89 / 167
7章:ネクロフィリアの葬送
3話:約束の家
しおりを挟む
翌日にはハリーも元気になっていた。寝間着姿で退屈そうにしているのを見て、全員が安心の笑みを浮かべたくらいだった。
その翌日には通常任務に戻った彼の姿に一番安堵したのは、ランバートだった。そして、それを察した仲間が無言のままに背を叩いて元気づけてくれた。
だが事件はそれから数日のうちに起こった。夜に赤い炎が上がるのを見たランバートは駆け出していた。方角的に東地区であるのは間違いなかったからだ。
そうして見つけた現場は、既に多くの人が火を消すのに力を尽くし、ほぼ鎮火している。そこには街警をしている第三師団の姿もあって、皆すすだらけになっていた。
燃えたのは一軒の家。しかも無人の家だった。だが燃えた家を見る人々の瞳には明らかな悲しみと動揺がある。その理由は明白だった。
「ランバート!」
背後でファウストの厳しい声が飛ぶ。それに振り向いたランバートに表情はない。そばに、ウルバスも来ていた。
「燃えたのはこの家一軒か。被害は?」
「ありません。幸い無人の家だったようです」
「だが、その割にこの反応は。何か、意味のある家だったのか?」
立ち尽くして涙を流す人。地に膝をついて祈る人。悔しげに拳を握る人。反応は様々だが、ただ事でないのは伝わっている。ランバートも俯いたまま、なかなか顔を上げられなかった。
「ランバート?」
「ここは、ロトの家です」
「ロト?」
ウルバスは疑問そうにしたが、ファウストは思い当たったのだろう。だからこそ、納得できたように周囲を見回している。
「ロトはこの東地区を復興させた資産家です。彼がいたから、今の東地区はあるのです。亡くなった今でも、この家は東地区に住む人々の支柱のような場所なんです」
「だから、この状況なんだね」
気遣わしい視線を人々に向けて、ウルバスは困った顔をする。すすけた外壁に、燃えた内部。それらはきっと元には戻らない。でも、壊すこともはばかられるのだ。
「リフ」
不意に横合いから声がかかり、そちらに視線を向ける。ジンと傭兵ギルドの数名が、焦げ臭い臭いを漂わせたまま近づいてきた。
「悪い、守ってやれなくてこのザマだ」
「いや、いいんだ。お前達は大丈夫か?」
「何でもない。ただ、妙な話も聞いた」
ジンがそこまで言うと、ファウストがランバートの前に出る。明らかに不機嫌な顔だ。
「妙な話というのは、なんだ?」
ファウストがまっとうに立つとジンよりも高い。刺すような雰囲気もあって、ジン達は気圧された様子だった。
「ファウスト様、威嚇しないで下さい。ジン、この人が俺の今の上官なんだ」
妙な空気の二人の間に入って取りなしながら、ランバートは疲れたように溜息をつく。何より気持ちが疲れたのが自覚できた。ここに、立っていたくなかった。
「悪い、少し場所を変えたい。ファウスト様、ちゃんと紹介しますから待ってください。とりあえず、酒場貸してくれ」
双方にそれぞれ話をして、それにウルバスも同行する事になった。この場は他の第三師団の面々と傭兵ギルドの奴が引き受けてくれることになった。三人だけがジンの酒場へと移動していった。
酒場に着くと椅子に腰を下ろして、ランバートは深く溜息をつく。その前に水が置かれ、飲み干すと少し回復もした。
「ランバート、説明しろ」
「あぁ、はい。このスキンヘッドの男が、現在傭兵ギルドを預かっているギルドマスターです。名前はジン。さっきの男達は傭兵ギルドの常連です」
ウルバスとファウストがマジマジとジンを見ている。ジンはもの凄く居心地が悪そうだ。
「ジン、この二人は俺の今の上官だ。黒髪の方がファウスト様。騎士団の団長だ。茶髪の方はウルバス様、第三師団の師団長で今の街警の責任者だ」
ごつい男がちょこんと恐縮したように頭を下げるのを見て、妙なものを見ている気がする。今の状態ではあまり気の利いた事も言えなくて、これが精々だ。
「さっきは失礼した。どうも気が立っていたようだ。ジン、話を聞きたいんだが構わないか?」
「え? あぁ、えぇ。実は今回の火災の前後で不審な人物を見たという奴がいて、話を聞きました」
「不審な人物か。実際に見た人がいれば、似せ絵を描く手伝いをしてもらえます。紹介してもらえますか?」
丁寧に頼んだウルバスに、ジンは首を横に振って「その必要はありません」と答える。視線がランバートへと向かった。その視線の意味を、ランバートは正しく受け取った気がして寒気がした。
「男の名はイーノック・ローチ。別名をヒュドラという、毒使いの男です。特徴が完全に一致しました。俺たちはそいつの顔を知っているので、俺でよければ協力します」
「それは助かる。似せ絵があれば街警の時に探す事もできるから」
本当に心から感謝を込めてウルバスが言う。ジンの視線はランバートへと向かった。そしてランバートは、青い顔をしていた。
「では、あっちで似せ絵を描きます。リフ、少し外すぞ」
声をかけられてもまっとうな答えを返せない。予感が現実になった。今日のあの不審火も何かの警告だ。あの男はロトの秘密を知っている。知っているからこそ、狼煙に選んだんだ。
「……ジン、大きめの紙とペンを貸してくれ」
「いいが……何をする?」
「地図を書く」
それに、ジンは驚いた顔をした。次には、難しい顔だ。それでも止めはしなかった。黙って紙を出し、ペンを用意してくれた。
「悪い」
「いいさ。お前がそうすることを選んだなら、誰もそれに反対はできない。それに、今はそれが最良だと思うんだろ?」
「あぁ」
「なら、構わん。落ち着いたら爺さん達に一言詫びを入れてこい」
それだけを言って肩を叩いて、ジンは本当に離れた場所へと行ってしまう。それを見送ってから、ランバートは紙を睨み、ペンを凄い早さで走らせた。
白かった紙は一気に黒くなっていく。細い道、家、店。それらを書き込んでいく。小さな抜け道や細かな路地の複雑なラインを描きながら、それでも迷う事はない。ランバートは知っているのだ。この町の道の全てを。
「これは……」
「東地区の、東砦より下の街の地図です。ただこれは、俺が知っている限りの道です。街は生き物と同じで、変化します。通じているはずの道が通じていなかったり、道が増えていたりする事はあります。だから、完璧だとは思わないでください」
それでも概ねこれで間違いがない。目の前に出来上がった地図を睨んで、ランバートは祈るように瞳を閉じた。こんなことしか今はできない。詳細な地図があれば、何かの役に立つかもしれない。あやふやでも、こんな備えしかできなかった。
「うわ! 凄いね、これって東地区の地図?」
戻ってきたウルバスが感激したように声を上げる。目の前に広がった地図をマジマジとみて、嬉しそうにしている。その隣に並んだジンは腰に手を当てて呆れた様子だ。
「流石だな、リフは。こんなに詳細に覚えているものか?」
「あぁ、忘れないさ。忘れるわけがないだろ」
これは、ランバートが設計したんだ。この町はランバートが設計に携わったんだ。忘れるはずがない。作り上げた大切なものを、そう簡単に忘れることはできない。
「これは、ウルバス師団長が管理してください。この町は貴族によって長く暗い時代を送っていました。古くからここにいる人間には、騎士団も貴族です。自警の思いも強い場所で地図をこちらが持っていると知ると、余計な争いが生まれる可能性があります」
「うん、分かった。この事件が終わったら、俺の責任で処分しようか?」
「……お気遣いだけで大丈夫です。きっとまた使う事もあります。その度に俺が書いていたのでは大変なので」
何がいいのか分からない。ただ今は、何かがここで起ころうとしている。何でもいいから助けになるなら。それだけしか思えなかった。
「似せ絵はできたのか?」
ウルバスが手に持っていた紙を覗き込んで、ファウストが嫌な顔をした。ジンが気遣わしい顔をして首を振る。「見るな」と言っているんだろう。
「はい。彼はとても絵が上手いのですね、驚きです」
「手配書を書いたりするんで、上手くなっていくんです」
珍しくはげ頭を少し赤くしながら言うジンは、確かに見た目に似合わず人相書きが上手い。仕事柄身についたスキルなのだ。
「それにしても、ゾクリとする顔だな」
ファウストが嫌な顔をする。ウルバスの手から、僅かだがそれが見えた。瞬間、背中が寒くなる。どこからか視線を感じた気がして、思わず周囲を見てしまった。
「この男を今日の不審火の重要参考人ということで、第三師団に流します。東地区を増員し、俺もそっちに移ります。二人体制から三人体制にして、警戒しておきます」
「あぁ、そうしてくれ」
「傭兵ギルドの面子にも声をかけて、少し見ておく。奥の方には騎士団の人間は入らん方がいいからな」
「そうしてもらえると助かるな。有り難う、ジンさん」
とても素直に素敵な笑顔で言うウルバスに、ジンはタジタジだ。多分この辺ではいないタイプだし、この人は本当に人の心に入り込むのが上手い。この笑顔だけで全ての警戒心を解いてしまうのだから凄い事だ。
「では、今日はこれで引き上げる。ランバート、帰るぞ」
「はい」
ここにいても今はどうしようもない。今はこれに大人しく従う他になかった。
その翌日には通常任務に戻った彼の姿に一番安堵したのは、ランバートだった。そして、それを察した仲間が無言のままに背を叩いて元気づけてくれた。
だが事件はそれから数日のうちに起こった。夜に赤い炎が上がるのを見たランバートは駆け出していた。方角的に東地区であるのは間違いなかったからだ。
そうして見つけた現場は、既に多くの人が火を消すのに力を尽くし、ほぼ鎮火している。そこには街警をしている第三師団の姿もあって、皆すすだらけになっていた。
燃えたのは一軒の家。しかも無人の家だった。だが燃えた家を見る人々の瞳には明らかな悲しみと動揺がある。その理由は明白だった。
「ランバート!」
背後でファウストの厳しい声が飛ぶ。それに振り向いたランバートに表情はない。そばに、ウルバスも来ていた。
「燃えたのはこの家一軒か。被害は?」
「ありません。幸い無人の家だったようです」
「だが、その割にこの反応は。何か、意味のある家だったのか?」
立ち尽くして涙を流す人。地に膝をついて祈る人。悔しげに拳を握る人。反応は様々だが、ただ事でないのは伝わっている。ランバートも俯いたまま、なかなか顔を上げられなかった。
「ランバート?」
「ここは、ロトの家です」
「ロト?」
ウルバスは疑問そうにしたが、ファウストは思い当たったのだろう。だからこそ、納得できたように周囲を見回している。
「ロトはこの東地区を復興させた資産家です。彼がいたから、今の東地区はあるのです。亡くなった今でも、この家は東地区に住む人々の支柱のような場所なんです」
「だから、この状況なんだね」
気遣わしい視線を人々に向けて、ウルバスは困った顔をする。すすけた外壁に、燃えた内部。それらはきっと元には戻らない。でも、壊すこともはばかられるのだ。
「リフ」
不意に横合いから声がかかり、そちらに視線を向ける。ジンと傭兵ギルドの数名が、焦げ臭い臭いを漂わせたまま近づいてきた。
「悪い、守ってやれなくてこのザマだ」
「いや、いいんだ。お前達は大丈夫か?」
「何でもない。ただ、妙な話も聞いた」
ジンがそこまで言うと、ファウストがランバートの前に出る。明らかに不機嫌な顔だ。
「妙な話というのは、なんだ?」
ファウストがまっとうに立つとジンよりも高い。刺すような雰囲気もあって、ジン達は気圧された様子だった。
「ファウスト様、威嚇しないで下さい。ジン、この人が俺の今の上官なんだ」
妙な空気の二人の間に入って取りなしながら、ランバートは疲れたように溜息をつく。何より気持ちが疲れたのが自覚できた。ここに、立っていたくなかった。
「悪い、少し場所を変えたい。ファウスト様、ちゃんと紹介しますから待ってください。とりあえず、酒場貸してくれ」
双方にそれぞれ話をして、それにウルバスも同行する事になった。この場は他の第三師団の面々と傭兵ギルドの奴が引き受けてくれることになった。三人だけがジンの酒場へと移動していった。
酒場に着くと椅子に腰を下ろして、ランバートは深く溜息をつく。その前に水が置かれ、飲み干すと少し回復もした。
「ランバート、説明しろ」
「あぁ、はい。このスキンヘッドの男が、現在傭兵ギルドを預かっているギルドマスターです。名前はジン。さっきの男達は傭兵ギルドの常連です」
ウルバスとファウストがマジマジとジンを見ている。ジンはもの凄く居心地が悪そうだ。
「ジン、この二人は俺の今の上官だ。黒髪の方がファウスト様。騎士団の団長だ。茶髪の方はウルバス様、第三師団の師団長で今の街警の責任者だ」
ごつい男がちょこんと恐縮したように頭を下げるのを見て、妙なものを見ている気がする。今の状態ではあまり気の利いた事も言えなくて、これが精々だ。
「さっきは失礼した。どうも気が立っていたようだ。ジン、話を聞きたいんだが構わないか?」
「え? あぁ、えぇ。実は今回の火災の前後で不審な人物を見たという奴がいて、話を聞きました」
「不審な人物か。実際に見た人がいれば、似せ絵を描く手伝いをしてもらえます。紹介してもらえますか?」
丁寧に頼んだウルバスに、ジンは首を横に振って「その必要はありません」と答える。視線がランバートへと向かった。その視線の意味を、ランバートは正しく受け取った気がして寒気がした。
「男の名はイーノック・ローチ。別名をヒュドラという、毒使いの男です。特徴が完全に一致しました。俺たちはそいつの顔を知っているので、俺でよければ協力します」
「それは助かる。似せ絵があれば街警の時に探す事もできるから」
本当に心から感謝を込めてウルバスが言う。ジンの視線はランバートへと向かった。そしてランバートは、青い顔をしていた。
「では、あっちで似せ絵を描きます。リフ、少し外すぞ」
声をかけられてもまっとうな答えを返せない。予感が現実になった。今日のあの不審火も何かの警告だ。あの男はロトの秘密を知っている。知っているからこそ、狼煙に選んだんだ。
「……ジン、大きめの紙とペンを貸してくれ」
「いいが……何をする?」
「地図を書く」
それに、ジンは驚いた顔をした。次には、難しい顔だ。それでも止めはしなかった。黙って紙を出し、ペンを用意してくれた。
「悪い」
「いいさ。お前がそうすることを選んだなら、誰もそれに反対はできない。それに、今はそれが最良だと思うんだろ?」
「あぁ」
「なら、構わん。落ち着いたら爺さん達に一言詫びを入れてこい」
それだけを言って肩を叩いて、ジンは本当に離れた場所へと行ってしまう。それを見送ってから、ランバートは紙を睨み、ペンを凄い早さで走らせた。
白かった紙は一気に黒くなっていく。細い道、家、店。それらを書き込んでいく。小さな抜け道や細かな路地の複雑なラインを描きながら、それでも迷う事はない。ランバートは知っているのだ。この町の道の全てを。
「これは……」
「東地区の、東砦より下の街の地図です。ただこれは、俺が知っている限りの道です。街は生き物と同じで、変化します。通じているはずの道が通じていなかったり、道が増えていたりする事はあります。だから、完璧だとは思わないでください」
それでも概ねこれで間違いがない。目の前に出来上がった地図を睨んで、ランバートは祈るように瞳を閉じた。こんなことしか今はできない。詳細な地図があれば、何かの役に立つかもしれない。あやふやでも、こんな備えしかできなかった。
「うわ! 凄いね、これって東地区の地図?」
戻ってきたウルバスが感激したように声を上げる。目の前に広がった地図をマジマジとみて、嬉しそうにしている。その隣に並んだジンは腰に手を当てて呆れた様子だ。
「流石だな、リフは。こんなに詳細に覚えているものか?」
「あぁ、忘れないさ。忘れるわけがないだろ」
これは、ランバートが設計したんだ。この町はランバートが設計に携わったんだ。忘れるはずがない。作り上げた大切なものを、そう簡単に忘れることはできない。
「これは、ウルバス師団長が管理してください。この町は貴族によって長く暗い時代を送っていました。古くからここにいる人間には、騎士団も貴族です。自警の思いも強い場所で地図をこちらが持っていると知ると、余計な争いが生まれる可能性があります」
「うん、分かった。この事件が終わったら、俺の責任で処分しようか?」
「……お気遣いだけで大丈夫です。きっとまた使う事もあります。その度に俺が書いていたのでは大変なので」
何がいいのか分からない。ただ今は、何かがここで起ころうとしている。何でもいいから助けになるなら。それだけしか思えなかった。
「似せ絵はできたのか?」
ウルバスが手に持っていた紙を覗き込んで、ファウストが嫌な顔をした。ジンが気遣わしい顔をして首を振る。「見るな」と言っているんだろう。
「はい。彼はとても絵が上手いのですね、驚きです」
「手配書を書いたりするんで、上手くなっていくんです」
珍しくはげ頭を少し赤くしながら言うジンは、確かに見た目に似合わず人相書きが上手い。仕事柄身についたスキルなのだ。
「それにしても、ゾクリとする顔だな」
ファウストが嫌な顔をする。ウルバスの手から、僅かだがそれが見えた。瞬間、背中が寒くなる。どこからか視線を感じた気がして、思わず周囲を見てしまった。
「この男を今日の不審火の重要参考人ということで、第三師団に流します。東地区を増員し、俺もそっちに移ります。二人体制から三人体制にして、警戒しておきます」
「あぁ、そうしてくれ」
「傭兵ギルドの面子にも声をかけて、少し見ておく。奥の方には騎士団の人間は入らん方がいいからな」
「そうしてもらえると助かるな。有り難う、ジンさん」
とても素直に素敵な笑顔で言うウルバスに、ジンはタジタジだ。多分この辺ではいないタイプだし、この人は本当に人の心に入り込むのが上手い。この笑顔だけで全ての警戒心を解いてしまうのだから凄い事だ。
「では、今日はこれで引き上げる。ランバート、帰るぞ」
「はい」
ここにいても今はどうしようもない。今はこれに大人しく従う他になかった。
11
あなたにおすすめの小説
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ぼくが風になるまえに――
まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」
学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。
――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。
精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。
「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」
異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。
切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。
ダレン×フロル
どうぞよろしくお願いいたします。
【完結】ホットココアと笑顔と……異世界転移?
甘塩ます☆
BL
裏社会で生きている本条翠の安らげる場所は路地裏の喫茶店、そこのホットココアと店主の笑顔だった。
だが店主には裏の顔が有り、実は異世界の元魔王だった。
魔王を追いかけて来た勇者に巻き込まれる形で異世界へと飛ばされてしまった翠は魔王と一緒に暮らすことになる。
みたいな話し。
孤独な魔王×孤独な人間
サブCPに人間の王×吸血鬼の従者
11/18.完結しました。
今後、番外編等考えてみようと思います。
こんな話が読みたい等有りましたら参考までに教えて頂けると嬉しいです(*´ω`*)
【完結】少年王が望むは…
綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
BL
シュミレ国―――北の山脈に背を守られ、南の海が恵みを運ぶ国。
15歳の少年王エリヤは即位したばかりだった。両親を暗殺された彼を支えるは、執政ウィリアム一人。他の誰も信頼しない少年王は、彼に心を寄せていく。
恋ほど薄情ではなく、愛と呼ぶには尊敬や崇拝の感情が強すぎる―――小さな我侭すら戸惑うエリヤを、ウィリアムは幸せに出来るのか?
【注意事項】BL、R15、キスシーンあり、性的描写なし
【重複投稿】エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう、カクヨム
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される
水ノ瀬 あおい
BL
若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。
昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。
年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。
リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる