと、デイジーは立ち上がって丁寧に頭を下げる。突然で、ルイーズはとても慌てて彼女に頭を上げさせようとするが彼女の方は頑として顔を上げなかった。

「お願いします。無理は承知しています。ご迷惑をお掛けすることも分かっています。ですがどうか、一日でいいのです。私をお連れいただけませんか」

 彼女の言葉をランバートは飲み込んでいた。彼女の必死を、理解していた。彼女が国民全ての前に出るようになれば、自由は失われる。そして彼女はこの王都に来てから一度も、外の世界を見ていない。

「ルイーズ様、俺に少しだけ時間をくれませんか?」
「ランバート?」

 願いを受けて、ランバートは立ち上がった。そしてにっこりとデイジーに微笑みかけた。

「絶対とは言えません。ですが、掛け合うだけはしてみます。今からオスカル様とファウスト様、街警の師団長様に相談してみます」
「ランバートさん!」

 嬉しそうに瞳を輝かせる彼女を前にして、動かない訳にはいかないだろう。
 ルイーズも気持ちは同じだったようで、一つ頷いてランバートの自由行動を許可してくれた。



 直ぐに行動に移った結果、ランバートは若干後悔している。

「私は賛成しかねる。姫の身の安全が確保しきれぬ。西の統合を嫌う者が騒ぎ始めたという話もある中で、危険はおかせぬ」
「それは僕も思うけれど、デイジー様の気持ちも分からないんじゃないんだよね。これからどんどん自由なんてなくなるんだし、今のうちに国を見たいなんて嬉しい事でもあるし」
「今の所、不審な人物の目撃などはないが油断出来ないのも勿論だ。陛下主催の舞踏会とあって、貴族の娘中心に浮き足立っている」
「人をというなら、出せない訳ではないが。あまり物々しくても楽しめはしないだろう」

 団長達の率直な意見はそのままランバートにも響くし、その通りだと思う。だが、緊張しているのは改まった団長達に囲まれているからではない。

「私はいいと思うけれど。この国を好きになろうという気持ちは十分にくみ取りたい」

 そう、にこやかに微笑んだ人が問題だ。
 ランバートは現在、団長全員とカール四世のいる円卓会議の場に出されているのだ。

「ですが陛下」
「あ、私も一緒に行こうかな」
「話をややこしくしないで陛下! 陛下もって、誰が護衛するの!」
「勿論、クラウルとオスカルだよ?」

 全員が警護や襲撃を危惧しているというのに、この人だけはのほほんとした顔をしている。このギャップが微妙に胃にくるのだ。
 オスカルは深く深く溜息をつき、クラウルの顔をチラリと見る。その視線に気づいたクラウルが、なんとも言えない顔をした。

「どうする、クラウル?」
「まぁ、何度かあった事だが」
「それにしてもさぁ」
「うん……。陛下、どうして共にと言われるのです。その必要性はあるのですか?」

 クラウルの真面目な質問に、カールはキョトンとしている。だが次には困ったように笑った。

「お嫁さんとデートがしたいかな」
「は?」
「政略結婚でも、私は相手の女性を愛したいと思っている。だから、それと分からなくてもいいからひっそりデートしたいなと思って」

 こう言われると弱いのが我が騎士団の甘さであり、良い部分なのかもしれない。結局は二人の意思を尊重して、明日の日中に街中を案内する事になったのであった。



 翌朝、屋敷前に広がった光景にルイーズは目眩を覚えた様子だった。

「おはようございます。本日はよろしくお願いします」

 深々と頭を下げたデイジーは、街に溶け込む少女の格好をしている。若草色のドレスは落ち着いたもので、派手さはないがみすぼらしくもない。装飾品はあえて付けず、そこらにいる小貴族の娘という様子だ。
 一方の皆も今日は私服姿だ。ランバートは深いグリーンのチュニックだし、ルイーズは黒のシャツ。オスカルは白に赤やオレンジで刺繍されたチュニックに、クラウルはグレーのチュニック姿。
 そしてカールはチェックのシャツに茶色のサスペンダーズボン、茶色の帽子を被って眼鏡をかけていた。

「目眩がする……」

 ランバートにだけ聞こえる声で呟いたルイーズの心労を苦笑で受け止めて、ランバート達は街を散策する事とした。

 今日は暖かい。デイジーの希望もあって馬車は使わず、徒歩での移動とした。自然とデイジーの隣にカールがついて、二人で何やら楽しそうに話している。どこか微笑ましい両者の姿に、オスカルもクラウルも笑みを浮かべていた。

「いい感じだね」
「あぁ、本当だ」

 最初こそ色々と危惧していた二人から漏れる安堵の言葉に、ランバートも自然と頷いていた。

「ここがウルーラ通りです。雑貨、宝飾、服飾などの店が連なる場所ですよ」

 静かながらも賑わう通りに到着して、デイジーは目を輝かせていた。店先には春の新作などがお披露目され、爽やかな緑やピンク、薄い水色などを使ったドレスや小物が溢れている。

「凄いです、華やかで」

 圧倒されたようなデイジーと一緒に街を歩いていると、ふとその足が一軒の店の前で止まった。そこは女の子に人気の雑貨屋で、表に愛らしいぬいぐるみが飾ってあった。

「欲しいのですか?」

 隣を歩くカールが微笑んで問いかける。しばらくショーウィンドーを見ていたデイジーは、次には首を横に振った。

「いいのです」
「どうして?」
「私は、遊びに来たのではありません。それに、今も街を見せて欲しいと皆様に無理を言っている身ですから」

 そんな事を気にして歩く必要はない。けれど控え目な笑みを見せたデイジーは歩き出してしまう。その後を、カールはなんだか寂しそうに見ていた。

 ウルーラ通りを見てまわり、ラセーニョ通りで食事をして、帰りにケーキを買おうと言って取り置きを頼んだ。
 そのまま賑やかな表通りを通って下町の賑やかな場所に出た。カールがまたビル爺さんの所で焼き鳥を買いたいと言って、今はそれを頬張っている。

「やっぱり美味しい。幸せ」

 ホクホクと笑みを浮かべて心から幸せそうな顔をするカールに、クラウルは思わず笑みを浮かべる。その隣ではオスカルも、意外な美味しさに小声で「うま!」と呟いた。

「本当に美味しいですね」
「ここの鶏料理は本当に美味しいんだ。この甘しょっばいタレがまた美味しいし、焼き加減が絶妙だよ」

 まさか皇帝カール四世の密かな行きつけ店になっているなど、ビル爺さんは知らないだろうな……。

 ランバートは今も忙しくしているビル爺さんを見て思う。既に顔なじみのようで、数本おまけされた。

「何度か来ているのですか?」
「俺が代理で買って届ける事もあるし、時々どうしてもと頼まれてな」
「ビル爺さん、驚くだろうな」
「知らぬがということにしておく」

 クラウルが楽しげに笑ってそんな事を言う。ゼロスと付き合うようになってから、この人は本当に雰囲気が柔らかくなった。

 焼き鳥もすっかり食べ終えて、帰りにケーキも受け取って、今は屋敷の前。デイジーは興奮気味な表情で笑い、皆に丁寧に頭を下げた。

「本日は本当に、とても楽しい時間でした。有り難うございました」
「こちらも楽しかった。有り難う」

 代表したカールがそう伝えて、二人は打ち解けたように笑い合う。
 カールにクラウルとオスカルが連れ添って帰って行くのを見送ったデイジーは、なんとなく頬を染めて戸惑った顔をしていた。

「どうしました、姫?」
「え! あぁ、いいえ」

 ハッとした彼女は取り繕うように笑い、屋敷へと入っていく。その姿を見たランバートとルイーズは互いに顔を見合わせ、密かに笑い合った。



 その夜、訪ねてきたデイジーに付き合ってランバートは談話室にいた。温かなミルクを出してデイジーの様子を見ている。
 何かを話したい。そういう様子がある。だが、なかなか話し出せないようだった。

「本日は楽しかったですか、姫」
「え! はい、とても。この街を見る事が出来て嬉しかったです。無理を言って、申し訳ありませんでした」
「楽しんでいただけたのでしたら、何よりですよ」

 伝えれば、デイジーはその点はとても満足だったのか嬉しそうに笑う。幼さも見えるその表情は年相応の少女のものだった。

「今日ご一緒したカールさんと、いい感じでしたね」
「え?」

 途端、デイジーは少し悲しそうな顔をする。てっきり少女らしい笑みが返ってくると思っていたので、これには驚いてしまった。

「どうしました?」
「……私は悪い女です」
「は?」
「私は陛下に嫁ぐ身です。なのに……カールさんとの時間がとても楽しくて、心を乱してしまうだなんて」

 そう言うと、デイジーは薄らと涙を浮かべる。紅茶色の瞳が辛そうに歪むのを見て、ランバートは慌ててしまった。
 彼女にはカールの事を「騎士団の人間」として伝えている。本当の事はとても言えないからだ。それが、彼女を苦しめてしまっている。

「いえ、いいのです。私は大切な事がありますから」
「……もしも心に秘めた人が貴方を連れて逃げようと言ったら、貴方はどうしますか?」

 不意に聞いてしまった。ランバートは彼女の心を知りたかった。敵国だった国に、政略結婚で嫁ぐその心はどれほどに複雑なのか。その心中を聞いてみたかったのだ。
 だが、その好奇心はいけない事だったのだろう。苦しげなデイジーの表情を見れば、これが間違いだった事は明確だった。

「従えません。私は」
「この国は、貴方にとって仇ではありませんか」
「そんな! ……確かに、私の父を殺したのはこの国です。ですが当時の私でも、父が間違いを犯した事は分かりました。父が卑怯である事は、分かりました」

 デイジーは表情を落とし、少し悲しく笑う。先に言った言葉に、偽りはないと。

「当時、私は十三歳でした。何も分からない子供ではありませんし、私に勉強を教えてくれていたのは叔父様でした。だから、自国と帝国の関係も知っています。小心な父は帝国が怖くて同盟を結んだのに、現陛下へと代が変わった途端に侮って一方的に同盟を反故にしたのですもの」

 少女ながらに正しい教育をされたのだろう。この言葉はとても真っ直ぐで、彼女の思うものだと分かった。
 そもそも彼女の叔父、現ジュゼット領主アドルフは帝国とは親しい。それは昔からで、戦争当時も両国の仲を取り持とうと奔走してくれた人だと聞く。
 そんな人物から両国の歴史を聞いていたのなら、彼女も正しい歴史を学んだのだろう。

「それでも、私は怖かったのです」
「怖い?」
「父が戦死し、国が敗れた時。私は周囲から自害を勧められました。敗戦国の姫など、慰み者にしかならない。男達に乱暴をされるのだと言われて……怖くてたまらなかったのです」

 一般論なだけに、なんとも言えない。
 戦に勝った国が負けた国を蹂躙する事はごく普通に行われる。それは戦った者への報酬でもあるからだ。
 だが帝国はそのような事をしない。騎士団は国家の組織であり、正しく国から給料をもらい、保障されている。何よりみな騎士である誇りを持っている。国を貶める悪評が自分たちについて回る事を嫌うのだ。故に、略奪をしない。

 デイジーは、ふと穏やかな笑みを浮かべる。不安や心苦しさの消えた表情には、慈悲すら浮かんでいた。

「ですが、陛下はそのような事をしませんでした。西の地を領地として名を残し、叔父様を領主とし、私を叔父様に預ける事で身の保障までしてくださって。慈悲深い方なのだと、感謝しました」
「姫」
「陛下は私にとって恩人です。私がこの数年を平和に過ごせたのは、全て陛下のご温情の上にあるのです。その陛下が、私を必要としてくれる。例え西と帝国の統合の為とは言え、私は役立てるのです。ならば受けた恩を、お返ししたいと思ったのです」

 淀みない瞳で言い切った彼女は、とても強い。頼りなく感じていたデイジーは、今はとても大きな人物に見える。そんな彼女が、ふと困ったように笑った。

「私ったら、余計な事を話してしまいました。本当は、今日のお礼を言いたかったのに。ランバートさんが皆さんに掛け合ってくれたのだとルイーズさんに聞いて、一言お礼を言いたかったのです」
「大した事ではありませんので、気になさらないで下さい。この数日、姫はとても頑張っていましたから」
「お二人が親切に教えて下さったからです。本当に、有り難うございます」

 丁寧に頭を下げたデイジーに、ランバートは笑う。だが彼女の様子に、もうランバートは頼りなさは感じなかった。そこに立つ彼女はしっかりと自らの使命を定めて立つ、立派な淑女だった。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

処理中です...